HOME > 2011年 首都圏私大入試総括—センター利用の志願者増加が目立つ—
 
 
2011年 首都圏私大入試結果速報 —明治大が僅差で2年連続志願者数トップ
 
 ● 大学は入り口が広く、出口(就職)が厳しい時代に

 2011年度の入試結果で現在判明している数字は、まだ最終のものではなく、こちらの統計も統一的なデータ整理がされていない段階にあることを考慮に入れていただきたいと思う。もちろん、全体的な傾向をみるには全く問題ない。
 
 昨年(2010年度)の私大入試における最大のトピックスは、11年間志願者数トップを守り続けてきた早大を、明治大が抜いて1位になったことだった。その差はわずか185人だったが、新聞・週刊誌などでも大きく扱われた。今年も最後で明治大が逆転、総志願者数113905人で2年連続でトップになった、早大との差は252人だった。両大学とも対前年比で2000人弱のマイナスである。 
 ただ昨年、明治大がトップになったときも書いたが、両者の入試システムは全く違うのだから、この比較はあまり意味がない。明治大は全学部統一入試やセンター試験の複数回利用を導入しており、同じ土俵で比べるのは無理がある。明治大の入試・広報関係者の努力はもちろん評価されるべきだが、週刊誌的レベルで大騒ぎするほどのことではない。 
 
 ランク別に見ていくと、早慶上智グループは早大が1862人減、慶大が1567人減、上智大が1063人減でいずれも志願者数ダウンになっている。ただ、少子化や志願者数の規模を考えるとこの程度のマイナスは微減の範囲と言っていい。このグループは早大が一時、学部増設や入試方式の変更で目立ったが、次年度は久しぶりに慶大に変更の動きがある。 
 
 MARCHでは中央大の4259人増が目立つ。しかし、これは何度も指摘してきたことだが、センター利用の占める割合が多い点に留意する必要がある。まだきちんとした数字を取っていないが、今年度もセンター依存率(全志願者のうち、センター利用志願者の占める割合)は50%に近いはずである。一方、志願者数減が目立つのは立教大で5129人のマイナス。しかし、これも前年度のアップの反動とみるのが妥当で、5000人以上のマイナスは確かに大きいが、このクラスになるとこれくらいの増減はいつでも起こりうる範囲だ。むしろ、注目すべきは青山学院大で266人増に留まったのは意外、次年度(2012年度)入学者から相模原にある文系7学部が4年間通して、渋谷キャンパスで学ぶことになると広報され、今年から移行措置が導入されたのでもう少しアップすることが予想されていた。が、今回の大震災の影響で建築資材の不足で工事が順調に進まず、移転は2013年度にずれ込むようである。

 私大中堅グループの日東駒専では、日大、東洋大が志願者数ダウン、専修大がアップ、駒澤大が横ばいという結果になった。ここでは特に東洋大の大幅ダウンが目につく。これは多少意味づけができると思う。東洋大は大学の規模や入試システムの特徴から、MARCHクラスの受験生がもっとも併願しやすい、滑り止めの位置にある。この東洋大の減はMARCHが易化した結果ではないかと考えられる。 
 
 ここ数年、高校現場を取材して明らかになっているのは、トップの早慶上智を含め、首都圏の上位私大全体がかなり易しくなっていることだ。特にMARCHにその傾向が出ている。少子化が止まらない状況下、大学がどんどん受験のチャンスを増やしているのだから、難度が下がるのはむしろ当然と言えるだろう。大学は入り口が広く、出口(就職)が狭く厳しいという状況がしばらく進行していくだろう。
 
 ● 慶大の法・薬がセンター利用を廃止、法はAOを拡大
 
 次に次年度(2012年度)の変更点を見ていこう。

 前述のようにここ数年ほとんど変更点のなかった慶大にいくつかの動きがある。まず法学部と薬学部でセンター利用を廃止する。法学部は共通一次からセ ンター試験に変わった当初からの導入だが、これはやむをえない事情によるものでむしろ今までよく続いたという感のほうが深い。薬学部は共立薬大との統合による残滓のようなところがあり、これも意外ではない。しかし、各大学がセンター利用で志願者数を増やそうとしているなかで、こうした動きは慶大のブランド力を改めてみせつけている。法は現在のAO入試を拡大してB方式を導入、法律学科・政治学科とも募集人員をそれぞれ今の最大30名から80名に増やす。選抜方法はA方式が「1次:書類審査 2次:模擬講義・論述試験・グループディスカッション」、B方式が「1次:書類審査 2次:総合考査・面接」で、A方式も現行と多少変更がある。このほか文学部自主応募推薦の出願条件が評定平均4.3が4.1になる。
 
 青山学院大は前述の通り、渋谷への移行が遅れるが、これがむしろ変更点といえるかもしれない。いずれにせよ、2003年に開設した広大な相模原キャンパスから10年もしないうちに移転するのだから、背水の陣と言えよう。
 
 このほか、立教大のセンター利用の科目や早大の自己推薦・AOの募集人員や出願条件に変更がある。
 

—安田教育研究所「月刊ビジョナリー」2011年5月号より—

 
 
 
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