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慶應義塾普通部 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2023年度「慶應義塾普通部の社会」
攻略のための学習方法

スライド式学習

「地理」「歴史」「公民」と「時事問題」の「知識」を確実に定着させておくこと。「基礎的事項」は当然だが、相当細かな「知識」や「深い理解」も求められるので、テキストの「注」や「囲み説明」等もチェックしなくてはいけない。

慶應では「地理」「歴史」からの出題が特に多いので、確実に定着させておきたい。
ただ、人は忘れるものだ。時が経てば経つ程忘れる。ここに実は落とし穴がある。基本的に「暗記」が最重要となる「社会」では、各単元をいつ学習し、定着させたのか、その時期が問題となる。

塾では通常、本格的な受験勉強が始まる5年生になってから、「地理」⇒「歴史」⇒「公民」と単元消化していき、6年生の夏休み前には終える。その後は「復習」となるが、そのメインは圧倒的に定着すべき事項の多い「歴史」にならざるを得ない。そのまま、秋から冬となり「過去問演習」と続いていく。6年生で学習した「公民」はまだしも、「地理」はどうだろうか? 実質的に1年以上の空白が生じてしまう。それはまずい。前述のように慶應では「地理」単元に含まれる全ての分野から多数出題されるのだ。

そこで、独自の「復習」が必要となる。塾での学習とはずらして(スライドさせて)、まだ時間的に若干の余裕がある5年生の冬休みやその後の春休みを利用して徹底的に「地理」の「復習」をしておくことが勝利につながる。「重要事項チェック問題集」のようなものを活用してもいい。さらに、その後も定期的に「地理」の理解を深めるような学習を続けておくことで、ライバルに差をつけておきたい。

いもづる式学習

「暗記事項」はそれぞれ単独(要は「一問一答方式」)で定着させておいてもほとんど意味がない。バラバラに覚えているだけでは、自分が覚えた通りに問われなければ結びつかないし、関連問題にも答えられないからだ。

そこで重要となるのが「いもづる式学習法」だ。「点」で覚えているものを「線」で結び、さらには「面」をも理解するには不可欠の学習だ。1つの「暗記事項」を確認する際、それに関連すると思われる「事項」を次から次へと思いつく限り引き出していく。単元も無視する。もし「言葉」としては覚えていても内容があやふやになっているものがあれば、すぐに確認しておく(ついでにここでも「復習」できる)。

また、それらは「線」で結びついているはずなので、どのように結びつくのかを確認していく。その上で、それらが結びつく背景(=「面」)も理解するようにする。このようにして改めて暗記し定着させた「事項」はどのような問われ方をしても「線」で結びつけて答えられることになる。さらに、単元もまたいでいるので、「単元融合問題」にも対応できるようになる。

慶應では、「問題文」や「設問内容」そして「他の各設問」、それらに関する「知識」をつなぎ合わせて考えさせる出題が多い。それに対応するにも「いもづる式学習法」が力を発揮する

手づくり式学習

特に「歴史」単元の「復習」で必要となる。塾での「歴史」の学習は普通、「政治史」を軸とした「通史」として「時代別」「時代順」になっている。だが、慶應の入試問題ではそうした単純なものはない。特定の切り口での「分野史」が多いし、必ずしも「時代別」「時代順」ではなく様々な時間軸で出題される。

それらに対応するために必要なのが「手づくり年表」だ。「政治史」「社会経済史」「外交史」「文化史」「人物史」等の「分野史」別の「年表」を作成しながら復習する。その際、「原始」~「現代」という長い時間軸にする。当然、「重要事項」だけしか記入できないが、それでいい。「関連事項」を頭に思い浮かべるようにすれば、「いもづる式学習」にもなる。

さらに、その「年表」には「世紀」と「日本の時代名」「中国の王朝名」を対応させて記入しておきたい。「世紀」と「時代」がすぐに結びつかないと答えられない問題が多いからだ。「年表づくり」を楽しみながらやってみよう。

 細部へのこだわり式学習

必ず出題される「ひとつのことがらを掘り下げた問題」(特に「時事問題」に関したものが多い)や「設問文の内容を組み合わせて考える問題」。これらを考えるに当たって最も重要なことは、「ことがら(テーマ)」や「内容」をいかに正確に読み取るかということだ。問題文や設問文に示されていることに基づいて「考えるヒント」を見つけ出す。とにかく「細部」にこだわって読み取ることが必要となる。

そのためにはトレーニングが欠かせない。過去問や「時事問題用テキスト」等を用いて、各事項の細かな「意味」や「関連事項」と「設問文の内容」を全て材料として、そこから何が導き出せるのかを確認する訓練をするのだ。導き出せることについては、問題集やテキストの「解説」に示されているので活用すること。

こうした「細部へのこだわり学習」をつづけることで、次第に問題文や設問文に示された着目すべき「手がかり」が自然と浮かび上がるようになる。後は自分の「知識」と結びつけて考えればいいのだ。

意識継続式学習

常に何かを「意識」しながら学習することが重要だ。漫然と机に向っていても時間の無駄だ。その時々、何を目的としてどのような学習(たとえば、上記の「○○式学習」)をしているのか、具体的に「意識」し続けていることが大切。

そうして何かを「意識」することが継続できるようになったら、次は同時にいくつものことを「意識」しながら学習したい。本番ではたった30分という制限時間の中で、様々な「設問条件」をクリアして答えなくてはいけないのだ。だからこそ、「設問」を正しく理解しているか? 「条件」を満たしているか? つまらないミスはないか? といったようなことを、問題を考え、解き、解答欄に答えを書き入れるいくつもの段階で常に「意識」しながら学習する必要がある。

当然、「時間」も「意識」すること。入試では見直しの時間はないと思った方がいい。常にそれらの「意識」を継続しているということは、何度も「見直し」をしていることになるのだ
そして、何度も指摘しているが、「慶應ボーイ」になるための「大人の常識」も「意識」すること

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2023年度「慶應義塾普通部の社会」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問 は「歴史」。6か所の「歴史上の場所」についての「説明文」からの出題。小問は4問(解答数11)、「選択肢」(位置特定)、「事項・国名・地名記述」(「漢字指定」あり)。

大問 は「地理」(「考察問題」の混在あり)。3つの「日本の都市」に関する「説明文」からの出題。小問は全3問(解答数8)。「地名記述」(「漢字指定」あり)、「考察記述」(1問。「字数指定」なし、「50~60字ほど」の解答欄)。

大問 は「歴史」「公民」(「一般常識」の混在あり)。「歴史上の政治家」についての「リード文」からの出題。小問は3問(解答数8)、「事項記述」(「漢字指定」「ひらがな指定」あり)、「記号記述」。

大問 は「歴史」(「考察問題」の混在あり)。「明治時代の時刻表」にまつわる「リード文」からの出題。小問は全5問(解答数11)。「選択肢」(複数解答)、「事項記述」(「漢字指定」あり)、「考察記述」(1問。「字数指定」なし、「50~60字ほど」の解答欄)。

大問 は「地理」(「時事問題」「一般常識」の混在あり)。「日本の資源」についての「リード文」からの出題。小問は全5問(解答数11)。「選択肢」、「事項記述」。

大問 は「一般常識」(「地理」の混在あり)。「国旗」に関する出題。小問は全6問(解答数8)。「選択肢」、「事項・地名記述」(「漢字指定」あり)。時間配分は、「説明記述」で4分、他は30秒弱で1問を解くという超ハイペースとなる。無論、メリハリのある「戦術」が求められる。

【大問1】「歴史」(「位置特定」あり)

  • 難度:標準
  • 時間配分:5分
  • ★必答問題

「飛鳥時代」から「明治時代」までの6か所の「歴史上の場所」について、多角的に「歴史的事項」が問われている大問。「場所」がポイントなので、地図上の「位置特定」が勝負の分れ目か? ただ、難易度は「標準レベル」なので、手際よく解き進めていきたい。以下、いくつかを確認したい。

[3] 「波線部についての位置特定選択肢設問」(全4問。13択)。「説明文」中の波線部(あ)(え)の場所を、示されている「日本地図」の(ア)(ス)の中から特定して答える。それぞれの「説明文」の「キーワード」から波線部の場所を確定し、位置を特定していきたい。(あ)「(生麦事件を起こした藩の)城下」⇒「生麦事件」といえば「薩摩藩」だと誰でも知っているはず。その「城下町」は無論、現在の「鹿児島市」⇒「答え」は(ス)になる。(い)「聖徳太子がかつての都に建設した寺院(=「法隆寺」⇒[2-①]の「答え」)⇒「聖徳太子」=「飛鳥京」=現在の「奈良県」⇒「答え」は(カ)⇒ただし、「法隆寺」は「飛鳥京」ではなく20kmほど離れた「斑鳩(いかるが)宮」に建設した。(う)「吉田松陰が城下町で開いていた私塾(=「松下村塾」⇒[2-②]の「答え」)」⇒「吉田松陰」=「長州藩」=現在の「山口県」⇒「答え」は(ケ)⇒「城下町」は現在の「萩市」だ。(え)「戦争の賠償金で建設した官営工場の建設地には、炭田に近く……」⇒「戦争の賠償金」「官営工場」「炭田」⇒「官営八幡製鉄所」のことだとすぐに判断できる⇒「建設地」は現在の「福岡県北九州市」は⇒「答え」は(コ)になる。「歴史」単元でその「場所」も重要だ。必ず「地図」で「位置」をチェックしておくこと。

<時間配分目安:全問で2分弱>

[4] 「波線部についての地名記述設問」(全3問)。「説明文」中の波線部(お)(き)の「名前」をそれぞれ記述する。それぞれの「説明文」の「要点」から波線部の「地名」を確定していく。(お)「古くから開かれていた山岳信仰の聖地に、幕府の創設者を祀(まつ)る神社が建設された」⇒? という感じだろう。だが、落ち着いて考えれば「幕府の創設者」は「源頼朝」(鎌倉幕府)、「足利尊氏」(室町幕府)、「徳川家康」(江戸幕府)の3人しかいないではないか⇒彼らの中で「祀る神社」を建設といえば⇒「東照宮」に決まっている=「答え」は「日光」だ。(か)「東西両軍が戦った天下分け目の合戦場」⇒「天下分け目の合戦」であれば迷うこともない⇒「答え」は「関ヶ原」だ。(き)港町に建てられた(B)の商館は、のちに出島に移転」⇒「出島に移転」した「商館」ならば(B)=「オランダ」(⇒[1-B]の「答え」)で、「出島」の前は⇒そう。「答え」は「平戸」になる。「未知の事項」に惑わされることなく、「自らの知識」に結びつけよ。

<時間配分目安:全問で1分強>

【大問2】「地理」(「考察問題」の混在あり)

  • 難度:標準
  • 時間配分:5分

河川や湖沼に関連づけた「日本の3都市」(A~C)に関して「地理」単元の基本的知識が問われている。ただし、1問ある「考察問題」がやや曲者だ。2問をチェックする。

[2] 「3つの都市名記述設問」(全3問。「漢字」指定)。「説明文」(A)(C)の「都市名」をそれぞれ「漢字」で記述する。「説明文」の「要点」から「都市名」を導いていきたい。(A)「メチル水銀による中毒が発生した(あ)川の河口に位置する」「1858年に開港した5つの港のひとつ」⇒「水銀中毒」が発生した(あ)川といえば「阿賀野川」で決定(⇒[1-あ]の「答え」)+「幕末の開港地のひとつ」⇒もう分かったはず。「答え」は「新潟(市)」。(B)「関西との結びつきが強く、淡路島と本州をつなぐ(う)大橋が開通してからは陸路で行ける」⇒「淡路島と本州をつなぐ(う)大橋」は無論「明石海峡(大橋)」(⇒[1-う]の「答え」)⇒であれば、「答え」は「徳島(市)」になる。(C)「しじみの産地として知られる(え)湖がある」⇒「しじみの産地として知られる(え)湖」は誰もが知っている「宍道湖」(⇒[1-え]の「答え」)⇒よって、「答え」は「松江(市)」になる。「河川や湖沼」と「都道府県や都市」との結びつきは必須定着事項だ。

<時間配分目安:全問で1分強>

[3] 「写真読み取りの条件付き内容説明記述設問」(「字数指定」なし。「50~60字ほど」の解答欄)。「考察問題」。「説明文」に関連して示されている「写真」(「四万十川」にいくつもかかっている「橋」のひとつ)について、「どのようなことを想定して橋が建設されたのか」を説明する。「条件」は「橋の特徴にふれながら説明する」こと。テキストなどでよく目にする「四万十川の橋」だ。「沈下(ちんか)橋」だと知っていれば何も問題はないが、未知の諸君が多いだろう。とにかく、先ずは「写真」をしっかりと観察したい。「普通の橋との違い」に気づかなくてはいけない。そうだ。「らんかん(欄干)」がないのだ。何のためなのか? 「考察」する。河川は増水する場合がある。 ニュース映像などで見たことがあるはずだ。増水によって流木などが流されてきて「欄干」にひっかかり、橋がこわされたり水があふれ洪水になったりするのだ。その点、「欄干」がなければ、橋は水面の下に沈み、被害を防ぐことができるわけだ。そうした内容を整理してまとめたい。たとえば、「川が増水したときに橋が水面の下に沈むことで、流木などにより橋がこわされたり、水があふれて洪水になったりするのを防ぐこと。」(60字)といった「答え」になる。尚、「私が知らない」⇒「誰も知らない」⇒「知らなくても解ける」と考えること。

<時間配分目安:2分半>

【大問3】「歴史」「公民」(「一般常識」の混在あり)

  • 難度:
  • 時間配分:4分

「早稲田大学」を創立した「大隈重信」の業績についての「リード文」からの出題。平易な設問が並んでいる。全問正解が必須だ。「公民」と「一般常識」の各1問だけを確認しておく。

[2] 「下線部の読み記述設問」(「ひらがな」指定)。「公民」単元。「リード文」中の下線部「外国為替」の「読み」を「ひらがな」で答える。悩む諸君がいたとしたら……ヤバいぞ。「答え」は「(外国)かわせ」。そもそも「為替」とは「現金を送る代わりに、手形・小切手・証書などで金銭の受け渡しを済ませる方法」のことだが、「外国為替」は「異なる通貨を交換すること」として用いられている。知っていて当然だ。尚、これに関連して、「円高・円安」などの「為替レート」に関して意外と苦手な諸君がいるので、確認しておきたい。

<時間配分目安:30秒弱>

[3] 「記号の記述設問」。「一般常識」。「リード文」に関連して、「日本の通貨の記号」を記述する。一瞬、えっ! 何? そんなの入試問題になるの?……、などと戸惑うかも知れない。実にバカバカしいのだが、そういう設問だ。「日本の通貨」=「円」、その「記号」は「¥」=「答え」だ。まさか、この「記号」を知らない受験生はいまい。だが、それ故に怖いのだ。こうした意表を突くような「当然すぎる一般常識」、本校ではあり得ると心得よ。ちなみに、本稿執筆時点(2023年4月)、「¥」は中国の通貨「人民元」の「記号」でもあるということで「通信販売」でのトラブルが生じている。来年度へ向けての「時事ネタ」として押さえておきたい。

<時間配分目安:30秒弱>

【大問4】「歴史」(「考察問題」の混在あり)

  • 難度:やや難
  • 時間配分:7分

1872年9月の新聞に掲載された「日本で初めて運行された鉄道の時刻表」にまつわる「リード文」からの出題。「歴史」単元と「考察問題」が混在する大問だが、「歴史」は易しい。「考察問題」だけ考えてみたい。

[1(え)] 「空所補充の事項記述設問」。「考察問題」。「リード文」中の空所(え)に「当てはまることば」を答える。空所前後は「宮本常一(つねいち)という学者は『日本人の時間観念』という文で、『明治末までは村の中に(え)のある家は数えるほどしかなくて…中略…、(え)のある家へ子供を[いま何時ですか]と聞きにやったものである』と言っています」となっている。前後の「文脈」から「考察」する。「時間」に関連していて、ほとんどの家には(え)がまだなくて、持っている家に「いま何時ですか」と聞きにやらせたというのであれば、「答え」は「時計」だと判断できなくてはいけない。「考察問題」では。「文脈」を正確に読み取ることが大前提となる。

<時間配分目安:1分>

[2] 「絵図読み取りの条件付き内容説明記述および事項設問」(全3問。「説明記述」は「字数指定」なしで「30字ほど」の解答欄)。「考察問題」。「リード文」の下線部の「品川の先の区間で大がかりな工事」に関連して示されている「絵図」(下線部の区間が開通して間もない様子を描いた絵で、沖にたくさんの船が行き来している。下の「絵図」を参照のこと)について、「『大がかりな工事』とは何か」を説明する。「条件」は「絵から読みとって説明する」こと。また、「鉄道以外に陸上を移動する手段として描かれている乗り物」を「二つ」記述する。「絵図」を的確に読み取っていく。「たくさんの船が行き来している」のは当然、「品川沖の海」だ。手前にも海が広がり、中央に堤(土手)があってその上を汽車が走っているのが分かるはずだ。ということは、海を埋め立てて堤を築きその上に線路を敷いたことになる。なるほど「大がかりな工事」」だ。したがって、「説明記述」はたとえば、「海の一部を埋め立てて堤を築き、その上に線路をつくるという工事。」(31字)といった「答え」になる。

画像1

 

(慶応義塾所蔵の史料より)

次に「乗り物」、手前の道(東海道)を多くの人たちが移動しているが、その中に「人力車」と「馬車」に乗っている人が見て取れるはずだ。よって、「答え」は「人力車」・「馬車」。「統計資料」はもちろん、「写真」「絵図」「図版」なども「情報の宝庫」だと心得よ。

<時間配分目安:3分弱>

【大問5】「地理」(「時事問題」「一般常識」の混在あり)

  • 難度:標準
  • 時間配分:5分

昨今の「日本の資源」に関する現状についての「リード文」からの出題。「地理」単元がベースの大問。やや悩ましい設問があるかも。チェックしてみよう。

[1(え)] 「空所補充の事項記述設問」。「時事問題」。「リード文」中の空所(え)に「当てはまることば」を答える。空所前後を確認する。「日本近海の海底には、ガスと水が結合して氷状になっている(え)が大量にあることが分かり……」⇒「時事ネタ」として押さえているに決まっている⇒「答え」は「メタンハイドレート」だ⇒「天然ガスの主成分でエネルギー資源である『メタンガス』が水分子と結びつくことでできた氷状の物質」。 火を近づけると燃えるため「燃える氷」とも呼ばれていることは周知のはず。尚、「時事ネタ」は受験前年のものはもちろん、数年前までさかのぼって確認し定着させておきたい。

<時間配分目安:30秒>

[2] 「下線部についての選択事項記述設問」。「地理」単元。「リード文」中の下線部の「原油、天然ガス、石炭、鉄鉱石、銅鉱」の5つの資源のなかで、「日本で2~3%は自給できている資源名」を答える。これらの資源については、「ほぼすべてを輸入している」がテキストの決まり文句だ。判別できない。そこにツッコミを入れられた感がある。細かく確認すると、自給率は「鉄鉱石」と「銅鉱」は0%、「原油」「石炭」がともに1%未満なのに対して、「天然ガス」は「2.5%」で、「答え」となる。本校では、こうした「深知り知識」も求められることがあると自覚せよ。

<時間配分目安:1分>

[4] 「下線部についての選択肢設問」(4択)。「一般常識」。「リード文」中の下線部②の「リチウム」が使われている代表的なものを答える。各選択肢は、(ア)「LED電球」・(イ)「液晶画面」・(ウ)「強力磁石」・(エ)「蓄電池」。ノートパソコンやスマートフォンに利用されている「リチウムイオン電池」は流石(さすが)に聞いたことがあろう。「答え」は(エ)だ。まさに「常識」だ。本校志望者であれば、常に多方面にアンテナを張っておく必要がある。

<時間配分目安:30秒>

【大問6】 「一般常識」(「国旗」に関する問題)

  • 難度:
  • 時間配分:4分

示されている「写真」(建物の屋根に「アメリカの国旗」が揚げられている)にまつわる「リード文」からの出題。「一般常識」が問われている(「地理」の混在あり)。まさに本校の真骨頂発揮といった大問。大人にとってもやや厄介な設問がある。ましてや小学生にとっては「何、それ?」といった感じに違いない。とにもかくにも、確認してみよう。

[2] 「下線部についての選択肢設問」(5択)。「リード文」中の下線部①「ホワイトハウス」についての「説明」を答える。各「説明」の要点でチェックする。(ア)「外国からの要人が宿泊する建物」、(イ)「かつて人種差別反対運動の拠点となった歴史的建物」、(ウ)「連邦議会が開かれる建物」、(エ)「大統領やその周辺の人々がさまざまな決定をする建物」、(オ)「裁判が行われる建物」。「ホワイトハウス」、もちろん知っているはず。だが、何をする建物なのかまでは……。「アメリカ大統領官邸」で「大統領執務室」や「閣議室」などがある。よって、「答え」は(エ)。知らなかった諸君は覚えておくこと。

<時間配分目安:1分弱>

[5] 「下線部についての選択肢設問」(全2問。6択)。「リード文」中の下線部「政治に関係する建物」について、「日本では『政治に関係する建物』をそれが所在する地名で表すことがある」が、示されている(A)「国会議事堂や首相官邸」、(B)「財務省・外務省などの中央官庁」を「表す地名」をそれぞれ答える。各「地名」は、(ア)「桜田門」・(イ)「大手町」・(ウ)「丸の内」・(エ)「霞(かすみ)が関」・(オ)「永田町」・(カ)「銀座」。さあ、どうか? 政治に関するニュース報道等で見たり、聞いたりしたことがあるだろう。「答え」は、(A)(オ)の「永田町」と(B)(エ)の「霞が関」になる。大人にとってはまさに「常識」なのだが……。押さえておきたい。

<時間配分目安:全問で1分強>

[6] 「写真についての事項記述および選択肢設問」(全2問。「事項記述」は「漢字」指定。「選択肢設問」は5択)。示されている「写真」(建物の屋根に「アメリカの国旗」が揚げられている)のような「旗の揚げ方を何というか」を「漢字」で記述する。また、「このように旗を揚げるのはどのようなときか」を答える。「旗の揚げ方」(下の写真を参照のこと)は「旗竿(はたざお)の一番上までではなく、先端から3分の1~半分ほど下げて掲げるやり方」だ。こうした「揚げ方」のことを「半旗」と呼ぶ(最初の「答え」。「はんき」と読む)。また、こうした「揚げ方」をするのは「亡くなった方を悼み悲しみ、弔意(ちょうい)を表すとき」だ。したがって、2つ目の「答え」は、選択肢(ウ)の「政府の要人や多くの民間人が亡くなったことに弔い(とむらい)の気持ちを示すとき」になる。ちなみに、他の選択肢の「要点」は、(ア)「選挙期間中であることを知らせるとき」、(イ)「核兵器使用に反対の意思を示すとき」、(エ)「議会での話し合いで反対意見が多数だったことを知らせるとき」、(オ)「外国政府の要人が訪れていることを知らせ、感謝の気持ちを示すとき」となっている。常識的に考えれば、「消去法」でも正解にたどりつけるはずだ。

画像2

<時間配分目安:全問で2分強>

※尚、本大問の[3]で「ロシアでホワイトハウスに相当する建物の名前」(「カタカナ」指定)⇒「答え」は「クレムリン」、[4]では「アメリカの国旗はそのデザインから何と呼ばれているか」が問われている(「漢字」指定)⇒「答え」は「星条旗」。大人にとってもやや厄介だ。時間的制約を考慮すると、知らなければ悩まずに「捨て問」にして構わない。

攻略のポイント

最大のネックはわずか「30分」という「試験時間」。「戦術」が絶対不可欠だ。基本は「取れる問題を確実に押さえる」こと。逆にいえば「取れそうにない問題は潔く捨てろ!」ということだ。最悪なのは「できそうにもない問題」に時間を取られ、「できるはずの問題」を逃がしてしまうということ。瞬時に「捨て問」を判別し次の問題に立ち向かうべきだ。もし時間が余ったら、また戻ればいい。配点はほぼ各2点前後(本年度は解答数が多く、「1点」のものも多い)。7割程度と推定される合格ライン(非公表)を考えれば、10問以上は「捨て問」としても構わない。難易度から判断して「基礎的知識」だけで「合格ライン」に届く。まして、慶應対策の学習をしていれば何の問題もない。

●「選択肢設問」について補足しておきたい。「不適切」や「複数完全解答」などが混在している場合がある。各選択肢自体は決して判別が難しくはなくても、焦り過ぎていると「取りこぼし」が生じてしまう恐れがある。「即断即決」は必須なのだが、「慎重さ」も求められている。こうした「矛盾」を克服することが課題になると心得よ

●慶應義塾が求めている「教養人」としての備えも必要だ。「大人の一般常識」が必ず問われる。塾のテキストでは扱われていないようなものが出題されるので、日頃から「意識」しておくことが重要。その上で、「新聞」や「テレビのニュース」は必ずチェックし、気になったことがあったらすぐに確認すること。そして、周りの「大人の人たちの会話」にも「参加」するように心がけたい。

無論、定着すべき事項は必ず「漢字」で覚えること(「漢字指定」が多い)。

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