HOME > 医大・医学部受験コース > 医大受験 プロ家庭教師インタビュー > 横浜市立大学医学部(2010 数学) 医大入試解剖 −プロ家庭教師陣が“斬る”医学部入試問題分析−
 

医大入試解剖 −プロ家庭教師陣が“斬る”医学部入試問題分析−

 
横浜市立大学 医学部(2010) −数学−

 

首都圏の国公立医大を考えた場合、東京医科歯科大より少し入りやすいのが横浜市立大(医学部)ということになるでしょう。大問4題で120分という公立大としては標準的であるが、各大問は2~3題の小問に分かれており、過去の東工大のように大問が小問に分かれてなく、解法の糸口がつかめないような超難問は、ほとんど見られない。東京医科歯科大の数学は大問3題で90分であるが、苦手な分野の難問が出題された場合、こちらの方が得点率が低くなる可能性が大きい。つまり数学にかなり自信がないと東京医科歯科大は失敗しやすいとも言える。横浜市立大の数学は、分野的には解析系(数学II、数学IIIの微積分・数列・指数・三角関数など)の問題が多いが、割と入試数学として典型的な問題も多い。レベルの高い参考書・問題集をこなしていれば、とりあえず5~6割は得点できるでしょう。さらに7~8割の合格点を取るためには、横浜市立大の特徴をしっかりとつかんで、対策(系統的問題演習)をしておく必要があります。レベル的には東京慈恵医大に近いので、何らかの理由でセンター試験に失敗しても、2次力があれば慈恵医大に合格出来る可能性はかなり高いと言えるでしょう。
【問題分析】
別ウインドウ①
【講評】
2010年は、2008~2009年に比べて比較的問題が分析しやすくなったと言える。
2009年の大問3は、メネラウスの定理を使う場合、二等辺三角形が2つ重なるように補助線を引かなくてはいけない。高校入試では平面幾何が主役の一人なので、このような問題もときどき出題されるが、高校では平面幾何の学習はおろそかになりやすい。メネラウスの定理、方べきの定理などは、計算を楽にする強力な道具なので、ぜひマスターしたい。(センター試験でも、よく使われる)他の補助線の引き方もある。余弦定理による解法は理論的には可能なのだが、式の次数が高くなり実際に時間内で解くことは不可能に近い。大学入試の問題としては、大学の出題者の趣味的?要素が強く受験生に対して良問とは言いがたい。
大問4は、(1)(3)は簡単であるが、(2)の計算が少しやっかいである。(2)を示すために(1)の形をわざと作っていく途中計算式は、かなり長いので注意が必要。合格点を確実にかせぐために(3)を先に片付けても良い。大問4の内容は、工学部の1~2年次に学習する1階の常微分方程式(リッカチの微分方程式と呼ばれる)の解のよく知られた性質なのだが、大学のテキストではもう少し順を追ってスマートに証明されている。このように大学の数学を入試問題に変形して出題するというのは、やや安直で荒っぽい気がしないでもない。(出題者の独りよがり?)
2008年度の大問3は不定方程式のペル方程式、大問4は4次方程式のオイラーによる解法が主題である。両方ともテーマは高校数学ではないが、過去に有名大学で出題されたこともあり、誘導もついているので、まったく得点できないということはないであろう。ただ入試数学として頻出というわけでもないので、ある程度、東大・東工大などのレベルの問題集から類題を演習しておく必要がある。しかし、2010年の問題がやや易化した背景には、このような大学数学を素材にした問題に、受験生がしっかり対応して得点出来ていないという反省があるようにも思える。東工大の問題もここ1~2年、易化(問題の題意が比較的とりやすい)しており、全体として高校生の学力低下・思考力低下に対応してきているとも言える。私立の中堅大学の理工系では、入学後に高校数学の補習(リメディアル教育と呼ばれる)を実施している所も多い。現在の少子化のもとでは、あまり敷居の高い入試問題を出すと、受験生そのものが減ってしまうので、ある程度手がつけやすい問題にシフトしているのかもしれない。
したがって全体としては、2011年の問題も多分2010年の程度を超えないと予想される。
 
注)横浜市立大の2008~2010年の問題と解答は、河合塾のHPで見ることが出来ます。

(三富 記)

    
〈執筆教師プロフィール〉
三富照久(みとみ てるひさ)・・・元・両国予備校講師。スーパークラスで難関医学部の数学を担当し、多数合格者を輩出。最近は数学教育学会で、高大連携や数学史についての講演も数多く行う。イメージを大切にする系統的な解説・指導は文系の生徒にもわかりやすく、難問も自然に攻略が可能となる。九州大学大学院数理学研究科博士課程修了。
 
 
 
お問い合わせはこちらから!
このページの先頭へ