今回は７月の３模試における志望動向を見てみよう。
因みに３模試合計の受験者数は37,928名（男子18,871名、女子19,057名）。前年が39,416名（男子19,765名、女子19,651名）だったから、前年比では合計が96.2％、男子が95.5％、女子が97.0％と前年より若干減っていて、男女別では男子の減り方のほうが大きい。
ここでは各模試で、前年同時期より志望者が20名以上増えている学校を取り上げてみた。順位は増加数の多い順。入試回の名称は原則各模試に合わせている。まず男子から。

〈男子〉　四谷大塚

〈男子〉　日能研

〈男子〉　首都圏模試

３模試すべてで20名以上増えている学校（入試回）としては、中央大横浜山手が3入試回とも登場していることが目立つ。３模試とも増加数1位がこの学校なのだからすごい。しかも１位の入試回がすべて異なるという注目すべき現象になっている。第1回は2月1日午前、第2回は2日午後だが、第3回は2013年度は3日午前から3日午後に変更になる。したがって第3回の増は十分予想されたが、第1回がこれほど増えているというのは人気が本物ということ。男子にとっては、女子校から2012年度に共学化したばかりだから、来年度は２回目の入試にあたる。
中央大横浜山手以外では、芝浦工大柏の第1回しかない。芝浦工大柏は前年大きく減らしたことの反動もあるが、2012年春に早慶上智やＧＭＡＲＣＨに過去最高の合格実績を上げたことが影響しているようだ。志望理由として「理数教育」を上げている保護者が多い。
２模試に登場の入試回も、栄東（東大Ⅰ）、栄東Ａ、成城②の3入試回しかない。栄東は2012年度入試で8000名を超える志願者を集めたが、来年度もその勢いが持続しそうだ。「大学合格実績」と「併願のしやすさ」が主な志望理由だが、2013年度入試では難関大Ｃ日程を廃して東大クラスⅢ（2月2日）を新設するなど、このところ定員増、東大クラスの増など、動きがあることが関心を集めている。成城の第2回は日程も2月3日午前のままで、定員140名も変更はない。
入試回は異なるが２模試に校名が出てくるのが、世田谷学園、広尾学園、芝浦工業大学、開智、城北、日大豊山の6校。日大豊山以外は2012年度入試でも好調だった学校ばかりだ。広尾学園は入試回数を減らす方向にあり、2013年度入試では全4回となる。第2回は2月1日午後、第3回は2月5日午前、医進・サイエンスは2月2日午後。
同一模試で2入試回が登場しているのは明大中野、都市大等々力の２入試回のみ。明大中野は明治大学への進学者が多い付属校だが、3割の生徒は他大学へ進学していく。近年他大学合格実績が上がってきて、2012年卒業生には東大・一橋大・医学部への合格者が出ている。都市大等々力人気はずっと増え続けてきたが、2013年度入試でも依然続きそうだ。
全体を概観すると、2012年度入試で敬遠傾向が目立った付属校、千葉の学校に復調の気配がある。付属校では明大中野、学習院、早稲田実業、千葉日大第一、日大豊山、中央大附属などが登場している。千葉では東邦大付属東邦、芝浦工大柏、渋谷教育学園幕張、専修大松戸、千葉日大第一など多数の校名が出てくる。
公立中高一貫校は首都圏模試に横浜市立南高校附属が登場しているだけで、国立大学附属は1校もない。

 〈女子〉　四谷大塚

 〈女子〉　日能研

 〈女子〉　首都圏模試

中央大横浜山手で3模試に登場するのは2月1日の第1回のみ。2月3日午後になる第3回は2模試に登場しているが、2月2日午後の第2回はどこにも登場しない。
３模試すべてで20名以上増えている学校（入試回）は、横浜市立南高校附属、横浜共立学園Ｂ（2013年度は2月3日が日曜にあたるため、2月4日に移す）、広尾学園の第2回（2月1日午後）、吉祥女子の第1回（2月1日午前）の4校（入試回）。吉祥女子は第2回（2月２日午前）も首都圏模試で、第3回（2月４日午前）も日能研で登場している。吉祥女子は、2012年卒業生の大学合格実績で理系が倍増している（67名→125名）ことが影響しているのではないか。横浜共立学園はＡ（2月1日午前）も日能研で登場している。ミニサンデーショック関連では、やはり2月3日を4日に移す東洋英和女学院Ｂが日能研で志望者を増やしている。
男子ではほとんどなかった公立中高一貫校（桜修館中等教育、白鴎高校附属）や国立大学附属（横浜国大横浜）が女子では登場していることが大きな違いだ。
２模試に登場の入試回は、中央大横浜山手の第3回、カリタス女子の第3回（2月7日）の２入試回しかない。
入試回は異なるが２模試に校名が出てくるのが、三輪田学園、山脇学園。三輪田学園は前年大きく減らした反動か。山脇学園はＡ（2月1日午前）とＢ（2月２日午前）が首都圏模試で、Ｃ（2月４日午前）が四谷大塚で登場という珍しいケース。
同一模試で2入試回が登場しているのが、淑徳与野（四谷大塚）、品川女子学院（日能研）、淑徳（首都圏模試）。
全体を通してみると、模試ごとにかなり違うことがわかる。先生方もできるだけ複数の模試のデータを基に作戦を立てていただきたい。
★今回もっとも目立った中央大横浜山手だが、2013年度から校名を「中央大学附属横浜中学校・高等学校」にすることが正式に発表された。
情報提供：　安田教育研究所