大学受験プロ家庭教師 弱点克服・志望校入試傾向対策

第5回 合格プログラム編 : 先輩たちの事例に学ぶ受験計画!

緑香るゴールデンウイークは受験生にとって悩ましい季節であろう。青春の真っ盛りではじけ跳ぶのが自然なのに、日夜勉強に励む日々を悔いなきものにするのは何であろうか。受験とは文字通り試験を受けることであり、試験とは力や知識をためし調べるためのものであり、一定の基準を満たしたものだけが合格を認定され、それ以外の多数は不合格の烙印を押され排除される仕組みである以上、笑う者・泣く者が出るのは当然である。受験は失敗のリスクを負ったうえで成功を目指す賭けであって、単なるギャンブルではない。緻密に計算された戦略に基づき、最も有効な戦術を駆使して情報処理と問題解決の能力を極限まで高める試みである。人生前半の大きな山場であることは言を待たない。良くも悪くも合格不合格それぞれの結果を背負って人はその後の人生を生きていくのである。
さて、前置きが長くなったが、すべての受験生の願いは第一志望校に合格することであろう。そこで今回は過去の指導例の中から具体的な勉強法をいくつか取り上げて公開し、意欲的な受験生の参考に資することにした。(※編集者注:以下の事例はいずれも生徒様および保護者様の了承を頂いた上で、ご紹介させて頂いております。)

ケース1[長期指導 Aさんの場合]

Aさんは雙葉学園出身の一浪生。現役時5月の駿台全国模試の総合偏差値50(英55)、10月の第2回62(英64)と順調に伸びたが、結果は東医、日大の一次合格どまり。第一志望の千葉大医学部も不合格。最難関といわれる医大受験の厚い壁に涙にくれる間もなく浪人生活に突入した。しかし私はむしろこの結果を喜んだ。一年後に大化けする手ごたえをつかんでいたからだ。彼女は果敢にも上位私立医大と国立医大に挑戦し玉砕したが、あえて下位校は受験しなかった。一年間の使用テキストは優に10冊を超えた。以下は大体の学習プログラムである。

4月~6月

【基礎学力整備期】
・構文1000 (代々木ゼミ) 7回テスト(短文の文法語法)
・基礎からのパーフェクト英作文(桐原書店) 添削+18回テスト
・英熟語頻出1000(桐原書店) 5回テスト

7月~9月

【実力養成期】
・私立医学部への速読英語(太陽出版) 添削
・合格する医歯薬への英語(東京コア) 4回テスト
・英語長文問題精講(旺文社) 添削講義+12回単語テスト

10月~12月

【実戦力養成期】
・医歯薬系大の英語(Z会) 添削講義
・メディカル英単語(代々木ゼミ) 4回テスト
・ライジング長文読解(桐原書店) 添削講義
・英語問題総整理(学研) 10回テスト

 

12月以降は過去問演習。上位私立医大は7~8割、千葉大も7割は得点できるようになったが理数科目が今ひとつパワー不足で前述の結果に終わった。浪人時のプログラムは以下の通り。

4月~6月

・長文読解演習(Z会) 演習
・サクセス長文読解(旺文社) 演習+テスト
・精選問題集(開拓社) 和訳添削

7月~8月

・国立医大の英語【長文編】(教学社) 演習講義

9月~11月

・医学部攻略の英語(教学社) 演習講義
・ディスコースマーカー(Z会) 要約文添削講義
・センター実戦模試(Z会) 添削講義

12月~

・東京医科歯科大過去問演習 攻略法の研究 答案作成添削

2年目は既に基礎は固まっていたので、長文演習と医大の過去問攻略にウエイトを置いた。結果は、順天堂(一次)、慶応(一次)、日本医科大(二次)、慈恵医大(二次)、東京医科歯科大(医学部)合格進学 という堂々たるものであった。Aさん自身は夏ごろまでは千葉大を第一志望に考えていたようだが、私は初めから東京医科歯科大狙い一本であった。現役時、英語が大きく伸びたので理数がそろえば、英語が決め手の医科歯科大は確実に合格できるという思いがあったからである。
私の読みと期待通り2年目は数学が大きく伸び力試しの東大模試では偏差値70をマーク、10月の駿台全国模試の総合偏差値は76。東京医科歯科大A判定をとり、期待は確信に変わったのである。Aさんのセンター受験、東京医科歯科大受験でも涙、涙のアクシデントがあったのだが詳細は省く。フランス人形のように可憐で華奢なAさんのどこにそんなエネルギーが潜んでいたか不思議だが、彼女の頑張りが見事にそれを克服したことは間違いない。(センター総合得点89%)

[ポイント]

長期では基礎知識の不足がある場合は焦らずじっくり計画を立て、しっかりした土台作りから始めることが大切である。それを省いて無理なカリキュラムを組んだり、トップレベルに合わせた予備校カリキュラムの消化に追われ消化不良を起こすと、大きく伸びることは難しくなる。
一方、基礎が固まり3年5月時点で総合偏差値60台(河合全統記述、駿台全国)に達している場合は早慶難関学部、国立医大合格射程圏内にいるので、応用実戦的なプログラムを組んで秋に70台到達を目指すべきである。いずれにせよ確実に伸びるためには、付け焼刃でない早い時期からの継続的な努力と、教師に任せきりでなく自主的に勉強に取り組む姿勢が大切である。
Aさんは中学以来鉄緑会に通い、浪人時はYMSに在籍したが、英語は家庭教師である私との学習のみで、理数教科は科目によって授業の出席をコントロールして自習室で励んでいたようである。逃げてごまかすことなく自身でやるべきことを知り、それを楽しんでこなしていったところに成功の秘訣があったといってよいだろう。

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ケース2[多浪生 B君の場合]

B君は本郷高校卒二浪生。現役、一浪と予備校に通い医学部受験にチャレンジしてきたがことごとく跳ね返され、まさに3度目の正直、歯学部を含めラストチャンスとなった。どこにも合格しなかったら大学進学を断念しなければならないという絶体絶命の状況である。因みに一浪時点での9月の駿台判定模試は、総合偏差値44、英語47、10月の駿台全国模試は、総合偏差値38、英語30というほとんど絶望的な数字であった。唯一の救いは生物が得意でそれぞれ58、57をマークしていたことである。二浪の3月から指導開始。学力診断テストを実施したところ、基礎知識がまったく不足していたので、高1レベルからスタート。ただし、ポテンシャルを見極めたうえで読解力を徹底的に鍛えることを合格の絶対条件と設定した。プログラムは以下の通り。(※一部絶版のテキストが含まれています)

3月~5月

・基礎英文法(桐原書店) 演習、添削、講義
・重要英語構文(篠崎書店) 和訳添削+6回テスト
・英語基礎長文問題精講(旺文社) 演習、添削、講義、10回単語熟語テスト

6月~8月

・構文1000(代ゼミ) 7回テスト
・公式集(書き換え、相関語句、作文) 6回テスト
・基礎英文問題精講(旺文社) 60問演習、添削、講義
・長文読解演習(Z会) 20回テスト、講義
・客観テスト(桐原書店) 演習、添削、講義

9月~11月

・基礎英作文問題精講(旺文社) 添削+4回テスト
・ランキングイディオム(ライオン社) 7回テスト
・英語頻出問題総演習(桐原書店) 5回テスト
・医歯薬系大への英語(Z会) 演習、添削、講義+単語フレーズ4回テスト

二浪時6月の駿台全国模試の総合偏差値は44、英語45、同10月は44、40と相変わらず低いが、英語は前年比で10ポイント上昇し、11月の駿台マーク模試では総合偏差値58、英語54と緩やかながら着実に上昇した。
12月以降は歯学部を含め、中堅下位の私立医学部の過去問演習に集中した。第一志望の東邦医大の過去問の正答率は6割まできたが、最後は攻略法に渾身のエネルギーを注ぎ、解答パターンを徹底的に刷り込んだ。同大は英語配点が高いため普通は英語が苦手な受験生には不利だが、医系論文の流れをきちんと追えるようになっていたB君は、見事合格を果たした。

[ポイント]
一科目でも得意科目(生物)をもっていたことと、英語のラインを基礎から応用までを一体化し、最終的に東邦医大の出題パターンに特化させたことがあげられる。B君は現在、東邦医大5年生。流れに乗り1点に集中する持ち味を生かし、スキークラブの活動も楽しみながら1単位も落とすことのない好成績で、2年後のドクターを目指している。将来は国境なき医師団を目指しているそうである。

ケース3[短期指導 C君の場合]

C君は世田谷学園現役生。国立の理工系を目指して高1から駿台予備校に通い、そこそこの成績をとっていたが夏から秋にかけていまひとつ伸び悩み、このままでは現役合格は難しいと、穴を埋めて仕上げをするために家庭教師を依頼してきた。5月の全統マーク模試の総合偏差値は62、8月の国立模試の総合偏差値は48,10月の代ゼミセンター模試は61、駿台全国模試は46であった。

[分析と対策]
センターレベルの基礎力は不十分とはいえ問題なく、弱点は高度な問題、記述問題にあることがデータ分析と本人の実感から明らかとなった。センター対策としてマーク模試演習で総合8割、英数は9割を目標に、早慶と国立二次対策に的を絞った。
10月から指導をスタート。総合読解力を整備するため、無理に標準ではなく英語基礎問題精講(旺文社)の演習を宿題に出し、合わせて長文読解演習(Z会添削課題文を筆者が独自に総合問題として作成した読解の急所攻略テスト)を授業では行い、その間に宿題の添削採点を行った。さらにセンター対策として、河合センターマーク模試を月に1回実施、ほぼ9割達成に至った。1、2月は過去問に集中し、東工大を中心に私立大の問題も含め宿題として課した。授業ではその攻略法をノートにまとめ、それをもとに次の年度に挑戦というパターンを繰り返した。早稲田の長文には苦しんだが、対策の効果あり見事早慶とも理工学部に合格。さらに第一志望の東工大の記述問題(下線部訳、説明問題、作文)は8年分を2度解いて正解イメージの定着を図り、7割得点をめざしこれも見事合格した。(センター総合得点79%)

[ポイント]
短期の場合はあれもこれもではなく、突破に必要なものに絞り、それを丁寧に仕上げ自信を持つことが一番大切である。ただ漫然と問題集を解いたり、過去問をちょろちょろとやっても迷うばかりで効果があがらない。キチンと時間を決めて比例配分で採点をし、具体的にどの問題を攻略すれば合格ラインを超えるか見極めて、必勝パターンを創り出すことが不可欠である。その分析と判断は自分一人では客観視が難しいので、コーチ役のプロ教師と一緒にやるのが理想的であろう。C君の場合でも、11月以降は数学・理科のプロ家庭教師の応援を仰ぎ、理数教科に集中するため英語の手綱を少し緩めた経緯がある。受験はあくまで総合力なので、各教科のバランスをうまくとれた結果、最終的に合格を勝ち取れたといえる。さらにC君は剣道三段の好青年であり、本番に向けての集中力はさすがと思わせるものがあった。素直な反面、ミスに対しては納得がいくまで考えるというメンタル面の強さも、彼が伸びた要因にあげられよう。

赤本活用法
赤本は受験校に関するあらゆる重要情報が網羅されている。受験方法、受験科目や配点のほかに、頻出単語リストや出題傾向の分析なども役立つが、何といっても中心は過去問そのものである。受験直前に解くことが多いだろうが、半年前できれば1年ぐらい前に1年分を一通り解き、その感触を肌でつかみ正解率がどの程度か把握しておくとよい。その際、出題形式と傾向、分量と難易度、合格ラインと倍率を学校ごとに整理し、合格するために必要な学習のラインナップを書き出し合格プログラムを作成しておこう。それに基づき学習を押し進め、直前期に過去問攻略に集中するのである。大学学部と年により変動幅はあろうが合格の目安として最初5割以上、年次を重ねて7~8割ラインに達すればほぼ確実である。もっとも早稲田の理工は伝統的に英語5割で合格(ただし本職の理数科目は6~7割はほしい)の感触もあるので、必ずしも悲観するには及ばない。
これはすべての人には勧められないが奥の手として、ある程度基礎力があり、かつ論理的推論力が備わり勘も働くタイプ(一言でいうなら、地頭がよくて遊んでいただけの受験生)なら、ひたすら赤本の過去問を解きまくりその大学の入試問題に精通してしまう、という手段も挙げられる。科目に偏りがあり勉強に十分時間をかけられない人の場合は一考の余地があろう。ただし、タイプの条件を満たさずにこの手に頼るとひどいことになることをお忘れなく。

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