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<九> [「基本的解法」徹底習得 Ⅰ]UP!

  • 「国語」は本来縦書きですが、レイアウトの都合上、横書きとしました。御了承下さい。

改めて確認しよう。「入試現代文」の「設問」と「正答」との間には必ず因果関係が存する。当然ながら、そこには明白な「根拠」がある。そして、両者を媒介しているものが「テクスト(本文)」ということになる。従って、「設問」⇒「正答」の的確なプロセスを「根拠」に基づいて正確にたどり、解き明かすことが重要となる。そのプロセスこそが、まさに「解法」だ。「論説文」であれ「文学文」であれ、その「解法」は確立されたものとして存在する。だが、残念なことに「現代文」は「数学」等とは異なり、一般的には「解法」を「公式」として体系的に(一般法則として)習得しない。それ故、練習問題や過去演習を通して当該文章の内容や設問の「解説」を受けても、その時は納得したとしても、初出問題では結局、「我流」で臨む他なくなる。結果、得点が安定しないということになる(博奕と同じ)。それでは、いくら量をこなしても無駄だ。だからこそ、一般粋な「解法」を理解、定着させ、応用していくことが得点力安定への必須事項となるわけだ。

<九> [「基本的解法」徹底習得Ⅰ]

「入試現代文」の「基本的解法」は大別すると、「論説文(評論文)」「文学文(小説・随筆)」の両者に共通するものと、それぞれに特有のものとがある。本章では「共通解法①(選択肢設問)」を概観してみたい。

(1)[「消去法」絶対優位の原則]——「正しいもの」と「最も適当なもの」は全く異なもの?!

「選択肢設問」では何が問われているのか? 設問に注目する。たとえば、センター試験では「最も適当なもの」を「選べ」とある。ここで重要なことは、「正解」は「最も適当なもの」であって、「正しいもの」ではないということだ。「相対的」であって「絶対的」ではないということ。従って、「選択肢」には「正しいもの」は存在しないと考えなくてはいけない。ということは、「正しいもの」を「選択しよう」とすれば陥穽にはまり、混乱するばかりで「正解」にたどり着けないことになってしまう。故に、「選択する」のではなく「消去する」必要がある。「不適当なもの」を「消去」して、残った「よりマシなもの」=「最も適当なもの」が「正解」となる。この「消去法」が、センター試験に限らずどこの学校の入試問題でも「選択肢設問」の原則的「解法」だ。

(2)[「設問原意」絶対優位の原則]——当然のことだと侮る勿れ!

「原意(原義)」とは無論、「もとの意味。本来の意味」ということだ。これが重要なことは誰でも分かっているはず。何を今更の感があるやも知れぬ。だが、侮ってはいけない。当たり前過ぎる故の陥穽がある。日々「空気」の存在を意識していないように、「原意」を意識的に捉えずスルーしてしまう受験生が多いのだ。その為の誤答は枚挙に暇がない。「設問をしっかり読め!!」、誰でも一度ならず注意された経験があるはずだ。要は、「設問原意」を意識していないことの証だ。

①「傍線部」の「原意」は最大の「根拠」と心得よ
「入試現代文」では、「選択肢設問」に限らずほとんどの設問は「傍線部」に就いて問う「傍線部設問」となっている。
従って、「傍線部」の「原意」(意味内容)が当然ながら最大の「手がかり」であり、「正答」の「根拠」となっている。そのことを無視して「本文」や「選択肢」のみに拘泥していては「正答」へのプロセスを誤ることになる。「傍線部換言選択肢設問」(「傍線部はどういうことか」を「選択肢」から選ぶ問題)で「傍線部」の最後が「~見る」となっていたとする。各「選択肢」の文末を確認して、「見る」の「原意」に全く合致しない「選択肢」があった場合、その「選択肢」の文末以外がどれほど「本文内容」と合致すると思われても「消去」しなくてはいけないのだ。たとえば、2005年度のセンター試験「第1問-問2」、[傍線部A「カメラのレンズをとおしてこの現実、この世界を見ること」とあるが、「カメラのレンズ」の機能の説明として最も適当なものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ]とある。各選択肢の文末を確認する。①②は共に「写し取る」、③は「現実の世界を否定する」、④が「それ以外の部分を排除する」、⑤は「人間の眼と同等の能力を持つ」となっている。即座に、①②③⑤は消去でき、「答」は④だと判別できる。何故か? [「カメラのレンズ」の機能]の「原意」を考えれば、「写し取る」「現実の世界を否定する」「人間の眼と同等の能力を持つ」ということはあり得ないからだ。それに対して、④は「消去」できない。従って、「①~⑤のうちで最も適当なもの」で「答え」になるのだ。これこそが「原意消去」の真骨頂だ。

②「設問文」の「原意」を正しく理解することも「正答」への必須条件
「入試現代文」は「本文」内容だけの読解力が問われているわけではない。先ずは「設問文」そのものの読解力が問われていると心得る必要がある。何が問われているのか? 条件は何か? どのように考えればいいのか——、こうしたこと(要は「設問文」の「原意」)を正しく読解し理解した上で、常の意識しながら解き進めていく必要がある。上記①で「傍線部」の「原意」が最も重要だと述べたが、一方で、実は「傍線部」の「内容」とは無関係の「設問」も存在するので注意したい。「傍線部設問」の「だが設問」がその典型で、[傍線部X「~<A>~」とあるが、「~<B>~」はどういうことか]といった設問だ。問われているのは傍線部X「~<A>~」ではなく「~<B>~」なのだから、「傍線部」の「内容」「原意」からは「解」は導けないということだ。ここでは、「設問文」の「原意」に基づいて考えるということだ。当然ではないかと思われるかもしれないが、「設問」で「傍線部」が指定されていると、どうしてもそこに拘ってしまうのだ(真面目な受験生ほど陥りやすい罠だ)。

③「理由説明」も「心情説明」も「原意消去」でねじ伏せよ
「傍線部設問」で「換言選択肢設問」に次いで多いのが「理由説明選択肢設問」だ。「理由」を答えるのだから、「傍線部」の「原意」など無関係だと思いがちだが、そんなことはない。「原意消去」で瞬時に判別できる場合が多々あるのだ。先ずは「そもそも論」から。そもそも「理由」には、「直接的理由」と「間接的理由」があるということを理解しておく必要がある。どういうことか? 「雪が降って遅刻した」とする。「何故か?」と問われて、「雪が降ったから」と答えてはダメなのだ。「雪が降った」ことは「遅刻」の「間接的理由」であって、「直接的理由」ではない。「遅刻」なのだから、当然、「刻限」(要は「時刻」)に関係しなければ「直接的理由」としては成立しない。「雪が降った」こと(「間接的理由」)で、「電車が遅れた」などといったことが「直接的理由」となるわけだ。無論、「理由説明選択肢設問」では、その「直接的理由」が最大のポイントとなる。そして、それは各選択肢の最後に述べられている。従って、「傍線部」の最後の部分が「結果」だと捉え、その「原意」を的確に踏まえて「直接的理由」を考え「各選択肢の最後」と直接結びつくかどうかで判別すればいいのだ。たとえば、上記センター試験の「第2問-問5」、[傍線部D「妹の言っていることは半分は正しい」とあるが、なぜ「私」は「半分は正しい」と考えているのか。その説明として最も適当なものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ]という問題。[「半分は正しい」と考えている]、つまりは残りの[「半分は正しい」と考えていない]ということになる。ということは、「完全には納得していない」という「原意」だと分かるはずだ。それをしっかりと踏まえて、各選択肢の最後が「直接的理由」として結びついているかを確認していく。①「明らかだから」②「認めざるを得ないから」③「確かだから」④「的を射ているから」⑤「納得できるから」となっている。どうだろうか? 「完全には納得していない」という「原意」からすれば、①③④⑤は即「消去」で「答え」は②だと判別可能であろう。また、「小説」で頻出の「心情説明」も同様に「原意」で「消去」できると認識しておくべきだ。「傍線部」が「セリフ」であれ、「動作」や「情景」であってもその「原意」から直接的に結びつかない「心情」の選択肢は「消去」すればいいのだ。たとえ「細部」までの判別がではなくとも、「喜⇔怒」「哀⇔楽」といった二項対立の判断だけでも選択肢を「二択」や「三択」に絞れるのだ。

④「文法」も「原意」の重要な要素だと認識せよ
「原意」といっても単に「単語」の辞書的な意味だけではない。当然、「文節」の「意味・用法」、要は「文法」も「原意」を左右する重要な要素だ。たとえば、上記センター試験の「第1問-問5」、[傍線部D「『見せる』ことよりも、われわれの無用、無償の眼差しによって『見られる』映像を試みることにあった」とあるが、どういうことか。その説明として最も適当なものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ]という問題。①~⑤各選択肢の文末は全て「映像を試みること」、傍線部の最後と同じなので、その前の「見られる」で「消去」することになる。対応している各選択肢の文末の前を確認する。①「見ることができるような」②「受けとられてしまわないような」③「多様な角度からの」④「自由に解釈できる」⑤「発揮できる」となっている。ここで果たして「消去」できるのか? 前述の「文法」に着目してほしい。傍線部は「見られる」だ。「助動詞」の「られる」で「受け身」になっている。①③④⑤は「受け身」ではないので「消去」ということだ。無論、「受動態」を「能動態」で換言することもできるのだが、両者が混在しているのだから、先ずは「原意」で素直に「消去」し、あとは確認すればいいだけだ。このように、「文法」としての「原意」でも瞬時に「答え」にたどり着くことができるということ。恐るべし「原意消去」。

(2)[傍線部一文一部の法則]——「答え」は隠したい、それが人情!?
ほとんどの設問は「傍線部」について問われるが、その「傍線部設問」には仕掛けがある。「傍線部」が「一文の一部分」だった場合、その一文の「傍線部」以外が重要だということだ。そこに「手がかり」「ヒント」が隠されている。「傍線部」が問われていると、そこだけに拘泥して、どうしてもそれ以外がブラインドになるといったことが往々にしてある。「それはAである」という一文があったとする。「Aである」という部分に「傍線」があり、その換言が選択肢で問われている。設問では当然、「Aである」としか示されていない。ここでは「原意」は使えないし、いくら選択肢を眺めていても進展しない。無論、「傍線部」以外の「それ」という「指示語」が「答え」なのだが、意外と死角になってしまい手間取るといったことがあるのだ。たとえば、2013年度の早稲田大学政治経済学部での出題。「大問(二)-問十六」、[傍線部4「相互間の正しい軽蔑」を具体的に説明している部分]を抜き出す問題。「傍線部」は一文で、その直前に「真の友情とは」とある。ということは、傍線部4は「友情」に就いてだ。そこに気づいて解いていけば、次々段落が「友情とは」で始まっており、そこに「答え」があると判明するはずなのだが、悩んでしまった受験生が多かったようだ。まさに、「灯台下暗し」ということだ。「傍線部一文一部の法則」は常に意識していたい。

(3)[選択肢ブロック消去の法則]——「分かる」とは「分ける」こと、「簡潔」で「完結」する!?

「内容読解選択肢設問」に於いて、各選択肢の「内容」は仔細に検討する必要がある。それが定石だ。「なるほど」と思いがちだが、果たして本当にそうか。各選択肢の「字数」は今や100字前後は当たり前(センター試験でさえ150字以上の選択肢もある)。 仮に5択として、①から読み始め⑤まで読み通したら、①は忘れてしまうのが普通だ。しかも、各選択肢は紛らわしい(「紛らわす」ためにあるのだから当然だ)。混乱し、「正解」は遠退くばかりだ。では、どうするか?

①「単純化」こそ「正答」への一里塚と認識せよ
「分かる」ということは「分ける」こと。要は「分ける」ことで単純化することだ。単純になればなるほど分かりやすくなることは、当然の道理。各選択肢の一文を「分ける」ことで単純化し、必要最小限の要素のみを比較、検討し、「消去」すればいいのだ。例えば、2013年度センター試験「第1問-問5」。 [傍線部D「私は鶴丸透の発生に立会う想いがした」とあるが、それはなぜか]という「理由説明設問」。 「理由説明」では「直接的理由」での「消去」が最優先となるのは前述のとおり。 ここでは「想いがした」の「直接的理由」となるが、①「想像できたから」②「感じられたから」③「思い及んだから」④「思い至ったから」⑤「思いがしたから」となっており、いずれも「想いがした」ことの「直接的理由」として「不適当」とは断定できず、「消去」は不可能。残念ながら、こうした場合もある。次なる「消去」の「根拠」は、「想い」の「内容」となる。傍線部では「鶴丸透の発生に立会う想い」とある。 下線部に着目し、各選択肢の「想い」の「内容」だけを検討する。①は「鶴丸透が当時の人々の心を象徴する文様として生まれたこと」、②は「鶴丸透を彫るなどの工夫をこらし、優雅な文化を作ろうとしていた」、③は「鶴丸透の構想を得たこと」、④は「鶴丸透に込められた親の強い願い」、⑤は「鶴丸透の出現を重ね見る」であり、下線部の「原意」から①②③④は「消去」できることになる。結局、「答え」は⑤だ。各選択肢の「内容」を如何に単純化し、惑わされないかがポイントとなる設問だ。

①「3ブロック」に分け「下から消去」、「ヴィジュアル消去」も活用せよ
「内容読解選択肢設問」では、各選択肢の「説明」を如何に単純化し混乱なく「消去」していけるかがポイントとなることは前述のとおり。そこで注目したいのが、各選択肢の「文の構成」だ。「字数」が多い「説明」でも、通常、読点等で3つ程度のブロックに分かれている。選択肢①「~<A>~、~<B>~、~<C>~。」といった具合だ。そして、各選択肢の各ブロック毎の「内容」は対応関係にある。従って、対応するひとつのブロックだけで各選択肢を比較、考慮し「消去」することが可能だ。例えば、各選択肢の<A>なら<A>のブロックだけで「消去」するということだ。当然、「字数」は減少し「内容」も限定されるので「消去」しやすくなる。その際、「たすきがけ」は厳禁だ。全ての選択肢で、共通するブロック毎に比較、考慮しなくてはいけない。選択肢①の<A>と選択肢②の<B>を比較するといった「たすきがけ」をすると間違う原因となる。また、「消去」していく順序は文末からが鉄則だ。この例では、<C>ブロックから「消去」を始め、<B>⇒<A>と絞り込んでいくこととなる。ブロック毎に「消去」する際、各選択肢のブロック毎の「内容」が同じ選択肢があった場合、当然、それらは組み合わせて比較できることになる。これまでに採りあげた「設問」でもそうして例があったが、「内容」が共通するブロックは意外と多い。組み合わせればそれだけ「選択肢」が減少するわけで、単純化されることとなる。各ブロックの「内容」が同じかどうかは無論、読めば分かるのだが、実は読まずして瞬時に判明する。何故なら、「活字印刷」されているからだ。同じ「文言」は同じ「活字」だから一目で判断できる。つまりは「ヴィジュアル式消去法」だ。さらに、ブロックの「内容」が全ての選択肢で同じという場合もある。比較のしようがないので、瞬時にしてそのブロックは無視できるということになる。例えば、2013年度センター試験「第1問-問2」。全ての選択肢の文頭は「鍔は応仁の大乱以前には」であり、文末が「求められるようになったということ。」となっている。同じだということは一目で分かるので、そもそも読む必要すらないということだ。
以上、「共通解法①(選択肢設問)」のサワリを概観してみた。「解法」の有する底知れぬパワーの一端を垣間見たと思ってもらえれば幸いだ。

ということで、次章の「予告篇」。 第十章は[「基本的解法」徹底習得Ⅱ]「共通解法②(記述設問)」。

以上、「共通解法①(選択肢設問)」のサワリを概観してみた。「解法」の有する底知れぬパワーの一端を垣間見たと思ってもらえれば幸いだ。

ということで、次章の「予告篇」。 第十章は[「基本的解法」徹底習得Ⅱ]「共通解法②(記述設問)」。

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