総合型選抜の対策 大学受験 プロ家庭教師
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総合型選抜入試の傾向と対策

※2021年度入試から、それまでの「AO入試」は「総合型選抜」へ、「推薦入試」は「学校推薦型選抜」へと名称が変更されました。これに伴い、出願書類だけでなく、小論文や面接、共通テストなどの学力評価の方法を導入することが必須となっています。本稿は基本的に2021年度以降の入試に準拠しています。

総合型選抜入試の指導実例

1. はじめに

日本には805校の大学があります(国公立大学が185校、私立大学が620校。2022年現在、文部科学省調べ)。これらの大学の入試制度は、基本的に「一般選抜」「学校推薦型選抜」「総合型選抜」の3つに分かれます。
入学者選抜の割合は、一般選抜が約50%、学校推薦型選抜が約30%、総合型選抜が約20%となっています(2023年3月31日現在、文部科学省公表資料より)。
現在では、一般選抜以外の入試方式も受験生にとって当たり前の選択肢となっています。

学校推薦型選抜は、出身高等学校長の推薦が必要なため、すべての受験生が利用できるわけではありません。
一方、総合型選抜は、大学や学部によっては一定以上の評定(学校の成績)や英語資格などが求められる場合もありますが、基本的には「アドミッションポリシーに賛同できる」(内容については後述)という条件を満たせば出願できます。そのため、多くの受験生にとってチャンスがある入試方式といえます。

そこで本稿では、総合型選抜の対策についてご紹介します。

2. 総合型選抜とは?

文部科学省の定義によると、総合型選抜とは「詳細な書類審査と時間をかけた丁寧な面接等を組み合わせることによって、入学志願者の大学教育を受けるために必要な知識・技能、思考力・判断力・能力・適性や学習に対する意欲、目的意識等を多面的・総合的に評価・判定する入試方法」とされています(「令和7年度大学入学者選抜実施要項の見直しに係る予告」より)。

志望理由書(エントリーシート)などの提出書類のほか、面接や論文、プレゼンテーションなどが課され、受験生の能力・適性や学習に対する意欲などについて時間をかけて総合的に評価します。他の選抜方式と比べて、「高い学習意欲」や「学びへの明確な目的意識」が選抜基準として重視されており、選抜方法もその点を判断できる内容となっています。また、出願時に受験生自身が作成して提出する書類が多いことも特徴です。

国公立大学の総合型選抜

国公立大学の総合型選抜では、1次に書類審査、2次に面接(プレゼンテーションを含む)や小論文といった「選抜型タイプ」が一般的です。このほか、セミナーやスクーリングなどに出席し、レポートを提出させる大学もあります。また、基礎学力を測るために大学入学共通テストを課す大学も増加傾向にあります。

総合型選抜とは

私立大学の総合型選抜

私立大学の選抜方法はバラエティーに富んでいて、大学によって大きく異なります。難関大学では、国公立大学と同様に1次が書類審査、2次が小論文・面接というパターンが一般的で、加えてセミナーやスクーリング、プレゼンテーション、グループディスカッションなどを組み合わせ、時間をかけた選抜を行っています。書類審査が厳しく、多くの出願者がここでふるい落とされます。出願要件も全体的に厳しく、学力や特別な能力が重視される場合も多く見られます。

一方、多くの私立大学で行われているのが「対話型の総合型選抜」です。エントリー後、事前面談・予備面談など複数回の面談を経て、出願許可が出ると合格内定を得られる仕組みです。
このタイプの総合型選抜では、大学や学部への適性や学ぶ意欲がより一層重視されます。最近では、オンライン形式で選抜を実施する大学も増えています。
いずれの場合も、出願時の志望理由書(エントリーシート)や、多くの大学で出願時または書類選考後に課される小論文の内容が合否を決める重要なポイントとなります。そのため、これらの書き方のポイントを確認しておきましょう。

3. 総合型選抜の対策

志望理由書(エントリーシート)の
書き方

総合型選抜はAO入試の発展形であり、各大学・学部では「アドミッション・ポリシー」を基準に合否を決める選抜方式です。その合否基準に受験生が合致しているかどうかの判断材料が志望理由書(エントリーシート)になります。

では、「アドミッション・ポリシー」とは何でしょうか。
2017年度からすべての大学に「3つのポリシー」を作成し公開することが義務づけられています。
まず「ディプロマ・ポリシー」(卒業認定・学位授与の方針)は、卒業時に何が身についているのか、どんな人材を育てていくのかを明文化したものです。そして、それを身につけるための教育方針が「カリキュラム・ポリシー」(教育課程編成・実施の方針)です。大学側は、その教育方針に合った学生に入学してほしいと考えており、「アドミッション・ポリシー」(入学者受け入れの方針)という形で、大学入学希望者に示しています。

つまり、「受け入れる学生に求める学習成果(学力の3要素=①知識・技能 ②思考力・判断力、表現力等の能力 ③主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度)を示すもの」が「アドミッション・ポリシー」です。

したがって、志望理由書(エントリーシート)を書く際は、志望する大学の「アドミッション・ポリシー」をしっかり読み解き、理解することが必須です。その際、大学全体だけでなく、学部や学科ごとの「アドミッション・ポリシー」も確認しておきましょう。それを踏まえて記入します。
フォーマットは大学・学部によってさまざまですが、文字数は全体で1000~2000字程度が一般的です。その中で、「志望動機」「自己PR」「活動報告書」「学びの設計書」「キャリアプラン」など、多岐にわたる内容が求められます。

志望理由書(エントリーシート)の書き方

以下、書く際のポイントを挙げる。

1.「自分は何者かを明確にする
自己分析を行い、特徴、長所・短所、価値観、学びたい分野や内容、目標・目的、将来展望などを具体化します。

2.自分と志望する大学・学部との関わりを明確にする
なぜこの大学なのか、なぜこの学部・学科なのか、何を学びたいのかなど、自分自身と結びつけた「志望動機」を記入します。

3.自分自身が志望大学・学部が求めている人材であることを明確にする
自己像と「アドミッション・ポリシー」で求められている人物像がどのように一致しているかをアピールします。

4.自らの目標や目的を達成するために志望大学の環境が不可欠であることを明確にする
「ディプロマ・ポリシー」や「カリキュラム・ポリシー」、教授の「研究室」などをリサーチし、自分の興味分野や目標、将来展望と合致していることを示します

5.数ある大学の中での出会いが特別であることを明確にする
800校以上ある日本の大学の中で唯一の志望校が見つかったことは奇跡であり、その幸運を強調します。

こうしたポイント、要は志望大学・学部とは「一期一会」であるという決意表明です。

また、文章化する際の注意事項としては、「志望大学・学部の選考担当者に向けて丁寧に書くこと(上手い下手ではなく丁寧さが大切)」に加え、
①誤字脱字をしない
②「ら抜き言葉」や助詞の用法など正しい口語文法を使う
③文末表現を統一する(原則として「常体」)、
④同意反復や重複表現を避ける
⑤一文一内容を心がけるが短文の連続は避ける

などがあります。

以上が志望理由書(エントリーシート)を書くポイントですが、新たに注目すべき事項として、2022年度から高校の学習指導要領に盛り込まれた「総合的な探究の時間(探究学習)」があります。
これは「変化の激しい社会に対応し、探究的な見方・考え方を働かせ、横断的・総合的な学習を通じて課題解決や自己の生き方を考える力を育成すること」を目標としています(文部科学省)。今後、学校推薦型選抜や総合型選抜では、この「探究学習」を通じて育まれた生徒が求められる傾向が強まると考えられます。「課題の発見と解決のために必要な知識や技能を身につけること」「実社会や実生活との関わりから問いを見いだし、課題を立て、情報を収集・分析し自分の考えをまとめ、表現できるようにすること」「探究に主体的・協働的に取り組み、互いの良さを生かしながら新たな価値を創造すること」などが求められる「探究学習」の思考を持つ受験生が、今後ますます重視されるでしょう。

慶応大学

小論文の書き方

総合型選抜に限らず、学校推薦型選抜や一般選抜でも小論文は多くの大学で課されています。多くの受験生が認識していると思いますが、念のため基礎的事項をおさらいしておきます。

小論文とは、要するに「小さな論説文」です。字数は少ないですが、現代文で出題される論説文(評論文)と同じです。つまり、受験生が自分の「考え方」を採点者に説明し、説得し、納得させる文章ということになります。出題形式としては、「テーマ型(論題が与えられ自由に論じる)」、「課題文型(課題文を読解し設問に答える)」、「資料型(資料を論拠に設問に答える)」、「要約型(課題文を読解し要約する)」、「英文型(英語の課題文を読解し設問に答える)」などがあります。

構成としては、序論・本論・結論の3つの意味段落(字数配分は2:6:2)が基本で、形式段落は1段落200字が目安です。
内容構成は、「頭括型(序論で論旨を述べる)」が望ましいです。
指定字数については、1字(句読点・記号含む)でも超過は誤答扱い(得点0)で、9割以上記入しましょう。指定字数の5割未満は採点されず(得点0)、8割未満は大幅減点、9割未満も減点となります。

表記・表現の注意事項としては、

①誤字・脱字・送り仮名の誤り・仮名遣いの誤り・難読表記・略字など
②文法的誤用(助詞・副詞・ラ抜き言葉など)、用語的誤用(慣用句・諺・故事成語・四字熟語など)※これらは厳禁で、全て減点対象
③文体は「常体」が原則、「敬体」との混用は避ける
④口語(話し言葉)は使用せず、一人称は「私」とする
⑤数字表記は縦書きの場合は漢数字、横書きの場合は算用数字を使う
⑥アルファベット表記は縦書きは1マス1字、横書きは大文字1マス1字、小文字1マス2字
⑦原稿用紙の使い方として、冒頭・改行頭は1マス空ける、句読点や閉じカギは行頭1マス目に入れず前行末尾の文字と同じマスに入れる、促音も1マスを使う、会話文・引用文は改行しない、雑記号(?!…など)は原則使用禁止

採点基準としては、

①理解力:課題の求めをどれだけ的確に理解し答えようとしているか(加点)
②論述力:論点が明確で説得力ある説明がなされているか(加点)
③構成力:一貫した論理展開となっているか(加点)
④表記・表現:適切な表現・語彙力は加点、誤りは減点
⑤配点比率:「理解力」:「論述力」:「構成力」:「表記・表現」(加点部分)=3:3:2:2が目安
⑥総合評価:各校設定の満点から上記比率に応じて項目別加点し、表記・表現(減点部分)をマイナスして合計得点となる

以上が小論文の基礎的事項です。

小論文の書き方

さて、総合型選抜における小論文ですが、基本的には一般選抜や学校推薦型選抜で課されるものと同様で、「課題発見力・解決力・読解力」といった基礎的な力をチェックし、大学で論文執筆ができるかどうかを見極めるために実施されています。その上で、総合型選抜では「受験生自身の人間性」も重視されるため、しっかりと自己アピールすることが必要です。

では、どのようなテーマが出題されるのでしょうか。ここ数年の頻出テーマを確認しておきます。

●新型コロナウイルスの現状と今後の社会
●SDGs(貧困・飢餓・教育・ジェンダー・働きがいと経済・エネルギー・技術革新・平和など)
●環境問題(地球温暖化・脱炭素社会・自然災害など)
●ロシアのウクライナ侵攻(これまでの経緯・和平への展望)
●日露・日中・日韓問題(東アジアの安全保障・核兵器の脅威など)
●チャットGPT(対話型生成AIのメリット・デメリット)
●AI(人工知能・機械学習・自動運転・IoTなど)
●格差社会(日本における首都圏や大都市圏と地域との経済格差、非正規雇用の増加による所得格差、世界における最富裕層と最貧層の極端な経済格差など)
●教育改革(教育格差・大学入試制度改革・高校での「地理総合」必修化・総合的な学習「探究の時間」創設など)
●人口減少社会(少子高齢化・地方経済・地域共同体の崩壊・関係人口創出・こども家庭庁発足など)

以上のようなテーマやそれぞれのキーワードについて、理解が曖昧なものがあれば改めて学習し、自分の考察を整理しておくことが大切です。また、志望大学・学部によってテーマや出題形式に特色や傾向があるため、過去問演習をしておくことも不可欠です。多くの大学で過去問は公表されていますし、「赤本」もあります。

いずれにしても、小論文をマスターするには繰り返し練習することが必須です。「論点整理」→「考察」→「構成確定」→「論述執筆」→「初稿」、そして、学校や塾の先生などに添削をしてもらい、ブラッシュアップした「第二稿」→「添削」→「第三稿」……「完成稿」と仕上げていきます。「完成稿」は熟読し、暗記してストックしておくことで、入試本番で応用できるようにすることも重要です。

最後に、学校の教科書以外の参考書もいくつかご紹介します。

「小論文」の執筆指南書

<初級レベル>
・吉岡のなるほど小論文講義10(改訂版)(桐原書店)
<中級レベル>
・合格できる小論文(河合出版)
<上級レベル>
・小論文を学ぶ―知の構築のために(山川出版社)
<ネタ本>
・小論文の完全ネタ本改訂版(社会科学系編:人文・教育系編:自然科学系編:医歯薬系/看護・医療系:総合解説/文英堂)
<時事ネタチェック用>
・20✕✕年の論点100(文藝春秋/毎年11月頃発売)
・現代用語の基礎知識20✕✕年(自由国民社/毎年11月頃発売)。

小論文のテーマ

4. プロ家庭教師の総合型選抜指導

総合型選抜の対策を行う上で
最も重要なことは?

対策を進める上で重要なのは、志望大学の「アドミッションポリシー」を踏まえ、その大学に進学した場合、自己の能力をどのように開花させ得るか、現代社会における自己の役割をどのように考えているか、これらを的確に表現する力を養うです。

リーダーズブレインでは実績豊富なプロの家庭教師が、志望大学に合わせた総合型選抜入試の対策を行います。

授業イメージ

生徒

①志望大学のアドミッションポリシーを要約・理解する
②入学後に取り組みたいことや将来の目標を具体的に言語化する
③上記内容を端的かつ明瞭にまとめ、志望理由書や面接で伝えられるように準備する

教師

①生徒の志望大学のアドミッションポリシーを確認・理解する
②現代社会の課題や時事的なテーマを踏まえ、生徒の志望理由ややりたいことをさらに深めるための建設的なアイディアを整理する

<双方向のディスカッション>

・それぞれが準備した内容を持ち寄り、すり合わせを行う。異なる視点やアイディアを出し合い、内容のブラッシュアップを図る。
・ディスカッションを通じて、「なぜその大学なのか」「なぜその学部なのか」「自分の強みや経験がどのように活かせるのか」など、より深い自己分析と志望理由の明確化を図る。

<個別最適化された課題・参考図書の提案>

・生徒の現状や志望校の特徴に合わせて、課題や参考図書・資料をオーダーメイドで提案。
・必要に応じて、小論文や志望理由書の添削、模擬面接、ディスカッション練習なども個別に実施。

総合型選抜入試の指導実例

・小論文や志望理由書の対策として、具体的に何をすればよいかわからない
・文章の書き方の基本や練習方法がわからない
・学校ごとの特色や求める生徒像がわからない
・書いた内容を深めるためにディスカッションできる相手がいない
・内容を深めるために経験しておくべきことや、読んでおくべき参考図書を提案してほしい

このようなお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度リーダーズブレインへご相談ください。専門のプロ家庭教師が、一人ひとりの課題や目標に合わせて、最適なサポートをご提案いたします。

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合格実績

2025年

  • 東大・難関国公立大学
    29
    合格
  • 早慶上・難関私立大学
    249
    合格
  • 医学部国公立大学
    10
    合格

合格者の声

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