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東京慈恵会医科大学医学部の傾向と対策

化学(2012年)の傾向と対策

思考力を要する計算問題がここ2年は減少しました。同時に全体の難易度も数年前と比べると多少取り組みやすくなっています。しかしそれでもリード文を読みこなす読解力を含め、標準レベル以上の設問が多くかつ50字前後の論述もあるので、やはり時間的には余裕のない試験であることには変わりありません。理科2教科で120分の試験時間で例年大問4題の出題となっており、年度によって差はありますが7割程度が合格ラインのひとつの目安と言えるでしょう。

2012年度の大問別テーマは、大問1で二酸化炭素に関する総合問題。大問2でアルミニウムに関する総合問題。大問3でハロゲンに関する総合問題とデスフルランなどの吸入麻酔薬の問題。大問4で脚気とビタミンB1、サルファ剤の問題となっています。

大問3が2つに分かれていますので、実質的には理論・無機3題、有機2題の構成になっています。計算問題は総じて標準的なタイプで、語句記述問題もアルカリ土類、不動態、ファンデルワールス、極性、水素(結合)などを答えさせる基本的な出題となりました。論述問題は沈殿分離による不純物の除去法の論述(大問2:50字)とハロゲン化物イオンの還元力の論述(大問3:60字)でした。論述は毎年出題されていますので論述対策は不可欠です。なんとなく分かっていてもいざ書くと難しいということを早めに体感しておきましょう。

また大問4のサルファ剤は現役生にはあまり馴染みがなかったかもしれませんが、細菌性感染症の治療に用いられています。有名参考書にも説明があり、例えば「有機化学の最重点照井式解法カード(学研)」には第30講 生命と物質の補足・2に記載があり、「化学Ⅰ・Ⅱの新研究(三省堂)」にはSCIENCE BOX医薬品に記載されています。やはり私大医学部のトップレベルの本校を目指すならここまでの学習がのぞまれます。

有機化学の問題は時として推理力、思考力が試されますが、その前提として知識があればあるほど解きやすいことは間違いないことは理解しておくべきです。ただし、合格するために満点を取る必要はなく、上述した基本的な語句記述、標準的な計算問題をまず確実に解くことが合格への近道であることは忘れないでください。

2011年度は、大問1で金属イオンを題材にした酸化還元、マンガン電池、溶解度積、CODなどの融合問題。大問2でダイヤモンドの結晶構造やコロイドの性質に関する問題。大問3で芳香族ジエステルの構造決定に関する問題。大問4で合成高分子化合物に関する問題となっています。

前の年とは逆に論述問題が増加し、煩雑な計算問題が減少した年度となりました。

2010年度は、大問1でイオン交換膜法などを題材にした電気分解の問題。大問2で銀イオンの溶解度積と化合物の性質に関する問題。大問3で脂肪族炭化水素の立体構造をエネルギーの側面から捉える問題。大問4でカルボニル化合物の反応に関する問題となっています。

論述問題が減少しましたが煩雑な計算問題が増加し、全体的な分量、難易度があがった年度となりました。

以上、本校の傾向は理論と有機を中心に難易度の高い問題で、全体的に新しい題材を用いた問題、それに伴う長いリード文も特徴となっています。年度によって煩雑な計算問題、記述問題もあり、相当な準備が必要となります。

最終的には過去問演習を通して比較的易しい問題から確実に答えるなど時間配分に慣れることが非常に大切になります。加えて余裕があれば国立大学の問題などリード文が長い問題などを演習することが非常に効果的となるでしょう。

また有機分野では有機化合物に関する知識だけが問われるのではなく、推理力や思考力も要求されていますので、知らなくてもあわてないように心掛けておくことも大切になります。なるべく知識を増やした上で、この推理するタイプの問題にも十分慣れておくことが重要となります。

最後に具体的な学習法としては「化学重要問題集(数研出版)」と「化学Ⅰ・Ⅱの新演習(三省堂)」などをどれだけ繰り返せるかが勝負となります。繰り返すことで知識を確実なものとし、典型的な問題を瞬時に解ける力がまず絶対不可欠となります。現役生も夏までには全範囲を終わらせたいところです。また参考書としては先に述べた「化学Ⅰ・Ⅱの新研究(三省堂)」をお勧めします。

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