首都圏模試、結果偏差値が上昇した学校、下降した学校を前年との対比で見てみよう。前年からのアップ、ダウンがわかるように、アップした学校（入試回）は校名（赤字）の前に△を付け、ダウンした学校（入試回）（青字）は▼を付けて表した。前年と変わらない場合は無印。なお、新設回や、試験日の移動で前年との比較がふさわしくない学校（入試回）、前年の結果偏差値表に載っていない学校（入試回）はアンダーラインをつけてある。なお偏差値４５以上の学校について表にし、千葉の推薦入試、地方の学校の首都圏会場入試、帰国生入試は除いている。

中央大横浜山手②③が７ポイントも上昇

わかりやすくするために、前年比２ポイント以上変動があった学校（入試回）だけを抽出してみよう。校名の間の／は入試日程の境界を示す。

女子で、中央大横浜山手が７～６ポイントも上昇したことが目立つ。共学化で人気が高まったのと、女子の募集枠が減ったことが影響している。埼玉平成①Ｓ選や、八千代松陰①1/22も男女ともに大きく上昇。それぞれ応募者が前年比2.3倍、1.4倍と大きく増加したことが偏差値上昇につながっている。八千代松陰は男子・女子とも３入試回ずつ登場している。昌平は男子・女子それぞれで２入試回ずつ顔を出すが、応募者数は前年とそれほど変わっていない。受験生のレベルが上がっている。
今年も都市大等々力の人気が続いている。男子は２入試回が、女子は４入試回が登場。偏差値上昇幅はいくらか落ち着いてきた。
以上のほかに男女とも上昇した学校（入試回）には、淑徳巣鴨(スカラシップ)、西武文理①特、芝浦工大柏③、日大藤沢①、神奈川大附Ａ、東邦大東邦(後)、かえつ有明(難③)、東京成徳大③ＡＭ、横浜翠陵④、都立三鷹、都立武蔵などがある。
また、入試日程によって特徴が見られる。男子では、偏差値が２ポイント以上上昇した学校（入試回）は、２月１日ではたったの２校、２月２日では４校を数えるだけである。２月１日の午後入試は１校もない。女子では、上昇校は４入試日に広く分布している。それでも、２月１日だけは偏差値50台に上昇校が集まっている。

偏差値の下降が目立つ学校（入試回）は、１月入試の学校に多い。まず埼玉栄について。女子では３入試回が顔を出し、７～２ポイントも下げている。男子でも３入試回が５～２ポイントも下降。星野学園②一般は、女子で７ポイント、男子で２ポイント下降した。ここに挙がった両校はいずれの入試回も、応募者が前年比２割前後減少している。日出学園①も同様で、偏差値下降は応募者減が影響している。
西武文理は、男女とも２入試回ずつ登場しているが、先ほど見てきた「上昇が目立つ学校」の一覧にも、男子で２入試回、女子で１入試回が顔を出していた。この結果、西武文理の偏差値幅は、下は50から上は64(男女とも)まで大幅に拡大した。
さらに、日大第三②・①や工学院大①Ｂの男子・女子とも偏差値を下げている。他の学校（入試回）でも男女とも下降しているところが多い。多摩大聖ヶ丘①・②・③、芝浦工大柏①、清真学園(後)(前)、開智未来④、日本大学Ａ、宝仙学園(理数①特)、青稜②Ｂ、獨協埼玉③、鶴見大附(難進②)、東京学芸大国際(Ｂ)などが男女とも下げている。

全体としては下降した学校には共学校が多い。男子校は少なく、３ポイント以上の下降は城西川越①だけ。２ポイントまで広げても城西川越②、成城①、芝浦工大①、藤嶺藤沢①、日大豊山①、明法③の６入試回しかない。女子校は３ポイント以上でも結構あり、実践女子学園②・①、東京純心女子①・②、日大豊山女子①、十文字①、女子聖学院③と７入試回もある。２ポイントまで広げると、６入試回ある。
公立中高一貫校では神奈川県立相模原が唯一女子で登場している。

以上、下降の表を見てきたが、下降した学校（入試回）のほうが上昇した学校（入試回）より数が多くなっている。入試日程別に下降校の特徴を見てみると、２月１日と２月２日の男子・女子および２月３日女子の＜偏差値60以上＞では、下降している学校（入試回）はなかった。下降している学校（入試回）は、＜偏差値50台＞＜偏差値49以下＞に限られており、2012年度入試の受験者数減は偏差値上では上位の学校には影響がなく、もっぱら易しい学校に出たということが見て取れる。

情報提供：　安田教育研究所