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中学入試 「コース制」の目指す方向はどこか?(2012.11)

 高校では「コース制」は以前から広く行われてきたが、中学でもここ数年増える傾向にある。ただここへきて、「特別に大学進学に力を入れるコース」という趣旨ではない「コース」の設置が出てきた。そこでこの機会に、中学における「コース制」の現状と今後の方向について探ってみる。

 東京・埼玉に多く、神奈川・千葉は少ない

「コース制」は、もともとは大阪の女子校・大谷が始めたものだが、首都圏では埼玉から始まり、いまでは東京・神奈川・千葉の学校でも取り入れている。「東大クラス選抜」「スーパー特進」「難関大学進学コース」「アドバンストコース」といった名称で、ここ数年徐々に広がってきている。
2012年度入試の段階で「コース制」を取っている学校を挙げてみよう。

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表には入試段階で区分があるものを入れた。国際学級のような教育内容が異なるものははずしてある。
都県別では東京・埼玉に多く、神奈川・千葉ではごく例外的な存在であった。東京でも埼玉よりの北部の学校に多い。学校種では女子校・共学校に多くなって
いる。入試ではよく一緒に語られる埼玉と千葉だが、「コース制」という文化では全く違うことがわかる。

「コース制」は難関大学合格が第一義

このようなコースを設置する狙いは、一般コース(名称は「総合コース」などいろいろ)とは別枠の少人数の募集をすることで、偏差値表の高いところに校名が載るようにすることにある。そうすることで学力が高い層に受験してもらおうというわけだ。したがって、当然のことながら上位コースの入試の多くは、難関校と併願受験のしやすい「午後入試」になっている。
こうしたコースは名称からもわかるように、難関大学合格を第一義に考えているので、大学受験を強く意識したカリキュラムで授業が進められる。そのことが、わが子は難関校には受かりそうもないが、将来は難関大学に進ませたい、ここなら少数精鋭の大学受験に特化した丁寧な指導が受けられそうだ、と判断した家庭が受験してくるのである。だから、コースの名称そのものが宣伝媒体として大きな意味を持つ。
首都圏で最初にインパクトのある名称を付けたのは、栄東の「東大クラス選抜」がはしりだが、2012年には淑徳が「スーパー特進東大選抜」と、4層も重ねた名称を付けた。実際にこれが宣伝効果が大きいのである。2012年度入試において、栄東の「東大クラス選抜」はⅠが1703名、Ⅱが783名の志願者がいた。淑徳の「スーパー特進東大選抜」も、2月1日午後の第1回が366名、2月6日の第2回が412名という大勢の志願者がいた。第2回は実受験者は168名だが、合格者が12名だったので、実質倍率14倍というとんでもない入試だった。
こうしたコースが、いわば今の家庭のニーズに合っているということで、2013年度にはさらに増える。改編を含めると、わかっているものだけでも6校もある(純然たる新規導入は4校)。

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男子校で増えていることが特徴だ。
その一方、「コース制」を取りやめる学校もある。2013年度からなくす学校にはかえつ有明があるが、その前には富士見、麹町学園女子などがなくしている。女子の場合は、こうしたコースを設けると、生徒間に一体感が生まれにくくなるようである。

新しいタイプの「コース」が誕生

前ページの安田学園の「先進コース」は東大・最難関大を目指すことを謳っているが、コースの名称を大学進学に直結する名称ではなく、「先進コース」としている点にうかがわれるように、東大・最難関大は結果としてそうなるものであるとの位置づけになっている。
注目されるのは、中1から高2まで各学年で週2時間「探究」の時間が時間割に組み込まれていること。「各学年で異なるフィールド(動物園だったり、磯だったり、里山だったり、博物館・研究所だったり、イギリスだったりする)に出向き、そこで生まれた『なぜだろう?』という疑問から自らの課題を設定し、その課題を解決すべく取り組む。その過程で、課題設定のしかた、情報収集のしかた、データ分析のしかたを学び、またグループでの対話や発表の経験を積み、批判的思考力を養いながら「探究力」を育てるというプログラムが組まれている。すべての生徒にこのレベルの学習を実践することは難しいので、少数のこうしたコースを設けるという意味合いだ。
城西大学附属城西の「グローバル・アーツクラス」になると、完全に難関大学に進学させるというニュアンスはなくなっている。むしろ、大学の先、子どもたちが巣立っていくグローバル社会を見据えて、そこで貢献できる人材を育てたい、という姿勢が前面に出てきている。大学で今注目されているグローバル時代に対応した「国際教養学部」の中高版といった趣だ。国際教養学部は授業を英語で行い、留学を必須としているが、「グローバル・アーツクラス」でも中3の3学期に全員に「ターム留学」(2~3か月の留学)を課し、その後希望者は海外の姉妹校や提携校へ長期留学に派遣する。
こうした新しいタイプのコースが目指していることは、従来型の座学中心の教育から脱皮する動きとみなしていいだろう。
情報提供: 安田教育研究所

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