慶應義塾普通部 入試対策
2025年度「慶應義塾普通部の理科」
攻略のための学習方法
慶応普通部の理科の出題は塾のテキストや問題集で学習していれば解答可能なものも出題されるが、生物分野を中心としたかなり細かい知識や時事的な内容を含む知識が問われることも多い。また、物理・化学系の分野では、実験を通して考察させる問題が多い。「どのようなしくみなのか?」「なぜそうなのか?」を考える姿勢が大切になってくる。
<分野毎の学習法>
生物分野
本年はイネに関する出題で、発芽のようすやおしべの図を描かせる等、かなり細かい内容の知識問題が含まれていた。ここ何年かを見ても、カブトムシとシロアリを中心とした昆虫・カタクチイワシ・スミレ・アオダイショウ・エノコログサ と特定の生物をテーマとし、かなり細かい点まで問われる傾向にある。
日頃から図鑑・資料集を用いて、色・形・生態などを確認しながら学習する姿勢が求められる。顕微鏡等、生物を観察する上での実験器具の使い方についてもしっかり学習しておきたい。
地学分野
本年度は熱中症と暑さ指数に関する出題であった。熱中症警戒アラートについての時事問題も含まれていた。近年では、太陽の動きと影・地震・気象・地層・天体と幅広く出題されている。この分野を学習する上では、テキストに書かれてある内容とニュース・天気予報など日頃の生活の中で入手する情報に結びつけて覚えたり考えたりすることを心がけて欲しい。例えば、大雨についての気象情報や災害についてのニュース、エルニーニョとラニーニャ、フェーン現象、緊急地震速報、月食や日食等で日頃から興味・関心の眼を向けて欲しい。
物理分野
今年度はバネについての出題で、てこのつり合いも含めた計算問題も見られた。近年では、自転車の仕組み・光・密度と浮力・振り子の運動などの出題が見られる。この分野の学習法として、まずは力のつり合いの計算演習をしっかり行うこと。また、電気、光、音などの基本についても確実に身につけて欲しい。さらに、これらの仕組みが世の中でどう利用されているのか?についても学習の眼を向けて欲しい。
化学分野
本年度は塩酸と重曹の反応についての出題で、グラフの読み取りなどがポイントとなる内容であった。ここ数年では、燃焼・プラスチックについて・水溶液の判別・ものの溶け方などに関する出題が見られる。この分野の学習法としては、まずは、水溶液や気体の性質、指示薬の色の変化など基本的な知識を確実に身につけて欲しい。実験の進め方などかなり細かい部分にも目を配らせて学習すること。
模試や過去問演習は、まだ仕上がっていない分野を見つける絶好のチャンスでもある。できていない問題については、なぜ間違えたのかの分析をしっかり行い、苦手分野の克服につなげて欲しい。苦手分野の確認や克服に関しては、家庭教師を有効的に利用して頂きたい。
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2025年度「慶應義塾普通部の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問数は4で、小問数は28。試験時間は30分で100点満点、例年通りであった。今年度の合格者平均は67点で、昨年と比べて11点高くなっている。
記号選択問題、適語を答える問題、計算問題が中心で簡単な記述問題や図を描く問題も含まれている。
試験時間の30分に対して問題数がやや多いので、できる問題からてきぱきと解答欄を埋めていくことが求められる。過去問など時間を意識した演習もしっかり行っておきたい。
【大問1】 物理分野 バネ
- 難度:標準
- 時間配分:9分
- ★必答問題
1 バネAはおもりを5個下げると2㎝伸びているので、1個につき0.4㎝伸びている。これより、4個下げると、4+0.4×4より5.6㎝になる。バネBはおもりを3個下げると5㎝、4個下げるとAと同じ長さになることから5.6㎝。1個につき0.6㎝伸びることがわかる。従って、自然長は5-0.6×3より3.2㎝。
2 1本につきおもり1.5個分の重さが加わるので、4+1.5×0.4より4.6㎝。
3 バネAが0.6㎝伸びたので、バネBの重さはおもり1.5個分。バネBも0.6㎝伸 びたので、バネAはおもり1個分。従ってバネBはバネAの1.5倍の重さ。
4 上のバネAにはおもり3個分、下のバネAにはおもり2個分の重さが下がっている。従って2本の合計は4×2+0.4×5より10㎝になる。
5 板をバネAに下げると10㎝になったことから、板の重さは(10-4)÷0.4より おもり15個分。図5では、バネA・Bそれぞれにおもり7.5個分の重さが加わる ので、バネBの長さは、3.2+0.6×7.5より、7.7㎝になる。
6 板の重心は板に書かれた数字の16番の位置にあると考えられる。6から16までの距離と16から21までの距離の比が2:1なので、左側のバネと右側のバネに加わる重さの比は1:2。従って右側のバネは4㎝伸びて8.0㎝になる。
7 バネAにはおもり8.5個分の重さが加わるので、4+0.4×8.5より、7.4㎝。
8 支点(6番の位置)から棒の重心(16番の位置)までの距離:棒の重心からバネ(31番の位置)=2:3なので、棒の重さの2/5にあたるおもり6個分の重さが加わる。ここで注意すべき点は、上のバネAには下のバネAの重さ(おもり1個分)も加わること。下のバネAにはおもり6個分、上のバネAにはおもり7個分の重さが加わるので、全体の長さは、4×2+0.4×(6+7)より、13.2㎝になる。
バネの伸びに関する出題。おもりの重さやバネの重さはわからないので、「おもり何個分」で重さを表現することになる。
最初の設問の「2種類のバネの自然長と伸び」の計算が正確にできるかが重要なポイント。ここで間違えると大きな失点につながる。この大問における失点が多かったときは、間違いの原因がどこにあるかの確認を明確にしていただきたい。
【大問2】 地学分野 熱中症と暑さ指数
- 難度:標準
- 時間配分:7分
- ★必答問題
1 4文字の漢字で表現すると、「高温多湿」となる。
2 時事的な内容の選択問題。熱中症警戒アラートの運用は気象庁と環境省が共同で行っている。
3 汗として体内の水分が減少するので、尿の量は減り、色は濃い黄色になる。
4 熱中症の原因は体温の上昇と体内の水分・塩分の減少である。対処法として、首やわきの下を冷やす、塩分を含むドリンクを飲むなどが考えられる。
5 示された暑さ指数の計算式に従って計算すること。条件(ツ)では、0.1×35+0.2×37+0.7×27より暑さ指数は29.8となり、運動指針は「厳重警戒」となる。
6 記述問題。暑さ指数の計算式で、湿球温度にかける数値が0.7と比重が高くなっている。
7 記述問題。普段から運動を行うことは、汗をかいて体温調整する働きを高める効果がある。
熱中症と暑さ指数に関する出題。気象に関しては、天気予報やニュースを見る、家庭内で気象に関しての会話をするといった習慣が大切である。
【大問3】 化学分野 塩酸と重曹の反応
- 難度:標準
- 時間配分:6分
- ★必答問題
1 「石灰水に通すと、白くにごる」より発生した気体は二酸化炭素。塩酸にチョークなどの炭酸カルシウムを加えた時や、炭素を含む物質を燃焼させたときにも発生する。
2 固体の重曹を加えた時に、発生したのは気体の二酸化炭素であるために、重さの差が生じている。
3 消去法で考えていくと、塩酸がビーカーの外に飛び散った以外には考えられない。
4 塩酸の量が2倍になったので、重曹も2倍までとけ、発生する二酸化炭素も2倍になる。
5 発生した二酸化炭素が外に逃げていかないので、グラフははじめから水平な直線になる。
塩酸と重曹の反応に関する出題。基本的な知識とグラフについての問題が中心で、「グラフがなぜそのように変化するのか?」の考察がポイントとなる。問題集やテキストで取り上げられている「塩酸と石灰石の反応」や「塩酸とアルミニウムなどの金属との反応」にも同じタイプの問題があるので、演習を積んで理解を深めよう。
【大問4】 生物分野 イネ
- 難度:やや難
- 時間配分:8分
- ★必答問題
1 イネの栽培に関する文章についての空欄適語補充問題。猛暑や2024年南海トラフ地震臨時情報など時事的な内容も含まれる。
2 「イネと同じように」より、単子葉類の植物を選択すればよい。
3 「イネと同じように」より、風媒花の植物を選択すればよい。
4 イネの発芽の様子を図に描く問題。
5 イネのおしべの図を描く問題。イネのおしべは6本。
6 イネを水田で育てる理由についての記述問題。水田では、イネ以外の雑草が育たない。また、水は暖まりにくく冷めにくいので、温度変化から守ることができる。
7 稲わらの使用用途についての選択問題。納豆・草履は見たことがあれば思い浮かぶであろう。
8 イネの直まきの利点としてふさわしくないものを選ぶ選択問題。問6で水田で育てる理由を記述できていれば、直まきは温度変化に弱く、安定した収穫量が望めないことがわかるであろう。
イネについての出題。イネの発芽のようすを図に描かせるなど、イネについて細かい知識を要求する内容になっている。特定の生物について細かな知識を問う問題は本校頻出である。
本校理科の攻略のためには、日頃から自然科学への興味を持つことと、植物・動物については図鑑や資料集の写真を見ながら学習を進めることが大切であることを親子で確認して欲しい。
攻略のポイント
今年度の出題は例年通り各分野から大問4題の出題で、昨年までと同様であった。問題傾向も昨年までの傾向に沿ったものが中心であった。
本校の理科を攻略する上で、絶対条件として必要なのは知識の正確さである。知識としては、テキスト等で学習する基本知識・時事的な内容に関する知識・生物に関するより細かい知識があげられる。
また、実験や観察を通して考えさせる内容も多い。
全体として、①自然や科学に日頃から興味の眼を向けているか ②与えられた情報と持っている知識を結びつけ、素早い判断や処理ができるかの2点が問われるつくりになっている。
学習する上では、生物(植物・動物)や岩石などの色・形を図鑑や資料集を使って確認しながら進めることを日常的に行って欲しい。
問題の30分に対して問題数が非常に多く、記述問題や図を描く問題も見られる。できる問題から解答欄をてきぱきと埋めていくこと。そのためにも、過去問等時間を意識した演習をしっかり行うこと。
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