指導実例インタビュー
谷澤先生
指導実例インタビュー

谷澤先生
合格実績(五十音順)
【大学受験】 青山学院大(文・経済)・大阪大(外国語・工)・関西学院大(商)・京都大(文・法・経済・工・農)・神戸大(経営)・慶應大(経済・商・薬)・東京大(文科三類)・法政大(文・経営)・明治大(政経・経営・法)・立教大(異文化・経営)・早稲田大(教育・政経)・横浜国立大(経済・経営)他多数
英文の要約力を着実に身に着け、慶應の薬学部へ見事合格!

指導を始める前の状況
■指導開始時期: 二浪の5月
■指導科目: 英語
■指導回数: 週1回2時間
Yさんはいわゆる仮面浪人で、一浪後に某私立大学に入学後、すぐに休学して再度慶應薬学部を目指した生徒です。現役時・一浪と不合格だったものの、小さい頃から慶應への憧れが強く、どうしても慶應薬学部に入りたいという強い意志で2浪目に突入しました。
一浪目に集団予備校に通い、語彙・文法・構文の学習を頑張ったものの偏差値が60前後で頭打ちになってしまい、これ以上何をすれば伸びるのかがわからなくなったとのことで、2浪目の5月に個別指導を開始しました。
Yさんの性格はマイペースで、良い意味で浪人の焦りが感じられず、むしろ浪人生活を楽しんでいるようでした。勉強を楽しめるという強みがある反面、合格のための勉強法を考えるという点では無頓着でした。現役時になんとなく始めた「単語を覚える」「文法・構文知識をつける」「とにかく読む」といった勉強を1浪目でも続けた結果、思考力・要約力が要求される慶應の英語に太刀打ちできなかったのだと思います。
指導内容
一浪目で集団予備校に通っていたおかげで文法・構文はある程度学習済みだったので、主語・述語がわからないというようなことは殆どありません。しかし、上述の通り要約力が皆無でした。
一文一文は訳せるものの、結局文章全体では何を言っているのかわからないという状態でした。もちろんそのような状態では設問の選択肢を見る度に当てもなく全文を見返す必要があり、慶応の長文に対応する精読力・スピード、共に足りない状態でした。
そこで文章の構造を意識してもらうことで改善を図りました。文章、特に英文には段落1つにつき1つのメッセージがあり、その各段落のメッセージが互いに支え合い、文章全体の大きなメッセージを作り上げているという原則があります。
「PREP法」「抽象のはしご」などの文章構成のテンプレートを使った演習を通して、英文の構造を捉える訓練を重ねました。例えば引用符「””」で囲まれた専門家のセリフは筆者のどの主張に根拠を与えるために引用されているのかなど、段落全体で一文一文が持つ役割を徹底的に考えてもらいました。
オンライン指導という特性を活かし、段落の要旨(重要なポイント)をまとめていく過程を画面共有しながら解説することで、文章構造を意識した英文の読み方を自分でも再現しやすいように気を配りました。毎回完成した板書データを本人に送信していたため、自宅でも授業で演習・解説した読み方が蘇り、復習が捗ったとのことでした。
学習状況の変化と成績の推移
■成績推移: 開始時偏差値61 (河合全統記述模試)→ 最高時偏差値 73
一浪目に偏差値60前後で頭打ちになっていたYさんにとって「段落全体で一文一文が持つ役割を考える」という訓練は、苦手だった長文読解で高得点を取る突破口となり、第2回全統記述模試では偏差値66に到達しました。
残りの課題はスピード。
各文が持つ役割を深く考え、段落要旨を捉えられるようになったものの、限られた制限時間内ではまだ読み方が荒くなってしまう状態でした。しかし夏の時点で少しスピードが足りないのはそれほど大きな問題ではありません。
すでに文章構造の分析が終わった英文を使い、「段落全体の要旨を捉えながら各英文につき再読10回」という訓練を重ね、着実にスピードアップしていきました。同じ英文を繰り返し読むことにより、無意識に近いレベルで文章構造を使った読み方ができるようになったのです。
その際も漫然とした流し読みになってしまわないよう、再読時に気を付けるべきポイントを毎回チェックリスト形式で板書データにして送り、復習時に活用してもらっていました。
第三回全統模試では偏差値73に到達し、11〜12月頃には慶應の過去問で7割、調子が良ければ8割近く取れるようになっていました。
結果
■結果(進学先): 慶應義塾大学 薬学部
■結果(他の合格校): なし
生徒とのエピソード
「長文を読んでいると途中で『トンチンカンぷん』になるんです(訳:ちんぷんかん)」など、いつも独特な語彙で楽しませてくれました。天然なところもある反面自分に厳しいところもあり、なんとなくの理解でわかった気になることはありませんでした。
構文・段落構造などに少しでも曖昧な部分があれば必ずメモをして授業の際に質問してくれていました。曖昧な理解で良しとせず一つ一つ疑問を解消していく姿勢が慶應合格につながったのだと思います。
慶應義塾大学 薬学部を目指す受験生へのアドバイス
約1000語にも及ぶ慶應の英語に対応するには語彙・構文・文法知識は最低条件に過ぎず、一文一文をただ和訳できるだけの表面的な理解では太刀打ちできません。
長文復習の際は構文・単語を理解するだけで止まらず、「各段落の要旨は何か」「段落内の各文はどういう役割か」など、文章自体の内容についても深く考えることで、問題形式によって左右されない読解力を身につけることができます。パラグラフリーディングのストラテジーやTOEFLライティングの参考書などで文章の構造を一度学んでみるのも効果的です。もちろん自分では段落要旨の捉え方や各文の役割がわからないという生徒さんに対しては文章を要約する際の考え方を実演します。
英文だけでは難しい場合も同じような文章構造を持つ日本語の文章を作成し、徹底的に理解してもらいます。オンライン授業では文章作成の過程も画面共有で見られますし、タイピングでの作成なので手書きと比べて文章作成の時間が大幅に削減できるので、演習・解説により多くの時間を割くことができます。
そして分析済みの長文は最低でも10回再読し、構文知識・段落構造の知識を使った読み方を無意識レベルに落とし込むことが大切です。その際wpm200(1分間あたり200単語を読むペース)を目標に読解速度を上げていくと、慶應の英語も時間内に解き終わる力がつくでしょう。
最後に「わかった気にならない」これが一番大切だと思います。