医大・医学部受験プロ家庭教師 東京女子医科大学 物理の入試対策と勉強法
医大・医学部受験専門プロ家庭教師が語る

東京女子医科大学 物理
入試対策と勉強法

特徴と時間配分

出題範囲(分野)の特徴

本学の物理は例年、大問3題で「力学」、「電磁気」が1題ずつ、残りの1題は「波動」か「熱力学」という構成だ。「原子」からの出題は見られないが、新課程では油断できない。波動と熱力学では、熱力学のほうがかなり多いのが本学の特徴だ。熱力学の「ボイル・シャルルの法則」、「熱力学第1法則」などの気体の法則に関する問題が繰り返し出されている。難易度は標準レベルとやや難のレベルの問題が混在している。

出題量と時間配分

理科2科目で120分。2題の大問に3~5問前後の小問があり、もう一つの大問は京大の理科のように長文に十数個の穴埋めの形式になっているのが最近の通例だ。どの大問も、基本的なものから思考力を要求される小問や穴埋めまであるので、全問解こうとすると大変だろう。途中をスキップしても後方に解ける問題もある。

出題形式の特徴

いずれも誘導形式で、前問がヒントになるが、後方の問題もヒントになりうる。全体にサッと目を通してから解き始めるのがよい。設定のイメージ図は必要に応じてついている。典型的な設定にプラスアルファの味付けがされていて、教育効果の高い良問と言えるが、設定の読み込みに細心の注意を要求されるので、念入りに対策する必要があるだろう。

解答形式の特徴

  穴埋め形式以外の大問は、記述式の数学の問題のように答案全体を記述する形式だ。また、本年大問1に見られる「問題文中にない記号は定義してから用いること」のただし書きは、単に答えを出すだけでなく、与えられた条件から解答に至る思考力、記述力もまた試されている点、本学の大きな特徴だ。グラフなど描図の問題も毎年のように出される。物理得意の受験生は、存分に腕が振るえるが、時間の制約上、簡潔な記述も普段から意識しよう。      

攻略のポイント

まずは教科書の内容の定着が基本かつ重要

教科書にある公式は、単位・次元を含めてスラスラと出てくることが必要。学校によってはほとんど教科書を使用しないケースもあり、既卒生は手元に無い場合も考えられるが、すでに新課程に移行したのだから、必ず教科書は入手しよう。入試の出題の基本枠・原点の確認のために、さらに、図表や口絵、写真に至るまで目を通せば、力のある受験生も思わぬ発見や収穫があるだろう。

教科書の例題を見た瞬間、解法が浮かび、すらすらと解けるのがこの基準。しかし、不安があれば迷わず、教科書傍用の問題集として定番の「セミナー物理基礎・物理」などの基本例題とその類題をストレス無く解ける基準を固めよう。(ここで言う教科書とは「物理基礎」「物理」の両方である)

その次は入試物理の「標準」レベルの問題集を一冊マスターすること

「セミナー物理基礎・物理(いわゆるセミナー物理)」、「物理重要問題集(いわゆる重問)」の発展問題がこのレベルに相当する。最低でも一冊を2周、できれば3周以上しよう。そうすれば、標準レベルくらいまでは対応する力がつけられる。同時に、1のレベルに上げた公式も、下記のようなものは何度も反復して自力で導出出来るようにしよう。例えば、単振動、万有引力とケプラーの法則、力積と運動量保存則・エネルギー保存則、ドップラー効果、特に、光波の干渉、状態方程式とポアソンの公式、熱運動とボルツマン定数などの近似計算があるものは何度も繰り返そう。公式の導出は標準以上のやや面倒な問題の攻略に大きな底力となるだろう。

次は何と言っても過去演習が大切だ。

理科2科目で120分という制約の中で、上記のように本格的な標準またはやや難の問題に取り組むので、全問解こうとするのは無理がある。各自、「物理に何分使って、最低何点は取ろう」という目標が設定できるように過去問演習を繰り返そう。本学の大問は一つのテーマを誘導形式で求めていくが、「過去問演習の何回目かでは、小問ごとではなく、数学の長い証明問題のように一気に結論へ向けて論証してみる」と良い訓練となるだろう。本学の志望者は問題集や他校の過去問演習の際も、常に答えだけを求めるのではなく、上記の点を意識して記述の答案を書くようにしよう。

推奨テキスト

教科書(各出版社)

教科書はなければ合格できないというものでもなく、これさえマスターすれば合格というものでもない。しかし、教科書が入試の出典の原点であることは強調し過ぎということはない。入試の基準としての教科書は、手の届くところにキープしたい。各種公式・法則の導出過程やさまざまなカラーの図式・写真などだけでも相当の価値があるだろう。

『セミナー物理基礎・物理』(第一学習社)
または『リードα物理基礎・物理』(数研出版)
または『実戦 物理重要問題集2016-物理基礎・物理』(数研出版)

『セミナー物理』は、定番の教科書傍用の問題集。教科書の例題とともにこの基本問題をマスターするのが一つの段階。とても良い問題集だが、市販されていないのが難点。ネットなどで「解答付き〇〇円」など法外な値段で売られているに飛びつくよりは、『リードα』でも十分だ。

『重問』も大定番の市販問題集。セミナーやリードの基本問題が大丈夫なら、こちらを始めてもよい。少しずつ入試問題も更新されていて、しっかりとした内容だ。

『物理のエッセンス(力学・波動および熱・電磁気・原子)』、
『良問の風』(河合出版)

または『漆原の物理(物理基礎・物理)明快開放講座』(旺文社)

教科書と上記の二つの問題集を理解するために必要な「物理の思考回路」を磨くための参考書兼問題集が物理のエッセンス。文字通り、一言一句、エッセンスというべき内容が凝縮している。名著と言えるが、エッセンスだけに行間を埋めてくれるチューターがいた方が良いかもしれない。医学部の物理を攻略するために必要な、物理的なものの見方、思考回路を開いてくれるだろう。『エッセンス』と並行しながら、『良問の風』を解くとよいだろう。『漆原の物理』は原則的に本質に迫るというよりは、解法をわかりやすくパターン化してくれるタイプ。『エッセンス』と『漆原の物理』は受験物理への異なるアプローチだ。どちらが向いているか、実際に手に取って確かめよう。

『物理標準問題精講』

『漆原の物理 最強の88題』(旺文社)

『Z会 物理 入試の核心 標準編 100題』(増進会)

『名問の森』(河合出版)

だれしも過去問演習をやりながら、苦手な単元や問題にぶつかるだろう。そんな時は、類題を5題探してやると良い。その中でも典型的な良問がセレクトされ、ていねいで的確な解説があるのがこれらの本。『標準』が難しければ、同シリーズの『基礎』でもよい。これらは類題ピックアップのためであり、全問解くためではない。

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