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2012年度 都立高校入試結果 まとめと分析

実質倍率94年以降で最高     −不合格者は大部分が併願する私立へ−

都立入試は今年も激戦だった。全日制一般入試(一次・分割前期)の実質倍率は1.42倍。現在の入試制度に変わった1994年以降で最高の値を記録した。
チャレンジスクールなど、定時制単位制等を含む不合格者数は1万3千人を超えている。推薦入試を含めて、志望校調査で都立を第一志望とした生徒の約4人にひとりが涙をのむ厳しい入試となった。

女子の合格率70%を割る

今春の都内公立中学校卒業予定者数は、昨年より2千人余り(約2.9%)増えて75,668人に。公私連絡協議会では、都立42,200人(前年比1,040人、約2.5%増)、私立28,500人(同据置)の就学計画をまとめている。都立は普通科(学年制旧学区)の29校で、各校1学級ずつ、計29学級を増やして対応した。
しかし、都立志望者は、それ以上に増えている。グラフのように、4、5年前まで毎年9千人前後だった全日制一般入試の不合格者数は、09年に1万1千人台に増え、その後も大きく減る気配がない。今年の不合格者数は、男女計12,568人(産業技術高専を含む)で、一昨年とほぼ同じ人数に上っている。
実質倍率は1.42倍(男女計)と、1994年以降で最高だった一昨年の1.41倍を0.01ポイント上回った。男女別には、女子が1.43倍とさらに伸び、停滞する男子を抜いている。女子の合格者数の受験者全体に占める割合(合格率)は69.97%と、初めて70%台を割り込んでいる。

チャレンジスクールなど昼間定時制等の不合格者を加えた不合格者総数は13,702人で、志望校調査で都立を第一志望とした生徒(含昼間定時制、55,451人)の24.7%、約4人にひとりが一般入試(一次・分割前期)までに、合格を決めることができなかった。
二次・分割後期の募集人員は1,164人。このうち二次募集は、島嶼部を除くと、成瀬の7人と晴海総合の12人だけ。応募者数は1,716人で、倍率は1.47倍。1994年以降で最低だった。
一般入試の不合格者のほとんどが、併願する私立に流入したとみられる。

不合格者数と実質倍率グラフ

「無理を避け、無駄を省く」

推薦入試の募集人員は合計10,809人、全日制募集総数の約26%にあたる。今年の応募者数は31,201人。応募倍率は2.89倍で、2年続けて低下している。なぜだろうか。
学力検査を課さない選考の仕方に批判が高まって、昨年から「小論文または作文」の導入が進んだ。また、今年から文化・スポーツ等特別推薦に中学の校長印が必要となった。それらのことが、倍率低下の原因か?調べてみたが、そうではなさそうだ。
というのは、「小論文または作文」を導入した学校が、必ずしも導入前より応募者を減らしたわけではない。また、文化・スポーツ等特別推薦の応募倍率は、昨年→今年で1.94倍→2.05倍と上がっている。むしろ、高倍率校が減っていることから、「無理を避け、無駄を省く」、受験生の志向の変化が原因ではないか。

推薦倍率2010~2012年度

普通科(学年制旧学区)の倍率下がる

一般入試では、応募倍率と受検倍率が1994年以降で最高だった一昨年に並んだ。不受検率と辞退率は、過去最低だった昨年の記録を更新している(下表)。
学科別の受検倍率では、学級増の集中した普通科(学年制旧学区)が前年より下がり、普通科(単位制)や専門学科が上がった。昨年→今年で上昇幅が大きかったのは、科学技術科…1.18倍→1.89倍、国際科…2.03倍→2.30倍、芸術科…1.31倍→1.72倍、福祉科…1.44倍→1.72倍など。
昨年→今年の受検倍率を旧学区別に調べると、男女ともに1~3学区でアップ、5~10学区でダウンしている。とくに1~3学区では、男女とも1994年以降で最高の値をマーク、私立志向の高い地域でも都立受検者が増えていることが分かる。

一般入試 応募倍率と受検倍率等グラフ

男子の「2極化」 女子の「強気」

一般入試の不合格者数は、昨年より863人(男子385人、女子478人)増えている。 増加は、どの学力レンジで起きたのか。下のグラフでは、学力レンジごとの不合格者数と実質倍率の推移を調べ、男女別に示した(単位制など男女一括募集の学校では、不合格者数を男女別に集計した)。
入試を行った全日制全校(176校、帰国子女入試を除く)を、模試(進研Ⅴもぎ)の合格基準でA~Eの5つのレンジ(A‥800点以上、B‥700~800点、C‥600~700点、D‥500~600点、E‥500点未満)に分け、レンジごとの不合格者数の合計を棒グラフで、平均実質倍率を曲線のグラフで描いた。
基準は前年の結果で決まるため、レンジごとの学校数は毎年増減している。例えば、男子のCレンジの校数は、昨年→今年で34校→41校に7校も増えている。そのため、Cレンジでは不合格者数が昨年より336名増えたが、受験者数も約900名増え、実質倍率は昨年と同じ1.41倍だった。学力中位では、基準が上昇しても同じ学校を受検する者が多く、不合格者がまとまって増える傾向がある。

棒グラフの不合格者数は、男女ともに学力中位のCレンジが大幅に増えている。しかし、その他のレンジでは、増減に男女の違いがある。男子では、AとEの増加が目立ち、女子ではAとBが増えている。一言でいえば、男子の「2極化」、女子の「強気」ということになる。確かに、男子は普通科からさらに基準の低い工業科などへ移動したことが考えられる。しかし、女子にはそうした受け皿が少なく、下位の多くは初めから私立に流れたようだ。
女子の「強気」には、別の見方もある。都立は今年、全校で水増し合格者数を絞った(水増率は22年から2.0%→1.9%→1.4%と低下)。多くが私立に抜ける上位校や男女別緩和校では、女子の合格者が減った。上位の実質倍率の上昇は、ここに原因があるという見方だ。実質倍率のカーブの形がさほど変わっていないことから、これも有力な見方で、分布の模様は昨年同様と考えて良いだろう。

男女別不合格者数と実質倍率グラフ

高校受験でリベンジ

昨年減少した進学指導重点校の受検者数は、今年、大幅に回復している。一昨年からの受検者数は、男女合計で3,299 人→ 2,994人→ 3,206人で、一昨年のレベルには届かなかったものの、前年比212人の増加は5年間で最多。今年は、西の増加が大幅だった。昨年→今年で受検者数が増えた学校の順では、

  1. 西……受検者数123人増、( 男子)98人増、( 女子)25人増
  2. 戸山…受検者数59人増、( 男子)35増、( 女子)24人増
  3. 国立…受検者数48人増、( 男子)22増、( 女子)26人増

となる。

日比谷も30人増、実質倍率は男子が2.15倍、女子が1.78倍と高い値。昨春の大学合格実績が広く評価されたことが大きいだろう。私立、国立を振って、都立に進学するという形が、一部ではトレンドになっている。
節電を理由に、生徒の発案で文化祭を一般公開しなかった青山は43人減。もともと隔年の増減があり、09 年→ 10 年には58 人減っている。影響は少なかったといえる。八王子東は男子が増え、女子が減った。立川は男女ともに減少。
今年、重点校受検者の減少に歯止めがかかったのは、4年前のリーマンショックに遠因があるのではないか。今年の高校受験生が中学に入学したのは09年春。中学受験を経験した者のなかには、08年のリーマンショックの影響で、学校を上位校に絞って受験、高校受験でリベンジをと考えた者もいるだろう。今年、重点校の上位に受験生が集中したのは、そうした理由によるのではないか。

進学指導特別推進校(小山台、新宿、駒場、町田、国分寺)の受検者数は、男子が2年連続して減少、女子も今年は減少した。毎年、上位の重点校と下位の推進校からの出入りがある。
重点校と比べて、女子の合格率が低いのが特徴で、今年も不合格者数が女子だけで100人を超えた学校が、新宿(173人)、小山台(103人)、駒場(100人)と3校もあった。大学合格実績の伸長が受検者増に結びついている学校が多い。

進学指導特別推進校の受検者数と合格率

変化のサイクルと「見える形」

現在、進学指導推進校は14校。三田、国際、豊多摩、竹早、北園、墨田川、小松川、城東、武蔵野北、小金井北に加え、2010年5月、江北、江戸川、日野台、調布北の4校が追加指定された(データには指定前の4校を含む)。09年→10年の伸びは、中3生の増加と経済変動によるもの。今年は、前年比146人増(14校、男女計)と、追加指定後2 回目の入試で、ようやく指定の効果が出た。
14校のうち、増加数が最も多かったのが江北の81人増(昨年247人→今年328人)。同校は、一昨年の一般入試で欠員6人を出し、二次募集を行っている。一昨年からの実質倍率は、男子1.01倍→1.17倍→1.35倍、女子0.99倍→1.06倍→1.24倍。指定後の伸びが目覚ましいが、どん底から這い上がって来られたのは、指定前に進めていた学校改革のおかげだ。
700点台がほとんどの推進校で、同校の今年の合格基準は男女ともに630点。推進校中、最も低い基準だ。指定をきっかけに学校に注目し始めた受験生や保護者が、同校を訪問したり、学校の様子をHPで覗いたりするうちに、受検に至ったことは想像できる。このレベルで、昨年の大学入試で「早慶上智」19件、「MARCH」44件合格という結果は、かなりの成果といえる。
都立には、「改革→成果→指定→受検者増加」のサイクルがうまく回り始めた学校が増えた。改革が短期間で途切れたり、成果がほとんど出なかったりと、まだまだの学校も多いが、受験生や保護者に「見える形」で変化の様子を伝えた学校が伸びているようだ。
進学指導重点校、進学指導特別推進校、進学指導推進校の指定は、2012年度でひと区切りとなる。今年中には新しい枠組みが示される見通しだ。

募集を行った中高一貫校は、大泉、富士、白鷗、両国、南多摩、武蔵、三鷹の7校。今春は、大泉、富士を中心に受検者が増え、合格率は男女とも過去最低に。来年度から、南多摩、三鷹が募集停止、大泉、富士が学級減となる予定だ。

推進校、中高一貫校の受験者数と合格率

不合格者の多い学校

5年前、全日制都立一般入試で、不合格者が男女合計100人以上の学校は23校あった。その後、29校→36校→41校→38校と増え、今年は一昨年と同じ41校だった。
左の表には、不合格者の多い学校をまとめた。普通科(学年制旧学区)は男女別に50人以上、単位制や専門学科等では100人以上、定時制では80人以上の学校をピックアップし、レンジごとに不合格者の多い順に並べた。

普通科(学年制旧学区)男子のAレンジには、進学重点校7校と特別推進校2校が入っている。
前年より増加したのは、青山を除く進学重点校6校。13ページのグラフで見るように、男子は最上位の受検者数が伸びて、不合格者数も増えている。
西の不合格者数は162人で昨年より100人増えた。実質倍率は2.15倍に急伸。昨年の反動が出た形だが、不合格者数、実質倍率ともに、同校では1994年以降最高となった。

Bレンジでは、昨年最高倍率2.31倍を記録した三田が、今年も2.28倍と人気を保っている。現1年生には勉強時間の「日課表」への記入を義務付けて、平均家庭学習時間を約2時間に延ばしている。
北園は山好きの校長先生が、長野県伊那市や信州大学の支援を得て「信州北園プロジェクト」を立ち上げ、「タフな人間力を育てる」森林保全奉仕合宿など、独自のキャリア教育を進め、受験生保護者の支持を広げている。

普通科(学年制旧学区)女子のAレンジには、男子とほぼ同じ学校が並んでいるが、上位の不合格者数は男子より少ない。前年比20人以上増加したのは、戸山、国立、西の3校で、いずれも昨年の倍率が低めだった。

普通科(男子)実質倍率と不合格者数

利用しやすい併願を

今年は、前年に低めの倍率だった学校への受験生のまとまった移動が目立った。目黒の女子、大泉の男子、向丘の男子、高島の男子、小平南の女子など、前年の実質倍率が1.2倍台の学校で不合格者が増えたケースが多い。同じような合格基準なら、安全を見て前年倍率の低い学校を選ぶ。それが倍率上昇につながった。
高倍率で、さらに伸びているのが、広尾、文京、武蔵丘、杉並、石神井、本所、鷺宮など。受験生を引き付ける何かがある学校だ。

男女ともに、B~Dレンジで倍率が伸びている学校の共通点は二つある。ひとつは進学対策の充実。もうひとつは生活指導の転換。違反を取り締まる指導から、部活と勉強が両立できるよう生徒の生活をコントロールする指導への切り替え。
ただし、大事なことは、この二つがきちんと噛み合い、血の通った指導が実現していること。
それには、生きた人間の「自分はこうしたい」「こうあるべきだ」という強いメッセージが必要だ。左の表にあるような学校の説明会では、そうしたメッセージを、校長先生から受け取ることがある。

単位制等では、国際、産業技術高専、多摩科学技術など、資格や仕事に直接結び付く専門性のある学校に受験生が多く集まった。
定時制では、チャレンジスクールなど、昼間に通える定時制の人気は変わらない、一時に比べ、倍率はやや落ち着いてきた。

公立中学校卒業予定者の増加で、都立の不合格者は来年以降も増える。しかし、分割後期以外の二次募集は年々少なくなり、中学では私立への併願を強く勧めることになる。今後は、利用しやすく、分かりやすい併願システムを示した私立が、多くの生徒を獲得するだろう。

普通科(女子)実質倍率と不合格者数

情報提供:安田教育研究所

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