2012年度入試 学費は応募者数に影響したか?
ご家庭の財布事情が厳しくなる中、私立高校入試に学費の影響は見られたのだろうか。そのことを調べるために、昨年末、都の生活文化局から発表された「私立 高校の初年度納付金」がとりわけ高い学校(100万円以上)、とりわけ安い学校(80万円未満)について、応募者数の前年比の増減を調べてみた(非募集校 は除く)。
高くても影響なし
初年度納付金が100万円以上の学校について、応募者数増加、応募者数減少、横ばいに分類したものが下の表である。
初年度納付金100万円以上は、特別な科をのぞいて大半が付属校である。それも併設大学への内部進学率が高い学校がほとんどである。そうでないケースは桐朋のみ。
中学受験の場合は、将来外部の大学(国公立大学)への進路選択の余地を残しておきたいという心理が働き、付属校は今年は軒並み応募者数減少であった。が、高校受験の場合は、本人に高校受験で頑張ってすぐ大学受験はキツイという心理があるので、そうはならなかった。
調べる前に想定していたことと違って、減少校より増加校のほうがずっと多いという意外な結果だった。学費の高さは応募状況にまったく影響しなかったことになる。
では、学費が低いことは応募者増につながったのであろうか。初年度納付金80万円未満の学校について同様な表を作成してみた。
こちらも、増加校が25校だったのに対し、減少校は21校と際立った結果にはならなかった。男女校で増加校の比率が若干高いと言えるくらいだ。学費が高いことがマイナスに働かなかったことと同様、学費が安いこともプラスには働いていない。
ただ、女子校については、下記のような結果が見られた。
初年度納付金が少なくてすむベスト5に絞ってみてみると、
すべて増加という結果が出た。ここまで安い(安いということが知られている)と、応募者数に影響があるが、全般的には今回調べる前に想像していたほどには影響していなかった。
情報提供:安田教育研究所