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都内私立高校—数字で見る受験生の動き 受験者数の減少 ようやく止まる

需要が増え、供給が減る

今春、高校募集した都内にある私立の全日制高校は184校(男子校…28校、女子校…51校、共学…105校)。男子校の攻玉社、女子校の麹町学園女子、東京女学館、跡見学園(帰国子女)が非募集となり、昨年より4校減っている。高校募集を行わない学校は49校と、都内のすべての私立、233校の2割を超えた。

募集人員の総計は37,196名。昨年より459名、約1.2%減った(男子校37名、女子校102名、共学320名減)。4年前の08年と比べると3,300名以上減少している。
一方、都内の公立中学校3年生の数は、昨年12月の時点で、男子39,852名、女子35,816名の合計75,668名。前年より男子が約1,200名、女子が約900名、あわせて2,100名ほど増えている。増加率は、男子3.1%、女子2.6%、合計で2.9%。近県でも、埼玉…2.9%、神奈川…2.1%、千葉…3.1%と、いずれも前年より増加。3県合計で4,800名近く増えている。需要(受験生)は増え、供給(募集人員)は減ったという状況だった。

そのなかで都内の私立高校の受験者数は、近年で初めて、前年の数を上回っている。
今春の受験者数は92,573名で、昨年より700名余り多い。集計では、08年に10万名を超えていた受験者数が、昨年は91,846名と、9万名を割り込むレベルまで減り続けていた。
歯止めはなぜ掛ったのか。また、今年、受験生がこれまでより多く集まったのは、どの入り口だったのだろうか。

募集人員・受験者数・実質倍率

★学校数、募集人員、卒業生数は公式発表の値。受験者数と実質倍率は、㈱進学研究会から提供を受けた資料から安田教育研究所が集計して求めた値。上の表では、帰国生募集の学校や、データが不十分な学校を除き、定時制の中央大学高校と高等専門学校のサレジオ高専を加えている。

一般は、受験者増でも実質倍率低下

下の図のグラフでは、推薦・一般の受験者数と実質倍率の推移を示した。
推薦受験者(短い棒)は09年→10年に、いわゆる「B推薦」の適正運用から、大幅に減ったが、昨年→今年では25,934名→25,866名と、約70名の減少に止まっている。
一方、一般受験者(長い棒)は、10年に急増の後、再び減少、昨年→今年では65,912名→66,707名と800名近く増え、差引700名強の前年比増となった。
実質倍率の折れ線は、推薦(低い線)ではほとんど変化がなく、一般(高い線)では、受験者の増減にかかわらず、08年から一定の割合で低下している。
実質倍率は、受験者数を合格者数で割って求めるため、受験者数が増えた昨年→今年では、合格者数がそれ以上に増えたと考えられる。

推薦一般別(受験者数・実質倍率)

校種別受験者数と倍率

08年→12年で、高校募集を行う都内の私立校は192校から184校に、8校減っている。募集人員はトータル約3,300名の減少。校種別に調べると、男子校が約1,100名減、女子校が約2,300名減だが、共学校は、わずか22名しか増えていない。
下の図では、推薦プラス一般の受験者数(棒グラフ)と実質倍率(折れ線グラフ)の推移を、校種別に示した。
男子校では、受験者が減るにつれて実質倍率も低下。募集人員の減少以上に受験者が減っている。女子校では、10年→11年→12年の学校数が58校→54校→51校と急減。10年以降は、受験者が減っているが倍率は上昇。受験者数の減少は、男子校ほど進んでいない。
共学校では、09年→10年に、学校数が98校→102校と増えたが、募集人員は中学開設などの影響でほぼ横ばい。受験生の都立志向と支援金施策による近県回帰で、大規模併願校などの受験者数は伸び悩んでいる。歩留り率の低下を見込んだ合格者数の増大が倍率の低下を招いている様子だ。

男子校、女子校、共学校別倍率

偏差値レンジ別の増減

調査対象の183校を「Vもぎ」の合格基準偏差値でA~Eの5段階に分け、昨年と今年のレンジごとの受験者数(推薦プラス一般)を2本の棒グラフに、前年比を曲線のグラフで描いた(特進などで複数の合格基準を持つ学校では、もっとも高い偏差値をその学校の値とした。A…63以上、B…58~62、C…52~57、D…46~51、E…45以下)。

全体の受験者数の合計は、昨年が91,797名(今年非募集の学校を除く)、今年が92,573名。約0.8%増加している。各レンジ別の増減は、A…約3%減、B…約5%増、C…約2%減、D…約11%増、E…約1%減で、BレンジとDレンジが増加、他は減少している。

昨年より受験者数を増やした順で、具体的な学校名をあげると、①桜美林(B)533名増、②多摩大目黒(C)379名増、③拓大第一(B)376名増、④東京成徳大(A)257名増、⑤中大杉並(A)223名増など。A、Cレンジに増加幅の大きい学校が並ぶが、中学開設で高校募集を減らした八王子(A)の912名減や、昭和第一学園(C)の619名減など、減少幅の大きい学校も同じレンジに多くあるため、前年比減となっている。

男子校の受験者数の合計は10,873名で、昨年より200名以上増えている。受験者数の多い大学付属校や進学校がAレンジに集まっている。Eレンジは、学校数が少ないため、前年比が極端に低くなっている。全体的にやや低調。

受験者数を増やした順では、①足立学園(B)186名増、②明大付属中野(A)176名増、③日本学園(C)150名増、④城北(A)114名増、⑤自由ヶ丘学園(D)50名増など、募集人員を増やした学校が増やしている。
逆に、実業系の募集を中止した安田学園(B)の191名減や、早大高等学院(A)の79名減、一時的に移転している京北学園白山(E)の70名減が目立っている。

女子校の受験者数は全部で12,481名、昨年より約400名増えている。男子校とは反対に、Aレンジの学校が少ない。そのAレンジが増やしている。

増加順では、①慶応義塾女子(A)112名増、②鶴川(E)90名増、③潤徳女子(D)64名増、④十文字(A)63名増、⑤立川女子(E)57名増と、最上位と下位が目立つ。
2年連続して高校募集減となった文京学院大女子(C)の94名減や、震災の影響か、他県からの流入が減っている蒲田女子(E)の90名減などが大幅だった。

105校と全募集校の6割近くの学校がある共学校は、今年のCレンジの受験者数だけで25,000名以上と、男子校と女子校の全レンジの合計数を上回っている。
受験者数の合計は69,219名で昨年より150名以上増えている。A~Cレンジに大規模併願校が多く、受験者も桁はずれに多い。グラフでは、昨年→今年で、受験者がA→Bに移動したようにみえる。

増加順では、全体で多かった桜美林、多摩大目黒、拓大第一、東京成徳大、中大杉並に続いて、⑥錦城(A)198名増、⑦修徳(C)184名増、⑧国学院久我山(A)179名増、⑨工学院大付属(B)175名増、⑩朋優学院(C)174名増、⑪杉並学院(C)173名増、⑫明星(C)164名増、⑬東京実業(E)147名増、⑭大成(C)141名増、⑮八王子実践(C)137名増など。
反対に減らしたのは、前に述べた八王子のほか、中大附属(A)346名減、中央大学(A)190名減、明大明治(A)176名減、順天(A)143名減、明大中野八王子(A)119名減など。ほとんどが、Aレンジの大学付属校だった。

ここまでで、次のようなことが分かった。(1)推薦一般では一般が800名増えた。(2)校種別には、男子校が200強、女子校が約400名、共学校では150名増えた。(3)レンジ別にはBとDで増えた。(4)校種×レンジでは男子校と女子校のAレンジ、共学のBレンジが増えた。同時に、受験者数の推移をレンジ別にみると、受験生の学校選択の基準は、意外に、大きくは変わっていないことも分かった。

レンジ別グラフ

特進コースという「切り札」

今春、特進コースの募集を行った学校は76校、全体の4割を超えている。募集人員は11年→12年で、3,632名→4,101名と増え、受験者数も、11,780名→13,389名と増えている。
受験者数をA~Dのレンジで昨年と比べると、各レンジ別の増減は、A…約12%減、B…約36%増、C…約17%増、D…増減なしとなった。

昨年より受験者数を増やした順では、①八王子実践…(特進)582名増、②日大鶴ヶ丘…(特進)2回546名増、③成立学園…(特進S類)205名増、④藤村女子…(総合[特進])特待165名増、⑤杉並学院…(特進)142名増など。
グラフでも、B、Cレンジの伸張が非常に大きい。しかし、特進コースの受験者は増えたが、それ以外のコースの受験者が、特進コースの増加数以上に減っているという学校が多い。特進コースは募集の「切り札」だが、その後の指導を充実させて、初めて成功といえるのだろう。

レンジ別グラフ(特進)

各校の受験者数と前年増減

下の表では、受験者数の動きを各校ごとにまとめた。学校名のとなりの列では、上段に男子校、女子校、共学校の区別を、下段に、進研「Vもぎ」の合格基準をA~Eの5つのレンジで示した。
特進などで複数の合格基準を持つ学校では、もっとも高い偏差値をその学校の値とした(A…63以上、B…58~62、C…52~57、D…46~51、E…45以下)。
右端の列では、上段で前年からの増減を、下段では前年比をパーセントで示した。
帰国子女のみ募集を行う学校やデータの揃わない学校は割愛した。

各校の受験者数と前年増減のグラフ1

各校の受験者数と前年増減2

各校の受験者数と前年増減のグラフ3

各校の受験者数と前年増減のグラフ4

各校の受験者数と前年増減のグラフ4

 受験者数の増減から受験生が移動したと想像できるのは、

  1. 東洋、東京、東亜学園⇒朋優学院、多摩大目黒、実践学園、杉並学院。このうち多摩大目黒は、併願優遇の基準を2ポイント下げ、募集人員を130名から150名に増やしている。
  2. 明治学院⇒桐蔭学園、日本女子大付属。桐蔭学園は試験日を移動している。
  3. 東海大高輪台、都市大等々力、日大桜丘⇒日大鶴ケ丘(普)、宝仙学園(理数インタ—)。日大鶴ケ丘は(普)に併願推薦を導入。
  4. 八王子⇒工学院大附属、桜美林、八王子実践、明星、杉並学院
  5. 昭和第一学園⇒大成
  6. 中大附属、八王子(文理特進)⇒中大杉並、法政大学、錦城、拓大第一などがある。

昨年からの受験者の増加を、前年比の大きい順に並べると、①トキワ松学園…279%、②桜美林…214%、③淑徳SC…197%、④多摩大目黒…197%、⑤明星…180%、⑥小野学園女子…168%、⑦戸板女子…160%、⑧新渡戸文化…159%、⑨玉川学園…152%、⑩聖徳学園…149%となった(受験者数50名以上)。

募集の少ない学校でも大きく伸ばすときがあり、こうした学校が増えて行けば、減少に歯止めが掛ることにつながるだろう。
今年、受験者を多く集めた学校を、校種別に並べてみると、
男子校では、①早大高等学院…1,889名、②明大付属中野…961名、③城北…636名、④開成…622名、⑤目黒学院…607名などの順になる。女子校では、①立川女子…715名、②白梅学園…668名、③豊島岡女子…652名、④潤徳女子…600名、⑤慶応義塾女子…574名など。
共学校では、①昭和第一学園…2,064名、②八王子…1,926名、③拓大第一…1,913名、④八王子実践…1,718名、⑤関東第一…1,705名、⑥朋優学院…1,665名、⑦國学院…1,605名、⑧早稲田実業…1,588名など。
大学の付属校や大規模併願校、進学校が多いが、やや地元に止まる動きも感じられる。

ところで、今春の大学入試では、都内で高校募集を行っている私立高校の躍進が著しかった。07年→今春で、G-MARCH合格件数を増やした順に並べると、
本郷…148名→267名、国学院久我山…174名→280名、東京農大第一…16名→91名、青稜…47名→107名。これらの学校は50名以上増やしている。
また、かえつ有明…0名→42名、広尾学園…1名→28名、東洋…11名→31名、豊島学院…1名→14名、桜丘…2名→17名、成立学園…4名→22名、駒込…8名→19名、東京女子学園…3名→13名、多摩大目黒…13名→20名、正則…1名→6名など、少ない人数から徐々に増やす学校が増えている。

情報提供:安田教育研究所

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