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どこが変わる? 何が起こる? 都立の推薦入試

4月に都立高校の推薦継続を決めた都教育委員会は6月14日、来年度の推薦入試の「実施方針」を定め、公表した。「実施方針」とは、入試の目的、検査方法、人員枠などを示すグランドルール。これに基づいて、各校が入試要項=ローカルルールを決めることになる。その内容から、推薦入試がどう変わるのか、それによって、どんな変化が起こるのか考えてみた。

推薦継続に至るまで

「実施方針」は例年、前年入試の検証をもとに作られる。しかし今回は、4年近い定例会での議論と、推薦入試の改善のために設けられた「入学者選抜制度検討委員会(第Ⅱ期後半)」の報告をベースにまとめられた。
制度検討委員会の報告書は未発表だが、4月に公表された「推薦に基づく選抜の基本的な考え方について」に、検討内容の骨子が示されている。そこでは、現在の制度が抱える課題として、次の4点が挙げられている。

(1)検査方法について

推薦入試では、学力検査ではみることの難しい思考力・判断力・表現力等や目的意識・意欲・リーダーシップ、適性などを評価することとしているため、面接に加え、小論文・作文や実技検査を実施することが望ましい。しかし、小論文・作文・実技検査実施校は70校と、少数にとどまっている。

(2)面接点の分布について

面接点の分布が、特定の範囲に偏っている学校がある。このような学校では、面接において受検者の能力・適性、目的意識や意欲、興味・関心、表現力等をきめ細かく評価することができていない。

(3)総合成績に占める調査書点の割合について

総合成績に占める調査書点の割合が高い学校が多く、例えば普通科では、60%以上の学校が125校中97校、77.6%を占めている。このような学校では、仮に面接点が特定の範囲に偏らず分散して分布していたとしても、事実上、ほぼ調査書点によって合否が決定されている。

(4)対象人員枠について

総合学科高校など新しいタイプの高校については、学校の特色や特性を中学生や保護者、都民に広く周知し、根付かせるという観点から対象人員枠を上限50%としてきたが、その役割は既に果たされた。そのため、20%を基本としている普通科を含めて対象人員枠の割合の上限について見直す必要がある。

「基本的な考え方」では、「こうした点の改善を図ったうえで(推薦入試を)実施する」としている。しかし、これらは報告を待つまでもなく以前から指摘されていたことで、むしろ教育委員の不満は、掛け声だけに終わる「改善」にあった。
長い議論に終止符を打つきっかけとなったのは、中学で今年から実施された新学習指導要領だった。
新学習指導要領では、「基礎的・基本的な知識及び技能を確実に習得させ、これらを活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力その他の能力を育むとともに、主体的に学習に取り組む態度を養う」としている。
一方、今回示された「推薦(入試)の目的」では、「基礎的な学力を前提に、思考力、判断力、表現力等の課題を解決するための力や、自分の考えを相手に的確に伝えるとともに、相手の考えを的確に捉え人間関係を構築するためのコミュニケーション能力など、これからの社会にあって生徒たちに必要となる力を評価し、選抜する」と、推薦入試を新しい学力を評価する選抜の方法として、積極的にとらえている。
コミュニケーション能力の評価が「集団討論」の全校実施を生むなど、厄介な問題になりかけた点が逆に、推薦入試の目的を明確化すると同時に、さまざまな改善策に息吹を与えるかたちとなった。

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具体的な変更点

以下、前に掲げた課題に対する改善策の順に変更点をまとめてみる。

(1)検査方法について

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選抜方法のうち「その他学校が設定する検査」とは、つばさ総合が実施している「発想表現力検査(絵や写真、図形、キーワードなど、与えられた素材から一点を選び、文章等で表現する)」や、科学技術の「壁新聞作成」などがあるが、採点等に手間がかかることもあり、多くの学校が「小論文又は作文」に落ち着きそうだ。

これまでの面接に加えて、集団討論も全校実施となった。

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ただしこちらは、「原則として」全校で実施するとしている。「 エンカレッジスクールは、学び直しの意欲等を個人面接で問うことから、集団討論の実施については任意とする」、「 実技検査に長時間を要する専門学科の高校は、東京都教育委員会と協議の上、集団討論を実施しないことも可とする」とある。
実施時間が1日に収まらない芸術系の学科などでは、これまでも入試日を2日間とする学校があった。このため、来年の推薦の試験日は1月27日(日)・28日と発表されている。「小論文又は作文、実技検査等」と「集団討論」が原則全校実施となる来年度入試では、実技検査をしない学校でも、推薦入試が2日間となる学校が増えることが予想される。
中学校や塾等では、「小論文又は作文」と「集団討論」への対応をどう進めるか、早くも準備を始めるところも出ている。

(2)面接点の分布について

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面接時間、1対1、1対3などの形式、絶対評価か相対評価かなど、9月には教育委員会から公表されるようだ。

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「評価の観点」とは、平たく言えば、どんな質問や課題を出すのか、そのうちどう答えるといい点がもらえるか、などを事前に各校が公表するというもの。これは必見。というか、各校がどういった表現で、どこまで公表するかが興味深い。
「得点分布を、学力検査等得点表の送付時期に合わせて、各都立高校のホームページで公表する」というのも、思い切った内容だ。
各検査のくくり方をみると「集団討論」と「個人面接」は「・」で結ばれていることから、二つでワンセットとして扱われそうだ。これに「小論文又は作文」等を加えた2セットについて、4月半ばまでに、各都立高校のHP上に得点分布を公表することになった。「改善」が掛け声だけに終わらないよう、皆で監視する仕組みを設けたということだ。
これによって、高校は各検査で序列が生まれるよう、相対評価を取り入れることになるだろう。「小論文又は作文」はともかく、「集団討論・個人面接」の採点が難しそうだ。

(3)総合成績に占める調査書点の割合について

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調査書点の割合の上限を50%とすることで、「事実上、ほぼ調査書点によって合否が決定されている」状況は変わる可能性がある。ただし、受験生が学校選びで目安とするのは、一般入試における合格基準であり、これに準じて推薦受検しているという現状から考えると、一挙に変わることはないだろう。また、合否が一層読みにくくなることから、推薦入試を避ける動きが出る恐れもあるだろう。

(4)対象人員枠について

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20%と30%と二分されたが、今春の定員で計算すると、推薦の募集人員は千名近く減ることになる。一方、その分一般入試が増えることになるため、併願利用を含む私学への応募者は増えると考えられる。受験生の多くが、作文等の準備を行うことから、私学推薦へのアクセスが向上する可能性もあるだろう。

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情報提供:安田教育研究所

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