学習院中等科 入試対策
2025年度「学習院中等科の理科」
攻略のための学習方法
学習院中等科の理科の出題は、塾のテキストや問題集で学習していれば解答可能な問題が中心であるが、時事問題を中心に細かい知識を問う問題が含まれている。また記述問題も出題されることが多い。分野毎の学習方法は以下の通りである。
<分野毎の学習法>
生物分野
本年は昆虫についての出題で、細かい知識を問う問題が含まれていた。ここ数年の出題を見ると、生物をヒントに作られたもの、豆やイモなどの植物の育ち方、生物の進化とからだのつくり、鳥のからだのつくり、動物のからだのつくりや生態について、昆虫などの節足動物について等の出題が見られる。やや長めのリード文や図・データを読み取った上で答える問題が中心になっている。この分野の学習法として、植物については、光合成、呼吸などの基本的な知識を身につけておきたい。また、昆虫については、チョウ、セミ、バッタ、トンボといったような代表的な昆虫のからだのつくり、食べ物、冬越しの方法といった基本知識を確実に覚えて欲しい。動物の分類やセキツイ動物に関してもしっかり知識を整理しておきたい。
なお、学習の際には、図鑑や資料集などの写真、絵を確認しながら進めて欲しい。
地学分野
本年度は大問2で水の循環について、大問4では昼と夜の長さを中心に天体に関して出題され、この分野の比重が高い入試であった。ここ数年では、天体、地層と火山灰、気象、地震と災害、川の流れの働きと自然災害、地球の歴史と環境問題、大陸の移動、化石などから出題されている。自然災害に関連する出題が多いことには注意が必要である。今後は、気温の変化・台風など気象に関する出題、地層や岩石に関する出題、月の満ち欠けに関する出題も予想される。この分野においても、基本知識を確実に覚えることが大切である。天体については、現象の理屈を理解した上で覚えて欲しい。
物理分野
今年度は浮力と力のつり合いに関して出題され、問題文やデータの読み取りが大きな意味を持つ内容であった。ここ数年では、物の運動・てこのつり合い・浮力など力のつり合いに関しての出題が多い。中でも、今年度も出題された浮力に関する出題が特に多い。また、電気回路についての出題も見られる。この分野の学習として、力のつり合いに関しては基本知識を固めるとともに、てこのつり合いや浮力等の計算問題の練習をしっかり行って欲しい。電気回路については、豆電球の明るさを中心に、発光ダイオード(LED)、手回し発電機、電磁石、方位磁針の振れ、電熱線の発熱についても基本的な問題は確実に解けるように練習して欲しい。
化学分野
本年度はこの分野からの出題はなかった。近年では、ものの溶け方、塩分濃度、気体の性質と環境問題、水溶液の性質、水の三態変化などに関する出題が見られた。この分野の学習法としては、まずは、水溶液や気体の性質、指示薬の色の変化など基本的な知識を確実に身につけて欲しい。水溶液と金属の反応、金属の燃焼、溶解度、熱量(カロリー計算)等に関しては簡単な計算問題が解けるように練習すること。
上記以外では、時事問題が毎年必ず出題されている。ニュースになっている化学的発見や発明、ノーベル賞受賞者とその内容、日食や月食等の天体現象、地震や台風など自然現象、環境問題について、時事問題対策用のテキストや問題集を使って対策をしっかり行って欲しい。
模試や過去問演習は、まだ仕上がっていない分野を見つける絶好のチャンスでもある。できていない問題については、なぜ間違えたのかの分析をしっかり行い、苦手分野の克服につなげて欲しい。苦手分野の確認や克服に関しては、家庭教師を有効的に利用してもらいたい。
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2025年度「学習院中等科の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問4題と時事問題の小問集合で、小問数が28。試験時間は40分で80点満点、例年通りであった。記号選択問題が中心だが、かなり細かい知識を問う知識問題が多い。また、記述問題がやや多いことも本校の理科出題の特徴。試験時間が40分あるので、慌てることなくできる問題から解答用紙を埋めていくことを心がけて欲しい。
【大問1】小問集合 時事問題
- 難度:標準
- 時間配分:5分
- ★必答問題
① 2024年に観測された太陽表面での爆発的な現象は太陽フレア。
② 小型月面着陸実証機SLIMは、誤差100m以内の制度の高い着陸に成功した。
③ 2024年のノーベル生理学・医学賞は、マイクロRNA分子の発見に対して授与された。
④ 2024年の8月、南海トラフ地震臨時情報が政府から呼びかけられた。
例年通り大問1は時事問題の小問集合であった。日頃から科学のニュースに興味をもっているかどうかが問われる内容。ご家庭内でニュースを見る、その内容を家族で話をする、といったことが大切である。なお、直前期には時事問題対策用テキストを利用して学習することも有効である。
【時間配分目安:5分】
【大問2】地学分野 水の循環
- 難度:標準
- 時間配分:9分
- ★必答問題
問1 記述問題。安全な水とは、有害な物質などで汚染されていない水。
問2 赤道に近い地域ほど太陽高度が高くなる。太陽高度が高いほど、同じ面積が受ける太陽からの熱が大きくなる。
問3 地球上での水の循環は、気温の変化を和らげている。
問4 砂漠地帯のように高度が高く降水量の少ない地域は、水循環の恩恵が少ない。また、高度が高く雲の上に出ているような地域でも、水循環の恩恵が少ない。
問5 時事問題。降雨が少ないために流れが少なかったことから、特定の場所で菌が増えたことが原因とされている。
問6 12×3より、使用量は36L。
問7 6Lを節約して0.2Lにすると5.8Lの減少。従って、家族3人、朝と夜、1か月で考えると、0.25×5.8×3×2×30より、261円の節約。
水の循環に関する出題。記述問題や本校らしい時事問題も含まれている。問7の計算問題は問題文に書かれてある条件をしっかり読みさえすれば難しくない。時間は十分にあるはずなので、問題文の読み取りをていねいに行おう。
【時間配分目安:9分】
【大問3】物理分野 浮力・力のつり合い
- 難度:標準
- 時間配分:10分
- ★必答問題
問1 問題文より、おもりの重さが20g増える毎に、底面までの深さが1㎝ずつ増えていることがわかる。従って、おもりの重さが60gのときは、10+1×3より、13㎝となる。
問2 おもりの重さが30g増える毎に、底面までの深さが1㎝ずつ増えている。4㎝増えているので、おもりの重さは30×4より、120g。
問3 底面までの深さが15㎝のときを考えればよいので、20×(15-10)より、100g。
問4 60gのおもりを板の真ん中に乗せたので、2つの支点にはそれぞれ30gずつ重さが加わる。支点の重さも考えると、直方体Aには70gの重さがかかるので、10+1×70÷20より13.5㎝。直方体Bには80gの重さがかかるので、10+1×80÷30より小数第2位を四捨五入して、12.7㎝。
問5 直方体Aは20gで1㎝ずつ、直方体Bは30gで1㎝ずつ底面までの深さが増えるので、直方体Aと直方体Bにかかる重さの比を2:3にすればよい。おもりと支点の重さの合計が150gなので、直方体Aにかかる重さを60g、直方体Bにかかる重さを90gにすればよい。支点の重さを引いて考えると、おもりの重さのうち20gが直方体Aに、40gが直方体Bにかかることになる。従って、直方体Aの支点からおもりまでの距離は、24×2/3より16㎝、底面までの深さは13㎝となる。
問6 底面までの深さが15㎝になるときが最大の重さなので、直方体Aには100gまで、直方体Bには150gまでかけてよい。支点の重さを引くと、Aには60g、Bには100gまでかけてよいので、最大のおもりの重さは160g。また、そのときのAの支点からおもりまでの長さは、24×5/8より、15㎝。
浮力と力のつり合いに関する出題。前半は浮力を中心とした出題内容だが、アルキメデスの原理を知らなくても、問題文や表の読み取りで対応できるようになっている。後半の力のつり合いについて考える問題はやや難度が高くなっている。特に、問5・問6では比を用いた処理ができるかどうかが明暗を分ける。比を使った処理が苦手な場合は、問題集等を使った練習に取り組もう。
【時間配分目安:10分】
【大問4】地学分野 天体(昼と夜の長さ)
- 難度:標準
- 時間配分:9分
- ★必答問題
問1 昼の長さが最も長い日は夏至、最も短い日は冬至。
問2 記述問題。①地球の公転、②地軸の傾き、以上2点を盛り込んだ内容にすること。
問3 「1年間の昼と夜の長さ」のグラフなので、横軸は月日、縦軸は時刻を表している。
問4 グラフを選択する問題。春分~夏至~秋分の期間は北の地域ほど昼が長い。逆に、秋分~冬至~春分の期間は南の地域ほど昼が長い。
問5 地軸の傾きがなければ、地球が公転しても、昼の夜の長さは12時間ずつで変化がおこらない。
問6 南半球では、太陽は東から上り、北の空を通り西に沈む。南緯15度では、90-15より、北の空の高度75度が最も高い高度になる。
問7 満月は冬至の日に最も高くまで上がり、夏至の日は最も低い高さまでしか上がらない。こては、知識として知っておきたいが、図から判断しても、太陽の高さ(夏至が最も高く、冬至が最も低い)とは逆になることがわかる。つまり、9月は、その中間くらいの高さまであがることになる。また、9月は空気が澄んでいて、月がくっきり見える。
昼と夜の長さを中心とした天体に関する出題。基本的な知識に基づいて考えれば解答可能な問題が中心。問6では、南半球での太陽の動きについて問われているが、南半球・赤道上・北極・南極での天体(太陽・星・月)の動きはしっかりと押さえておきたい。
【時間配分目安:9分】
【大問5】生物分野 昆虫
- 難度:標準
- 時間配分:7分
- ★必答問題
問1 アリ・チョウ・カブトムシ・ホタル・ミツバチ・ウスバカゲロウは完全変態、カマキリ・トンボ・コオロギ・キリギリス・ゴキブリは不完全変態の昆虫。
問2 やや判断に迷う選択問題。虫とり網でつかまえることが難しくなるという説明から、個眼の数が多いと、広い範囲を見ることができると思われる。
問3 昆虫の幼虫の食べ物を選択する問題。アゲハチョウ-ミカン科の植物の葉、セミ-木の樹液、トンボ-水の中の小さな虫や魚、ホタル-水の中の巻貝など、モンシロチョウ-アブラナ科の植物の葉、である。
問4 昆虫の羽に関する選択問題。ハエ・アブ・カの羽は2枚であることを覚えておこう。
昆虫に関する出題。かなり正確な知識を問う問題や、判断に迷う選択問題も含まれる。その中で、問1の完全変態と不完全変態を区別する問題は確実に正答して欲しい。また、昆虫など生物の学習においては、図鑑などのカラー写真をみながら行うことを心がけて欲しい。
【時間配分目安:7分】
攻略のポイント
今年度の出題は時事問題を集めた小問集合と大問が4題で昨年と同様であった。基本~標準レベルの問題が中心であるが、時事問題は選択問題でありながらやや難度が高く、各大問の中にも細かい知識を問う問題が含まれている。
本校の理科を攻略するためには、まずは、各単元をまんべんなく学習し、基本的な知識を確実に身につけることが最も大切である。
時事問題対策も必要である。日頃から科学や自然に興味を持って接することが大切だが、入試直前には塾や書店で時事問題対策のテキスト・問題集を手に入れ、理科に関する部分をしっかり読み、内容を理解して欲しい。
記述問題についても、直前期にしっかり練習したい。
時事問題対策や記述問題対策については、家庭教師に相談することも必要であろう。
志望校への最短距離を
プロ家庭教師相談
学習院中等科の科目別
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