早稲田大学高等学院中学部 入試対策
2025年度「早稲田大学高等学院中学部の算数」
攻略のための学習方法
本校を目指そうと思ったとき、皆さんは本校の入試問題に対してどのようなイメージをお持ちだろうか。なんとなく難しそうと思うかもしれないが、具体的なイメージはしづらいのが現実ではないだろうか。これは、他の難関校に比べると情報量が少ないことが主な原因だろう。
学習法の話題に入る前に、おおよそのイメージを持っていただきたいので、早稲田中・早稲田実業中との比較をしつつ、早大学院の特徴を簡単に述べておくことにする。
早大学院の場合、早稲田中・早稲田実業中よりも、問題量は少ないが、問題の難易度は高い傾向にある。早大学院の平均点は公式には公表されていないが、低めであることが予想される。また、早大学院の問題は、年度によって難易度に大きな差が見られる。このため、難易度の判断力と取捨選択能力も必要になる。
おおよそのイメージをつかんでいただけただろうか。この文章を読むことで、かえって不安に感じたかもしれない。
しかし、どの受験生も同じ条件で入試に挑むので、できることをしっかりやっていくしかない。少なくとも、早大学院に特化した模試は多めに受験することで、現状把握をする機会は多く作っておくようにしたい。
それでは、具体的に学習法を述べていくことにする。
計算練習
本校では、計算問題は必ず出題されており、複雑な計算問題も見られる。通常の計算問題は、一般的な計算問題集で対応できるが、本校では特殊な計算問題や慣れ・不慣れの差が出やすい問題も出題されている。可能であれば、ある程度古い過去問にも目を向けたいところ。
平面図形の対策
出題率が非常に高く、あらゆるジャンルから出題されている。また、難易度が高めの問題も少なくない。角度など、6年生になると手薄になりがちな分野にも注意したい。経験の差が出やすい分野なので、多くの問題に触れておくことが重要である。また分野によっては、早い時期から難易度の高い問題に取り組むことができるので、指導者と相談しながら学習を進めるとよいだろう。
立体図形の対策
立体切断の問題が多く、難易度は高めである。入試で完答するには高難度の問題演習が必要となる。しかし、高難度の問題演習まで行う場合、かなり時間がかかるので、各自の学習状況と相談しながら調整をするようにしたい。まずは、標準的な問題をきちんと正解できる状況を作っておき、差をつけられないことを優先したい。
調べ上げ問題の対策
本校では、手を動かして調べていく必要がある問題が頻出である。このタイプの問題は、とにかく慣れてしまうことが一番の対策となる。過去問に多く触れることで、このような問題に取り組む機会は自然と増えるので、本校の過去問にはなるべく多く触れておきたい。
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2025年度「早稲田大学高等学院中学部の算数」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
50分という試験時間に対して、大問数が4、小問数が18と問題数は多くはないが、大問1の中の小問も含め、処理に時間のかかる難度の高い問題が多く、試験時間はかなり短く感じられるであろう。できる問題の取捨選択と、正解できる問題はミスなく得点していくことが求められる。過去問などを使って、時間も意識した演習を十分に行う必要がある。
【大問1】小問集合
- 難度:標準
- 時間配分:14分
- ★必答問題
(1)
①計算問題 分母・分子ともに大きな数の足し算。まずは落ち着いて約分を。
②計算問題 整数・分数・小数混合の□を求める問題
(2)割合の文章題 1年ごとに1円未満が切り捨てになることに注意。
(3)平面図形 角CDBが90度であることから、DはMを中心とした円周上にあることを利用。
(4)平面図形 3個並んでいる正方形の真ん中の正方形の上下に同じ大きさの正方形を描き加え、正方形の数を5個にする。この5個の正方形の面積が対角線60㎝の正方形の面積と等しくなることを利用。
大問1は例年通り計算問題と小問集合。(3)の平面図形の問題は難度が高い。直角⇒円周上の点、が結びつかないと正答は難しい。(4)は同様の問題の経験値によって難度が変わる。(1)の計算問題、(2)の文章題も易問ではないが、他の問題の難度を考えると、ここは正答しておきたい。
<時間配分目安:14分>
【大問2】条件整理・数の性質
- 難度:やや難
- 時間配分:12分
- ★必答問題
(1)書かれてあるプログラムの手順に従って計算すること。
(2)3桁の3つの数字の最大の数と最小の数が等しいとm=0となる。従って、最大の整数は999である。
(3)最大の数の百の位をx、一の位をzとすると、x-zの値が0か1の時はA(n)=0、x-z=2~9ではA(n)=495となる。従って、A(n)=nとなるのは、495だけとなる。
(4)B(n)=2となるのは、x-z=1か8の場合のみ。従って最大の整数は998。
(5)同様に考えると、B(n)=3となるのは、x-z=4か7の場合のみ。従って最大の整数は995となり、A(995)=495である。
数の性質を使って条件整理をして考える問題。まずは、問題文に書かれてある「プログラム」を理解することがポイント。次に、プログラムに従っての調べ上げが必要となる。条件が複雑なので、処理に時間がかかるが、慌てることなく落ち着いて計算して欲しい。
<時間配分目安:12分>
【大問3】速さと比
- 難度:標準
- 時間配分:12分
- ★必答問題
(1)全体の長さを7倍にして計算して、計算の煩雑さを軽減すること。2つある半円それぞれの弧の長さを計算すると440m。A君の速さとB君の速さの比が10:7なので、A君が1140m走ったとき、B君は1140×7/10より798m走る。最後に7で割り、114m。
(2)A君が2280走ってスタート地点に戻ったとき、B君は1596m進み、長方形の左下頂点から456mの地点にいる。2人のいる地点を線で結び2つに分けると、半円+三角形と半円+台形に分かれる。長方形の面積比を計算すると11:70であることを利用して計算すること。
(3)
①A君が進んだ距離を⑩とするとB君が進んだ距離が⑦なので、差の③がトラック1周となればよい。③=2280より、⑦を計算し7で割ると760mとなる。
②まずは差がトラック1周となった時の2人の位置を求めること。その後はA君の速さと君の速さが15:14となる。その後の2人が1周にかかる時間を計算し、2人のスタート地点を通過する回数を調べればよい。
速さと比に関する出題。提示された数値を用いて計算してもよいが、計算の煩雑さを軽減するための工夫をして欲しい。(3)①までは、正確な計算さえできれば十分に正答可能な問題。(3)②はさらに計算が複雑になり、処理に時間がかかる。これは捨て問と考えてもよい。
<時間配分目安:12分>
【大問4】立体図形
- 難度:難
- 時間配分:12分
- ★必答問題
(1)立方体の頂点8箇所を切ることにより新たな面が8個できるので、面の数は合計14となる。
(2)
①立体Pにおける最も頂点間の距離は、もとの立方体の正方形の面の対角線の長さと等しい。正方形1つの面の面積が72㎠なので、対角線×対角線=144。従って、ABの長さは12㎝。
②問題文のABの方向動かす長さの12㎝が①答えと一致している点がポイント。立体Pを2つAB方向に並べて結んでできる立体をイメージすればよい。6㎝の辺が20本、12㎝の辺が2本、18㎝の辺が4本となる。
③問題の意図を理解し切断面を描くことが非常に難しい問題。正答率は極めて低いと思われる。
立体図形の問題。(1)は本校受験者にとっては易問。(2)①までは正答して欲しい。(2)②以降は問題に書かれてある状況をイメージし図に描くことが難しい。特に(2)③は手を出さなくてよい。
<時間配分目安:12分>
攻略のポイント
小問集合と大問3題という例年と同じ問題構成。試験時間の50分に対して問題数は多くないが、処理に時間かかる問題が多く、すべての問題を処理するのは困難である。解答すべき問題の取捨選択が重要である。小問集合も決して易問と言える問題はないが、大問に難度の高い問題が多いので、長時間かけることなく確実に処理したい。3つある大問はいずれも条件が複雑であり、整理・計算に時間がかかる問題ばかりである。そんな中でも、各大問の前半には十分正答可能な設問もあり、各大問の(1)の正答は必須である。
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