早稲田大学高等学院中学部 入試対策
2025年度「早稲田大学高等学院中学部の社会」
攻略のための学習方法
[形式・分野]
大問数5~6・小問数50前後というのが、早大高等学院中のほぼ決まった問題構成となっている。
大問の内、3~4問は500~1000字ほどのリード文を読んでから答える設問で、残りは1問1答や長文記述などが割り当てられる。用語記入と記号選択では用語記入の方が多い傾向。年度によって異なるが、1行記述や50~100字ほどの記述問題が2~4問出されるのも通例である。
分野別では地理・歴史にウェイトが置かれ、政治経済分野はやや少なめの出題となっているが、他の分野に紛れて出題されたりするので、この分野も手を抜いてはいけない。
基本事項を問う問題も多いが、小学校の社会では覚えない事柄や、なかにはテキストや資料集などに載っていないデータを考えさせる、いわば「社会科的センス」を問われるような難しい問題も見られる。
問題数も多く、文章量もあるので、迷うことなくてきぱき答えていかないと時間が足りなくなる。内容も濃くスピードも必要なヘビーな試験となっており、高い実力が要求される。
[地理分野]
国土と自然、各地域の農林水産などの産業、人口統計を用いた問題などが過去よく出題されている。また、地域の特色に焦点を当てた問題が多いのも特徴である。「○○が××である都道府県」を選ぶ問題や、例えば2018年度年では「おろし」や「だし」という局地風をもとにした問題が出されている。その県や地域について、断片的でなく総合的に正確にイメージできるくらい、よく理解していないといけないのである。
各地の地形と気候、それに基づく産業の特色など、地図や白地図、統計資料などで体系的に整理して覚えるようにしたい。
[歴史分野]
各時代からまんべんなく出題され、大きな偏りは無い。人物・位置・できごとについてまずは基本事項を押さえる。そして年表などで、「誰が」「どこで」「何をして」「その結果どうなる」というようなつながりをまとめるようにすれば、より実践的な知識が手に入る。
史料をもとに考えるような設問も見られるので、資料集の図版などは見慣れておくようにする。
[政治分野]
他の分野と比べると出題量が少ないが、日本国憲法や三権の仕組みと働きなどの基本駅事項を中心として、国際連合や日本と関連の深い国々についても目を通しておかねばならない。
時事問題もニュースで話題になったことなど、注意して見ておく。
[記述問題]
記述問題は、用語や出来事を説明するものから、統計史料の数値を比べてその意味を問うもの、ある歴史の史料から当時の人々の考えを推測するものなど、いろいろなパターンで出題されている。地理分野の記号選択問題や時事問題にも言えることだが、本校の問題には、与えられたデータの意味を読み取ってそこから考えられる理由や結果を問う、といった少し難度の高いものが見られる。
また、知識があるのは当然として、その自分の持っている知識を利用して、普段はあまり見慣れない資料の意味を考えなければならないといった問題もある。まずは、各分野の基本的・重要な事項の問題を落とすわけにはいかないので、ミスしないようにしっかり定着させておく。その上で、それらの知識を活用して、ニュースや新聞で見たさまざまな出来事の背景や他への影響などを考えてみる。
「自分は中学生である」くらいの意識で社会的な出来事への関心を持っていないと、高得点は望めないテストであろう。ただし、極端な難問・奇問ではないので、あくまで正確なまとまった知識を身につけて少し深く考える習慣をつける、このような訓練を積み重ねて欲しいということである。
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2025年度「早稲田大学高等学院中学部の社会」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
総解答数51問と多めであった。適語記入の問題が多く、1~2行程度の記述が2問出されている。長文の記述問題は無かったが、書く分量が多いので時間的に大きな余裕はない。
選択問題・適語記入は出来るところを速やかに終え、時間がかかりそうな問題は残った時間であきらめずに取り組もう。
【大問1】地理分野
- 難度:やや難
- 時間配分:5分
統計データを読み取る問題。
問1 総面積の大きさから、アは新潟県、イは岐阜県と考えられる。ウとエでは、山間部も多く可住地面積が狭いと考えられる埼玉県がエ、残るウが茨城県である。
問2 商業活動は人口が多い地域ほど活発であることから、アは東京都、次に多いイとウは大阪・愛知のいずれか、もっとも少ないエが神奈川県であろう。
〔ワンポイント!――地理分野の選択肢問題であっても、単純な知識だけでは答えられない。統計資料などで得た基本的なデータをもとに考える必要がある。勉強が単なる暗記にとどまらないよう、思考力を養うよう努力しよう。〕
<時間配分目安:5分>
【大問2】地理分野
- 難度:標準
- 時間配分:13分
- ★必答問題
平野や盆地を題材に、各地の産業や特徴などについて訊かれている。
各地域は、A和歌山県・B山形県・C兵庫県・D長野県・E宮崎県についてである。
問1 A. ク B. イ C. オ D. ウ E. コ
問2 B. 庄内平野 C.兵庫県北部にある、コウノトリ最後の生息地として知られる豊岡盆地
問3 A. 和歌山平野ではなく、南部の南紀白浜地域に空港がある。
問4 (1) 鶴岡市 (2) 松尾芭蕉 (3) コウノトリ (4) フォッサマグナ(大地溝帯) (5) 松本
問5 箪笥に適しているとされる桐で作られる紀州箪笥は和歌山県の伝統工芸品となっている。
問6 秋から冬にかけて旬で、和歌山県でミカンとともに生産が盛んな柿。
問7 ウの奄美大島。絶滅は完全に滅ぼすこと・根絶やしにすること。根絶も同じ意味で使われるが、マングースの場合は奄美大島において全て駆除したというだけで、種としては他の地域で生息しているので、絶滅と区別したのであろう。
問8 保存食は乾燥させたり強い塩分に漬けたりして菌の繁殖や腐敗を防ぐ。乾燥させるなら冬の乾燥した風が適しているので、クが合う。
<時間配分目安:13分>
【大問3】歴史分野
- 難度:標準
- 時間配分:7分
- ★必答問題
専制政治と合議制を話題に、各時代の人物・出来事などについて訊かれている。
問1 ウ. 摂政と関白の立場が逆である。
問2 政治の意思決定機関として評定衆(ひょうじょうしゅう)を、執権の補佐役として連署を設けた。
問3 足利尊氏は京都を、新田義貞は鎌倉を攻め落とした。
問4 長歌の形式で建武の新政を茶化して批判した二条河原の落書(らくしょ)。
問5 ア. 8代ではなく、3代。ウ. 南朝から正統の天皇が出ることはなかった。エ. 日宋貿易ではなく、日明貿易。
問6 馬借の暴動に端を発し、民衆を巻き込んで京都にまで及んだ正長の土一揆や、国人や農民が協力し守護による支配を排除した山城国一揆などが挙げられる。
問7 老中
問8 大老井伊直弼が暗殺された桜田門外の変。
〔ワンポイント!――本校の試験のひとつの特徴として、地理に難しい問題が多めで、歴史は比較的に基本的な問題が多いことが挙げられる。それだけに歴史分野での不正解は影響が大きくなるので、しっかり実力をつけておこう。〕
<時間配分目安:7分>
【大問4】歴史分野
- 難度:標準
- 時間配分:7分
- ★必答問題
江戸時代後期~現代までの出来事や人物について訊かれている。
問1 ドナルド・トランプ
問2 アヘン戦争はイギリスと清の間で起こった戦争で、イギリスが勝利した。
問3 外国人が日本で犯罪を起こしても罪を問うことができないので、日本の安全が脅かされる恐れがある。
問4 南北戦争はアメリカの北部と南部の間で起こった奴隷制度などをめぐる内戦で、北部が勝利した。
問5 イギリス
問6 モース
問7 後の津田塾大学となる女子英学塾を開いた津田梅子。
問8 セオドア・ルーズベルト
問9 ウ
問10 サンフランシスコ
問11 日米安全保障(条約)
<時間配分目安:7分>
【大問5】現代社会分野
- 難度:標準
- 時間配分:8分
- ★必答問題
表現の自由を話題の中心として、憲法や政治のしくみについて訊かれている。
問1 アは平等権、イは社会権の中の生存権、ウは社会権のなかの教育を受ける権利についての条文である。
問2 表現の自由は憲法第21条に規定されている。
問3 X. ウ Y. ア
問4 「民主政治にとっても大切である」とあるので、国や地方自治体の情報を請求できる「知る権利」が当てはまる。
問5 ウ
問6
● 弾劾裁判で罷免された裁判官は、戦後では8人いる。
● 裁判員は量刑の判断にも関わる。
問7 A. 並立 BとC. 千葉・埼玉(順不同)
問8 10月1日の国会は前内閣の総辞職を受けて緊急国会が召集され、石破内閣が成立。10月9日に衆議院を解散、10月27日に衆議院議員総選挙が行われ、11月11日に開かれた特別国会で再び石破内閣が成立した。
問9 メディアリテラシー
〔ワンポイント!――現代社会分野でもやや難しい問題が多めである。直近の社会的な出来事など、重大ニュース集などを活用して、やや細かい事項までよく理解しておきたい。〕
<時間配分目安:8分>
攻略のポイント
地図を使った問題がよく出されている。統計や表を読み取って考える問題も多い。類似問題を多くこなしてよく練習しておこう。
問題数の多さや知識だけでは答えられない記述問題など、時間がかかる部分も多いのでスピードが必要とされる。基本事項のマスターは当然として、記述問題への対応なども高いレベルで求められる。出来事の原因を考え結果を推測する思考力を養おう。
社会科のすべての範囲で高い実力が求められる試験なので、十分な準備をして臨むべきである。
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