医大・医学部受験プロ家庭教師 圓井先生
指導実例インタビュー

圓井先生
指導実例インタビュー

圓井先生

圓井先生

東京大学卒

合格実績(五十音順)

愛知医科大・岩手医科大・大阪医科大・川崎医大・金沢医科大・関西医科大・北里大・京都大・京都府立医科大・杏林大・近畿大・久留米大・慶應大・埼玉医科大・産業医科大・自治医科大・順天堂大・昭和大・聖マリアンナ大・筑波大・帝京大・東海大・東京医科大・東京医科歯科大・東京慈恵会医大・東京女子医大・東邦大・東北大・獨協医大・日本大・日本医科大・兵庫医科大・弘前大・福岡大・藤田保健衛生大・北海道大 他多数

チェックテストで英語の総合力を上げ京都大学医学部に見事合格!

男子T君の場合

指導を始める前の状況

■指導開始時期: 高校3年時4月~
■指導科目:       英語 
■指導回数:       週1回(1回2時間)

 

T君は高校2年の終わりの時点で、他の理数系科目や国社に比べ英語の偏差値が60台に乗らない状態で伸び悩んでいました。高校3年になるにあたり、その他科目とのギャップを埋めたいと考え、英語の家庭教師に依頼しようと思ったとのことでした。

彼はどちらかと言うと寡黙で、器用なタイプではありませんでしたが、内に秘めた情熱とポテンシャルは接していてひしひしと感じられる好青年でした。英語に関しての問題点は、英文法の大まかな理解はしていても、初めて触れる英文に接した時に、正確な構文把握をした上での読解ができず、その原因が自覚できていないことでした

T君は中学1年生の時に、すでに京都大学医学部進学を目指すという目標を設定していたようです。そのきっかけは、幼少期からの持病を数年にわたって治療し完治させてくれた担当医師の出身校だったからだと教えてくれました。

指導内容

T君との初回授業で強く感じましたのは、単語・熟語の知識にかなりばらつきがあることでした。つまり、基本・標準・上級の知識が混在していて、その力がまとまっておらず、欠落が散見されたのです。その状態ではいくら真面目に英文法などに取り組んできたとしても、理想的な言語運用能力を身に付けることは叶わず、勉強するほどにもどかしさが募るものです。長文読解がうまく進まないのも、そうした根本的なボキャブラリー不足によるものと判断しました。

こうした問題点を踏まえ、学習方針としては、単語・熟語チェックテストを毎回厳格に範囲指定の上で行うことを大前提とし、並行して文法、例文暗記、和訳、作文、長文読解テキストも進めていき、ミクロ・マクロ両レベルでの英語の総合力を、バランスをとりながら伸ばしていく、という形を提案しました

授業では、担当し始めました高校3年4月から夏休みまではその形でコンスタントにテキストをこなし、秋以降志望校の赤本に取り組む、という計画を立てて実行しました。

 

学習状況の変化と合格までの成績推移

■成績推移 : スタート時偏差値56(河合塾高2記述模試)→ 最高偏差値82

T君はそれまで単語帳や熟語帳をまとまって取り組んだことがなかったらしく、最初の1ヵ月は習慣化するのに苦しんでいましたが、毎回一定量のチェックテストを課していましたので、良い意味で「あきらめ」、2ヶ月目からは大体9割以上の得点をキープし続け、それを入試日程終了時までひたすら反復チェックしました。

また文法、和訳、作文、長文読解につきましては、毎回課題としてノート作成をしてもらい、授業ではそれを添削・解説する形で進めました。それぞれ次回に軽い復習チェックを口頭で行い、インプットできていない知識があればその場で覚え直しを促し、フィードバックしていきました。

こうした作業を夏休みいっぱいまで続け、9月に入って京大医学部と私大各医学部の赤本に取り組み始めました。そして12月末の段階では京大医学部の過去問でも、70から80%の得点を取れるレベルとなっていました

T君の英語の成績は、担当した時点では直近の高2河合塾記述模試の偏差値が56でした。その後の偏差値は、3回受けた高3河合塾記述模試で、60 →72 →84でした。秋の河合塾京大オープン模試では70、駿台京大実戦模試では72でした。また2回受けました駿台全国模試では、58 →74でした。

結果

■結果(進学先)  : 京都大学医学部
■結果(他の合格校): 慶応大学、東京慈恵会医科大学、日本医科大学、順天堂大学、昭和大学(全て医学部)

 

生徒とのエピソード

T君と授業をする中で、時々無条件に感動することがありました。それは、彼の口癖が「間違えて覚える」というものだったからです。間違えた瞬間に、その間違いから学び、即座に新たな知識にしようという気概あふれる宣言です。

新しい知識に触れたときに、誰でも何らかの違和感を覚えます。しかし、次の瞬間にただ嫌悪感となるか、あるいはそれをマスターするべく、何回繰り返してでも覚えようとするかで、その後のその人の真の知識量は変わってきます。そしてそれは、やや大げさに言いますと、受験生活での命運を分ける知的態度です。彼はもちろん後者のタイプでした。なぜ彼がコンスタントに成績を上げていかれたかと言うと、そうした知的謙虚さを一貫して貫いていたからに他ならないと確信します。そのブレなさは、寧ろこちらが見習いたいと思うくらい素晴らしいものでした。

教える立場の教師が、教えられる立場の生徒さんから教えてもらう。この逆説的な関係性の中に、教師でいられることの喜びを体感できました。

 

京都大学医学部を目指す受験生へのアドバイス

数ある大学入試問題の中でも非常に特徴的ですが、京都大学の英語の問題は和訳と作文が大半を占めます
基礎力トレーニングは当然のことですが、始めは簡単なものでもよいので、ある程度早い段階から和訳と作文のトレーニングも並行して行った方が、基礎インプット作業と相乗効果が出ると思います。特に作文トレーニングは1番後回しにされやすいのですが、取り組みやすい例文集などの暗記をコンスタントに行いつつ、短い作文から始めアウトプットし、出来れば他者に客観的に添削をしてもらう練習も早期にする方がよいでしょう。
するとその作文力が自信となり、ご自身の英語力にとっての骨格を自然と作ってくれます。そして残りの知識が増えれば増えるほど、自然と筋力も体力もつくのです。

 

苦手だった英語の論理的文章読解を見事克服。東京慈恵会医科大学に合格!

女子Sさんの場合

指導を始める前の状況

■指導開始時期: 高校3年6月
■指導科目:   英語
■指導回数:   週1回(1回2時間)

Sさんは高校2年生の時から大手予備校に通っていましたが、3年生になりしばらくすると、自分がもうすでに知っている文法知識や長文読解テクニックなどを長い時間かけて説明されることに疑問とフラストレーションを感じていたそうです。自分に必要なことに対する端的な答えと効率良い学習アドバイスを求めて、予備校をやめ家庭教師を依頼されたという経緯で授業がスタートしました。

Sさんは幼少期からずっとピアノを続けてきた、一見かなり大人しい生徒さんでした。高校1年になるまでプロを目指すかどうかずっと悩んでいたほどの実力の持ち主でしたが、医師になりたいとの思いを捨てきれず、2年生になった時から受験勉強に入られたとのことでした。

言葉少ない中にも、医学部合格への静かな情熱を感じられる雰囲気がありました。目標は小学校の時に入院経験のある東京慈恵会医科大学(以下、慈恵医大)でした。

指導内容

初回授業のチェックテストで、文法的な知識はある程度しっかりしておられ、熟語力も相応にあることがわかりました。単語力はそれらに比べややムラがありましたが、いわゆる客観テストは苦手感がそれほどないくらいでした。

ただ、長文問題で小説タイプのものは正答率が良かったものの、評論や硬めのエッセイなど論理的な文章になると急に読めなくなりパニックになってしまうことがあるとのことでした。ご本人の第一のご要望は、医学部受験英語で必須の論理的文章読解力を何とかして磨いていきたい、というものでした。

そこで提案しました学習方針は、そうした論文調の英文に毎日一題ずつ触れ、苦手意識を克服することを一番に考え、並行して基礎力もなまらないように単語・熟語・文法・例文チェックはコンスタントに進めていく、というものでした。また大抵の私立医学部で必要な2次試験の小論文対策のテキストもご紹介し、医学入門レベルの予備知識も日本語でインプットしてみてはどうでしょうかとアドバイスしました。

以上の点を念頭に置いて、実際に授業を進めていきました。

 

学習状況の変化と成績の推移

■成績推移: 開始時偏差値58(河合塾全統記述模試) → 最高時偏差値76

Sさんは小学生の時から小説を読むのが大好きで、高校に入っても1ヶ月に2、3冊は必ず読み続けるほどとのことでした。それが功を奏し英語長文読解でも小説問題は中学生の頃からほぼ落とすことがないほどだったそうです。しかしこの嗜好が逆に仇となり、論理的な文章でも小説と同じ感覚で読み進める無意識の癖が抜けず、受験レベルの文章になると太刀打ちできなくなっていました

そこで、まず同じ長文といっても小説と論文がいかに別物であるかを図解しました。
具体的には、次の三点を特に意識するようお勧めしました。
(1) いわゆるディスコースマーカー=長文読解の指標を強く意識すること、
(2) パラグラフリーディング=段落ごとのキーワード・キーセンテンスをチェックしながら読み進めること、
(3) スラッシュリーディング=文に切れ込みを入れながらリズム良く左から右に読み進めること、です。

最初の1ヶ月間こそ戸惑い混乱気味になりながらこの三点に取り組んでもらいましたが、2ヶ月目以降のある日から、何だかこれをやらないと損だとご本人が気づき、最終的に受験期には倍速以上の読解スピードになりテスト時の精度も格段に上がりました

10月から取り組みました私立医学部の赤本でも、慈恵医科大も含めほぼ80%以上の過去問得点率を維持されました。また、3回受けられた河合塾全統記述模試では、偏差値が58→67→76と推移されました。

結果

■進学先:   東京慈恵会医科大学
■他の合格校: 日本医科大学、順天堂大学、昭和大学、東京医科大学、杏林大学(全て医学部)

 

生徒とのエピソード

Sさんとの雑談で思い出深いものがあります。

授業中、自由英作文の抜き打ちテストを始めた時のことです。突然外でお隣の犬がワン、と一声鳴いたのですが、間髪入れずSさんが、「あの子の「ワ」はいつも「ソ」の音なんですよ、高いですね。」とぽつりと言ったのです。最初何のことか分からなかったのですが、絶対音感があっていろんな音の音階が反射で分かるとのことでした。部屋の古びた換気扇のノイズや洗濯機の脱水時など、生活騒音にも「ソ」が多いそうです。

逆に僕は、Sさんのこのシャープな芸術的感性が、ゆくゆく患者さんの病気の発見に応用されますようにと密かに願いました。

 

東京慈恵会医科大学を目指す受験生へのアドバイス

色々ある私立医学部の中でも、慈恵医大の英語問題は特に長文読解のテーマがユニークです。最新の国際時事問題からディープな医学論文に至るまで、幅広く特殊なものが出がちです。大抵の受験生の方にとっては初見のネタがくると思って臨む必要があります。ですが、過去問を5年分ほどやってみるとその「偏差」を体感できます。志望校として慈恵医大を考えている方であれば、普段から色々な話題の評論文が集められている長文問題集に馴染むこと、小論文の医学関連記事や新聞・ニュースの時事問題などもある程度意識しておくこと、そして過去問で上記の独自性を体感しておくことが、本番でのリスク回避対策になると思います。

とはいえ、どんな特殊な問題でも、基礎レベルの失点を重ねていては致命的です。単語・熟語・文法力の研鑽はいくらやってもいいものです。超一流のアスリートほど、最も当たり前な毎日の筋トレや単純な反復トレーニングの重要性を強調します。受験日程最終日までその意識も高く保ちつつ対策して下さい。

英文和訳と長文読解で成長を実感。産業医科大学に合格!

男子N君の場合

指導を始める前の状況

■指導開始時期: 高校3年5月~
■指導科目:       英語 
■指導回数:       週1回(1回2時間)

Nくんは高校2年生の終わりまで、自宅で学校の勉強を中心に英語学習を進めていました。学年での成績はまずまずだったのですが、外部模試を年度末に受けたとき、思いのほか数字が伸びないのに不安を感じ、自分の学習のペースメイキングをしてもらえる存在を探して、家庭教師に依頼することを決めたとのことでした。

部活は化学部で、週末には学校外の人たちとテニスをする明るい青年でした。多くを語るタイプではありませんでしたが、どこか芯の通った意志力を感じられる生徒さんでした。

目標は、社会に広く求められる医療人材育成で知られます、産業医科大学医学部合格でした。

指導内容

初回授業のチェックテストで、単熟語と文法の基礎はある程度しっかりされているのに比べ、英文和訳と長文読解の習熟度が低いように思われました。ミクロの知識はある程度あるのに、それをマクロの場で応用するトレーニングが不足していたようです。学校の先生の言う通りに真面目に英語に取り組んできたのに、なぜ模擬試験で長文が思うように得点出来ないのか原因がわからない、と打ち明けてくれました。         

そこで提案しました学習方針は、論文調の英文に毎日1題ずつ触れ着実に慣れていくこと、同時に基礎反復として単語・熟語・文法・例文チェックはコンスタントに進めていくことでした。また産業医科大学の医学英文対策の一環として、大抵の私立医学部で必要な2次試験用小論文テキストもご紹介し、医学入門レベルの予備知識も日本語でインプットしてみてはどうでしょうかとアドヴァイスしました

以上の点を念頭に置いて、実際に授業を進めていきました。

学習状況の変化と合格までの成績推移

■成績推移 : スタート時偏差値53(河合塾全統記述模試)→ 最高偏差値74

Nくんの以前の学習スタイルは、学校カリキュラムのみに合わせた基礎インプット中心でした。その几帳面で真面目な性格ゆえに、他の事は一切考えずに取り組んでいたとの事でした。おかげで文法問題など小問集合に対する対応力は充分ついていましたが、長文読解で和訳や内容説明等を求められたときには上手く対応できていませんでした。そこで適度な記述問題も含まれる長文テキストを採用し、論文調の文章に毎日1題ずつ取り組んでいっていただきました。その際、「読む前の心構え」として、次の3つを強調しました。

① 段落の出だしに数字を振っていく。
② But/However などの逆接語を中心に、文脈の流れを決める「ディスコースマーカー(指標)」に三角をつける。
③ 各段落の一文目と最終文に注目する。

それまで全くこうした作業をしてこなかったとのことで、慣れるのに1ヵ月以上はかかりましたが、気づけばこの習慣により、かなり高度な文章が来ても、ポイントは大体この辺にくる、と体感できたとのことでした。そばで見ていましても、授業開始時の「長文恐怖症」とも思われるほどのぎこちなさがみるみる解消し、これまでの細かく知っていた知識が融合されて、有機的に結びついていくことに喜びを感じてもらえました。

結果、10月中旬から取り組みました私立医学部の赤本でも、産業医科大学も含めほぼ80%以上の過去問得点率を維持されました。また、3回受けられた河合塾全統記述模試では、偏差値が53→63→74と推移されました。

結果

■結果(進学先)  : 産業医科大学
■結果(他の合格校): 順天堂大学医学部、国際医療福祉大学、東邦大学医学部、東京医科大学医学部

生徒とのエピソード

Nくんは化学部でしたので、時に「この間こういう実験をしました。」など楽しげに話をしてくれました。印象的でしたのは、液体窒素にバラを入れて凍らせるとガラスのように割れる様子をビデオ撮影したものを見せてくれた時です。普段あまり感情を表さないNくん満面の笑顔がアップになって、その動画は終わっていました。

またテニスもされていましたので、当時大活躍していました大坂なおみさんの話題で盛り上がった記憶があります。

産業医科大学を目指す受験生へのアドバイス

私立医学部の中では、産業医科大学の出題傾向は典型的な国公立大学の問題に近いです。和訳と作文の記述量が多いのです。また、文系理系問わず長文の話題は豊富で、医学論文も出題されます。ですが、「奇問」が連続しているわけではなく、細かく見れば基本を中心に聞いてくる出題で、「良問」と言えます。また100語程度の自由作文問題も出されますので、夏休みなど早い時期から例文暗記をしっかりした上で、できれば個人的に添削チェックしてもらいつつトレーニングを重ねていく必要があります

英文和訳と作文の記述形式に慣れてない人にとっては、相当大変に思われる出題ですが、問われているのはやはり基礎力です。単語・熟語・文法力の研鑽はいくらやってもいいものです。千里の道も一歩から。「習慣」を体に覚え込ませ継続していかれれば、気づけば自分でも想像できなかったような高みに到達することができます。

復習を想定した多層な授業展開で、杏林大学医学部に合格!

女子Aさんの場合

指導を始める前の状況

■指導開始時期: 高校3年6月
■指導科目:   英語オンライン指導
■指導回数:   週1回(1回2時間)

Aさんは長野県在住の高校3年生でした。高校2年生の4月から県内の予備校に通い始めていましたが、3年生になって、集団クラスでの授業内容が消化・未消化に関係なく進んでいく形式が自分に合っていないのではないかと考え、オンライン家庭教師をつけることにしたとのことでした。
高3の5月の第1回河合塾全国記述模試では、英語の偏差値は56でした。高2のときから私立医学部受験向けに他に数学と生物・化学を主に勉強されていましたが、中学時代には得意だった英語が高2後半から伸び悩んでいたとのことで、再び注力したくなったとのことでした。
ご本人なりに医学部受験情報を収集される中で、「英語を安定させる」ことが合格の必須条件だとする声が非常に多かったことも、家庭教師依頼の後押しとなったようです。

Aさんはバドミントン部で、県内でも上位に入るほどの実力の持ち主でした。
オンライン授業でしたので受験終了時まで直接お会いすることはありませんでしたが、画面越しに聞こえてくる声の通りや表情はいつも明るく、多少の間違いやよくないテスト結果でも「はい、次、頑張ります!」と、実に切り替えの速い子でした。英語の学習状況をヒアリングしましたところ、単熟語・文法の基礎的なインプットが確実に足りておらず、そこができてくれば長文などでも得点力が上がるはずだと思っています、という明快な自己分析をされておられました。

Aさんの将来の夢は、医学部に入学してきちんと医学を学び、地元の人たちの健康維持と治療に貢献できる医師になりたい、というものでした。

指導内容

体験授業のときに行いましたチェックテストの結果は、ご本人の自己分析通りと言っていいものでした。単熟語と文法は高校初級レベルからの見直しが必要でした。ですが、長文読解については、多少の難単語等があってもうまく解釈できて設問をクリアできる器用さはありました。
この状況を踏まえ、まず早急に基礎インプットの習慣をしっかりつけてもらうことを最優先に学習メニューを考えました。単語帳・熟語帳と例文暗記・文法問題集は、毎日必ず進めていかれるよう、スケジュール表にノルマを決め記入してもらいました。
授業開始が6月でしたので、夏休みの終わる8月いっぱいまでに、私立大学医学部受験に必須な土台づくりを徹底してやりましょう、と提案しました。

それまで予備校や自習でどうしても好きな長文読解ばっかりに取り組む学習スタイルだっただけに、最初は全く初めてのこうした基礎力強化方法に戸惑っていました。ですが、3週間目くらいから「慣れてきました。」と言ってもらえ、その後「数学とかがどんなに忙しくても、英語のインプットは毎日最低でも2時間はやっています。」と言ってもらえるほどになりました。

オンライン授業ではご本人の自発的な姿勢が比例して学習効果に反映しやすいものです。Aさんはまず全く新しい習慣を身につけて、とにかく中学以来伸び悩んでうずうずしていた英語に対する気持ちを晴らしたい、との一心で積極的に取り組んでいかれました。

また、オンライン指導ならではの作業として、画面共有して書き込みながら解説・吟味したものをスクリーンショットしてもらいました。ホワイトボードや写真共有をしながらリアルタイムで説明をしていますとき、ノートに書き写してもらうのが基本です。ところが、生徒さんによってはそのことに集中し過ぎてしまい、「理解」をおろそかにしてしまいがちなケースも多々あります。
ですので、しっかり聞いて理解して欲しい箇所では、「後でスクショしてもらうから、まず聞いてください。」と言って、解説を始めます。すると、生徒さんは理解にエネルギーを集中できます。その結果、授業終了時などに不意にそのポイントについて質問したときでも、きちんと覚えていてくれていることが多くなりました。その上で画面をスクリーンショットで保存しておいてもらえたら、後で見直せますし、適宜プリントアウトなどもできますので、効率良い復習材料にもなります。
ただリアルタイムであることのみならず、後の復習のことも想定した上で多層な授業展開をできるところが、オンライン指導の大きな魅力のひとつかと思います。

学習状況の変化と成績の推移

■成績推移: 開始時偏差値56 → 最高時偏差値73(河合塾全国記述模試)

「自分でもびっくりです!」8月下旬のある日の授業で、オンラインの画面が繋がった瞬間に、Aさんが開口一番こう叫びました。第2回河合塾全国記述模試を受けた結果、自己採点で70%近く取れている、と言うのです。記述模試ですから、自分では正解を記述したと思っても減点されるのが常です。良くも悪くもこの現実の目線から判断するのが私の仕事だと思い、昂るAさんに実際どの問題にどんな記述解答をしてきたのか、宿題として再現してもらっていましたので、逐一一緒に吟味してみました。すると、確かに本人の言う通りだったのです。
1ヶ月半ほどして実際に返却された結果は200点満点中137点、偏差値は65.5というものでした。5月の1回目が90点で偏差値56でしたので、私も一緒になって喜びました。「基礎がほんとに大事なんだなってやりながら思えて、楽しかったです。」「素晴らしい!でも、伸びるのはこれからだよ。」こう会話した記憶があります。

私立大学医学部受験では、現在、最も合格しやすい大学でも全科目総合偏差値で65をクリアしていることは必須条件です。杏林大学医学部はその中でも中堅校ですので、可能な限りそれを70超えにして、できれば得意科目で75以上を取れるくらいでないと、結果は出にくいです。喜ぶAさんと喜んでしまった私自身の内心を自制するべく、この数字を画面越しに突きつけました。「わかりました、3回目は70突破します。」こう宣言してもらって、その日の授業は終わりました。そして、2ヶ月後の10月に行われた3回目で、彼女は73に到達しました。

私大赤本に取り組み始めたのは、その3回目の試験が終わった後の10月下旬でした。すでに第一志望を杏林大学医学部に決めていたこともあり、まず5年前の過去問を解いてもらいました。私大医学部の英語の中でも、杏林大学は質・量ともに難易度は高い方です。第一回目は50%ほどの正答率でした。原因を精査しましたところ、それまでのカリキュラムにはあえて含めておりませんでした医学系論文での失点が目立ちました。そこで、頻出医学英単語リスト400語を送信し、毎週100個ずつマスターしてもらいながら、赤本演習も継続しました。結果、赤本3年目の時には70%近くの得点率となり、5年目では80%後半まで伸ばせることができました。他の志望大学の赤本も随時追加で取り組んでもらいましたが、軒並み75〜90%の得点をされる状態になりました。

英語の偏差値の推移としましては、3回受けた河合塾記述模試で56→66.5→73でした。

結果

■進学先:   杏林大学医学部
■他の合格校: 聖マリアンナ医科大学、獨協医科大学、東海大学医学部、久留米大学医学部

生徒とのエピソード

ある日の授業のことです。前半の基礎確認チェックが終わったところで、数分休憩しましょうか、と言いましたところ、Aさんがおもむろに黒い物体を食べ始めました。「それ、何?」と聞きますと、画面にアップで映し出されたのは…足のないタガメでした!「ウチの庭の池にいっぱいいるんです。お母さんが夕方とかに、取っておいで〜って言うので、網で取ってくるんです。で、脚をもいで油揚げにして塩を振りかけます。伊奈の名物です。」

反射的に私の脊髄が震えました。長野県南部は全国でも珍しい食虫文化がある地域だそうです。伝統的に貴重なタンパク源なのだそうです。「イナゴも美味しいですよ。佃煮です。虫は、人類の食糧危機の解決策です。」そう言いつつ微笑みながらAさんは、タガメを4つほどパクパク食べていました。

この子はやんごとなき女医さんになるだろうな、と直感しました。

杏林大学医学部を目指す受験生へのアドバイス

杏林大学医学部の英語は、60分の試験にしては問題量がかなり多いです。過去問演習をするときには、必ず時間を測ってタイムプレッシャーの中でトレーニンングしておく必要があります。
出題は文法・語法、語句整序、会話、長文と多岐に渡ります。特徴的なのは、長文問題にも文法問題にも医学英単語が出題される一方、注釈はほぼつかない、という点です。ですので、一般的な基礎力養成に加えて、予めある程度医学英単語や医系長文に馴染んでおく必要があります。とはいえ、全てが「奇問」というわけではではありません。近年合格最低ラインは非公表ですが、例年の私大医学部偏差値ランキングと問題の難易度からしますと、英語は70%以上を目安にしておくと良いでしょう。

ただ、基礎反復は受験日程終了時まで必ず続けるべきです。「小さなことの積み重ねが、とんでもないところにたどり着く唯一の方法である。」野球で有名なイチローさんの名言です。愚直なまでに謙虚に「あたりまえのこと」をひたすら反復する人こそ、真の実力を身につけ、確信を持って本試験に臨んで行かれます。
また、医学部に入った後の勉強は「文系」だと、入学後にみなさん口を揃えて仰います。受験勉強時の英語の勉強の仕方がそのまま医学部に入っても役立っている、と時折卒業生の方々からメッセージをもらうことがあります。受験している今の「1」の努力は、将来「100」になって返ってきます。

最も効率的に英語の実力を伸ばしたいのであれば、Aさんのように基礎反復を極められる習慣を身につけてみてください。

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