早稲田大学高等学院 入試対策
2025年度「早稲田大学高等学院の数学」
攻略のための学習方法
難関校攻略のための最重要事項は、問題演習において「最後まで自分の頭で考える」という姿勢である。自分の頭で考えるということは、安易に解答・解説に頼らないということでもある。問題を見て考えて解法への道筋が見えてこないと、すぐに解答・解説を読んでしまうことはないであろうか。この文章を読んでいる受験生の中にも、そのような経験をしたことがあるのではないだろうか。最後まで自分の頭で考え、たとえ正しくなくとも(ある時期まではその方がむしろ好ましいが)自分なりの答えを導くことである。そのようなプロセスを経て得られるものは、最後まで粘り強く問題を解きぬく「持続力」であり、正解を導く上での「的確な発想力」である。頑張っているのだが、なかなか難関校の数学の入試問題に全く手が出ない、という悩みを耳にする場合が多い。そのような受験生に多く見られる傾向としては、上記に述べたような安易に解答に依存してしまって、すぐに模範解答を見てしまうということである。さらに、模範解答を目で見て頭で納得して、決して鉛筆をもって紙に解法を書こうとしない。そのような学習姿勢を繰り返していても、難関校の数学対策には有効ではない。
それでは、以下に難関校の入試数学の受験勉強における重要項目について考えてみよう。
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①数学には「定石」がある
- 定石とは問題の解答を得るために必ず辿るべき「プロセス」である。つまり、そのプロセスさえ過たず正確に辿れば、必ず正解に辿り着けるということである。それでは、どのようにしたら正解を得るための「定石」を習得することができるのであろうか。
ポイントは2つある。1つは、標準問題を何度も反復して演習をすることである。そして、回数を重ねるごとに、解答時間を縮めて瞬発的に問題を解く鍛錬を積むことである。その結果、初見の問題を見た瞬間に「解法のプロセス」が見えてくるのであり、どの方向へ第一歩を踏み出せば良いのかについて正確な判断ができるようになるのである。この「定石」を習得するための作業が、上位校の数学の入試問題を解く上では基礎力となる。その上に高度な問題演習における「正しい見通し」を立てられる「力」が付くのである。
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②導き出すべき「答え」から逆算する
設問で求められる状況があった場合、その状況が言える(成立する)ためには「何が言えなければならないのか」ということを考えるのである。例えば、四角形が円に内接していることを証明したい場合には、それを証明するために何を言えばよいのかを考えることである。そして、そのためには与えられた諸条件より何が言えるのかを考えるのである。つまり、与えられた四角形の∠ABC=90°であった場合、辺ACは四角形が内接する円の直径になっているということに気づき、発想を膨らませることができるか否かが勝負を分ける。つまり、ゴールから逆算してゆくとそれはスタートに辿り着けるのである。そのような手法をぜひ身に付けて欲しい。
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2025年度「早稲田大学高等学院の数学」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
【大問1】独立小問問題<10分>。
数の計算、平面図形(角度、長さ)、数の性質に関する問題である。
【大問2】場合に数に関する問題<12分>。
5種類の文字の並べ方に関する場合の数を求める問題である。
【大問3】関数(1次関数と2次関数)に関する問題<12分>。
比例定数、x座標、座標平面上にできる図形の面積に関する問題である。
【大問4】平面図形(正方形)<16分>。
与えられて条件のもとにおける様々な図形の面積を求める問題である。平面図形における原理などを適切にあてはめることがポイント。
【大問1】独立小問問題
- 時間配分:10分
【大問2】場合の数に関する問題
- 時間配分:12分
(1)場合の数を求める問題<2分>。
与えられた文字はA、D、E、S、Wであり、条件に合致するような場合の数を求める。「隣り合う文字は必ず異なる」という条件が重要である。
(2)場合の数を求める問題<3分>。
余事象の考え方を使う。(1)で求めたすべての場合の数より、右端Aのみを1回使う場合の数をひく。
(3)場合の数を求める問題<3分>。
左端がW、左から3番目がSとなる場合の数を求める問題であることより、左から2番目はA、D、Eの3通りとなる。さらに、与えられた条件より左から4番目、5番目の文字も確定できる。
(4)場合の数を求める問題である<4分>。
6個の枠のうち、左端と右端がAであり、かつ与えられた条件より場合の数を求める。
【出題意図】
本問は、順列と組み合わせの基礎を問う問題である。単に公式を覚えているかだけでなく、いくつかの条件(制約)が加わった場合に、どのように場合分けをして、論理的に計算を進めることができるかを試す問題であり、以下の項目が重要である。
1.基本的な順列の理解:隣り合う文字が異なる、という条件のもとで、単純な場合の数を計算する能力。
2.特定の条件を加えた場合の応用:特定の場所の文字が決まっていたり、同じ文字が複数回使われたりといった条件を追加し、柔軟に対応する思考力。
3.場合分けの正確さ:複雑な条件のもとで、漏れなく重複なく数え上げることができる条件の処理能力。
※以下の類似問題に挑戦しよう。
【類似問題】
問題1
正n面体の各面に1~nの数字が書かれているものを「正n面体さいころ」とよぶ。正12面体さいころと正6面体さいころを同時に投げるとき、正12面体さいころの目をa、正6面体さいころの目をbとする。10a+bが7の倍数になる場合の数を求めよ。
(解答)11通り
問題2
Aが1個、Bが2個、Cが3個の合計6個の文字の中から3文字を選んで1列に並べる方法は何通りあるか求めよ。
(解答)19通り
【大問3】関数(1次関数と2次関数)に関する問題
- 時間配分:12分
【大問4】平面図形 (正方形)に関する問
- 時間配分:16分
攻略のポイント
押さえておきたい分野としては、計算(方程式、式の値、整数の性質)、関数(1次関数・2次関数)、平面図形と立体図形、場合の数、新傾向(規則性)の分野である。ただし、合格点を取るためには、これらの分野の単純な演習スキルだけでは歯が立たないであろう。そのようなスキル演習が必要であり、問題解法の基礎になることは言うまでもない。
大切なことは、そのスキル演習からさらに一歩踏み込み、数学的な原理的理解(公式的発想)の質を深めることである。つまり、自分で公式の原理を理解し、公式が出てくるまでの解法のプロセスをしっかり把握した上で、自身で公式を導き出せるようにすることがベストである。小手先のスキル演習力の向上だけに目標を置くのではなく、問題の本質的な理解をベースに論理的に思考できる数学力をつけることが必要である。
