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学習院中等科 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2019年度「学習院中等科の社会」
攻略のための学習方法

問題構成

大問3つに地理分野・歴史分野・政治経済分野が割り当てられる形である。総解答数は65問前後、3分野でほぼ均等の出題数となっている。リード文は計1500~2000字ほど。地図や統計などの資料はここ数年、用いられていない。

設問は適語記入が多いが、年度により選択肢問題が多い時もある。リード文の穴埋めや年表の穴埋めにプラスして、下線部について訊いていく一問一答形式の問題が並ぶ。他校ではあまり見ないかなり細かい地名や人名も出されており、難しい。2行くらいの短文の記述問題が3~4問出されるが、詳しい知識を必要とするやや難しい問題も見られる。

 

地理分野

中部地方9県について(2019年度)や東北新幹線のルートに沿って地名を訊く問題(2018年度)などが出された。資料や統計を読み取るような問題はここ数年出されていない。

テーマについてかなり詳しく訊かれる問題も多い。2019年度では、中部地方について山・半島や岬・湖など細かく頭に入っていないと正確に答えられない問題が多かった。静岡県石廊崎や愛知県伊良湖岬(2019年度・大問1)など、覚えていない人も多かっただろう。

皆が答えられる問題を取りこぼさないことが重要である。どのテーマについても標準レベルにもう一歩プラスした詳しい知識を身に付けられるよう、広く丁寧な学習が必要であろう

 

歴史分野

外交に見る近世の歴史(2019年度)や昭和時代前半の出来事(2018年度)といったテーマで、年代をある程度区切って問題が出されている。リード文や年表の穴埋めに答えた後で、下線部について一問一答で答えていく形が多い。

この分野も、標準レベルの知識から一歩踏み込んだ質問が見られる。高橋是清や浜口雄幸(2018年度・大問2)といった人名は思い浮かばなかった人もいたはずである。また、同じ2018年度では、「協調外交」について一般的な意味ではなく、1929年に取られた政策の中身を訊く問題も出された。

地理分野と同様、標準レベルから一段階詳しい知識がないと答えられない問題がある。それ以外の、多くの人が答えられる問題を落としていては勝負にならない。基本レベルの知識を確実にしたうえで、関連する詳しい情報も付け加えて、さらなる得点を狙えれば理想的である

 

政治経済分野

前年に起こった出来事を話題にしていくつかの項目が取り上げられ、そのことについて、あるいは関連する下線部について訊かれる問題が出されている。政治の仕組みや国際関係の問題が多い。

憲法や政治についての基本を押さえたら、直近・特に前年の出来事をよく調べておこう。外国の首相や国際連合についての質問もある。日本だけでなく、世界の主な国の政治的・国際的な出来事にも注目しておこう

 

まとめと注意点

時間は40分と多めだが、問題数も65問前後と多くなっている。年度により多少異なるが、適語記入の問題が多く、正確に覚えていないと得点にならない。また、穴埋め問題の数が多いので、リード文をすべて読むことになり時間も取られる。

難しい問題は皆もできないとある程度覚悟を決めて、それ以外を完璧に解答する気構えで、基本事項の徹底したマスターを目指したい

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2019年度「学習院中等科の社会」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

総解答数が66問前後とかなり多い。リード文の穴埋め問題は問題数が多いので結局リード文をすべて読むようになる。例年は適語記入など、ことばで書く問題が多いのでさらに時間がかかるが、今年度は地理で選択肢問題が多かったので多少余裕がある。

知識で答えられる問題はどんどん解き進めて、記述問題に余裕をもって取り組みたい

【大問1】地理分野

  • 難度:標準
  • 時間配分:12分
  • ★必答問題

中部地方の河川や半島など。

問1 
1. 諏訪湖は長野県のほぼ中央にあり、静岡県に流れる天竜川の水源である。
2. 浜名湖は静岡県西部にある汽水湖。周辺ではうなぎの養殖が盛んである。

問2
1. 駿河湾は静岡県にあり、桜エビが獲れることで有名である。
2. 若狭湾は福井県・京都府にまたがる湾で、周辺に原子力発電所が多く建てられていることから原発銀座とも呼ばれている。

問3
1と5. 阿賀野川――新潟県を流れる川で第二水俣病が発生したことで知られる。
  信濃川――日本最長の川で越後平野で日本海に注ぐ。
2と7と8. 大井川――静岡県にあり、江戸時代は橋が架けられておらず、増水すると渡れなくなった。
  天竜川――諏訪湖から遠州灘まで流れる。急峻な地形のため「暴れ川」と呼ばれる。
  富士川――日本三大急流のひとつ。駿河湾に注いでいる。
3. 九頭竜川――福井平野で日本海に流れ込む。
4と6. 黒部川――飛騨山脈から流れて富山湾で日本海に注ぐ。
  神通川――富山湾で日本海に注ぐ。かつてイタイイタイ病が発生した。

問4
1と3. 渥美半島・知多半島は愛知県にある向かい合った半島。西が知多半島、東が渥美半島である。
2. 伊豆半島は静岡県にあり、相模湾と駿河湾に挟まれている。

問5
1と4. 石廊(いろう)崎と御前(おまえ)崎はともに静岡県にある。
2. 伊良湖(いらご)岬は渥美半島の西の端にある。
3. 越前岬は名前からもわかる通り福井県にある。

問6 (1)
1. 天城山は静岡県・伊豆半島にある。
2. 剱岳は富山県の立山連峰にある標高2999mの険しい山である。
3. 妙高山は新潟県にあり、形が似ていることから越後富士とも呼ばれている。
4.乗鞍岳は岐阜県と長野県の境にあり、最高峰の剣ヶ峰(けんがみね)は分水嶺の最高部でもある。

【大問2】歴史分野

  • 難度:やや難
  • 時間配分:16分
  • ★必答問題

問1
(1)
 東南アジア各地に日本町と呼ばれる日本人居留地ができた。

(2) 山田長政はシャム(現在のタイ)のアユタヤの日本町の頭領だった。

(4) 島原の乱は島原・天草一揆とも言われるのでどちらでも覚えておこう。

(5) 絵を踏むという行為を意味する「絵踏」が正確な言い方だが、踏むための絵という意味の「踏絵」も使われる。

(7) 外国船(異国船)打ち払い令で日本人漂流者を助けてくれたモリソン号を追い払うという事態も起きた。

(8)~(12) ペリーが1年後に再訪した際に日米和親条約が結ばれ、その4年後ハリスと大老・井伊直弼との間で日米修好通商条約が結ばれた。

問2
関ヶ原の戦いで西軍を率いたのは石田三成。先に陣を構えたことや軍勢の多さから西軍有利のはずであったが、寝返りや戦わない軍勢があったことから徳川家康率いる東軍に敗北を喫した。

問4
キリスト教の神の前では平等という教えが、幕府の採る身分制度・封建社会と相いれなかった。キリスト教徒による幕府への反抗も懸念された。

問5
3代将軍・徳川家光の時代。アは5代・綱吉、イは15代・慶喜、ウは8代・吉宗の時。

問6
スペインやポルトガルはキリスト教の布教に熱心で、日本を植民地化する目的があったと考えられている。オランダもキリスト教国ではあるが布教には熱心ではなく、貿易を目的とした付き合いができた。

問7
アはノルマントン号ではなく、フェートン号のこと。

問8
日米和親条約で開いた港は下田と函館なので、ウが×。

問9
国内の産業を保護するため、輸入品に関税をかけて価格競争力を下げる。関税自主権がないと、価格を相手に自由に決められてしまい、安い製品や作物が輸入されて国産の品物が売れなくなってしまう。

【大問3】政治経済分野

  • 難度:標準
  • 時間配分:12分

問1
(1)・(2)
 1950年に勃発した朝鮮戦争は北緯38度線を境界として休戦協定が結ばれた。現在も平和条約は結ばれていない。
(3) エルサレムはユダヤ教・キリスト教・イスラム教の聖地であり、宗教上の衝突がしばしば起こっている。
(5)~(7) オリンピック開催に合わせて、海の日・山の日・体育の日が1年間だけ移動となる。
(9) 議員定数は6人増えるが、参議院は3年ごとに半数の改選なので、3人ずつ2回に分けて増やされる。
(10) 埼玉県熊谷市、岐阜県多治見市などが最高気温でしばしば話題となる。

問3
(2)
 国連事務総長はよく問題に出されるので、正確に氏名を覚えておこう。

問5
2019年7月に百舌鳥・古市古墳群が文化遺産に登録されて2019年夏の時点では23件となっている。

問8
(1)
 日中の高温の時間帯を避けて、早朝に実施される。また、道路も高温になりにくい遮熱舗装に整備される計画である。
(2) 非営利組織 non-profit organization・非政府組織 non-governmental organization のそれぞれの頭文字をとってNPO・NGOと呼ばれる。

攻略のポイント

問題数の多さ、ことばで書く問題の多さなどから、スピードが要求される試験である。リード文の穴埋めも多いので、結局すべて目を通すことになる。難しい問題もところどころに見られ、記述問題にも細かい知識を問われるものがある。基本レベルをマスターしたうえで、もう一段階詳しい知識を上積みできるように学習したい。

試験に臨んでは、難しい問題はとりあえず保留して、その他の基本事項をミスなく答えて、合格者平均点以上を狙いたい。記述問題は2行ほどでまとめるものなので、さほど時間はかからないだろう。

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