[問一]　 ｢漢字の読み｣(全４問)。やや読みづらいものがあり、本年度は例年よりやや難易度が高い。しかし、本校志望者としては｢全問正解｣したい。確認しておこう。

①  ｢彼は日和見主義者だ｣＝｢ひよりみ｣⇒難解だ⇒｢周囲の情勢をうかがって、自分の利益になる方をとること｣という意味も押さえておきたい。
②  ｢快活な生活｣＝｢かいかつ｣⇒これは問題ないはず。
③  ｢ご所望の品｣＝｢しょもう｣⇒｢しょぼう｣ではないので要注意⇒｢所望｣＝｢のぞみ｡ねがい｡注文｣のことだ。
④｢失敗を反省ししばらく自重する｣＝｢じじゅう｣ではない⇒｢自重｣＝｢自らを重んじること｡自分の品性を保ち、卑下しないこと｣だ。本校ではこのレベルの高度な｢語彙力｣が問われていると心得よ。

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[問二]　 ｢漢字の書き取り｣(全６問)。

本年度は他の上位校と比してやや難解の部類に入る。チェックする。

①  ｢この問題はカンカできない｣＝｢看過｣⇒｢見すごすこと｣だ。
②  ｢クセツを重ねてきた人生｣＝｢苦節｣⇒｢逆境にあっても節を曲げないかたい心｣のことで、｢苦節○○年｣といった使い方が多い。
③  ｢フテキな笑みを浮かべる｣＝｢不敵｣⇒これは書けて当然。
④  ｢カイトウ乱麻を断つ｣＝｢快刀｣⇒｢快刀乱麻｣という｢四字熟語｣で覚えること。
⑤  ｢ギョクセキ混淆(こう)の状態｣＝｢玉石｣⇒無論、｢玉石混淆｣という｢四字熟語｣だ。
⑥  ｢メイギを書き換える｣＝｢名義｣⇒｢名前｡特に、書類などに所有者･責任者などとして表立って記される名前｣のこと。本校の｢語彙レベル｣を確認せよ。尚、｢トメ｣｢ハネ｣などにも要注意。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜時間配分目安：１分半＞

｢総合的知識問題｣(全５問)。
３年連続で｢難解語句｣の｢空所補充｣の｢ひらがな記述｣および｢意味選択｣だ。ハードルは高い。チェックしてみよう。

[問]　｢空所補充の『ひらがな記述』および『意味選択』(｢ひらがな２字｣/５択/複数完全解答)。示されている各文の傍線部の□に｢ひらがな一字｣を入れて｢言葉｣を完成させ、｢その言葉に最も近い意味の言葉｣を【語群】からそれぞれ答える。｢答え｣を確認しておく。

①  ｢□□くさと逃げ出す｣⇒｢答え｣は｢そそ(くさと)｣で、｢最も近い意味の言葉｣は【語群】(コ)の｢あわてて｣。
②  ｢や□□に語りだす｣⇒｢答え｣は｢(や)にわ(に)｣で(カ)｢不意に｣。
③  ｢その問題は□□ぶる簡単なものであった｣⇒｢答え｣は｢すこ(ぶる)｣で(ア)｢たいそう
④  ｢ひ□□きり仲｣⇒｢答え｣は｢(ひ)とし(きり)｣で(ウ)｢しばらく｣。
⑤  ｢え□□て失敗を招く｣⇒｢答え｣は｢(え)てし(て)｣で(キ)｢ともすると｣。

本校が求める｢語句の知識｣レベルが垣間見える。曖昧(あいまい)なものがあった諸君はしっかりと復習しておくことが肝要だ。

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母を亡くした小学校６年生の｢翔(しょう)｣は、遠い町の祖母の家に預けられた。寂しさをこらえて新しい暮らしに慣れようとするが、そこには一筋縄ではいかない大人の世界があった――大人たちの身勝手さにもみくちゃにされながらも、過酷な現実から明日に向かって踏み出していく勇気の物語。本文では、家出を決意した｢翔｣が、｢大也(だいや)｣や｢美波(みなみ)｣といった友人たちとの会話を通じて心を開き、自分の現状を見つめ直す姿が描かれている。分かりづらい語句はほとんどなく、内容はすぐに理解できるはずだ。小説の王道である｢心情説明｣と｢状態説明｣を中心とした小問が並んでいる。難易度は本校の｢標準レベル｣だ。以下、いくつか確認する。

[問一]　｢理由説明選択肢｣(４択)。
傍線部①｢笑顔を見せる大也は心強かった｣について、｢『翔』がそのように感じた理由｣を答える。｢選択肢設問｣は｢消去法｣が原則。先ずは｢原意消去｣をしたい(｢原意絶対優位の原則｣＝｢設問｣｢傍線部｣等の｢原意｣、要は｢本来の意味｣を最優先に考えること)｡ここは｢理由説明｣なので、｢心強かった｣ことの｢直接的理由｣として結びつかない｢理由説明｣(文末。選択肢説明でのポイントは｢文末｣)を｢消去｣していく。
各選択肢の｢文末｣⇒だから⇒｢心強かった｣と結びつくかどうかで確認する。(ア)｢自分を助けてくれると思ったから｣､(イ)｢心通じ合うものがあったから｣､(ウ)｢自分に味方をしてくれて頼もしさを感じたから｣､(エ)｢勇気が湧いたから｣｡｢心強かった｣ことの｢直接的理由｣であれば、｢頼もしさを感じたから｣以外は｢消去｣可能だと分かるはずだ。念のために、他の部分の説明を｢同一場面｣で確認する(｢小説｣では｢同一場面｣に｢手がかり･ヒント｣がある)。特に誤ってはいないことが分かる。よって、｢答え｣は(ウ)でＯＫだ。華麗なる｢一発消去｣！ ｢原意消去｣を完全にマスターし、応用できるようになることが｢本校合格へのショートカット｣だ。
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[問二]　｢心情説明選択肢｣(４択)。
傍線部②｢翔は自分に言い聞かせるように二人を促した｣について、｢このときの『翔』の心情｣を答える。無論、｢原意消去｣から｡本問は｢心情説明｣なので､｢自分に言い聞かせるように｣｢二人を促した｣の｢原意｣と結びつかない｢心情｣を｢消去｣する。各選択肢の｢文末｣を確認したい。(ア)｢二人のために未練を断ち切ろうとしている｣、(イ)｢何度も自分に言い聞かせて不安を打ち消そうとしている｣､(ウ)｢前向きな言葉で自分を納得させている｣、(エ)｢自分の心の中で決意して前に進もうとしている｣。｢自分に言い聞かせるように二人を促した｣なのだから、｢自分の心の中で決意して前に進もうとしている｣以外は｢消去｣できなくてはいけない。念のために他の部分の説明を｢同一場面｣で確認して、特に誤ってはいないと判断できる。よって、｢答え｣は(エ)になる。改めての｢一発消去｣。｢選択肢設問｣では、｢原意消去｣が合格へのショートカットだと心得よ。尚、｢小説｣では必ず｢心情｣が問われる。その際、｢セリフ｣⇔｢ト書き｣⇔｢動作｣⇔｢情景｣といった具合に多角的に読み取ることが必須だと心得よ。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜時間配分目安：１分強＞

[問四]　｢心情説明記述｣(｢80～100字以内｣指定)。
傍線部④｢気がつくと目からぱたぱたと涙がこぼれていた｣について、｢このときの『翔』の心情｣を｢八十字以上百字以内｣で説明する。先ずは、このときの｢涙｣はどのような｢心情｣なのかを｢同一場面｣から読み取っていきたい。直前から、｢翔｣は父が病気になってから慣れない八重浜町での環境で頑張ってきており、父親の病気に対する不安もあったが、｢大也｣と｢美波｣はそうしたことを受け止めてくれたので、｢翔｣はほっとして安心していることが分かる。つまり、ここでの｢涙｣の｢心情｣は｢安心｣ということになる。さらに、補足すべき要素を読み解いて｢指定字数｣に応じて｢過不足なく｣まとめていく。たとえば、｢父の病気以来、八重浜町という慣れない環境での生活をずっと頑張ってきたことや父親の体調に対する不安を、大也と美波がしっかりと受け止めてくれたことで、自分は孤独ではないと感じ、安心している気持ち｡｣(96字)といった｢答え｣となる。尚、｢説明記述｣では｢最重要素｣(｢心情説明｣では｢心情表現｣)を必ず｢文末｣とすることが求められる。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜時間配分目安：３分強＞

※尚、[問七]は｢本文内容合致(表現に関する説明)の不適切選択肢設問｣(４択)だ。｢論説文｣であれば｢論旨合致｣なので、｢序論部分｣および｢結論部分｣との照合で判別可能だ｡しかし、本問のような｢小説｣や｢随筆｣では｢本文全体｣と照合して判別する必要があるので、とても時間がかかる。しかも、配点は他の小問とほぼ同じだ。したがって、｢戦術｣としては｢あとまわし｣にすべきだ。無論、｢捨て問｣でも構わない。

よりよい｢世界制作｣のために、私たちの家を考えよう――日々の暮らしを支える活動やモノを通じて｢美｣を捉える｢日常美学｣について論じている。本文では、｢芸術｣とは｢消費されず永続的に残るものだ｣という考え方から、｢料理｣は｢芸術｣とはみなされてこなかったが、楽譜や台本は残るが上演とともに消えてしまう｢パフォーマンス芸術｣や、楽譜や台本すらない即興的な芸術もあるので、｢芸術｣の定義は見直すべきだと指摘している。さほど難解な語句はないので内容は理解できるはずだ。多種多様な出題内容の小問が並んでいる。以下、いくつか検証してみたい。

[問二]　｢脱文挿入選択肢｣(５択)｡
示されている、本文から抜けている文｢舞台は生モノ、という言い回しはまさしく、パフォーマンス芸術をちょうど食べ物に喩(たと)えることで、それが一回一回異なるものであるということを強調しています｡｣が｢入る場所｣を、本文中のア～オから選んで答える。｢脱文挿(そう)入｣では｢接続詞･指示語･副詞、そして、文脈(内容)｣に着目すること。ここでは｢内容｣で挿入(そうにゅう)する場所を特定していきたい。ここでの脱文は｢パフォーマンス芸術｣についての説明なので、前の部分でそれについて詳しく説明しているイに入ると特定できなくてはいけない。｢脱文挿入｣では､｢挿入候補｣に必ず｢代入確認｣をして、丁寧に確認することが肝要。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜時間配分目安：１分半＞

[問三]　｢内容説明選択肢｣(４択)。
傍線部②｢パフォーマンス芸術は美術とは異なり｣について、｢どのように異なるのか｣を答える。
｢原意消去｣から試みる。本問は｢内容説明｣なので､｢パフォーマンス芸術｣の｢原意(内容)｣と結びつかない｢説明｣を｢消去｣する。各選択肢説明の｢文末｣を確認する。

(ア)｢(パフォーマンス芸術は)繰り返し再現されていくという違い｣。
(イ)｢(パフォーマンス芸術は)一度上演されれば消え去っていくものであるという違い｣。
(ウ)｢(パフォーマンス芸術は)複数存在するために享受できる場所の幅が広いという違い｣。
(エ)｢(パフォーマンス芸術は)どこでも鑑賞が可能であるという違い｣。

さあ、どうか？[問二]の｢脱文｣で確認したように、｢(パフォーマンス芸術は)一回一回異なるもの｣なので、(ア)以外は｢消去｣だと分かる。念のために｢同一意味段落｣で他の部分の説明を確認する(｢論説文｣｢説明文｣では｢同一意味段落｣に｢根拠･手かがかり｣がある)｡特に誤っていないと分かる。よって、｢答え｣は(ア)だ。｢論説文｣であっても無論、｢原意消去｣を徹底的に活用することが肝要だ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜時間配分目安：１分半＞

[問七]　｢本文構成合致選択肢｣(４択)。｢本文の論の進め方｣を答える。本文全体にかかわるので、流石(さすが)にこの段階での｢原意消去｣は無理だ。別の視点からアプローチしたい。本文は｢論説文｣なので、｢論の進め方｣とは｢序論部分｣→｢本論部分｣→｢結論部分｣という｢意味段落｣の｢構成｣のことだと考えられる。現に、各選択肢の説明内容も３つの部分の説明となっている。そこで、どこか分かりやすい｢部分｣に着目して絞り込んでいきたい。本文の｢序論部分｣は最初から３つの形式段落、｢結論部分｣は最後から３つの形式段落で、残りが｢本論部分｣だと分かる。ここでは各選択肢の｢文末｣でチェックする。

(ア)｢料理を芸術としてみなせる余地について言及している｣。
(イ)｢料理も芸術であることを主張している｣。
(ウ)｢消費排除テーゼと芸術のありかたには関連がないという見解を述べている｣。
(エ)｢料理を芸術としてみなすことのできない理由について説明している｣。

本文の｢結論部分｣では、｢料理を芸術としてみなせる余地｣に関して検討しているので、｢答え｣は(ア)になる。｢論説文｣であれば｢本文内容合致｣にも対応する手立てがあるということだ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜時間配分目安：３分半＞