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広尾学園中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2023年度「広尾学園中学校の社会」
攻略のための学習方法

[スライド式学習]

「地理」「歴史」「公民」と「時事問題」の「知識」を確実に定着させておく必要がある。「基礎的事項」は当然だが、相当細かな「知識」や「深い理解」も求められるので注意したい。テキストの「注」や「囲み説明」等もチェックしておくこと。ただ、人は忘れるものだ。時が経てば経つほど忘れる。ここに実は落とし穴がある。基本的に「暗記」が最重要となる「社会」では、各単元をいつ学習し、定着させたのか、その時期が問題となる。塾では通常、本格的な受験勉強が始まる5年生になってから、「地理」⇒「歴史」⇒「公民」と単元消化していき、6年生の夏休み前には終える。その後は「復習」となるが、そのメインは圧倒的に定着すべき事項の多い「歴史」にならざるを得ない。そのまま、秋から冬となり「過去問演習」と続いていく。6年生で学習した「公民」はまだしも、「地理」はどうだろうか? 実質的に1年以上の空白が生じてしまう。それはまずい。広尾では「地理」単元に含まれる全ての分野から多数出題されるのだ。そこで、独自の「復習」が必要となる。塾での進度とずらして(スライドさせて)、まだ時間的に若干の余裕がある5年生の冬休みやその後の春休みを利用して徹底的に「地理」の「復習」をしておくことが勝利につながる。「重要事項チェック問題集」のようなものを活用して、ライバルに差をつけておきたい。

[いもづる式学習]

「暗記事項」はそれぞれ単独に、単なる「一問一答方式」で定着させておいてもあまり意味がない。バラバラに覚えているだけでは、自分が覚えた通りに問われなければ結びつかないし、関連問題にも答えられないからだ。そこで重要となるのが「いもづる式学習法」だ。「点」で覚えているものを「線」で結び、さらには「面」をも理解するには不可欠の学習だ。ひとつの「暗記事項」を確認する際、それに関連すると思われる「事項」を次から次へと思いつく限り引き出していく。単元も無視する。もし「用語(言葉)」としては覚えていても内容があやふやになっているものがあれば、すぐに確認しておく(ついでにここでも「復習」できる)。また、それらは「線」で結びついているはずなので、どのように結びつくのかを確認していく。その上で、それらが結びつく背景(=「面」)も理解するようにする。このようにして改めて定着させた「事項」はどのような問われ方をしても「線」で結びつけて答えられることになる。さらに、単元もまたいでいるので、「単元融合問題」にも対応できるようになる。また、昨今頻出の「考察問題」でも「知識」をつなぎ合わせることができるようになる。

[手づくり式学習]

特に「歴史」単元の「復習」で必要となる。塾での「歴史」の学習は普通、「政治史」を軸とした「通史」として「時代別」「時代順」になっている。だが、広尾に限らず入試問題ではそうした単純なものは少ない。特定の切り口での「分野史」が多いし、必ずしも「時代別」「時代順」ではなく様々な時間軸で出題される。それらに対応するために必要なのが「手づくり年表」だ。「政治史」「社会経済史」「外交史」「文化史」「人物史」等の「分野史」別の「年表」を作成しながら復習する。その際、「原始」~「現代」という長い時間軸にする。当然、「重要事項」だけしか記入できないが、それでいい。「関連事項」を頭に思い浮かべるようにすれば、「いもづる式学習」にもなる。さらに、その「年表」には「世紀」と「日本の時代名」「中国の王朝名」を対応させて記入しておきたい。「世紀」と「時代」がすぐに結びつかないと答えられない問題が多いからだ。「年表づくり」を楽しみながらやってみよう。

[細部へのこだわり式学習]

必ず出題される「資料読み取り問題」や「設問文の内容を組み合わせて考える問題」。これらを考えるにあたって最も重要なことは、「資料」や「内容」をいかに正確に読み取るかということだ。資料や設問文に示されていることだけに基づいて「考えるヒント」を見つけ出す。とにかく「細部」にこだわって読み取ることが必要となる。そのためにはトレーニングが欠かせない。過去問等を用いて、資料の細かな「数字」や「項目」と「設問文の内容」を全て材料として、そこから何が導き出せるのかを確認する訓練をするのだ。導き出せることについては、「解説」などに示されているので活用すること。こうした「細部へのこだわり学習」を続けることで、次第に資料や設問文に示された「手がかり・ヒント」が自然と浮かび上がるようになる。あとは自分の「知識」と結びつけて考えればいいのだ。

[意識継続式学習]

常に何かを「意識」しながら学習することが重要だ。漫然と机に向っていても意味がない。その時々、何を目的としてどのような学習(たとえば、上記の「○○式学習」)をしているのか、具体的に「意識」し続けていることが大切。そうして何かを「意識」することが継続できるようになったら、次は同時にいくつものことを「意識」しながら学習したい。本番では「30分」という制限時間の中で、重要な「設問条件」をクリアして答えなくてはいけないのだ。だからこそ、「設問」を正しく理解しているか? 「条件」を満たしているか? つまらないミスはないか? といったようなことを、問題を考え、解き、解答欄に答えを書き入れる全ての段階で常に「意識」しながら学習する必要がある。さらに、「時間」も「意識」すること。入試では見直しの時間はないと思った方がいい。常にそれらの「意識」を継続しているということは、何度も「見直し」をしていることになるのだ。

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2023年度「広尾学園中学校の社会」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問は「地理」。「5つの都道府県の特色をまとめたカード」からの出題。小問は全7問(解答数11)、「選択肢」(「組み合わせ」あり)、「県名・自然地名記述」(全て「漢字指定」)。
大問は「歴史」。「5つの時代区分に関する学習をまとめた資料」からの出題。小問は全7問(解答数11)、「選択肢」(「時期整序」「位置判別」、「不適切」「複数完全解答」あり)、「事項記述」(全て「漢字指定」)。
大問は「公民」(「時事」1問あり)。「2022年6月開催のG7サミット」についての「リード文」からの出題。小問は全7問(解答数8)、「選択肢」(「不適切」、「複数完全解答」あり)、「事項・国名記述」(「漢字指定」、「複数完全解答」あり)。
大問は「考察問題」。「江戸幕府と朝廷の関係」についての「資料」と、「介護サービス」についての「リード文」からの出題。小問は全2問(解答数3)、「考察論述」(3問。全て「字数指定なし」)。時間配分は、「考察論述」は11分ほど、他は1問を30秒強で解くという超ハイペース。無論、圧倒的なスピード感とメリハリのある「戦術」が求められる。

【大問1】「地理」(「県名・自然地名記述」あり)

  • 難度:やや難
  • 時間配分:7分

「5つの都道府県」について調べ、その「特色をまとめたカード」<A><E>に関する出題。「地理」単元のさまざまな分野が問われている。基本的事項に関する問題が多いが、ややひねったものや判別が難しいものもあるので注意したい。以下、いくつかを検討するが、前提として各カードの「キーワード」「要点」から都道府県名を特定しておきたい。
<A>「中部地方」「2015年、新幹線で県庁所在地都市へ東京から乗り換えなしで移動できるようになった」「漆器等の伝統工業が盛ん」⇒即「北陸新幹線」だと判断でき、「漆器等の伝統工業」なので=「石川県」。
<B>「九州地方」「九州地方の他の県と比べ、農業生産での稲作の割合が著しく低い」⇒これはもうすぐに判別可能=「沖縄県」。
<C>「中部地方」「県庁所在地付近を通るリニア中央新幹線建設」「ワインの生産が盛ん」⇒これまた即決=「山梨県」。
<D>「中国地方」「複数の世界遺産」「牡蠣(かき)の養殖」⇒「複数の世界遺産」がある都道府県は全部で13あるが、その中で「中国地方」といえば=「広島県」。
<E>「関東地方」「北部に日本最大の貿易額をほこる港」⇒「関東地方」で「貿易港」=「横浜港」? いや違う。「貿易港」には無論、「空港」も含まれる=「千葉県」。

[問1] 「カードについての統計資料読み取り選択肢および県名記述設問」(全2問。5択。「漢字指定」)
示されている「表」(<A><E>の都道府県の「総面積」・「海岸線の総延長」・「都道府県庁所在都市の人口」を表したもの)の中の(ア)(オ)<E>に該当(がいとう)するものを選んだ上で、その「都道府県名」を「漢字」で答える。「資料」の特徴的な項目から都道府県を特定していく(<A><E>は前述のとおり)。
「表」の中で、「海岸線の総延長」が「0km」の(ウ)は「内陸県」で<C>の「山梨県」、「最長」の(オ)は「島」である<B>の「沖縄県」で決定。「総面積」が「最大」で「人口」も「最多」の(ア)<D>の「広島県」だと判断できるはず。残りでは、「人口」が2番目に多い(イ)<E>の「千葉県」、最後の(エ)<A>の「石川県」だと判別したい。よって、「答え」は(イ)・「千葉県」となる。
尚、「統計資料読み取り」では「資料」の特徴的な項目に注目することが肝要で、そこから「自らの知識」と結びつけて読み解きたい。

                                <時間配分目安:全問で1分強>

[問3] 「下線部についての統計資料読み取り組み合わせ選択肢設問」(6択)
「カード」<B>中の下線部「(沖縄県の)電力供給は、そのほぼ100%を火力発電に依存しています」について、示されている「図」の中の(Ⅰ)(Ⅲ)は、「日本の火力発電に用いられるエネルギー源(原油・重油、石炭、液化天然ガス)の「消費量の変化」を、それぞれの「1980年の値を100とする指数」で表している。「エネルギー源」と(Ⅰ)(Ⅲ)の「組み合わせ」として「正しいもの」を答える。何やら複雑な設問内容だが、先ずは正確に理解することが肝要だ。本問では、「指数」の「経年変化」を読み取るということに注意したい。
「消費量」が「2018年度」には「約12倍」と最も増加している(Ⅰ)は「石炭」だと判断できるはずだ。この段階で選択肢は(ウ)(オ)の「2択」になった。次に、「消費量」が減少している(Ⅲ)が「原油・重油」で、「約4倍」に増加している(Ⅱ)は「液化天然ガス」だと判別したい。
したがって、その組み合わせになっている(オ)が「答え」だ。「統計資料」では示されている数値が、「量」・「数」・「割合」・「指数」等々と異なっている。それらを正しく捉(とら)えないと誤った読み取りになるので注意すること。
尚、「組み合わせ選択肢」では、自分が知っている「項目」で一気に絞り込むことが肝要だ。

                                  <時間配分目安:30秒強>

[問4] 「下線部についての位置特定選択肢および自然地名記述設問」(全2問。3択。「漢字指定」)
「カード」<C>中の下線部「(山梨県の)県庁所在都市付近を通るリニア中央新幹線の建設が進められています」について、「東京と名古屋を結ぶリニア中央新幹線」は「日本アルプスを地下トンネルで横断する」が、示されている「図」(関東地方から中部地方までの日本略地図で、「品川駅」と「名古屋駅」が破線で結ばれ、その間にの3地点が表されている)の中の(X)(Z)で、「地下を通過するトンネル」の「位置」を選んだ上で、その「付近に位置する日本アルプスを形成している山脈の名称」を「漢字」で答える。
(X)は「愛知県北部」、(Y)は「静岡県北部」、(Z)は「神奈川県北部」を示している。「日本アルプス」は、「飛驒山脈」(富山県・岐阜県・長野県・新潟県にまたがる)、「木曽山脈」(長野県)、「赤石山脈」(長野県・山梨県・静岡県にまたがる)だということは必須定着事項だ。したがって、「答え」は(Y)・「赤石山脈」。
尚、さまざまな「自然地名」は本校に限らず頻出なので。できるだけ多くの「名称」と「位置」とを定着させてほしい。無論、「漢字」で覚えておくことが必須。

                                <時間配分目安:全問で1分強>

[問5]は「広島県の一部」を示した「地形図」からの出題。「地形図読み取り」は本校に限らず「地理単元」での定番なので、「地図記号」「等高線」「方位」「縮尺」等の「地形図」に関連する基礎的事項を完全に定着させておき、細部に注意して正しく読み取っていくことがポイントだ。
尚、[問7]は「統計資料読み取り選択肢設問」で、「各都道府県を訪れる外国人観光客の国籍」を判別する問題だ。とても一朝一夕には特定できないので、戦術的には「あとまわし」にすべきだ。無論、「捨て問」でも構わない。

【大問2】「歴史」(「時期整序」あり)

  • 難度:標準
  • 時間配分:7分
  • ★必答問題

「ヒトとモノの交流の歴史」というテーマで学習してまとめた「5つの時代区分別の資料」、<Ⅰ>「原始」・<Ⅱ>「古代」・<Ⅲ>「中世」・<Ⅳ>「近世」・<Ⅴ>「近現代」・からの出題。「歴史単元」からの多様な形式での出題。「難問」が紛れているものの、多くが「基本的事項」なので、心して臨みながら得点を重ねていきたい大問だ。以下、少し検証してみたい。

[問2] 「下線部についての不適切選択肢設問」(4択)
<Ⅰ>「原始」の「資料」中の下線部「渡来人によってさまざまな技術や文化がもたらされました」について、「渡来人がもたらした技術や文化の説明」として「誤っているもの」を答える。各選択肢説明の「キーワード」「要点」で正誤判別していく。
(ア)「養蚕・機織りの技術」⇒誰もが知っている必須定着事項=適切。
(イ)「鉄を作ったり、加工したりする技術」⇒「砂鉄による製鉄方法」である「たたら製鉄」は「渡来人」から習得したことは周知=適切。
(ウ)「のぼりがま」「すえ器」「壊れやすい」⇒「のぼりがま」は「高温」で焼くので、「須恵器」は「硬くて壊れにくい」ことは常識=不適切。
(エ)「5世紀頃から本格的な使用が始まった漢字」⇒「漢字や儒学などの学問」、6世紀半ばには「仏教」も伝えている=適切。
したがって、「答え」は(ウ)になる。
尚、「正誤判別」では細部にまで配慮することが求められると心得よ。

                                  <時間配分目安:30秒強>

[問6] 「下線部についての時期整序選択肢設問」(5択)
<Ⅴ>「近現代」の「資料」中の下線部⑤「第一次世界大戦」について、示されている「史料」(ア)(オ)の「第一次世界大戦開始以降の出来事」を「古い順に並べ替えて」答える。ただし、ひとつだけ含まれている「「第一次世界大戦開始以前の出来事」は外すこと。「第一次世界大戦」は必須定着年代=「1914~1918年」だ。「史料」それぞれの「キーワード」「要点」で「時期」を特定していきたい。
(ア)「富山県」「米価暴騰(ぼうとう)」「米屋を襲い」⇒すぐさま、「米騒動」だと判断できる=「1918年」。
(イ)「天皇制や資本主義を否定する目的の結社を組織」「10年以下の懲役……」⇒何だ?⇒「資本主義を否定する結社」=「社会主義」を取り締まる⇒であれば、「治安維持法」だ=「1925年」。
(ウ)「九月十八日」「線路上で爆発」「日本の軍事行動は合法的ではない」⇒「線路上で爆発」……⇒「南満州鉄道爆破事件」と結びつけたい⇒「満州事変」のきっかけ⇒「日本の軍事行動は合法的ではない」⇒「リットン調査団」=「1932年」と判断できるはず。
(エ)「韓国を日本に併合」⇒これは「日韓併合」で即決=「1910年」。
(オ)「中華民国は、ドイツが獲得している山東省の権利を日本に譲る」「旅順・大連、南満州鉄道の租借期限を延長」⇒「中国への一方的な要求」⇒「二十一か条の要求」だと判断できるはず=「1915年」。
ということは、「1910年」の(エ)「日韓併合」が外れて、「答え」は(オ)(ア)(イ)(ウ)だ。
尚、「年代整序」は「うろ覚えの年代」で整序するのではなく、「流れ」や「キーワード」を確認し、特定していくことが肝要。

                                   <時間配分目安:1分半>

[問7] 「下線部についての時期判別不適切選択肢設問」(5択。複数完全解答)
<Ⅴ>「近現代」の「資料」中の下線部⑥「1960年代、高度経済成長期の日本は輸出を増やしましたが、1980年代になると、アメリカ合衆国への貿易黒字が続いたため、日米間の貿易摩擦が激化しました」について、示されている「説明文」(ア)(オ)のうち「1960年代と1980年代のどちらにも明らかに当てはまらないもの」を「すべて」答える。各「説明文」の「キーワード」「要点」で「時期」を判断し、「正誤判別」していく。
(ア)「日本の国民総生産(GNP)がアメリカに次ぎ第2位になる」⇒知っていなくてはならない⇒「1968年」のこと=「1960年代」⇒尚、当時の経済指標は「国民総生産(GNP)」で、2001年以降、現在の「国内総生産(GDP)」が用いられているので注意したい。
(イ)「沖縄返還」⇒何ひとつ迷うことはない⇒「1972年」のこと=「1970年代」。
(ウ)「マルタ会談で冷戦終結」「消費税導入」⇒ともに必須定着年代⇒「1989年」のこと=「1980年代」。
(エ)「日韓基本条約」「小笠原諸島返還」⇒ともに知っていたい⇒前者は「1965年」、後者は「1968年」のこと=「1960年代」。
(オ)「警察予備隊組織」⇒誰もが覚えているはず⇒「1950年」のこと=「1950年代」。
よって、「答え」は(イ)(オ)
尚、「複数完全解答」の「選択肢設問」では、当然ながら細心の注意が求められると心得よ。

                                   <時間配分目安:1分強>

【大問3】「公民」(「時事」1問の混在あり)

  • 難度:標準
  • 時間配分:5分

「2022年6月、ドイツでG7サミット開催」という「時事ネタ」を切り口として、「現在の国際情勢」ついての「リード文」からの出題。「公民」単元の各分野からの小問が並んでいる(「時事」単元が1問あり)。「国際分野」と「経済分野」の問題にやや厄介なものがある。それらを中心に確認してみたい。

[問1] 「下線部についての国名記述設問」(5カ国。複数完全解答)
「リード文」中の下線部「主要7カ国首脳会議(サミット)」の「主要7カ国」のうち「ドイツと日本以外の国名をすべて」答える。当然、すらすらと出てこなくてはいけない。「答え」は「アメリカ合衆国・フランス・イギリス・イタリア・カナダ」だ。ちなみに、1998年サミットから2014年のロシアによるクリミア併合までは「ロシア」を加えた「G8」だった。
尚、2023年5月には日本で「G7広島サミット」が開催されたので、「G7サミット」は来年度の「時事ネタ」でもあるので要注意。

                                  <時間配分目安:30秒強>

[問2] 「下線部についての選択肢設問」(4択)
「リード文」中の下線部「1975年から始まった国際会議」について、「サミットは世界の経済危機に対して国際協調をはかるために生まれた国際会議」だが、「過去に起きた経済危機に関する説明」を答える。それぞれの「説明」の「キーワード」「要点」で「正誤判別」していきたい。
(ア)「1971年のニクソン=ショック」「ドルと金との交換を認める」⇒未知の事項かもしれない⇒だが、考えれば判別できる⇒「ドルと金との交換を認める」ことで「経済危機」になるはずがない=不適切⇒「ニクソン=ショック」は「ドルと金との交換を禁止」して「変動相場制に移行」したことによる「経済危機」だ。
(イ)「1973年の第一次石油危機」「物価上昇」「トイレットペーパー騒動」⇒無論、知っているはず=適切。
(ウ)「1985年のプラザ合意」「円高誘導」「1ドル=360円にまで上昇」⇒「1ドル=360円」は「固定相場制」のとき⇒「プラザ合意」の直後には「20円」ほどの「円高」になった(1ドル=150円台)=不適切。
(エ)「2008年のサブプライムローン問題」「リーマン・ブラザーズ倒産」「アメリカの経済力が世界2位に転落」⇒「転落」したはずがないことは誰もが知っている=不適切。
よって、「答え」は(イ)だ。
尚、「私が知らない」⇒「誰も知らない」⇒「知らなくても解ける」と考えよ。

                                   <時間配分目安:1分強>

[問3] 「下線部についての選択肢設問」(5択。複数完全解答) 「時事」単元
「リード文」中の下線部「参議院議員選挙」について、「2022年度に実施された参議院議員選挙における投票」として「有効な投票になるもの」を「すべて」答える。各「投票」をチェックして「正誤判別」する。
(ア)「比例代表選挙」「政党の名簿から1人の候補者に投票」⇒「参議院議員選挙」の「比例代表」では、「政党名」か「候補者名」のどちらに投票してもよいことは周知=適切。
(イ)「選挙区選挙」「政党の名前を書いて投票」⇒「参議院議員」の「選挙区」では、「候補者名」のみ投票できる=不適切。
(ウ)「国民審査に投票」⇒「最高裁判所裁判官の国民審査」は「衆議院議員総選挙」のときに決まっている=不適切。
(エ)「比例代表選挙」「政党の名前を書いて投票」⇒(ア)で確認してとおり=適切。
(オ)「選挙区選挙」「候補者の名前を書いて投票」⇒(イ)で確認してとおり=適切。
したがって、「答え」は(ア)(エ)(オ)になる。
尚、「参議院議員選挙」と「衆議院議員総選挙」ともに「議員定数」が変更されることがあるので、必ず最新の情報に更新しておくこと。

                                   <時間配分目安:1分強>

[問4] 「下線部についての選択肢設問」(4択。複数完全解答)
「リード文」中の下線部の「インフレーション」は、「『物の値段の上昇』と『お金の価値の下落』」を意味するが、「インフレーションが起きた際に一般的に起こりうること」を「2つ」答える。それぞれの「ことがら」を確認したい。
(ア)「借金の負担が実質的に上昇」⇒「お金の価値の下落」するのだから、「負担は軽くなる」と分かるはず=不適切。
(イ)「年金生活者の生活の負担が重くなる」⇒「物の値段の上昇」⇒「支給される年金額は変わらず」となれば当然だ=適切。
(ウ)「預金などの資産価値が実質的に減少」⇒「お金の価値の下落」なのだから、そうなる=適切。
(エ)「賃金の額自体が変わらない場合は生活の負担が軽くなる」⇒「物の値段の上昇」、「賃金が同じ」ならば⇒「生活の負担は重くなる=不適切。
よって、「答え」は(イ)(ウ)
尚、「インフレ」⇔「デフレ」や「円安」⇔「円高」といった対立することがらは正確に理解しておくことが肝要だ。

                                    <時間配分目安:1分>

【大問4】「考察問題」(「考察論述」3問)

  • 難度:やや難
  • 時間配分:11分

「考察問題」。「考察論述」(全3問)のみの大問だ。[-Ⅰ]は、「江戸幕府と朝廷の関係」についての3つの「資料」を読み取って、「幕府の朝廷に対する方針」を論述する。また、[-Ⅱ]では、「介護サービスの仕組み」についての「リード文」を参考にして、「介護保険制度で要介護認定に基づく区別が必要な理由」を論述するものだ。両者ともにいかに与えられた「情報」を正確に読み取れるか、そして、的確に「自らの知識」と結びつけて「考察」できるかがポイントとなる。前者の小問を検証してみる。

[-Ⅰ] 「資料読み取りの条件付き論述設問」(全2問。ともに「字数指定」なし。各「40字ほど」の解答欄)
「江戸幕府と朝廷(天皇)の関係」について調べた「資料」を分析すると、「幕府を存続させるために、朝廷に対して異なる二つの方針を持って臨んでいること」が分かるが、「その二つの方針とは何か」をそれぞれ論述する。「条件」は「そのような方針が必要だった理由も含めて論述する」こと。「異なる二つの方針」だということを意識して各「資料」を丁寧に読み解いていく。
「資料」(年表)から、「1603・05・23年」に「徳川家康・秀忠・家光」が「朝廷(天皇)から征夷大将軍に任命され」、「1620年」には「秀忠の娘が天皇に嫁いでいる」ことが読み取れる。また、「資料」(徳川家の朝廷対策)からは、「1705年までに、禁裏(きんり)御領(天皇の領地)に3万石を献上し、朝廷の儀式の復興にも尽力している」ことが分かる。こうしたことから、「朝廷と良好な関係を築こうという方針」が読み解けるはずだ。「理由」は無論、「朝廷から征夷大将軍に任命されこと」に結びついている。したがって、「方針」のひとつはたとえば、「幕府は朝廷から将軍に任命されて成立するので、良好な関係を築き維持しようという方針。」(41字)という「答え」になる。
続いて、もうひとつの「異なる方針」を考えたい。「資料」の「1615年」に「朝廷・公家に対する統制法である禁中並公家諸法度(きんちゅうならびにくげしょはっと)」を定めている。また、「1627年」には「勅許(天皇の許可)を無効」としている。そして、「資料」(禁中並公家諸法度の内容)の「第一条」には「天皇が修めるべきものの第一は学問である」とあり、「第十六条」では「勅許」を乱発しないようにクギをさしていることが読み取れる。つまり、「朝廷(天皇)の権限を制限しようとしている」ことが分かるはずだ。「理由」については、「相対的に幕府の力が弱くならないようにする」ことが考えられる。よって、もうひとつの「方針」としてはたとえば、「幕府の力が朝廷より弱くなると困るので、朝廷の権限をできるだけ制限しようという方針。」(41字)という「答え」だ。
設問の趣旨を正確に捉(とら)えた上で、あらゆる「情報」を駆使して「考察」することが肝要だと心得よ。

                                 <時間配分目安:全問で6分>

攻略のポイント

●「設問」に一筋縄ではいかない「クセ」がある。いかに「攻略」するか? 実直に、「基礎的事項」から「詳細事項」までを理解し(本校では相当な「深知り知識」も求められる)、定着させることが必要だ。その上で、「細部へのこだわり」と「知らない問題」への「対処法」も押さえておきたい。前者はいかに「細部」に着目して「判断」できるかであり、後者はいかに「知っていること」に結びつけられるかということだ。必ず、どこかに「手がかり」「ヒント」が隠されていることを心得ておきたい。

●「時事問題の攻略」もポイント。過去1年間程度の「時事ネタ」は、細大漏らさず確実に整理して覚えておく必要がある。さらに、それらに関連する「あらゆる事項(知識)」も全て復習すること。日々の「新聞」をしっかりと確認しておくことは不可欠だ。毎日全てを読み通せなくても、「見出し」「リード」は必ずチェックして、知らない「ネタ」があったら「スクラップ」しておくこと。

●「戦術」も必要になる。基本は「取れる問題を確実に押さえる」ことだ。逆にいえば「取れそうにない問題は潔く捨てる」という覚悟も求められる。もちろん「単純ミス」は絶対にしてはいけない。「合格ライン」は6割強(学校公表の本年度「社会」の「合格者平均点」は「64.8点」)。「基礎的知識問題」で基礎点(5割強)は獲得可能。あとは「本校対策」で勝ち取ること。

●「地理」では「地図」「地形図」「統計資料」等、「歴史」では「年表」「歴史史料(「図版」含む)」等がよく出題されるので、常にチェックしておくこと。無論、「統計資料」は必ず最新版を使いたい。「日本のすがた」(矢野恒太記念会編集)が分かりやすくてオススメだ。

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