慶應義塾湘南藤沢中等部 入試対策
2025年度「慶應義塾湘南藤沢中等部の理科」
攻略のための学習方法
慶應湘南藤沢中等部の理科の得点は、50点満点。基本知識を問う問題も多いが、分析思考型の出題も多く、問題文・図・グラフを読み取った上でその趣旨を理解し、考察・解答する能力が求められる。また、試験時間が25分と短いことから、時間を意識した問題演習も必須である。
攻略のための学習法として、まずは早い段階で基本知識を固めること。その際にはできる限り漢字で覚えること。秋以降は分析思考型の問題の演習に時間をかけること。演習には過去問だけでなく問題文やデータを読み取った上で答えるタイプの問題の演習に時間をかけたい。初見の問題に対して、問題の意味を読み取り素早く判断し解答する練習が必要である。記述問題の練習も行うこと。
各分野の学習法は以下の通り。
<分野毎の学習法>
生物分野 本年はだ液の働きに関する出題で、消化器官全般についての基本知識問題も含まれていた。また、テーマとなっていただ液の実験は、テキストや問題集で取り上げられている内容であった。近年では、海に住む生物・昆虫のからだのつくりと増え方・生物の進化・人のからだの働き・森林の生物・アサガオの生育等についての出題が見られた。この分野の学習法としては、まずは植物・昆虫・人のからだの働き・生物と環境を中心に生物すべての分野について基本知識を早い段階で固めて欲しい。その上で、植物の働きや人のからだの働きに関する実験や観察を通して考えさせる問題の演習をしっかりおこなって欲しい。
地学分野 本年度はヒートアイランド現象についての出題で、知識に加え、問題文を読み取る力も試される内容であった。近年では、月・台風・暑さ指数・川の流れの働きなどの出題が見られる。この分野の学習法として、まずは天体・気象・岩石・地層などの基本知識を固めること。その上で、問題演習の時間を十分に確保して欲しい。天体については、何故そのように見えるのか?の理屈をしっかり理解すること。また、時事問題対策として、近年に起こった出来事や、地球温暖化・環境問題に関して入試前にしっかり学習しておきたい。
物理分野 本年はさおばかりを主なテーマとした、てこのつり合いについての出題であった。近年では、電気回路・浮力・磁石・ブランコの運動などの出題が見られた。2022年には浮力についてのやや難度の高い計算問題が出題されている。力のつり合いに関する計算問題の練習は、難度を少し上げて行いたい。また、力のつりあい・電気・光・音など各単元において、基本的な性質と我々の生活の中でそれらの性質がどのように利用されているのかについて学習・理解しておきたい。
化学分野 今年度は水溶液の性質に関する出題で、基本知識問題と考察力が必要な問題で構成されていた。近年では、気体の性質・ドライアイス・ものの燃え方・ものの溶け方などの出題が見られた。身近な現象を化学的に考えるという内容も多くなっている。今後も本年度のように知識問題に加え考察力が要求される問題が想定される。考察問題であっても基本知識は必須である。気体や水溶液の性質、指示薬の色の変化などについて基本知識を早い段階で確実に固めたい。その上で実戦的な演習に時間をかけたい。
慶応湘南藤沢中等部で合格点を取れる力を身につけるためには、まずは夏までに各分野の基本の学習を終えておきたい。そのうえで、秋以降は入試問題と同タイプの総合的な問題演習にも時間をかけて欲しい。もちろん9月以降でまだ苦手な単元に関してはさらに力を入れて定着させる必要がある。9月以降の模試や総合的な演習は、まだ仕上がっていない分野を見つける絶好のチャンスでもある。できていない問題については、なぜ間違えたのかの分析をしっかり行い、苦手分野の克服につなげて欲しい。
入試直前期には時事問題対策の本が各塾や出版社から出されるので、それらをしっかり活用していこう。
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2025年度「慶應義塾湘南藤沢中等部の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問数は4、小問数は22で50点満点。試験時間は25分で例年通りであった。記号選択問題、適語を答える問題が中心で、10字以内の記述問題もあった。知識だけで答えられる問題が意外と多いが、細かい知識を問う問題も見られる。試験時間の25分に対して問題量は適量であり、慌てることなく取り組んでほしい。
【大問1】生物分野 だ液の働き
- 難度:標準
- 時間配分:6分
- ★必答問題
問1 「すい臓」は消化液を作るが、食べ物の通り道ではない。
問2 食道と大腸は食べ物の通り道だが、消化液を作る器官ではない。
問3 温度・時間の条件は変えずに、だ液を蒸留水に変えるとでんぷんを分解する働きがなくなることを確認すればよい。
問4 0℃ではだ液がは働かず、でんぷんは分解されない。
問5 実験結果より、だ液は高温・低温では働かないことがわかる。また、一度沸騰させると40℃まで温度を下げても働かないが、凍らせたあと40℃まで上げると、働くようになることがわかる。
問6 だ液と同じでんぷんを分解する働きがあることから、でんぷんを多く含むもちにのせるのが、消化を助ける食べ方と考えられる。
だ液の働きに関する出題。問2までは消化器官についての一般的な知識問題。問3以降はだ液の働きについての実験結果を考察する問題。考察問題と言っても、ここで取り上げられている実験は、テキストや問題集で取り上げられている典型的な実験であり、演習経験があれば、それを生かすことができる内容。
これを機会に、今回は取り上げられていないフェーリング液(ベネジクト液)による糖の検出実験についても、テキストで確認しておこう。
【大問2】化学分野 水溶液の性質
- 難度:標準
- 時間配分:6分
- ★必答問題
問1 食塩水は中性なので、蒸留水同様に青色になる。
問2 中性の食塩水では、リトマス紙の色の変化はない。アンモニア水はアルカリ性なので、赤色リトマス紙は青色に変化する。
問3 手順4で得られた水溶液は酸性。アルカリ性の水溶液を加えればよいので、重そう水とアンモニア水が当てはまる。
問4 実験結果の考察問題。選択問題だが、「すべて」選択で、正答の個数がわからないことに注意が必要。
実験結果より、「青色の溶液」は強い酸性では赤色で、酸性が弱くなると、赤むらさき⇒むらさきと変化し、強いアルカリ性では黄緑色で、アルカリ性が弱くなると、緑色に変化することがわかる。
水溶液の性質についての出題。問3までは知識問題で正答必須。間違えている場合は知識の抜けがあると思われるので、テキストを使って知識の確認・整理をしよう。問4は実験結果の考察問題。実験結果の整理を落ち着いて行えるかがポイント。
【大問3】地学分野 ヒートアイランド現象
- 難度:やや難
- 時間配分:7分
- ★必答問題
問1 都市部の地面がすべてコンクリートでおおわれているとシミュレーションすると、実際にはすべてコンクリートでおおわれているわけではないので、シミュレーション結果は実際よりも高くなる。
問2 日本で都市化が進んでいない場所を考えると、森林が最も近い。
問3 問題文の読み取り問題。問題文より、「人工排熱」がヒートアイランド現象の原因の一つと考えられる。
問4 「二酸化炭素」は温室効果ガスと呼ばれ、地球温暖化の大きな原因となっている。
問5 熱がこもり気温が下がりにくくなることによって起こる現象として、蚊の越冬・集中豪雨の増加があげられる。「すべて選択」に注意すること。
問6 熱が直接大気中に出ていかない方策を選択すればよい。
ヒートアイランド現象に関する出題。知識に加え、問題文の読み取り力も問われる内容。ヒートアイランド現象・地球温暖化・集中豪雨の増加などについては、日頃からの問題意識が必要。ニュースなどを見ながら家族で話し合う時間を取ることも大切である。
【大問4】物理分野 てこのつり合い
- 難度:標準
- 時間配分:6分
- ★必答問題
問1 時計回りと反時計回りの回転力(支点からの距離×おもりの重さ)が等しいときに棒はつり合う。20×100=50×皿の重さ より、皿の重さは40g。
問2 時計回りの回転力は、32.5×100より3250になる。3250÷50=65より、皿の重さを引くと25g。
問3 おもりを棒の右端につるすと、時計回りの回転力は50×100より5000。反時計回りの回転力も5000とすると、5000÷50=100より、皿の重さを引くと60g。
問4 時計回りの回転力を大きくすればよいので、支点からおもりの距離を長くする(支点から皿の距離を短くする)、または、おもりの重さを重くすればよい。また、皿の重さを軽くすると、その分重い重さを測ることができる。
問5 てこの3点は、てこを支えて動かない点:支点、力を加える点:力点、物体に力が働く点:作用点 である。
問6 10字以内の記述問題。支点-力点間の距離を長くすればよい。
てこのつり合いに関する出題。さおばかりがテーマとなっているが、難問はない。さおばかりの計算については、テキストや問題集でも取り上げられているので、苦手な人は演習に時間をかけること。
攻略のポイント
大問4題での出題であった。過去の出題を見ても、各分野から大問4題の出題になっている。今回の出題を見ると、知識だけで解ける問題が意外と多いが、思考力が必要な問題や判断に迷う選択問題も適度に含まれた出題となっている。また、かつては見られた難度の高い計算問題は、ここ3年間は出題されていない。
本校受験者に求められる力は、実験結果やグラフから「なぜそのような結果になったのかを考察する力である。基本知識を夏までを目標に固め、秋以降はその知識を用いた演習に時間をかけて欲しい。記述問題の練習も必須である。また、記号選択問題であっても、理由・理屈をしっかりしっかり考えた上で選択する練習を行ってもらいたい。知識事項を覚える上ではできる限り漢字で覚えること。漢字指定の知識問題が出題された年度もある。また、時事的問題対策も必須である。日頃から科学・自然に興味を傾けるとともに、直前期の対策も忘れずに行うこと。
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