人は読書を通じて自分の体験の意味を確認し、他者と共感することで自分を肯定できる。著者と本質的な部分を共有することは読書の醍醐味であり、アイデンティティを形成する重要なポイントにもなるのである。

問１　体験が大事であるのは理解できるが、読書が体験に向かう動機を与えてくれたり、体験の意味を明確にしてくれたりするのだから、体験と読書のどちらが優れているということではないのである。

問２　「ぼんやりとしかわからなかった自分の体験が、読書によってはっきりする」「自分の体験の意味が確認される(十四字)」ということである。

問３　Ａ.　意識下　　Ｂ.　意識化　　

問４　自分一人の経験ではなかったと思えると、人は勇気づけられる。「優れた著者が自分と同じ経験や意見を述べてくれていると、安心して自分を肯定できる」のである。

問５　「自分と他者との間に本質的な事柄を共有するのが、アイデンティティ形成の重要なポイントだ」と述べられている。著者と自分が同じような感覚を持っていると思うこと(＝問題ない錯覚)が、アイデンティティ(自分らしさ)を形作るのである。

問６　オ

問７　危険なのは、著者を一人に限定して思い込みが狭くなってしまうことである。「何人もの著者をもつ」「多くの著者の文章を読むようにする」ことでそれは避けられるのである。

〔ワンポイント！――選択肢が五択で選びにくいかもしれない。消去法で明らかな間違いを消して、残る二者で迷うことが多いだろう。本文との一致・不一致を正確に判断できるよう、一つの言葉にも注意して筆者の考えを読み取ろう。〕

音楽学校の受験に失敗し普通の高校に通う主人公は無気力な学校生活を送っていたが、ピアノを弾いていたクラスメイトに合唱コンクールの指揮者に推薦されたことで音楽への気持ちが動き始める。

問１　学校生活のすべてが自分とは関わりのないことのように思える・参加しているという実感が持てない→臨場感がない

問２　一人でいたくないと思いながら一人でいることは「孤独」であるが、学校生活に参加している実感がない主人公はもともと「ひとり」であり、孤独ではないのである。

問３　母と違って自分には受験の準備が必要だったのであり、「私の才能は母よりも劣っている(十四字)」ということに受験に失敗してから気づいたのである。

問４　主人公が苦手に思っている賑やかな体育祭や文化祭がやっと終わったと思っていたら、「また」すぐ合唱コンクールの喧噪が戻ってくることが億劫になっている。

問５　面倒なことを押しつけようという意図が感じられず、素直に自分を推薦してくれているのだろうと、声の調子や雰囲気などから感じられたのであろう。

問６　「音楽が好きそうだから」という原の言葉が、心の奥に閉じ込めていた気持ちに共鳴し、思わず引き受けてしまったという感じである。

問７　主人公は以前、原が一人で「うれしそうにピアノを弾いていた」のを見ていることから、「原さんも」音楽が好きなのだろうと考え、ピアノを任せたいと思ったのである。

〔ワンポイント！　書き抜き問題が多いので、問題の傍線が出てきたときにおおまかにこの辺だろうと予想を立てておくと、後で探しやすい。問題を見てから探し始めては時間がかかり過ぎる恐れがある。〕

(１)　以心伝心　　(２)　右往左往　　(３)　三者三様　　(４)　私利私欲　　(５)　適材適所

①　こうこう　　②　そうじゅう　　③　誕生　　④　承認　　⑤　明朗