中央大学附属中学校 入試対策
2025年度「中央大学附属中学校の国語」
攻略のための学習方法
〇[問題構成の特徴]
例年、説明的文章と文学的文章の計2題の長文読解が出題されている。漢字やことばの知識も合わせて出題される。選択式問題が大半を占め、数問の書き抜き問題が出される場合もある。総解答数は40~55問ほどと多めである。
読む分量が多い点が大きな特徴である。素材文2題で計10000字超、それに加えて設問で使われる解説・補足文が900字ほどと、総計12000字程度(2019年度)の文に目を通さなくてはならない。2025年度では計14000字ほどにもなっている。この解説文は主題や要旨について穴埋め選択で答えさせるもので、問題も兼ねているのでしっかり読む必要がある。
選択肢問題と読解のスピードを意識して、過去問・類似問題でよく練習しておこう。
〇[読解問題]
読解の基本を身に付けよう。
・論説文の読解
段落――形式段落と意味段落の整理をし、段落ごとのつながり・まとまりを把握する。意味段落の内容を小見出しのように簡単にメモしておくとあとでわかりやすい。
要点と細部――各段落の最重要な1文を見つける。傍線などで目立つようにしておくとよい。細部には要点を捕捉する説明や例え・言い換えなどがあるので注意しておく。
要約と要旨――要点をつなげれば要約ができ、その中でも筆者の一番言いたいことが要旨である。
論説文には専門的な用語や難解な考えなどが含まれているが、つまるところ、それらをわかりやすく端的に短くまとめるという作業が、論説文の読解の基本となる。本校の場合、設問の中の解説文がその役割を果たしてくれている部分があり、大きなヒントにもなっている。過去問を多くこなして、試験の特色をうまく利用できるように慣れておこう。
・小説の読解
登場人物――名前・人数・それぞれの関係を整理する。それぞれの性格も把握しておく。
場面分け――時間・場所・人物の入出などで、場面の変わり目を見つける。場面の変わり目自体が問題となる場合もある。
心情把握――人物の言動・表情さらには情景などから人物の気持ちを読み取る。人物の性格が異なれば、その言動の意味するところも変わってくる。
主題――作者が描きたかったのはどんなことか。人物の成長や苦難・挫折などいくつかのパターンがある。小説を多く読んでいろいろなパターンに触れておこう。
本校の場合、この分野でも人物の心情や小説のテーマなどについて解説文で問題にしてくれている。そこには詳しい説明など解答のヒントも多く含まれているので、しっかり読んで正解につなげたい。
〇[まとめ]
文量の多さへの対処が重要になる。速く・正確に読めるように多くの文章を読んで経験値を上げておきたい。問題も兼ねている解説文については、多くの試験では記述で答えたりする部分を選択式の穴埋め問題にしてあるので、手がかりも多くなり取り組みやすくなっているとも言える。記述問題への特別な対策が必要でない分は荷が軽いので、しっかり読解力を養うことに注力しよう。言語事項もひととおり訊かれるので手を抜かないように。
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2025年度「中央大学附属中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
読む文量の多さに対処する必要がある。解説・補足文も解答に直結するためしっかり読まなければならない。読むスピードをつけておくこと。解答数は58問とかなり多めで、漢字以外は選択式問題で記述問題は出されていない。
【大問一】小説の読解
- 難度:標準
- 時間配分:30分
- ★必答問題
集合住宅の同じ階に住んでいるえび男くんと主人公の交流が描かれる。彼は両親からあまり相手をしてもらえていないようである。
問1 a. 競技場 b. 均等 c. 照(れた) d. 紅潮 e. 確信
問2 「途中で意見を述べたりすると、その後の言葉が続かない」ので、えび男君の言葉をおうむ返しして、話を聞いていることだけ伝わるようにしている。
問3 ウ
問4 A. エ B. イ C. ア
問5 a. えび男くんは「ニンゲンフシン」を「遊ぼうよ、一緒に、って気持ちになれないこと」だととらえている。
b. 母親はえび男くんと遊んでも楽しくなさそうである。
c. 父親は家以外で多くの人と遊ぶのが好きなのだと、えび男くんは考えている。
d. 家にいることが少なく、家族の相手をほとんどしない父親であることが読み取れる。
問6 直前でハンバーグのことが語られ、直後で今日は寒いことが述べられているので、【い】に入ると前後の意味がつながる。
問7 両親の間でとりこみごとがあったと語るえび男君の口調が大人びていて驚いたが、表情は以前と変わっていないようであった。
問8 両親の仲が悪くなり、「仲良く遊ぼう」という状態でなくなったことから、えび男くんも母親と同じ「ニンゲンフシン」になってみた(→主人公の家に来なくなった)。その結果「ニンゲンフシン(仲よく遊ばないこと)」は「悲しいばかりで嫌」なことであると知り、このとき母親の気持ちを理解したのだと考えられる。
問9 ウ・オ・ク・シ
問10 D. 「熱いの形」「寒いの形」に続けて「みかんの形」の話になっている。
EとF. ポケットに入れたみかんの温度を感じている。
G. 「熱い」「寒い」の話と比べると、みかんの形は「おいしい」であるという、あたりまえ・そのままの答えになっている。
問11 父親の好きなえびと息子の好きなハンバーグという料理は、壊れかけた家庭をつなぎとめる試みだったと考えられる。少年が自分をえび男と呼ばせたのも、離れていく父親への想いがあったからなのであろう。しかし、年末には結局夫婦は別居状態になった(とりこみごと)ようである。母親と同じ「ニンゲンフシン」になったことで母親の気持ちを知ったえび男くんは、父親への反発・あきらめも感じたのであろう。そんなえび男君を見て主人公は成長を感じ、それはえび男くんが再び家庭以外(=主人公)と関わりを持とうとしていることでもあった。かつての光である星が「あたたかい」というのは、三人家族であった過去を暗示しており、主人公は涙を流すえび男くんに静かに寄り添うのである。
〔ワンポイント!――小説本文だけで約9000字あり、設問の説明文も含めればさらに文量は増える。過去問も利用して、長文を速く集中して読む練習を積んでおこう。〕
【大問二】論説文の読解
- 難度:標準
- 時間配分:20分
女性専用車両やレディースデイなどを題材として、いまだジェンダーをめぐる暴力や格差が存在していることを指摘し、その社会的要因を探っている。
問1 女性専用車両やレディースデイを男性差別だと主張する向きもあるが、それは女性
が得る利益にのみ着目した偏った見方であると、筆者は指摘している→選択肢イ。
問2 痴漢の撲滅は現状では実現できないので、とりあえずの女性の安全を守る次善の策であるという意味と考えられる。
問3 a. ウ b. ア c. エ d. カ e. ク f. キ
問4 A. レディースデイの「正当性」は微妙な問題を含んでいる。
B. 他の曜日で女性客が減少した「可能性」もある。
C. 顧客の属性によりサービスを変えることは「平等性」に照らして適切な場合も そうでない場合もある。
D. 「公共性」の高い施設が健常者だけを対象として造られたら、それこそ差別である。
問5 企業が利益を追求するのは当然だが、だからと言って人間社会の倫理に反するようなサービスを提供するのは社会通念として許されないはずである。
問6 (1) 痴漢は被害者のほとんどが女性であるという、一方的・非対称的な犯罪である。
(2) 痴漢の被害を受けやすい女性を保護するのが女性専用車両の設置理由である。
(3) 女性の置かれた不利な状況を是正して、マイナスをゼロに戻すだけである。
(4) 男性が損をしている・差別されているということにはならないのである。
問7 ある特定の国や民族に限らないということを意味するために、わざと特定の印象を与えないカタカナを使用している→選択肢エ。
問8 仮に男女の経済格差が無ければ性別で料金を変えるのは差別である→しかし、現実はそうではない→収入や雇用の安定において、いまなお女性は劣位に置かれている→しかも、年齢が上がるにつれて差が開いていく、という文脈になっている。
問9 (1) (賃金や雇用の格差がある故のレディースデイなのに、それでも)「気に入らない人は、頑張ってください」と、やや皮肉なニュアンスが感じられる。
(2) 現状としては男女間の格差があるので、レディースデイを適当だと思っている。
(3) 男女格差が解消されれば、レディースデイは男性差別になる。
(4) レディースデイの「レディ」にはトランスジェンダーの人が含まれていない現実もある。
問10 かつては男性の方が高給であるのが当たり前だったので、弱い・薄給の女性に「奢る」のが当然という価値観を多くの人が持っていた。それは男性からすれば奢れるくらいでなければ一人前ではないというプレッシャーにもなり、いわば「男性の価値が経済力でのみ測られるという差別」とも言えるわけである。
〔ワンポイント!――小説よりは文量が少ない。論説文が得意な人はこちらから始めてしっかり得点しておくのがよいだろう。〕
攻略のポイント
問題自体は特別に高難度というわけではないので、時間が足りずに問題に手が付けられないという事態になったらもったいない。過去問で文章量の多さによく慣れておき、とにかくひととおりは目を通せるように、長文を読むスピードはぜひともつけておきたい。解説文の穴埋め選択肢という形式にも十分に慣れておくこと。選択肢問題が大半であることも意識して類似問題をこなしておくこと。
漢字やことばの知識も難問ではないので、地道に覚えておいて点を稼ごう。
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