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慶應義塾普通部 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2018年度「慶應義塾普通部の社会」
攻略のための学習方法

スライド式学習

「地理」「歴史」「公民」と「時事問題」の「知識」を確実に定着させておくこと。「基礎的事項」は当然だが、相当細かな「知識」や「深い理解」も求められるので、テキストの「注」や「囲み説明」等もチェックしなくてはいけない。

慶應では「地理」「歴史」からの出題が特に多いので、確実に定着させておきたい。
ただ、人は忘れるものだ。時が経てば経つ程忘れる。ここに実は落とし穴がある。基本的に「暗記」が最重要となる「社会」では、各単元をいつ学習し、定着させたのか、その時期が問題となる。

塾では通常、本格的な受験勉強が始まる5年生になってから、「地理」⇒「歴史」⇒「公民」と単元消化していき、6年生の夏休み前には終える。その後は「復習」となるが、そのメインは圧倒的に定着すべき事項の多い「歴史」にならざるを得ない。そのまま、秋から冬となり「過去問演習」と続いていく。6年生で学習した「公民」はまだしも、「地理」はどうだろうか? 実質的に1年以上の空白が生じてしまう。それはまずい。前述のように慶應では「地理」単元に含まれる全ての分野から多数出題されるのだ。

そこで、独自の「復習」が必要となる。塾での学習とはずらして(スライドさせて)、まだ時間的に若干の余裕がある5年生の冬休みやその後の春休みを利用して徹底的に「地理」の「復習」をしておくことが勝利につながる。「重要事項チェック問題集」のようなものを活用してもいい。さらに、その後も定期的に「地理」の理解を深めるような学習を続けておくことで、ライバルに差をつけておきたい。

いもづる式学習

「暗記事項」はそれぞれ単独(要は「一問一答方式」)で定着させておいてもほとんど意味がない。バラバラに覚えているだけでは、自分が覚えた通りに問われなければ結びつかないし、関連問題にも答えられないからだ。

そこで重要となるのが「いもづる式学習法」だ。「点」で覚えているものを「線」で結び、さらには「面」をも理解するには不可欠の学習だ。1つの「暗記事項」を確認する際、それに関連すると思われる「事項」を次から次へと思いつく限り引き出していく。単元も無視する。もし「言葉」としては覚えていても内容があやふやになっているものがあれば、すぐに確認しておく(ついでにここでも「復習」できる)。

また、それらは「線」で結びついているはずなので、どのように結びつくのかを確認していく。その上で、それらが結びつく背景(=「面」)も理解するようにする。このようにして改めて暗記し定着させた「事項」はどのような問われ方をしても「線」で結びつけて答えられることになる。さらに、単元もまたいでいるので、「単元融合問題」にも対応できるようになる。

慶應では、「問題文」や「設問内容」そして「他の各設問」、それらに関する「知識」をつなぎ合わせて考えさせる出題が多い。それに対応するにも「いもづる式学習法」が力を発揮する。

手づくり式学習

特に「歴史」単元の「復習」で必要となる。塾での「歴史」の学習は普通、「政治史」を軸とした「通史」として「時代別」「時代順」になっている。だが、慶應の入試問題ではそうした単純なものはない。特定の切り口での「分野史」が多いし、必ずしも「時代別」「時代順」ではなく様々な時間軸で出題される。

それらに対応するために必要なのが「手づくり年表」だ。「政治史」「社会経済史」「外交史」「文化史」「人物史」等の「分野史」別の「年表」を作成しながら復習する。その際、「原始」~「現代」という長い時間軸にする。当然、「重要事項」だけしか記入できないが、それでいい。「関連事項」を頭に思い浮かべるようにすれば、「いもづる式学習」にもなる。

さらに、その「年表」には「世紀」と「日本の時代名」「中国の王朝名」を対応させて記入しておきたい。「世紀」と「時代」がすぐに結びつかないと答えられない問題が多いからだ。「年表づくり」を楽しみながらやってみよう。

 細部へのこだわり式学習

必ず出題される「ひとつのことがらを掘り下げた問題」(特に「時事問題」に関したものが多い)や「設問文の内容を組み合わせて考える問題」。これらを考えるに当たって最も重要なことは、「ことがら(テーマ)」や「内容」をいかに正確に読み取るかということだ。問題文や設問文に示されていることに基づいて「考えるヒント」を見つけ出す。とにかく「細部」にこだわって読み取ることが必要となる。

そのためにはトレーニングが欠かせない。過去問や「時事問題用テキスト」等を用いて、各事項の細かな「意味」や「関連事項」と「設問文の内容」を全て材料として、そこから何が導き出せるのかを確認する訓練をするのだ。導き出せることについては、問題集やテキストの「解説」に示されているので活用すること。

こうした「細部へのこだわり学習」をつづけることで、次第に問題文や設問文に示された着目すべき「手がかり」が自然と浮かび上がるようになる。後は自分の「知識」と結びつけて考えればいいのだ。

意識継続式学習

常に何かを「意識」しながら学習することが重要だ。漫然と机に向っていても時間の無駄だ。その時々、何を目的としてどのような学習(たとえば、上記の「○○式学習」)をしているのか、具体的に「意識」し続けていることが大切。

そうして何かを「意識」することが継続できるようになったら、次は同時にいくつものことを「意識」しながら学習したい。本番ではたった30分という制限時間の中で、様々な「設問条件」をクリアして答えなくてはいけないのだ。だからこそ、「設問」を正しく理解しているか? 「条件」を満たしているか? つまらないミスはないか? といったようなことを、問題を考え、解き、解答欄に答えを書き入れるいくつもの段階で常に「意識」しながら学習する必要がある。

当然、「時間」も「意識」すること。入試では見直しの時間はないと思った方がいい。常にそれらの「意識」を継続しているということは、何度も「見直し」をしていることになるのだ。
そして、何度も指摘しているが、「慶應ボーイ」になるための「大人の常識」も「意識」すること。

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2018年度「慶應義塾普通部の社会」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問は「総合」(「地理」「公民」「時事」)。「社会科用語」についての5つの説明文からの出題。
小問なし(解答数5)。全て「選択肢」。

大問は「地理」。「宮古市の『田老』地区についてのリード文」からの出題。
小問は全7問(解答数9)。「選択肢」(「不適切」あり)、「事項記述」(「空所補充」「カタカナ」指定あり)、「説明記述」(1問。「字数指定」なし、「30字ほど」の解答欄)。

大問も「地理」。「関東・中部・近畿の3地方」からの出題。
小問は全3問(解答数5)。「選択肢」、「県名記述」(漢字指定)。

大問は「歴史」。「近現代の輸送・通信についてのリード文」からの出題。
小問は全4問(解答数9)。「事項記述」(「空所補充」「人物名」あり)のみ。

大問はも「歴史」。「日本の歴史と動物との関わりについてのリード文」からの出題。
全7問(解答数13)。「選択肢」(「複数完全解答」あり)、「事項記述」(「空所補充」「動物名」「ひらがな指定」「漢字指定」あり)、「説明記述」(1問。「5~10字以内」指定)。

大問 6 は「公民」(2問だけ「時事」)。「国民の政治参加についてのリード文」からの出題。
小問は4問(解答数6)、「選択肢」、「事項記述」(「空所補充」「漢字指定」あり)。

時間配分は、「説明記述」2問で4分、他は平均すると2問をほぼ1分で解くという驚異的なペースとなる。無論、メリハリのある「戦術」が求められる。

【大問1】総合(「地理」「公民」「時事」)

  • 難度:やや難
  • 時間配分:4分

「表現の換言選択肢設問」(全5問/20択)。「総合」(「地理」「公民」「時事」)。

示されている①②の説明文中の下線部にある「カタカナ」を「漢字」に、③~⑤の「漢字」を「カタカナ」で表現したものを答える。

意表を衝く大問だ。
定着すべき「社会科用語」の中には、「漢字」と「カタカナ」(「外来語」や「和製英語」)が混在したものや、「漢字」と「カタカナ」の二通りの表現があるものが存在する。まさに、そこを問われている。

単に言葉面(づら)だけではなく、その内容を的確に理解しているかどうかだ。しかも、選択肢がとても多い(「カタカナ」→「漢字」で8択、「漢字」→「カタカナ」が12択)。なかなかの曲者だ。
「答え」を確認したい。

「環境アセスメント」=(う)「影響事前評価」⇒これは定番。
「食品トレーサビリティ」=(か)「追跡可能性」⇒定着度合いが問われている。
「地震で水道や電気・ガスなどが止まって」=(さ)「ライフライン」⇒問題ないはず。
「大きな技術革新が起こる」=(ち)「イノベーション」⇒「一般常識」ではあるが、「中学入試」ではやはり難解。
「近年の外国からの訪日需要の増大」=(し)「インバウンド」⇒「時事問題」として押さえていればいいが、そうでなければ解答不能。

本校がどのような生徒を求めているかが一目瞭然で分かる。自覚せよ。

<時間配分目安:全部で3分>

【大問2】地理(「説明記述」あり)

  • 難度:やや難
  • 時間配分:6分

「宮古市の『田老』地区の特徴や歴史、そして、現状についてのリード文」とそれに付随した3つの「地形図」からの出題。

「地理」の「基礎知識」が問われているのだが、細部に配慮しないと意外と難渋する。慎重さが求められる大問だ。
以下、いくつか「設問」を検討しよう。

[1-(い)] 「空所補充の事項記述設問」。

リード文中の空所( い )に「当てはまることば」を答える。

空所を確認する。
「(度重なる津波に襲われた)経験から、田老は長年をかけて大きな( い )を建設し、世界中から見学者が来るほど有名な津波防災の町になった」。

簡単じゃん。「波を防ぐ」のだから、「防波堤」に決まっているじゃん。と、早とちりしてはいけない。
確かに、「防波堤」は波や高潮を防ぐためのものだが、海の中程にあって港湾内部を守っている。それに対して、「津波対策」に力点が置かれているのは、岸にある「防潮堤」だ。

なので、「答え」は「防潮堤」となる。

即断即決は重要だが、問題に対しての最適解を求めることを忘れてはならない。
尚、田老の「防潮堤」は「万里の長城」とも呼ばれていたが、「2011.3.11」で破壊され、多くの犠牲者を出してしまったことは周知のとおりだ。

<時間配分目安:30秒以内>

[4] 「下線部についての選択肢設問」(5択)。

リード文中の下線部③「度重なる津波」の原因となった地震が起きた「沖合以外の場所」を答える。

「田老」は無論、「太平洋」沿岸なので、その「沖合」以外になる。
各選択肢は、(ア)「日本海」、(イ)「南西諸島」、(ウ)「インドネシア」、(エ)「オーストラリア」、(オ)「チリ」。
どこだ? 

「知識」として定着している諸君はまずいないだろう。難問か? 
ただ、「地図」を頭に思い浮かべたらどうか? 「消去」して判別できるはずだ。

結果、「答え」は(オ)の「チリ」になる。

1960年5月、「チリ」の太平洋沖でM9.5という巨大地震が発生し、「津波」は太平洋を渡り、三陸沿岸に最大6mの高さで押し寄せた。
尚、「選択肢設問」では当然ながら、「消去法」を十分に活用すること。

<時間配分目安:1分弱>

[5] 「下線部についての不適切選択肢設問」(4択)。

リード文中の下線部④の「災害救助法に基づいた幅広い対応」として、「正しくないもの」を答える。

はっ? 「災害救助法」の内容など、誰も知るはずがない。諦めるか? 「捨て問」でも構わないのだが、何とかチャレンジできないか? 
「答え」が「ひとつ」あるということは、各選択肢の中に「ひとつだけ他とは何かが違うもの」があるに違いない。
確認する。

(ア)「外国に医師団の派遣を依頼」、
(イ)「炊き出しなどをして食品や飲用水を配布」、
(ウ)「被災者のための避難所設置」、
(エ)「被災者の救出や行方不明者の捜索」。

どうだろうか? 他とは異なるもの、何か違和感があるもの、そうしたものはないか?
 「災害救助」として(イ)(ウ)(エ)は、見聞きしたことのある「応急的な対応」のはず。それに対して(ア)はどうか? 「外国」? 「派遣を要請」? やはり、他とは何が違う。

そう、「答え」は(ア)だ。
「災害救助法」は「災害直後の応急的な保護と社会秩序の維持」を目的としている。

「選択肢設問」で「答え」が「ひとつ」の場合、「他とは違うもの」「何か違和感があるもの」という観点で判別するという発想も必要になると心得よ。

<時間配分目安:1分>

[7] 「下線部に関する地形図読み取りの説明記述設問」(「字数指定」なし。「30字ほど」の解答欄)。

リード文中の下線部⑤「新たな『まちづくり』が進み、再び『津波に強い町』へ」に関して、「津波に強い町」に向けた取り組みとして、示されている「2つの『地形図』(2006年の『地図2』と2017年の『地図3』)を比べて読み取れることを一つ」説明する。

「地図2」では「中心市街地」が漁港の北西部の防潮堤の背後に広がっているが、「地図3」では漁港の北東部にあった山地が切り開かれ住宅地になっていることが読み取れる。
そう、「高台移転」という言葉は知っているはずだ。そうした内容をまとめていけばいい。

たとえば、「漁港の北東部の山地を切り開き、住宅を沿岸から高台移転させた。」といった「答え」になる。

尚、「地形図読み取り」では「地図記号」「等高線」などを正確に読み取り、「答え」に反映させることが肝要だ。

<時間配分目安:2分弱>

【大問3】地理(「都道府県名記述」あり)

  • 難度:
  • 時間配分:3分

「関東」「中部」「近畿」の3つの地方に関する、「統計資料読み取り」と「都道府県名記述」の大問だ。「地理」単元。

小問の[1][2]が「統計資料読み取り」の問題だが、馴染みがなく、「統計資料」の前提がとても複雑で、厄介な難問だ。効率を考えれば、戦術として「捨て問」にすべき。
他の1問だけを考えてみる。

[3] 「都道府県名記述設問」(3問。漢字指定)。

示されている(ア)~(ウ)の説明に「当てはまる3つの地方の中の都道府県名」をそれぞれ「漢字」で答える。

各説明の「キーワード」から特定していきたい。
(ア)「工業地帯」「島の数が最多」⇒「工業地帯」では「京浜」「中京」「阪神」になるが、「島」で考えれば⇒「答え」=「東京都」、
(イ)「1年の中で冬の降水量が最も多い」「政令指定都市がある」⇒「冬の降水量」で「中部地方の日本海側」となり、「政令指定都市」があるので⇒「答え」=「新潟県」、
(ウ)「内陸に位置している」「江戸時代の五街道が通っていない」⇒3地方の「内陸県」は「栃木県」「群馬県」「埼玉県」「山梨県」「長野県」「岐阜県」「滋賀県」「奈良県」で、「埼玉県」「栃木県」には「日光街道」と「奥州街道」、「埼玉県」「群馬県」「長野県」「岐阜県」には「中山道」、「山梨県」「長野県」には「甲州街道」、「滋賀県」には「東海道」と「中山道」がそれぞれ通っていた⇒「答え」=「奈良県」。

(ウ)の判別がやや面倒だが、丁寧にたどっていけば答えられるはず。
尚、「内陸県」の全てである上記8つは必ず覚えておくこと。「内陸県」はどこの学校でも頻出だ。

<時間配分目安:全部で3分>

【大問4】歴史(「事項記述」のみ)

  • 難度:
  • 時間配分:6分
  • ★必答問題

「幕末~現代までの、輸送手段や通信の仕組みに関するリード文」からの出題。

「歴史」の「基本的問題」ばかりだ。本校志望者であれば「全問正解」が必須だが、若干「ひっかけっぽい」ものもあるので、そこには注意したい。
以下、2問だけを確認する。

[1-(ア)] 「空所補充の地名記述設問」。

リード文中の空所( ア )に「当てはまる地名」を答える。

空所を確認する。「1854年、( ア )にやってきたペリー」。
「ペリー」といえば「浦賀」と、条件反射的に即断しては、まんまと「ひっかかる」ことになる。そもそも空所直前に「1854年」とある。「ペリー」が「浦賀」に来航したのは、「1853年」だ。翌年の再来航地は「神奈川」(後の「横浜」)。そこで結ばれたのが「神奈川(日米和親)条約」だ。
また、空所( ア )は他にもあり、「1872年に鉄道が新橋・( ア )間で開通」となっている。

そこから判断しても無論、「答え」は「横浜」となる。

「空所補充」では空所が何か所かある場合がある。当然、全てに適合しなければならない。そして、複数の空所は全て「ヒント」でもある。

<時間配分目安:30秒>

[4] 「下線部に関連する事項記述設問」。

リード文中の下線部③の「戦後の経済復興」と「最も関係が深かった戦争を何というか」を答える。

「戦後の戦争」? 何のこっちゃ? などと混乱してはダメ。「特需景気」が「戦後復興」を早め、「高度経済成長」へとつながったことは誰でも知っているはずだ。

したがって、「答え」は「朝鮮戦争」。

「ひねり」の利いた問題文にも動揺することなく沈着冷静に対応することが肝要だ。

<時間配分目安:30秒>

【大問5】歴史(「複数完全解答」あり)

  • 難度:標準
  • 時間配分:8分
  • ★必答問題

「縄文時代~現代までの、暮らしの中での人々と動物との関わりについてのリード文」からの出題。

「歴史」の「基本的事項」を問うものが多いのだが、「動物」という少し変わった「視点」からの問題なので戸惑うかもしれない。また、2つある「選択肢設問」はともに「複数完全解答」で、より慎重さが求められている。
以下、いくつかの「設問」を検証する。

[2] 「空所についての事項記述設問」(漢字指定)。

リード文中の空所( あ )にあてはまる「動物が引く貴族の乗り物」を「漢字」で答える。

「空所補充」→「事項記述」という2段階の珍しい問題だ。先ずは、空所を確認する。
「文明開化のころには( あ )の肉を煮て食べることが流行」⇒「牛鍋」=「牛」だと即断で特定できる。
で、「牛が引く貴族の乗り物」とは何か? 「定着」しているか? 意外とエアポケットで、抜け落ちているやも知れぬ。

「答え」は「牛車」だ(「ぎっしや」という「読み」にも注意)。

「平安時代の貴族の暮らし」といった重要な「歴史的事項」は、さまざまな「事項」を関連づけて「いもづる式」に定着させ、くれぐれも「漏れ」のないようにしておきたい。

<時間配分目安:1分>

[3] 「空所に関連する選択肢設問」(複数完全解答/6択)。

リード文中の空所( か )=「犬」と空所( き )=「馬」が「戦場に送られ、帰ってこなかった」ことに関連して、示されている(ア)~(カ)の「満州事変」についての説明で、「正しいもの」を「すべて」答える。

各選択肢の細部にまで着目して、正誤判別していきたい。
(ア)「戦いの前に日本は国際連合に加盟」⇒「満州事変」は「太平洋戦争」に至る「十五年戦争」(1931~1945年)のきっかけとなった戦いで、「国際連合」は第二次世界大戦後の成立(日本の加盟は1956年)=「不適切」、
(イ)「鉄道の爆破事件が事変の起こるきっかけ」⇒「南満州鉄道爆破事件(柳条湖事件)」=「適切」、
(ウ)「北京郊外の武力衝突が事変の起こるきっかけ」⇒「盧溝橋事件」で「日中戦争」のきっかけ=「不適切」、
(エ)「戦いの中で中国の首都南京が日本軍によって占領」⇒「南京大虐殺」と結びつくが、それは「日中戦争」でのこと(ちなみに、厳密にいうと当時、「首都」はすでに「重慶」に移されていたので要注意)=「不適切」、
(オ)「戦いの前に日本は国際連盟を脱退」⇒「日本の国際連盟は脱退」(1933年)は「満州事変」の結果=「不適切」、
(カ)「この事変によって中国東北部に日本と結びつきの深い国がつくられた」⇒無論、「満州国建国」(1932年)=「適切」。

よって、「答え」は(イ)(カ)になる。

各選択肢それぞれの正誤判別はさほど難解ではないのだが、「複数完全解答」では見逃しなどがないよう、慎重さが求められる。

<時間配分目安:2分>

[5] 「空所補充の国名記述設問」(複数完全解答)。

リード文中の空所  B  に「当てはまる国名」を「2つ」答える。

空所部分は「(安土城)の城下に滞在していたことでも知られている  B  人らが、カステラなどの菓子を作る技術を伝え」となっている。

「安土桃山時代」⇒「南蛮貿易」と結びつけ、「答え」は「ポルトガル」「スペイン」だと特定したい。

織田信長がキリスト教を保護したこともあり、安土城下には「セミナリオ」(イエズス会の初頭教育機関)が設置されていたことも覚えておきたい。

<時間配分目安:1分>

[7] 「空所補充の説明記述設問」(「5~10字以内」指定)。

リード文中の空所  E  に「当てはまる説明」を「5字以上10字以内」で答える。

空所前後は「第二次世界大戦後にインドから象が、また1972年には中国からパンダが贈られたように、動物は  E  をすすめるために活用されることもある」。

何やら「国語」の問題のようだが、「手がかり」は「社会」だ。
分かりやすいのは、「1972年」「中国」ではないか。「日中共同声明」による「国交正常化」が「1972年」だ。ということは、「日中友好」を深めるためだと考えられる。
あとは、「空所」に合わせてまとめていく。

たとえば、「国どうしの友好関係(をすすめる)」といった「答え」となる。

「空所」に的確に合致するようにまとめることが重要。

<時間配分目安:1分強>

【大問6】公民(「短文記述」あり)

  • 難度:標準
  • 時間配分:3分

「日本における国や地方での政治参加の現状や問題点についてのリード文」からの出題。

「公民」と「時事」の平易な問題が中心だが、「短文記述」や「事項(実例)記述」でやや悩ましいものがあるかも。
以下、それらについて考えてみたい。

[2] 「空所補充の短文記述設問」(2問)。

リード文中の空所  A    B  に「ふさわしいことば」をそれぞれ答える。「時事」「公民」単元。

空所は「昨年は  A  ことを受けて、10月22日に( い )が行われ……、そこで新しく選ばれた代表者は、召集されて何よりも先に  B  ことから始めた」。

( い )は「衆議院議員選挙(総選挙)」(=[1]の「答え」)だ。「昨年(2017年)10月」に「衆議院議員選挙」が行われたというのは典型的な「時事問題」だ。そう、その前に「衆議院解散」があった。

よって、  A  はたとえば、「衆議院が解散された(ことを受けて)」となる。
そして、「総選挙」で「新しく選ばれた代表者」が「召集され」るのは当然、「特別国会」だと分かるはず。そこで行われる  B  といえば、たとえば、「内閣総理大臣を指名する(こと)」が「答え」になる。

空所前後の「文脈」から的確に内容を読み取るというのは、「国語」と同様だ。

<時間配分目安:2問で2分>

[3] 「下線部についての実例記述設問」。

リード文中の下線部①「(国の政治に国民が直接参加して全員で決定するという方法は)国政では限定して行われてきました」について、「実際に行われている例」を「一つ」を答える。

要は、「国政における直接民主制」の「実例」ということだ。
誰もが定着しているものとして、「答え」は「最高裁判所裁判官の国民審査」ということでいい。これは「日本国憲法第79条」だ。

他にも、「特別法の住民投票」(同第95条)と「憲法改正における『国民投票』」(同第96条)がある。ただ、後者の「国民投票法」は成立しているが、まだ実施されたことはないので、ここでの「答え」としては「不適切」なので要注意だ。

尚、「特別法の住民投票」は「広島平和記念都市建設法」などの実施例がある。思いついた「事例」が「設問条件」に合致しているかということもしっかりと確認せよ。

<時間配分目安:1分弱>

攻略のポイント

●最大のネックは「試験時間」。「戦術」が絶対不可欠だ。基本は「取れる問題を確実に押さえる」こと。逆にいえば「取れそうにない問題は潔く捨てろ!」ということだ。
最悪なのは「できそうにもない問題」に時間を取られ、「できるはずの問題」を逃がしてしまうということ。瞬時に「捨て問」を判別し次の問題に立ち向かうべきだ。もし時間が余ったら、また戻ればいい。
配点はほぼ各2点前後(「説明記述」は4点ほど)、7割程度と推定される合格ライン(非公表)を考えれば、10問は「捨て問」としても構わない。難易度から判断して「基礎的知識」で十分対応可能だ。まして、慶應対策の学習をしていれば何の問題もない。

●「選択肢設問」について補足しておきたい。「不適切」や「複数完全解答」などが混在している。各選択肢自体は決して判別が難しくはなくても、焦り過ぎていると「取りこぼし」が生じてしまう恐れがある。「即断即決」は必須なのだが、「慎重さ」も求められている。こうした「矛盾」を克服することが課題になると心得よ。

●慶應義塾が求めている「教養人」としての備えも必要だ。「大人の一般常識」が問われる。
塾のテキストでは扱われていないようなものが出題されるので、日頃から「意識」しておくことが重要。
その上で、「新聞」や「テレビのニュース」は必ずチェックし、気になったことがあったらすぐに確認すること。そして、周りの「大人の人たちの会話」にも「参加」するように心がけたい。

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