｢東北地方の自然や産業｣に関して、｢地図｣｢統計資料｣などからの出題。｢地理｣の多種多様な分野の｢基本的事項｣を問うものがほとんど。ただ、｢説明記述｣は｢条件｣があるので、ややまとめづらいかも知れない。それも含めて、以下、いくつかの｢設問｣を確認してみよう。

[問１]　｢地図上の経路特定の選択肢設問｣(４択)。
｢津軽海峡の地図｣に示されている４つの｢経路｣の中で、｢青函トンネル｣のものを答える。正確な｢経路｣を知らない諸君も意外に多いかも知れない。各｢経路｣は、｢津軽海峡｣に突き出た青森県の｢津軽半島｣(西側)と｢下北半島｣(東側)のそれぞれから２本ずつ示されている。｢青函トンネル｣は｢津軽半島｣の北西の突端にある｢竜飛崎｣と北海道南西部の｢松前半島｣を結んでいる。従って、｢答え｣は最も西側の｢経路｣である｢①｣となる。ただ、知らなかったとしても、｢トンネル｣を掘るのだから｢最短ルート｣にするはずと気づけば判別できるはずだ(そうした｢知恵｣も必要！)。いずれにしても、｢地理的事項｣は｢地図上の位置｣も必ず定着させておくこと。
＜時間配分目安：１分以内＞

[問６-Ｂ]　｢地図に関連する条件付き理由説明記述設問｣(｢字数指定｣なし。｢50字ほど｣の解答欄)。
｢東北地方の地図｣に関連して、｢『やませ』が吹くと農作物の収穫量が少なくなる場合があるのはなぜか｣を説明する。｢条件｣は｢吹く季節や風の性質にふれて説明する｣こと。｢やませ｣については誰もが知っていなくてはいけない。ただ、自分の｢知っていること｣と｢条件｣を結びつけて説明する必要があるので厄介だ。｢やませ｣＝｢東北地方太平洋側に、梅雨期から夏にかけて北東から吹いてくる風｣｢寒流の千島海流を通過するので、冷たく湿っている｣｢冷害の原因になる｣などと理解しているはずだ。｢条件｣とつなげてみる。｢吹く季節｣⇒｢梅雨期から夏｣､｢風の性質｣⇒｢冷たく湿っている｣となる。そして、｢農作物の収穫量が少なくなる｣⇒｢冷害｣と考えていけばまとめられる。たとえば、｢農作物の成長期である夏に千島海流を通過して吹いてくる冷たく湿った風なので、冷害の原因になるから。｣といった｢答え｣になる。｢条件｣を整理して｢自らの知識｣と結びつけることが肝要だ。
＜時間配分目安：２分半＞

[問８]　｢統計資料についての空所補充選択肢設問｣(６択)。
示されている｢在日米軍施設の都道府県別面積割合の円グラフ｣について、｢グラフ｣中の空所    Ｘ    にあてはまる都道府県を答える。    Ｘ   は｢73.9%｣を占めている都道府県｡無論､｢答え｣は｢沖縄県｣で選択肢は｢①｣だ。全員正解が必須。ただ、ここで注目してほしいのは、｢沖縄県｣の次に割合が大きいのが｢青森県｣だということだ。｢三沢市｣に｢米軍基地｣がある。｢在日米軍施設｣については、沖縄県の｢普天間飛行場の辺野古移設問題｣があり、｢時事問題｣としても最重要事項なので必ずチェックしておきたい。
＜時間配分目安：30秒＞

[問９]　｢地図についての事項記述設問｣(｢漢字３字｣指定)。
｢ある工業製品｣の｢工場立地｣を示した｢地図｣について、｢東北地方では高速道路沿いと空港周辺に多く立地している｣が、その｢ある工業製品｣を｢漢字３字｣で答える。｢東北自動車道｣＝｢シリコンロード｣ということは知っているはずだ。｢シリコン｣＝｢電子部品｣｢ＩＣ｣｡だが、｢漢字３字｣なのでダメだ。よって、｢答え｣は｢半導体｣｡｢事項記述｣ではさまざまな｢条件｣が付される場合があるので、同じ｢事項｣でもいくつかの名称があるものは全て押さえておく必要がある。
＜時間配分目安：１分以内＞

｢東京都の世田谷区や渋谷区などに残っているいくつもの史跡について説明したリード文｣からの出題。｢古代｣から｢現代｣までの多彩な｢歴史的事項｣が問われている｡中には｢深知り知識｣が求められる難問もある。また、｢選択肢設問｣で説明が紛らわしいものや、｢過不足なく｣まとめるのに苦心する｢説明記述｣もある。以下、いくつかの｢設問｣を検討してみる。

[問１]　｢下線部についての年代特定選択肢設問｣(４択)。
｢リード文｣中の下線部(ア)｢1753年｣について、｢1753年以降の出来事｣を答える。いきなり｢1753年｣と出されてもピンとこないのは当然だ。しかも、｢リード文｣に記されている同年の｢出来事｣は誰も知らないもの。さて、どうする？　そこで、各選択肢をしっかりと確認する。全て知っているはずの｢人物｣が特定されている。それを｢手がかり｣に｢時期｣を判別したい。①｢井原西鶴｣､②｢徳川綱吉｣､③｢松尾芭蕉｣､④｢松平定信｣。気づいたか？　｢井原西鶴｣｢松尾芭蕉｣＝｢元禄文化｣＝５代将軍｢徳川綱吉｣の頃の文化だ。で、ひとりだけ時期が異なるのが｢松平定信｣(＝｢寛政の改革｣)｡ということは無論、｢答え｣は｢④｣だ。尚、｢元禄文化｣は｢17世紀後半から18世紀初頭｣､｢寛政の改革｣は｢18世紀末｣と覚えておきたい。
＜時間配分目安：１分＞

[問３]　｢史料についての目的説明記述設問｣(｢字数指定｣なし。｢50字ほど｣の解答欄)。
示されている｢史料｣(戦国大名の北条氏が発行した文書)について、｢文書｣中の下線部のような｢政策をおこなった主な目的｣を説明する。下線部には｢市場内では諸税を一切取り立ててはならない。以上、楽市として定める｣とある。要は織田信長でおなじみの｢楽市令｣だ｡そこまでは誰でも分かるはず｡では、｢目的｣は？　｢諸税｣を廃止するということは｢商業を盛んにする｣ということだ。だが、それだけでは｢50字ほど｣の｢説明｣には不十分。｢戦国大名｣ということからさらに考えを深めていきたい。｢戦い｣のためには｢経済力が必要｣であり、｢領国内の安定｣も不可欠だ。また、｢領民の暮らし｣を豊かにして｢協力｣を得る必要もある。などといったことが考えられる。あとは｢過不足なく｣まとめればいい。たとえば、｢税をなくすことで商業を発展させ、領民の暮らしを豊かにするとともに戦いのための経済力も高めるという目的。｣といった｢答え｣だ。｢知っていること｣から設問に応じて考えを深めていくことも肝要だ。
＜時間配分目安：３分＞

[問６]　｢下線部に関連する人物特定選択肢設問｣(４択)。
｢リード文｣中の下線部(カ)｢松陰神社｣に関連して、｢吉田松陰と同じ藩の出身で、内閣総理大臣に３回就任した人物｣を答える。｢吉田松陰｣＝｢長州藩｣は知らなくてはいけないこと。各選択肢は、①｢桂太郎｣､②｢西郷隆盛｣､③｢大久保利通｣､④｢東郷平八郎｣。｢西郷隆盛｣｢大久保利通｣＝｢薩摩藩出身｣は常識だが、ほかの２人はどうか？　仮に｢出身藩｣を知らなくても、｢内閣総理大臣｣で｢桂太郎｣(大正時代初めの｢第一次護憲運動｣で辞任したことは知っているはず)だと特定したい。よって｢答え｣は｢①｣｡尚、④の｢東郷平八郎｣は｢薩摩藩出身｣で、｢日露戦争｣で｢日本海海戦｣を指揮した｡ちなみに、｢長州藩出身｣で他に｢内閣総理大臣｣になった人物としては、｢伊藤博文｣(４回)､｢山県有朋｣(２回)がいる。｢選択肢設問｣では｢消去法｣を駆使し、多角的に判別していくこと。
＜時間配分目安：１分以内＞

[問７]　｢下線部に関連する時代特定不適切選択肢設問｣(複数解答/６択)。
｢リード文｣中の下線部(キ)の｢古墳時代から奈良時代｣の間に起きた｢出来事｣として｢ふさわしくないもの｣を｢ふたつ｣答える。知らなくても当然のものもあり、やや難問。が、｢消去法｣で何とかなるはずだ。各選択肢の｢キーワード｣(人物)から｢時代｣(時期)を特定していきたい。①｢小野妹子｣⇒｢遣隋使｣＝｢聖徳太子の頃｣(＝｢飛鳥時代｣)､②｢国分寺建立｣⇒｢聖武天皇｣＝｢奈良時代｣､③｢後三条天皇｣⇒？かも知れない､④｢卑弥呼｣⇒｢弥生時代末期｣。⑤｢大宝律令｣＝｢701年｣(知らなくてはいけない)＝｢飛鳥時代｣､⑥｢百済から仏像と経典が伝来｣＝｢仏教伝来｣＝｢６世紀半ば｣(知っていて当然)＝｢古墳時代｣となる。従って、③が分からなくても｢消去法｣で、｢答え｣は｢③④｣だと判断できる。尚、③の｢後三条天皇｣は｢平安時代｣に170年ぶりに藤原氏を母方の祖父に持たない天皇として即位し、｢摂関政治｣を終わらせた人物だ。覚えておこう。｢私が知らない｣⇒｢誰も知らない｣⇒｢知らなくても解ける｣と考え、さまざまなアプローチを試みることが肝要だ。
＜時間配分目安：２分＞

｢ふるさと納税｣という｢時事ネタ｣を切り口としての｢『地方創生』への取り組みや『税制』などについての会話文｣からの出題。｢公民｣の基礎的問題がほとんどだが、一瞬迷う｢選択肢設問｣や｢エアポケット｣として抜け落ちてしまっているやも知れぬ問題もある。以下、いくつか考えてみたい。

[問１]　｢下線部に関連する選択肢設問｣(４択)。
｢会話文｣中の下線部(ア)｢税制｣に関連して、｢日本の税制｣ついての正しい説明を答える。細部に着目しないと判別が難しいものがある。要注意。各選択肢を確認する。①｢所得税などの間接税が国庫収入のおよそ８割｣⇒｢８割｣という数字にこだわっていると誤る可能性がある⇒そもそも､｢所得税｣は｢間接税｣ではなく｢直接税｣＝｢不適切｣､②｢所得が高い人ほど、所得に占める消費税の負担の割合が大きくなる｣⇒｢消費税｣は税率が一定なので、｢所得が低いほど、負担の割合が大きくなる｣＝｢不適切｣､③｢累進課税制度を廃止した｣⇒日本では戦後一貫して｢所得税｣に｢累進課税制度｣が導入されている＝｢不適切｣､④｢所得税は国に納める直接税｣＝無論、｢適切｣｡従って、｢答え｣は｢④｣となる。｢木を見て森を見ない｣とか、逆に｢木を見ない｣と判別不能になってしまう場合があるので注意したい。
＜時間配分目安：１分以内＞

[問４]　｢下線部に関連する事項記述設問｣(｢漢字｣指定)。
｢会話文｣中の下線部(エ)｢東日本大震災｣ののち、｢期限つきで設置された省庁｣を｢漢字｣で答える。2012年に｢被災地の復興｣を目的として｢期限10年｣で設置された省庁だ。｢答え｣は｢復興庁｣｡どれほどの諸君が習得しているだろうか？　｢公民｣のテキストにはまだ掲載されていない可能性があり、｢時事問題｣としては過去のこととして扱わない場合もある。まさに、｢エアポケット｣となっているかも知れないので要注意。尚、現在の日本の省庁は｢復興庁｣の設置により｢1府13省庁｣になっていることも押さえておこう。｢公民｣と｢時事｣のすき間を埋めておくようにしたい。５年ほど前からの｢時事問題｣をチェックすることで可能なはずだ。
＜時間配分目安：１分以内＞

[問６]　｢下線部についての不適切選択肢設問｣(４択)。
｢会話文｣中の下線部(カ)の｢大臣｣についての説明として、｢誤っているもの｣を答える。各選択肢の説明には、若干悩ましいものもあるかも。確認したい。①の｢国務大臣は、文民でなければならない｣と③の｢国務大臣の過半数は国会議員でなければならない｣は｢政治｣の基本中の基本なので､即｢適切｣と断定できなくてはいけない。で、②の｢国務大臣は、内閣総理大臣が指名し、天皇が任命する｣と④の｢内閣総理大臣は、任意に国務大臣を罷免することができる｣は一瞬、とまどうことが必至だ。特に、｢任意に｣｢罷免｣などとあると不安になるはずだ。｢正確な知識｣で判別していく必要がある。｢国務大臣｣は｢内閣総理大臣｣が｢任命｣する(｢指名｣ではない)、天皇は｢認証｣するだけだ｡また、｢内閣総理大臣｣には｢国務大臣｣の｢任免権｣があるので、｢任意に｣｢罷免｣することができる。よって、｢答え｣は｢②｣だ。｢公民｣では似通っていて紛らわしい｢用語｣が多いので､正確に定着させておくことが必須だ。
＜時間配分目安：１分＞