目の前の勉強から少しだけ離れて考えよう！　人それぞれの｢学び｣を育てることは、偏見や思い込みから解放され、選択肢を増やし、目的に応じて自分の道を選ぶためにも大切だ

――社会が急速に変化している今、学校で言われた通りに勉強するだけでは個人の｢学び｣は育たない｡自分の未来を自由にするための本当の｢学び｣とは何かについて論じている。本文では、｢端緒知｣｢実践知｣｢人格知｣という｢『学び』の三段階｣を紹介し、多様性が求められる現在、役立つ能力とは何かを考察している。そもそもこの｢三段階｣が分かりづらく、難解な語句も多い。｢※注｣を活用してなんとか内容を理解したい。多彩な小問が並び、最後に難関の｢自由作文｣が待ち構えている。圧倒的なスピードが求められるので、即断即決で解き進めていきたい。以下、いくつか確認する。

[問一]　｢漢字の書きとり｣(全５問)。二重傍線部(Ａ)～(Ｅ)の｢カタカナ｣を｢漢字｣に直す。

昨年度同様にとても平易だ。２問だけ確認しておきたい｡

(Ｃ)｢センモン書を読もう｣＝｢専門｣⇒｢専｣の右上に｢`｣を打たないこと､また｢門｣は｢問｣ではないので要注意。

(Ｄ)｢そういうキョクメンにおいて｣＝｢局面｣⇒もともとは｢碁や将棋の盤面。また、勝負の形勢｣のことで、｢物事の情勢･なりゆき｣という意味で使われることも知っておきたい。

無論、本校志望者は｢全問正解｣でいきたい。尚、本校の｢漢字の書きとり｣では、わざわざ｢ていねいに書きなさい｣という｢条件｣が明記されている。ということは、それだけ厳しく採点されるわけだ。一点一画を意識して記すこと。

＜時間配分目安：全問で１分＞

[問二]　｢語句の空所補充選択肢｣(全４問/８択)。本文中の　１　～　４　の空所に入れる｢適当な語｣を答える。

各選択肢は｢接続詞｣などだ。｢接続詞｣は本校に限らずどこの学校でも定番の問題。｢逆接｣はともかく、それ以外には十分に注意すること。｢逆接｣以外だと、どれもがあてはまってしまう可能性があるのだ。単純に前後を読みつなぐだけではなく、それぞれの｢接続詞｣の｢意味･用法｣を的確に押さえた上で、｢内容｣を確認する必要がある。順に｢答え｣をチェックしていく。

　１　には｢順接｣の｢接続詞｣の(ウ)｢だから｣､

　２　には｢対比･選択｣の｢接続詞｣の(エ)｢あるいは｣､

　３　には｢例示｣を表す｢副詞｣の(イ)｢たとえば｣､

　４　には｢逆接｣の｢接続詞｣の(カ)｢けれども｣がそれぞれ入ると分かるはずだ｡

｢逆接｣以外では、いくつかの｢候補｣をしっかりと｢代入確認｣してから確定することが重要だ。

＜時間配分目安：全問で２分弱＞

[問三]　｢内容説明選択肢｣(４択)。傍線部①｢人生を耕すために学ぶ｣について、｢人生を耕す｣ことについての｢説明｣として、｢最も適当なもの｣を答える。

｢選択肢設問｣は｢消去法｣が原則｡先ずは｢原意消去｣を試みたい(｢原意絶対優位の原則｣＝｢設問｣｢傍線部｣等の｢原意｣、要は｢本来の意味｣を最優先に考えること)｡もちろん､ここは｢比喩表現｣なので、｢人生を耕す｣という｢比喩｣の｢原意｣と結びつかないものを｢消去｣する。各選択肢の｢文末｣と照合する(｢選択肢説明｣での最重要ポイントは｢文末｣だ)｡

(ア)｢優れた生活を送ろうと努力し続けること｣､

(イ)｢心や体をほぐしてやわらかく保っておくこと｣､

(ウ)｢人生を豊かにすること｣､

(エ)｢自分にできることを増やしていくこと｣｡

｢耕す｣＝｢田畑を掘り返し、土をやわらかくする｣⇒故に(イ)以外は｢消去｣とはいかない。確かに｢耕す｣のもともとの意味はそうだが、それは｢作物を作るため｣であって、ここでは｢比喩｣なので｢人生をつくるため｣と捉えなくてはいけない。であれば、｢心や体をほぐしてやわらかく｣することではないと分かるはず。よって、(イ)は｢消去｣で、(ア)(エ)も同様だ。｢人生を豊かにすること｣とある(ウ)の他の部分の説明も特に誤っていないので、｢答え｣は(ウ)だ。本問はややひねってあったが、結果は｢一発消去｣。｢紛らわしい選択肢説明｣にも惑わされず、時間短縮もできる｢原意消去｣､練習を重ねて完璧に活用できるようにすることが肝要。

＜時間配分目安：30秒＞

[問六]　｢理由説明の空所補充抜き出し｣(２問。｢13字｣と｢12字｣指定)。傍線部④｢本来、農業は耕さないほうがいい｣について、示されている｢筆者がこのように考えるのはなぜか｣を説明した文中の(Ⅰ)(Ⅱ)の｢◆｣に｢入る語句｣を､それぞれ抜き出して指定の字数で答える。

空所前後は｢植物には、元来（Ⅰ)◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆(13字)が備わっているが、人間が下手に耕すと、植物が頼るべき(Ⅱ)◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆(12字)から｡｣となっている。｢抜き出し｣では、｢抜き出し内容｣を捉えた上で｢抜き出し範囲｣を絞り込んでいく。｢内容｣は､(Ⅰ)＝｢植物に元来備わっている何か｣であり､(Ⅱ)＝｢植物が頼るべき何かが～する｣ということになる｡そして、それらが｢農業は耕さないほうがいい｣ことの｢理由｣に結びつくということだ。｢範囲｣は｢同一意味段落｣となる(｢説明文(論説文)｣では｢同一意味段落に根拠･手がかり｣がある)｡ここでの｢同一意味段落｣を段落冒頭の｢接続詞｣や｢指示語｣などで確定すると、傍線部の３段落前からの６段落だと分かる。その｢範囲｣を(Ⅰ)と(Ⅱ)の内容の観点から丁寧に探していきたい。

すると、２段落目に｢植物は自分で上手に育っていける力を持っている｣とある。(Ⅰ)の｢植物に元来備わっている何か｣に合致し、｢字数｣もＯＫだ。そして､その直後から､｢植物が頼るべき何か｣＝｢土｣だと分かる。さらに、５段落目では｢現行の農業(＝耕す農業)｣では｢土の生命力を弱めてしまう｣と説明されている。ズバリ、(Ⅱ)の内容そのものだ。こけまた｢字数｣も大丈夫。

したがって｢答え｣は､(Ⅰ)＝｢自分で上手に育っていける力｣､(Ⅱ)＝｢土の生命力を弱めてしまう｣ということになる。｢抜き出し｣では｢候補｣はひとつとは限らないので、必ず全ての｢範囲｣を確認することが肝要だ。

＜時間配分目安：全問で２分＞

[問十]　｢条件付き自由作文｣(｢字数指定｣なし、｢150字ほど｣の解答欄)。問題文中には｢『学びの三段階』の一つとして、『実践知』が取り上げられていた｣が、｢今までのあなたの経験の中にはどのような『実践知』があったか｣､また｢今後の中学･高校での生活の中で、どのような『実践知』の経験を重ねていきたいと考えるか｣を｢自由に作文｣する。｢条件｣は｢具体的な例を入れて、できるだけ漢字も用い、正しくていねいに字で書く｣こと。

いくら｢自由｣といっても、｢本文｣に関することを問われているのだから、｢手がかり｣｢ヒント｣を探す｡先ずは当然、｢実践知｣とは何かということを本文から読み取る必要がある。確認すると、｢『学び』の三段階｣という｢意味段落｣の２段落目に｢自分なりの疑問や課題を持って、いろいろと調べたり、人とディスカッションしたり、記録して分析したりして、知識を深めていくこと｣だと説明されている。そして、具体例として、｢源頼朝が鎌倉に幕府を立ち上げたことに関して､どうして朝廷のあった京都から遠く離れた鎌倉だったのかと疑問に思って調べたり、考えたりしていくこと｣だとある。こうしたことを踏まえた上で、｢今までのあなたの経験の中の『実践知』｣と｢今後経験を重ねていきたい『実践知』｣を､述べていくことになる。その際、問題文に｢評価は内容と表現の両面から行う｣と明記されているので、｢表記｣｢文法｣｢構成｣などにも十分に配慮すること。尚、この｢設問｣は本校が求めている｢鑑賞力･想像力･創造力･表現力｣全てが網羅されているので、｢白紙｣のままというのは避けた方がいい。

＜時間配分目安：５～６分＞

真面目な姉を鬱陶(うっとう)しく思う妹。趣味で反発し合う姉と弟。うまく息子と話せない父。娘の考えていることが理解できない母――誰の家族もこの中にある。全ての｢わが家｣に事件あり。ややこしくも愛おしい家族の物語の心温まる全7編のなかのひとつ。本文では、小学６年生の｢はるか｣は外見も性格も違う５年生の妹｢うみか｣にいらだつことが多かったが、｢うみか｣の怪我をきっかけにして、改めて姉妹のきずなを感じていく姿が描かれている。内容はすぐに理解できるはずだが、姉妹のやりとりなどから｢心情の機微｣を読み取るには苦心する可能性も可ある。以下、いくつかの｢設問｣を検討してみたい。

[問一]　｢語句の意味の選択肢｣(全３問/各４択)。｢総合的知識問題｣｡波線部(ａ)｢捉えどころがない｣､(ｂ)｢安請け合いした｣､(ｃ)｢剣幕｣の｢意味｣を答える。

これらの｢原意｣(本来の意味)に忠実に判別すれば何の問題もないはずなのだが、本文中での意味を意識し過ぎると､間違ってしまう可能性があるので、要注意。それぞれの｢答え｣を確認したい。

(ａ)｢捉えどころがない｣＝｢ある物事の実体を理解し、把握することが困難であること｣ことなので、選択肢(ア)｢考えていることがわからない｣｡

(ｂ)の｢安請け合い｣＝｢確信もないのに請け合う。軽々しく引き受ける｣ことなので、(エ)｢何も考えずに引き受けた｣｡

(ｃ)｢剣幕｣＝｢怒って興奮している様子。いきり立った、荒々しい態度や顔つき｣のことなので、(ア)｢怒り興奮している様子｣｡こうした｢語句の意味｣では、｢原意絶対優位の原則｣を徹底させることが肝要。

＜時間配分目安：全問で１分強＞

[問二]　｢空所補充の漢字記述｣(全２問/各｢漢字１字指定｣)。

｢総合的知識問題｣｡本校御用達の｢慣用句｣だ。破線部(Ａ)｢■を切らして｣､(Ｂ)｢■が利けなくなった｣の空所｢■｣に入る｢漢字一字｣をそれぞれ答える。本校としては完全なる｢基礎的レベル｣。この、設問段階で全てが分からなくてはいけない。｢答え｣は、(Ａ)＝｢息｣､(Ｂ)＝｢口｣になる｡それぞれの｢意味｣で曖昧(あいまい)なものがあれば、自ら習得し、定着させておくこと。尚、こうした問題で｢知識｣として未定着の場合は無論、本文の前後の｢文脈｣から判断することを試みなくてはいけない。

＜時間配分目安：２問で１分＞

[問四]　｢条件付き理由説明記述｣(｢字数指定｣なし、｢100字ほど｣の解答欄)。傍線部①｢それがよりいっそう私にはこたえた｣について、｢私｣がこのように感じたのは｢なぜか｣を説明する。｢条件｣は｢『それ』の指す内容を明らかにしてわかりやすく説明する｣こと。

先ずは､｢指示語｣を開く(本問のように直接問われていなくても｢指示語｣が出たら即開くこと)｡直前から､｢それ｣＝｢短く答えるうみかの口調に怒っている様子はなかった｣ことだと分かる。

次に、｢同一場面｣から｢状況｣を読み取りたい(｢小説｣では｢同一場面の直前直後｣に｢根拠･手がかり｣がある)｡ここでは、｢私｣(＝｢はるか｣)にピアニカを貸したせいで､音楽の授業で自分が忘れたことになってしまったのに怒っていない｢うみか｣の様子だと読み取れる。では、そのことがどのように｢私にはこたえた｣のか？　傍線部直後で、｢(私は)ピアニカを忘れてみんなに間に黙って座る妹の気持ちを想像｣して｢唇を引き結ぶと同時に、胸の奥がきゅっと痛んだ｡素直に言葉で謝ることができないほど、気まずかった｣と説明されている。つまり、｢私｣は｢ピアニカなしで音楽の授業を受けていた『うみか』のつらさを痛感して、言葉にできないほど申し訳ないと思い気まずかった｣ということだ。こうした｢要素｣を｢よりいっそう｣という表現にも注意しながら、｢過不足なく｣まとめていきたい。

たとえば、｢自分も必要だったピアニカを『私』に貸したのに怒っている様子のないうみかの口調が、かえってピアニカなしで音楽の授業を受けていたうみかのつらさを痛感させ、言葉にできないほど申し訳ないと思い気まずかったから｡｣(101字)といった｢答え｣となる。｢小説｣では｢同一場面｣を丁寧に読み取ることが肝要。また、｢説明記述｣では、｢最重要ポイント｣(｢理由説明｣では｢直接的理由｣)を｢文末｣にすること。

＜時間配分目安：３分＞

[問五]　｢心情説明選択肢｣(４択)。傍線部②｢今度は私が表情をなくす番だった｣について、このときの｢『私』の気持ち｣を答える。

先ずは｢原意消去｣だ。｢表情をなくす｣ときの｢心情｣と結びつかないものを｢消去｣したい。各選択肢の｢文末｣と照合する｡(ア)｢憤る気持ち｣､(イ)｢同情する気持ち｣､(ウ)｢戸惑う気持ち｣､(エ)｢おかしく思う気持ち｣｡さあ､どうだろうか？　｢表情をなくす｣⇒｢表情がない｣＝｢何ら感情がわいていない｣状態なのだから、｢具体的な気持ち｣となっている(ア)(イ)(エ)は｢消去｣だと判別できなくてはいけない。そして、｢何ら感情がわいていない｣⇒｢戸惑い｣で間違ってはいないはずだ。(ウ)は他の部分の説明も特に誤っていないので、｢答え｣となる。見事に｢一発消去｣だ！　単純な｢換言説明｣だけでなく､こうした｢心情説明｣でも｢原意消去｣は十分に使えるということだ。存分に活用すべし。

＜時間配分目安：１分弱＞

[問七]　｢文の空所補充選択肢｣(４択)。本文中の　　　④　　　の空所に入れる｢適当な文｣を答える。

空所前後の｢状況｣を確認したい。｢私｣と｢親友｣の｢ミーナ｣との会話のやりとりで、｢おでこ、どうしたの？｣｢朝から気になってたけど、ちょっと赤いね｣と｢ミーナ｣に問われ、｢私｣は｢　　　④　　　――ね､『りぼん』って､今月ふろく何だっけ？｣と答えている。そして直後の｢ト書き｣には｢妹の鉄棒練習に付き合ってたなんて話したら、……､何も話したくなかった｣とある。各選択肢は、(ア)｢昨日の鉄棒かな。痛くないから大丈夫｣､(イ)｢え！　顔の傷ってきっと目立つよね｣､(ウ)｢そうなの。でも、どうしてだろう｣､(エ)｢あ、本当？　気がつかなかった｣｡空所部直後で｢質問｣とは無関係な｢りぼん｣のことを唐突に聞き返しており、｢鉄棒練習｣のことは｢何も話したくなかった｣のだから、｢赤くなったおでこ｣や｢鉄棒｣のことには触れていないはずだ。したがって、｢答え｣は(エ)だ。｢会話のやりとり｣では､｢問⇔答｣だということをしっかりと押さえておくこと。尚、｢小説｣では｢セリフ⇔ト書き｣の関係も重要だということも心得よ。

＜時間配分目安：１分半＞