桐光学園中学校 入試対策
2021年度「桐光学園中学校の社会」
攻略のための学習方法
[スライド式学習]
「桐光対策」では当然、「地理」「歴史」「公民」全単元・全分野、「時事問題」の「知識」を確実に定着させることが最優先となる。
「基礎的事項」はもちろん、細部にわたる「深知り知識」や「背景の理解」も求められるので、テキストの「注」や「囲み説明」等のチェックも忘れてはいけない。完璧な「知識定着」が欠かせないのだが、悲しいことに人は忘れるもの。時が経てば経つほど忘れる。ここに落とし穴がある。
基本的に「暗記」が最重要となる「社会」では、各単元をいつ学習し定着させたのか、その時期が問題となる。塾では通常、本格的な受験勉強が始まる５年になってから、「地理」⇒「歴史」⇒「公民」と単元消化していき、６年の夏休み前には終える。その後は「復習」となるが、メインは圧倒的に定着すべき事項の多い「歴史」にならざるを得ない。
そのまま、秋から冬となり「過去問演習」と続いていく。６年で学習した「公民」はまだしも(とはいっても「桐光」では要注意)、「地理」はどうだろうか？ 実質的に１年以上の空白が生じてしまう。それはまずい。「地理」でも「深知り知識」が求められる桐光ではなおさら。
そこで、独自の「復習」が必要となる。塾での学習時期とはずらして(スライドさせて)、まだ時間的に若干の余裕がある５年の冬休みやその後の春休みを利用して徹底的に「地理」の「復習」をしておく。「重要事項チェック問題集」のようなものを活用するといい。
さらに、その後も定期的に「地理」の理解を深めるような学習を密かに続けておくことで、ライバルに差をつけておきたい。
[いもづる式学習]
全単元・全分野に共通だが、「暗記事項」はそれぞれ単独で(要は単なる「一問一答方式」)定着させていても無意味だ。バラバラに覚えているだけでは、自分が覚えた通りに問われなければ結びつかないし、関連問題にも答えられない。ましてや、桐光おなじみの「難問」など絶対に無理だ。
そこで重要となるのが「いもづる式学習法」。「点」で覚えているものを「線」で結び、さらには「面」をも理解するには不可欠の学習法だ。
１つの「暗記事項」を確認する際、それに関連すると思われる「事項」を次から次へと思いつく限り引き出していく。単元も無視する。もし「言葉」としては覚えていても「内容」があいまいになっているものがあれば、すぐに確認しておく(ここでも「復習」できる)。
また、それらは「線」で結びついているはずなので、どのように結びつくのかを確認していく。その上で、それらが結びつく背景(＝「面」)をも理解するようにする。
このようにして改めて暗記し定着させた「事項」はどのような問われ方をしても、「線」で結びつけて答えられることになる。無論、桐光で求められる「多角的思考」にも「いもづる式学習法」は力を発揮する。
[手づくり式学習]
特に「歴史」単元の「復習」で必要となる。
塾での「歴史」の学習は通常、「政治史」を軸とした「通史」として「時代別」「時代順」になっている。しかし、桐光などの上位校ではそんな単純な出題はない。特定の切り口での「分野史」が多いし、必ずしも「時代別」「時代順」ではなく様々な時間軸で出題される。
それらに対応するために必要なのが「手づくり年表」だ。 「政治史」「社会経済史」「外交史」「文化史」「人物史」等の「分野史」別の「年表」を作成しながら復習する。その際、「原始」～「現代」という長い時間軸にする。当然、「重要事項」だけしか記入できないが、それでいい。「関連事項」を頭に思い浮かべるようにすれば、「いもづる式学習」にもなる。
さらに、その「年表」には「西暦」だけでなく、「世紀」と「日本の時代名」「中国の王朝名」も対応させて記入しておきたい。「西暦」と「世紀」や「時代」がすぐに結びつかないと答えられない問題が多いからだ。
「年表づくり」を楽しみながらやってみよう。
[細部へのこだわり式学習]
「問題解説」でも指摘したが、「桐光攻略」で欠かせないのが「細部へのこだわり」だ。
「多角的思考」をするに当たっての前提は無論、それぞれの「要素」をいかに正確に読み取るかということ。そこから「考えるヒント」を見つけ出す。そのためには「細部」にこだわって読み取ることが必要となる。当然、トレーニングが欠かせない。
過去問や練習問題等を用いて、各「要素」の細かな「意味」「資料の数字」や「関連事項」などを全て材料として、そこから何が導き出せるのかを確認する練習をしなくてはいけない。導き出せることについては、過去問や問題集の「解説」に示されているはずなので活用する。
こうした「細部へのこだわり学習」を続けることで、次第に様々な「要素」から着目すべき「手がかり」が自然と浮かび上がるようになる。後は自分の「知識」とつなげて考えればいい。
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2021年度「桐光学園中学校の社会」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問１は｢総合｣(｢地理｣｢歴史｣｢公民｣｢時事｣)。｢５人の歴史上の人物の発言｣についての出題｡
小問は全７問(解答数15）、｢選択肢｣(｢不適切｣、｢複数完全解答｣、｢県の形状判別｣あり)､｢人名記述｣。
大問２は｢公民｣(｢時事｣１問あり)。｢日本国憲法の10の条文｣についての出題。
小問は全８問(解答数13)、｢選択肢｣(｢不適切｣あり)､｢事項･数字記述｣(空所補充)。
大問３は｢歴史｣。｢岩手県出身の政治家の人生についてのリード文｣からの出題｡
小問は全５問(解答数10)、｢選択肢｣(｢不適切｣あり)､｢事項･人名記述｣(｢空所補充｣あり)､｢説明記述｣(１問｡｢１行指定｣。｢20字ほど｣の解答欄)。時間配分は｢説明記述｣が２分、他は１問当たり１分というペース。無論、メリハリのある｢戦術｣が求められる。
【大問１】｢総合｣(｢地理｣｢歴史｣｢公民｣｢時事｣)
- 難度：易
- 時間配分：15分
- ★必答問題
｢平安時代から明治時代までの、５人の歴史上の人物の発言(Ａ)～(Ｅ)｣についての出題｡｢歴史｣と｢地理｣がメインの｢総合問題｣。｢不適切｣や｢複数完全解答｣、そして、お約束の｢県の形状｣などの｢選択肢設問｣が並んでいるが、基礎的な知識を問うものばかりで平易な大問。
一気呵成に得点を重ねていきたい。２問だけを確認してみる。
[問１] ｢人物特定の人名記述設問｣(全５問)。｢歴史｣単元。｢人物の発言(Ａ)～(Ｅ)｣に登場する｢『私』の名前｣をそれぞれ答える。
各発言の｢キーワード｣で｢人物｣を特定していく。
(Ａ)｢尾張国出身｣｢明智光秀に攻められ自害｣⇒｢織田信長｣に決まっている。
(Ｂ)｢アフリカで黄熱病研究府｣⇒｢野口英世｣以外はあり得ない。
(Ｃ)｢真言宗を開く｣⇒｢空海｣に即決。
(Ｄ)｢(アメリカ人で)浦賀に軍艦を率いてやってきた｣｢開国を要求｣⇒｢ペリー｣と特定。
(Ｅ)｢遣唐使廃止を提案｣｢大宰府に左遷(させん)｣⇒｢菅原道真｣以外になし。
本問はとても平易だったが、｢人物等の特定｣では｢キーワード｣の細部に注意することが肝要だ。
＜時間配分目安：全問で２分弱＞
[問２] ｢下線部についての選択肢設問｣(複数完全解答/５択)。｢地理｣単元。｢発言(Ａ)｣中の下線部(ア)｢愛知県｣は、｢工業生産額が日本１位｣だが、示されている｢製造品｣の中で｢愛知県が１位のもの｣を｢２つ｣答える。
定着しているはずの事項だ。各選択肢は、
(１)｢輸送用機械｣、
(２)｢食料品｣、
(３)｢石油製品･石炭製品｣、
(４)｢鉄鋼業｣、
(５)｢セメント｣。
ひとつは｢輸送用機械｣(要は｢自動車｣)だとすぐに特定できるはず。もうひとつは｢鉄鋼業｣なのだが(沿岸部の｢東海市｣に製鉄所があることは知っておきたい)、万一、悩んだとしても｢消去法｣で判別できなくてはいけない。
｢食料品｣＝｢北海道｣、
｢石油製品･石炭製品｣⇒｢化学工業｣＝｢千葉県｣、
｢セメント｣＝｢山口県｣
と結びつかなくてはいけない。
したがって、｢答え｣は(１)(４)になる。
尚、｢選択肢設問｣では、｢消去法｣を存分に活用することが求められると心得よ。
＜時間配分目安：１分＞
※尚、[問７]は定番の｢都道府県の形状(シルエット)判別｣だ(本問では、｢愛知県｣｢福島県｣｢和歌山県｣｢神奈川県｣｢福岡県｣の５県)。こうした問題は本校に限らず頻出なので、確実に判別できるようにしておくことが肝要。
【大問２】｢公民｣(｢時事｣１問あり)
- 難度：標準
- 時間配分：13分
示されている｢日本国憲法｣の10の｢条文｣からの出題。各｢条文｣は、｢第１条｣(天皇の地位、国民主権)･｢第４条｣(天皇の国事行為)･｢第14条｣(法の下の平等)･｢第25条｣(生存権)･｢第37条｣(刑事被告人の諸権利)･｢第41条｣(国会の地位、立法権)･｢第66条｣(内閣の組織)･｢第69条｣(衆議院の内閣不信任)･｢第76条｣(司法権、裁判所)･｢第86条｣(予算の作成と国会の議決)。これらから｢公民｣単元の多彩な出題がある(１問だけ｢時事｣単元)。必ずしも｢条文｣そのものが必須定着事項ではないものもある。流石(さすが)に｢『公民』に難問が集中｣という本校の特徴がよく分かる大問。だが、本年度はさほど難解ではないので動揺することなく解き進めたい。以下、いくつかを検証する。※尚、条文は旧仮名づかいで記してある。
[問１] ｢空所補充事項･数字記述設問｣(全６問)。｢条文｣中の ① ～ ⑥ の空所に｢あてはまる語句や数字｣を答える。
それぞれの空所の｢答え｣を確認していきたい。
第１条｢天皇は、日本国の ① であり……｣
⇒これは誰にとっても超平易⇒｢答え｣＝｢象徴｣。
第14条｢すべて国民は、法の下に ② であつて、 ③ 、信条、性別、社会的身分または門地により、……、差別されない｣
⇒前者は定番⇒｢答え｣＝｢平等｣、後者は同じような語句が並んでいるので混同してはいけない⇒｢答え｣＝｢人種｣。
第37条｢すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅(じん)速な ④ 裁判を受ける権利を有する｣
⇒これは難解か？ いかにも本校らしい⇒｢答え｣＝｢公開｣⇒｢公開裁判｣として覚えておきたい。
第41条｢国会は、……、国の唯(ゆい)一の ⑤ 機関である｣
⇒完全なる初心者事項⇒｢答え｣＝｢立法｣。
第69条｢内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、……、 ⑥ 日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない｣
⇒｢衆議院の解散｣の条件、正確に｢数字｣を定着させておきたい⇒｢答え｣＝｢10(日)｣。
｢日本国憲法条文｣は｢公民｣の必須出題事項だ。特に本校では、全ての条文に目を通しておく必要があると心得よ。
＜時間配分目安：全問で２分半＞
[問７] ｢下線部についての不適切選択肢設問｣(４択)。｢第76条｣中の下線部(カ)の｢下級裁判所｣のひとつである｢高等裁判所｣が｢おかれていない都市｣を答える。
各選択肢は、(１)｢神戸｣･(２)｢東京｣･(３)｢福岡｣･(４)｢名古屋｣だ。｢高等裁判所｣は全国に８カ所あり、それぞれ｢８地方の中心都市｣におかれていることは知っているはず。よって、｢答え｣は(１)だ。｢近畿地方｣では無論、｢大阪｣におかれている。
ちなみに、他の都市は｢札幌｣･｢仙台｣･｢広島｣･｢高松｣になる。尚、｢地方裁判所｣および｢家庭裁判所｣はともに全国に｢50カ所｣ある(47都道府県庁所在地＋北海道の函館･釧路･旭川)。これについて未定着の諸君は必ず復習しておくこと。
＜時間配分目安：30秒弱＞
[問８] ｢下線部についての選択肢設問｣(４択)。｢時事｣単元。｢第86条｣中の下線部(キ)｢予算｣について、｢2019年度一般会計予算｣の額として｢最も近いもの｣を答える。各選択肢は、(１)｢１兆円｣･(２)｢11兆円｣･(３)｢101兆円｣･(４)｢1010兆円｣。
典型的な｢時事問題｣であって、近年の日本の国家予算の規模は｢ほぼ100兆円｣ということは当然、知っているはずだ。したがって、｢答え｣は(３)になる。尚、｢歳入｣｢歳出｣の｢項目別割合｣も頻出なので押さえておくこと。
＜時間配分目安：30秒＞
【大問３】｢歴史｣(｢説明記述｣あり)
- 難度：標準
- 時間配分：12分
｢幕末に盛岡藩で生まれ、明治時代に政治家として歩み始め、大正時代には本格的な政党内閣の総理大臣にまでなったが、東京駅で暗殺されるという激動の人生を歩んだひとりの政治家｣についての｢リード文｣からの出題｡氏の人生にまつわる主に｢政治史｣が問われている大問だ。さて、賢明なる諸君はここまでの｢情報｣で、この｢人物｣は｢平民(宰相＝さいしょう)｣(＝[問１] ② の｢答え｣)として人気のあった｢原敬｣(＝同 ① の｢答え｣)だと分かったはずだ。他のやや悩まして小問のいくつかを考えてみたい。
[問２] ｢下線部についての選択肢設問｣(４択)。リード文中の下線部(ア)の｢1856年｣よりも｢後に発生した出来事｣を答える。
｢歴史｣単元の十八番(おはこ)、典型的な｢時期特定問題｣だ。各選択肢の｢キーワード｣で｢時期｣を特定する。
(１)｢日米和親条約｣
⇒完全に必須定着年代⇒｢1854年｣＝｢前｣。
(２)｢外国船(異国船)打払令｣
⇒｢鎖国｣を守ろうとしたのだから当然、｢開国｣以前⇒そう、｢1825年｣＝｢前｣。
(３)｢桜田門外の変｣
⇒｢1858年｣の｢日米修好通商条約｣を結んだ｢井伊直弼｣が暗殺されたということは知っているはず＝｢後｣(｢1860年｣のことだ)。
(４)｢天保の改革｣
⇒｢ペリー来航｣(1853年)より前だということは常識＝｢前｣(1841年～)。
よって、｢答え｣は(３)になる。
尚、｢時期特定｣や｢年代整序｣では｢うろ覚えの年代｣で整序するのではなく、｢流れ｣や｢キーワード｣を確認し、特定していくことが肝要だ。
＜時間配分目安：１分弱＞
[問３] ｢下線部についての内容説明記述設問｣(｢１行｣指定。｢20字ほど｣の解答欄)。リード文中の下線部(イ)｢1894年に条約改正を成功(させた)｣について、｢1894年における改正内容｣を｢１行｣で説明する。
幕末に結んだ｢不平等条約｣(日米修好通商条約)の｢改正｣については、誰もが正確に理解し、定着させておかなければならない事項だ。外務大臣の｢陸奥宗光｣(＝[問１] ⑤ の｢答え｣)が｢日清戦争｣直前の｢1894年｣に｢イギリス｣と交渉して｢領事裁判権(治外法権)撤廃｣に成功し、｢小村寿太郎｣が｢日露戦争｣後の｢1911年｣に｢アメリカ｣との間で｢関税自主権回復｣を成し遂(と)げて｢条約改正完成｣となった。したがって、たとえば、｢領事裁判権(治外法権)を撤廃するという内容｡｣(16字)といった｢答え｣になる。本問のように｢短い字数指定｣では、いかに簡潔かつ｢要点｣を外さないかがポイントだ。
＜時間配分目安：２分弱＞
[問５] ｢下線部についての不適切選択肢設問｣(４択)。リード文中の下線部(エ)の｢帝国議会｣の説明として｢誤っているもの｣を答える。
｢不適切｣ということをしっかりと意識して、各選択肢の｢キーワード｣で正誤判別したい。
(１)｢衆議院と貴族院｣
⇒｢貴族院｣が現在の｢参議院｣になったのは周知の事実＝適切。
(２)｢衆議院議員選挙｣｢女子の選挙権は認められず｣
⇒女性に選挙権が認められたのは、日本国憲法により｢帝国議会｣が｢国会｣に改変されることが決まった後＝適切。
(３)｢開設から廃止まで90回程度開かれた｣
⇒誰も知るはずがない＝？
(４)｢すべての議員は国民の選挙で選ばれた｣
⇒｢貴族院議員｣は選挙ではなく、｢皇族や華族、天皇により任命された議員で構成されたことは知らなくてはいけない＝不適切。
したがって、｢答え｣は(４)だ。ちなみに、｢帝国議会｣は合計で｢92回｣開かれた。尚、(３)のような未知の事項があっても、必ず解けるので動揺することなく進めていくことが肝要。
＜時間配分目安：１分強＞
攻略のポイント
●他校と比べ｢公民｣単元からの出題が多く、しかも｢難問｣が集中している。いかに｢攻略｣するか？ 無論、｢裏ワザ｣などない。実直に、｢基礎的事項｣から｢詳細事項｣までを理解し、定着させることが必要。その上で、｢細部へのこだわり｣と｢知らない問題｣への｢対処法｣も押さえたい。前者はいかに｢細部｣に着目して｢判断｣できるかであり、後者はいかに｢知っていること｣に結びつけられるかということだ。必ず、どこかに｢手がかり｣｢ヒント｣が隠されている。｢リード文｣、｢問題文｣や｢設問条件｣、｢設問どうしの関連｣等々と｢自らの知識｣を多角的に結びつけて考察することで絶対に解くことができるのだ｡｢合格者平均得点率｣(男女合計)は7割強(過去８年間の｢男女平均の合格者得点率｣は73.0%､本年度はやや高く76.5%)。やはり、｢公民｣での大きな｢失点｣は絶対に避けたい。
●｢時事問題の攻略｣もポイント。過去２～３年間程度の｢時事ネタ｣は、細大漏らさず確実に整理して覚えておくこと。さらに、それらに関連する｢あらゆる事項(知識)｣も全て復習する。当然、日々の｢新聞｣をしっかりと確認することが不可欠。全て読み通せとは言わないが、｢見出し｣｢リード｣は必ずチェック、知らない｢ネタ｣は｢スクラップ｣しておくこと。
●｢地理｣では｢地図｣｢地形図｣｢統計資料｣｢都道府県の形状｣等、｢歴史｣では｢年表｣｢歴史史料(｢図版｣含む)｣｢写真｣等がよく出題されるので、確実に覚え、常にチェックしておくこと。もちろん、｢統計資料｣は必ず最新版を使いたい。テキストとしては｢日本のすがた｣(矢野恒太記念会編集)が分かりやすくてオススメだ。
志望校への最短距離を
プロ家庭教師相談
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