東邦大学付属東邦中学校 入試対策
2025年度「東邦大学付属東邦中学校の理科」
攻略のための学習方法
東邦大東邦中の理科の得点は、算数や国語と同様に100点満点。したがって、本校受験者は理科についても怠ることなくしっかり対策をする必要がある。今年度の受験者平均点は59.4点で、この3年間ほぼ同程度の難易度を保っている。標準レベルの問題の中に、ややレベルの高い計算問題、リード文・グラフ・表・図をしっかり読み取らないと解けない問題も多い。基本の定着はもちろんのこと、秋以降には、過去問や出題傾向に近いタイプの問題の演習も十分に行って頂きたい。演習に使う問題の選択については、家庭教師に相談して欲しい。
時事問題が出題される頻度が高い。時事問題対策としては、日頃からニュースや天気予報に関心を持つことが最も大切である。入試直前には、時事問題対策の問題集なども利用しよう。分野毎の学習法は次の通り。
<分野毎の学習法>
生物分野 本年は「植物」について出題された。開花時期に関する知識問題と、問題文と図を読み取って解く問題が中心だった。ここ数年の出題を見ても植物についての出題が多く、外来種・食物連鎖・ヒトのからだの働き・昆虫や動物に関する出題も見られる。今後も植物や動物、人のからだの働き、食物連鎖についてなど植物を中心に幅広い単元からの出題が予想される。単なる丸暗記だけではなく、実験や観察を通して考えさせる問題の演習も併せてしっかりおこなって欲しい。
地学分野 今年度は「岩石」および「火山の噴火」に関する出題であった。火山の噴火に関する出題の中には、2024年の噴火について問う時事問題も含まれていた。近年では気象災害、月、地震についてなどの出題が見られる。今後は、月・季節の星座や星の動き・太陽の動きなど天体に関しての出題が多くなることが予想される。天体の動きに関しては、単なる丸暗記ではなく、どうしてそう動いて見えるのかという理屈もしっかり理解して欲しい。また、気象(台風、低気圧と高気圧、風の吹き方、フェーン現象についてなど)、今回出題された火山噴火、地震、地層等についての出題も十分考えられる。どれが出題されても大丈夫なように、基本の確認・問題の演習を十分行おう。この分野においては、時事問題対策が必要である。日頃からニュースや天気予報に注目して欲しい。
物理分野 本年は「ものの運動」「液体の温度変化」の2題が出題された。液体の温度変化では、ややレベルの高い計算問題も見られた。近年の出題では、力のつり合い(ばね、てこ、浮力など)、電気回路、光の反射等についての出題されている。この分野の学習では、力のつり合い(てこ、滑車、ばね、浮力、振り子など)を中心に、やや難しい計算問題の練習にも時間をかけたい。
化学分野 本年度は「金属の燃焼」について出題された。データの読み取りと計算問題が中心であった。近年の出題を見ると、化学変化と気体の発生、ものの溶け方、タンパク質とRNA、炭酸水素ナトリウムの熱分解、中和反応などが出題されており、化学反応に関する出題が多い。今後も水溶液が中心の出題が予想される。また水溶液以外では、本年度出題された金属やろうそくの燃焼に関する出題も想定される。この分野の対策としては、塾のテキストや問題集も使って計算練習をしっかり行うことが必要である。難度の高い問題も想定して練習を十分に行っておこう。溶液の性質、指示薬の色の変化など知識事項もしっかり頭に入れておこう。
東邦大東邦中入試で合格点を取れる力を身につけるためには、まずは夏休み中までに各分野の基本の学習を終えておきたい。そのうえで、9月以降は入試問題と同タイプの総合的な問題演習にも時間をかけて欲しい。もちろん9月以降でまだ苦手な単元に関してはさらに力を入れて定着させる必要がある。9月以降の模試や総合的な演習は、まだ仕上がっていない分野を見つける絶好のチャンスでもある。できていない問題については、なぜ間違えたのかの分析をしっかり行い、苦手分野の克服につなげて欲しい。
また直前期には、時事問題対策に時間をかけること。特に、頻出の環境問題にも力を入れること。
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2025年度「東邦大学付属東邦中学校の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問数は6で、昨年より1つ減っている。小問数は20で100点満点。試験時間は45分で例年通りであった。昨年同様、問題形式は記号選択問題と計算問題のみで、記述問題や適語を答える問題などはなかった。図・グラフ・表や問題文を読み取った上で答える問題が多いので、45分という試験時間は決して長くはない。問題の読み取りを迅速かつ丁寧に行うことが大切になる。
【大問1】地学分野 火山の噴火
- 難度:標準
- 時間配分:5分
- ★必答問題
(1) 2024年に噴火した火山についての時事問題。インドネシアのルアング火山と熊県の阿蘇山。
(2) 火山災害についての選択問題。噴火と大雨は関連しない。
(3) 火山ガスには有毒な物質も含まれており、植物の成長には役立たない。
火山の噴火に関する出題。(1)は時事問題。本校ではこのような時事的要素を含む問題が頻出である。直前期の時事問題対策も必要だが、日頃からニュース・天気予報に関心を持つことが大切で、ご家族の皆様のご協力もお願いしたい。
【大問2】生物分野 植物
- 難度:標準
- 時間配分:7分
- ★必答問題
(1)立春は2月初めごろなので、ウメの開花時期が近い。
(2)4月終りごろに咲く花を選択する問題。ツツジ・ハルジオンが当てはまる。
(3)問題文を読むと2月初めごろは日当たりが良かったが、4月終りごろから日当たりが悪くなったことになる。サクラは3月末~4月初めに開花し、花が散った後、葉が生い茂り始め、その下は日当たりが悪くなっていくと考えられる。
(4)「霧吹きで少量あたえる」とあるが、植物は根から水を吸収するので、葉に水をかけても効果がない。
植物に関する出題。(1)(2)は植物の開花時期に関する問題。サクラの開花・秋の紅葉・各季節に見られる花々等、日頃から関心を持って欲しい。また植物図鑑などを使って植物の色・姿を確認しながら学習することも大切である。
【大問3】物理分野 ものの運動
- 難度:標準
- 時間配分:7分
- ★必答問題
(1) 表の数値からグラフを選択する問題。比例の関係ではないことに注意。
(2) 実験結果読み取りの選択問題。表にかかれてある4つの項目のうち、どれとどれが比例関係にあるのかをしっかり読み取ること。
(3) 313.6㎝から落下させると、1回目に78.4㎝、2回目に19.6㎝まであがる。最も高い位置から衝突するまでの時間はそれぞれ、0.8秒、0.4秒、0.2秒。衝突してから最も高い位置まで行くのにかかる時間は0.4秒、0.2秒。これらをすべて加えると、2.0秒となる。
ものの運動に関する出題。思い込みは排除し、各データの関係性をしっかり見極めることがポイント。これはこの問題に限らず、理科のデータ読み取り問題では大切なことである。
【大問4】地学分野 岩石
- 難度:やや難
- 時間配分:5分
- ★必答問題
(1) 日記の文章の中の岩石の大きさについての表現に注目すると、ア:中流 イ:下流 ウ:上流 となる。またスケッチを見ると、A:下流 B:中流 C:上流となる。
(2) 日記より上流のキャンプ場は森の中にある。また、下流付近のスケッチを見ると、川が海に流れ込んでいく方向は東または西となる。
岩石に関する問題。(1)では岩石に関する問題文と絵の読み取りがポイント。(2)は岩石とは直接関係ないが、やはり問題文の読み取りとスケッチの観察力がポイントとなる。
【大問5】化学分野 金属の燃焼
- 難度:標準
- 時間配分:12分
- ★必答問題
(1) 実験データだけを見ると、比例関係・反比例関係にあるものはない。
(2) 立方体にすることで、同じ重さでも表面積が小さくなる。結果として結びつく酸素
の量が減ると考えられる。
(3)実験結果より、マグネシウムと結びつく酸素の重さの比は3:2とわかる。したがって、2gのマグネシウムと結びつく酸素の重さは、2×2/3より四捨五入して、1.3g。
(4)実験結果より、銅と結びつく酸素の重さは4:1とわかる。マグネシウムを加熱して得られた物質の重さが2.5gなので、マグネシウムの重さは2.5×3/5より1.5g。
また、銅を加熱して得られた物質が3.0gなので、銅の重さは3×4/5より2.4g。したがって、1.5:2.4より、5:8となる。
(5)2.4gのマグネシウムを加熱して得られる物質は2.4×5/3より、4.0g。したがって、銅を加熱して得られた物質は、2.0。銅の重さは、2×4/5より、1.6。
金属の燃焼に関する出題。データの読み取りとその結果を利用した計算問題が中心。(3)以降の比を用いた燃焼の計算問題は入試では頻出。苦手な方は、テキストや問題集に掲載されている問題を使ってしっかり練習しよう。
【大問6】物理分野 液体の温度変化
- 難度:標準
- 時間配分:9分
- ★必答問題
(1)水が100gのときは100秒で2℃、200gのときは100秒で1℃上昇しており、水の重さと温度上昇には反比例の関係があると考えられる。したがって水が150gのときは、2×2/3より100秒で4/3℃上昇することになる。したがって、20分(1200秒)間では、4/3×12より16℃上昇し、26℃となる。
(2)難度の高い計算問題。容器A(水200g)は100秒で1℃、容器B(油250g)は100秒で1.8℃上昇している。したがって、Aの水の重さを10/18=5/9倍にすればよく、減らす重さは、200×4/9より四捨五入して、88.9g。
(3)容器Aは100秒で1℃、容器Bは100秒で1.8℃上昇している。実験スタート時の温度差が17℃なので、17÷(1.8-1)×100より2125秒に温度が等しくなる。
液体の温度変化に関する出題。グラフの読み取りとそれに関する計算問題が中心。(2)は難度が高いが(1)は正答したい。(3)は(2)ができたかどうかに関係なく正答可能。全体として、液体の体積と上昇温度が反比例の関係にあることが使えるかどうかポイントとなる。物理・化学の計算問題は(1)など前半をしっかり正答できるかどうかで大きく明暗が分かれることを肝に銘じておこう。
攻略のポイント
大問は6、各分野からの出題であった。各大問とも小問数は2~5で小問は合計20。計算問題中心の大問と知識問題中心の大問に分かれており。知識問題では、時事問題を含め細かい知識を問う設問も見られる。また、計算問題の中にはややレベルの高い問題も見られる。時事的な内容を含む問題があることと、リード文や表・図を読み取って解く問題も多いことは例年通りの特徴。
本校の理科を攻略するためには、まずは各分野の基本知識を確実に固めることが必要不可欠である。できれば夏休みまでを目途に、各分野の基本をしっかり固めたい。その上で、秋以降は長めのリード文や図、表、グラフを基に考えるタイプの問題や、計算問題の練習を十分に行いたい。時事問題対策も怠りなく行うこと。
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