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慶應義塾女子高等学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2025年度「慶應義塾女子高等学校の国語」
攻略のための学習方法

全体的に言えることは、的確で迅速な「記述力」が必要であるということである。したがって、いかにして合格できる「記述力」を自分のものにできるか、さらにそのスキルを飛躍的に向上させることが可能になるのかを、一緒に考えてみたい。

①  合格のための読解力とは

いわゆる「読書」とは違って、入試における文章読解力は単に「読書量」を増やせばよいということではない。設問として選ばれた文章は、入試問題のために選択された文章である。したがって、その文章とは初めから最後まで極めて「論理的」であり「説得力」のある文章である。そのような文章を確実に読み解くための練習は、日頃の勉強の中で同様な文章を読む中で特に留意しなければならないポイントは「比喩」である。比喩には大別すると「直喩」と「暗喩」とがあり、合格答案作成するうえで暗喩に関して的確に把握することが重要であり不可欠な要素である。また、「論理を正確に追う力」も必要である。設問の文章のジャンルが如何なるものであろうとも、入試問題に採用されるような文章は基本的には論理展開が明確な文章である。したがって、文章を読み進めながら形式段落ごとの文頭にある接続詞(順接と逆接)を意識することが文章の流れを把握するうえで絶対に必要である。さらには、キーワードを明確に押さえておくことである。キーワードの把握方法は、一つには何度も繰り返し使われている単語であること、筆者が主張したい内容を端的に表現している単語であることがそのポイントである。

②  合格のための文章作成力とは

設問の文章をしっかり把握できたとしても、問題は「合格できる適切な答案」作成である。筆者の主張は理解できても、その理解に基づく設問に対する記述答案作成力が必要であるからである。ここで考えなければならないことは「合格可能な記述答案」とは、「第三者に対する説得力ある文章」ということである。答案は、基本的に他者である「採点者」が読むものである。せっかく本文の内容を正確に理解・把握していたとしても、設問に適合する答案を書くには「採点者」にしっかり自分の考え方を伝えなければ、合格は獲得できない。密度の濃い、無駄のない文章を書きあげなければならない。具体的には、文章をより豊かな内容のあるものとするために自分の語彙力を向上させなければならない。語彙力はいかにして向上するのか。それは、日頃から日本語を意識することであり、深みのある言葉を自分の知識の中にしっかり蓄積していくことである。そのような練習を継続して行うことで、自身が書く文章が説得力のある魅力的なものになるのである。

③  作文(小論文)を書く上で大切なこと

600字以内の作文(小論文)を課題として出題されている。小論文対策は、必ず行うこと。そのような対策を講じないで入試本番で対応しようとしても、合格答案は作成できない。半年前くらいから、あるテーマに対する小論文(500~700字)を書く練習を始めなければならない。その際重要なことは、自分の主張を論理的に矛盾も飛躍もなく客観的に書けるか否かということである。自己満足の文章であっては合格答案とは言えない。重要なことは、自分の主張をいかにして相手(採点者)に納得してもらうかということである。論理の展開、言葉の的確な選択、柔軟な発想力などを有機的に結合させる力が必要である。そのような文章を書けるようになるためにも、常に身の回りのことに問題意識をもって捉える「癖」をつけることである。これまでは、何気にやり過ごしてきた事象を自分の中で捉え、咀嚼したうえで「文章」という形で説得力をもってアウトプットするのである。友人の発言、先生との会話、社会で惹起する様々な事件・事故。自分の頭で考える素材は身の周りにあふれている

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2025年度「慶應義塾女子高等学校の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

試験時間は60分。大問1は、論説文の読解問題<20分>。大問2は、古文の読解問題<12分>。第3問は、小説の読解問題<28分>。9割以上が記述問題である。各設問とも字数指定があるわけではなく「説明しなさい」という設問であるため、過不足ない記述を心掛けなければならない。さらに、作文(小論文)として60分間で意見をまとめる課題(600字以内)が出題されている。

【大問一】人生に関する哲学的分野の読解問題

  • 時間配分:20分

出典は、山崎正和著『世紀を読む』。

問一は、漢字の読み書き問題<2分>。
漢字の書き取りは「需要」「領域」「閉鎖」「裏腹」、読み取りは「緩(やか)=ゆる(やか)」、「氾濫=はんらん」である。標準的な漢字であるので完答を目指したい。

問二は、文章内容把握問題<1分>。
「初期には需要の予測も容易」だったのであるから、「何をどれだけ作ればよいかの決定は『楽』」なのであり、努力すれば成果は必ず上がるという信念(=なんの根拠もない信念)であり『楽天的な信念』である。

問三は、内容把握問題<1分>。
工業化時代には需要の予測も容易であったため、人々はひたすら努力さえすれば、それに見合う成果は必ず上がったのである。つまり、人々はせっせと努力することが重要であったのである。「せっせと」は「営々と」という意味と同義である。

問四は、内容把握問題<2分>。
「なぜ私が」ということの意味は、「自分」という存在に対する不安な気持ちの表明であり、これは人間として存在しているが故の不安であり、「自分が存在している」ということを「実存」という。

問五は、内容把握問題<1分>。
工業社会になっても「私が私であることの偶然」は説明されていないのであり、人々は「この私=自分自身」について考えるようになってきたのである。つまり、「『この私』の存在に目覚め、絶対的な偶然の意味」を求め始めたのである。

問六は、内容把握記述問題<3分>。
「狩猟、採集の時代には、生産の成果は…あてにならなかった」のである。つまり、そこには「偶然の要素に大きく左右された」のである。したがって、「幸福を求めて祈ること、それも集団が共同して祈る必要性」があったのである。

問七は、内容把握記述問題<3分>。
傍線部の「不条理」とは「人生の不条理」のことであり、「社会で不運な境遇に置かれた人々」は「逆に不成功を味わうことで人生の不条理を痛感」するのである。つまり、「人生の不条理」を自分自身が感じる機会が少なかったのである。

問八は、内容把握選択問題<2分>。
「本質的な変化」とは物事の抜本的存立基盤における変化のことであるので、「個人の生涯がさらに波瀾にとむこと」を意味するのである。

問九は、内容把握記述問題<3分>。
「彼ら(芸術家や学者、冒険家)は自分の仕事が成果ではなく成功の産物であり、努力に加えて偶然の恩寵によることを実感する環境」に身を置いていたのである。したがって、彼らはそのような成功が極めて脆弱な基盤の上に成り立っていることも実感していたが故に感じる不安である。

問十は、内容把握問題<2分>。
本文に「高齢化社会はたんに孤独な年齢を延ばすだけではなく、生涯の予測不可能性を実感させる機会を増やす」とある。

【大問二】古文の読解問題

  • 時間配分:12分

出典は、『十訓抄』である。

問一は、古典の知識問題<1分>。
玄宗皇帝は唐の時代の皇帝である。

問二は、内容把握問題<2分>。
本文に「同じ帝、月の夜、笛吹き給ひける」とある。

問三は、内容把握問題<1分>。
「術者」が「これを聞きて、『龍の泣くぞ』」と思ったのである。

問四は、内容把握問題<2分>。
仙術をするものが、帝の笛の音を「龍の声」と思って、その声を封じ込めるためにまじないをしたのである。

問五は、内容把握記述問題<3分>。
笛を吹いていた帝が、急に手がすくみだし、更に、息もできなくなってしまった。そのことを知った人々もまた心配し嘆いたのである。

問六は、古語問題<1分>。
「しるし」とは、ある事象が生じた結果のことであり、「効果」のことである。

問七は、内容理解問題<2分>。
玄宗皇帝の吹いた笛の音が、あたかも「龍の声」に聞き間違えるほどに玄宗皇帝の笛の腕前が素晴らしかったのである。

【大問三】小説の総合読解問題

  • 時間配分:28分

出典は、夏目漱石著『彼岸過迄』。

問一は、漢字の読み書き問題<2分>。
漢字の書き取りは「穏」「委細」「裂」、読み取りは「装(って)=よそお(って)」である。標準的な漢字であるので完答を目指したい。

問二は、内容把握問題<2分>。
「逃れるだけでも結構」という状況は、「それほど苦しい」という状況である。

問三は、語句問題<2分>。
「顔つき」とは「表情」のことである。

問四は、語句問題<2分>。
「あたかも」とは、「まるで」という意味であり、選択肢の中では「さながら」が適切である。

問五は、内容把握問題<3分>。
敬太郎は会見の後で、何か仕事をもらえるであろうと期待をしていたのである。

問六は、内容把握問題<2分>。
田口から電話があり「少し頼みたい事が出来た」といわれ、呼び寄せるのも気の毒、電話では手間がかかる、結果、「速達で手紙を出す事」にしたのである。

問七は、内容把握問題<4分>。
田口からの頼みとは、「人を尾行しその結果を田口に報告すること」という「探偵のような仕事」であった。そこで「敬太郎は初めて自分が危険なる探偵小説中に主要の役割を演ずる一個の主人公のような心持」がしたのである。しかし、「ただ興味という一点から…面白く眺める余裕も出てきた」のであり、「この仕事をやり終せてみよう」という気持ちにななったのである。

問八は、内容把握問題<4分>。
田口からの頼み事について敬太郎は「田口が自己の社会的利害を護るために、…他の弱点を握っておくのではないかという疑い」を抱いたのである。

問九は、内容把握問題<4分>。
田口からの「仕事」とは、「人を尾行しその結果を田口に報告すること」であった。そして、その内容とは「今日四時と五時の間に、……探偵して報告しろ」というものであった。

問十は、品詞識別問題<3分>。
本問は毎年出題される。次年度も同様な出題形式で品詞識別問題は出題されるであろう。それぞれの品詞は基本品詞でもあるので、基本的な文法事項を確実に押さえておきたい。

※以下の類題に挑戦しよう。
問1. 次の文を読んで後の問いに答えよ。

 私たちが何かを判断し、評価を下すとき、常に二つの異なる軸の間で揺れ動くことになる。一つは、普遍的な「客観性」の軸である。この客観性は、統計や科学的なデータ、あるいは明確な基準に基づき、誰にとっても同じ結論が導き出されることを理想とする。学術の世界や経済活動の場面で重んじられるのは、まさにこの、個人の感情や事情を排除した透明な判断である。
 しかし、人間は感情を持つ生き物であり、特に社会生活においては、もう一つの軸である「共感」の力が不可欠となる。共感は、他者の体験や苦悩を自分自身のものとして感受し、その感情の機微を理解しようとする態度に根ざす。それはしばしば客観的な基準、すなわち傍線部「冷たい合理性」と対立する。例えば、経済効率だけを考えれば解雇すべき従業員であっても、その家族の事情やこれまでの貢献を思えば、単なる数値による判断を躊躇せざるを得ない。
 客観性が「社会の構造」を維持し、進歩させるための土台である一方、共感は、その構造の中で生きる人々の「人間性」を護り、社会に温かみを与える。問題は、現代社会において、この二つの軸がしばしば排他的なものとして捉えられ、どちらか一方のみが絶対視される傾向にあることだ。私たちは、どちらかを切り捨てるのではなく、二つの価値を統合し、状況に応じてその比重を巧みに調整する「バランスの知性」を磨く必要がある。真に成熟した社会とは、データだけではなく、そこに関わる人々の物語を理解する能力を持つことだろう。

問一 下線部「冷たい合理性」とは、筆者の考える「客観性」のどのような特性を、比喩的に表現したものか。本文の内容を踏まえ、35字以内の日本語で説明しなさい。

(解答)
 個人の感情や事情を一切排除し、数値や基準のみに基づき判断を下す普遍的な姿勢。(34字)

問二 下線部「社会の構造」を維持し、進歩させる上で「客観性」が果たす役割を、本文中の言葉を用いて対比の視点から50字以内で説明しなさい。

(解答)
 感情や共感に流されず、普遍的な基準に基づいた判断により、社会全体に秩序と発展をもたらす土台となる点。(50字)

問2. 次の文を読んで後の問いに答えよ。

 発明家である老爺・西村は、十年を費やして完成させた「空気集積装置」を前に、深い安堵のため息をついた。それは彼の人生のすべてであり、妻にも理解されず、世間からは狂人の所業と見做されていた。しかし、西村にとって、この装置が成し遂げたこと―大気中の微細な浮遊物を集め、完全に純粋な空気のエッセンスを抽出すること―は、既存の科学の枠を超えた真理の証明であった。彼はそのエッセンスを小さなガラス瓶に詰め、透き通った美しさに目を細めた。
 しかし、その成功を誰もが祝うわけではなかった。隣人の青年は、彼の装置から出る奇妙な音と振動に辟易しており、西村がその成果について熱弁を振るっても、うわの空で聞いているだけだった。青年は、その純粋な空気になんの価値も見出せない。彼にとって、必要なのは、今日の生活に役立つ、即効性のある、誰もが欲しがるスマートフォン用の新しいアプリであった。
 ある日、西村は、集積装置を自らの手で静かに破壊することを決意した。それは、失敗を認めたからではない。真理は証明され、彼自身の内なる探究は完了したのだ。世間がその価値を理解しなくとも、彼の中には、誰も奪い去ることのできない、達成感の静かな炎が燃え続けていた。その炎は、彼が社会の評価や流行から完全に遊離していることを示していた。彼は静かに装置の電源を落とし、そして、彼は彼の生きた証を、ただ一つの小さなガラス瓶の中に留めた。

問一 下線部ア世間からは狂人の所業と見做されていたとあるが、これは青年が西村の発明に対して感じている価値観とどのように関連するか。西村の発明と青年の価値観の対比を明確にして、50字以上70字以内で説明しなさい。

(解答)
 青年が今日の生活に役立つ即効性を求めるのに対し、西村の発明は実用性や市場価値を無視した、既存の科学の枠を超える孤独な真理探究であり、世間の需要と完全に乖離していたから。(70字)

問二 下線部イ自らの手で静かに破壊するという行動から読み取れる、西村の深層心理と、彼にとっての「空気集積装置」の最終的な意味を、80字以内で説明しなさい。

(解答)
 装置が真理の証明という自身の内なる探究の目的を既に果たしたため、世間の評価や外部へのアピールは不要となり、人生の証として装置の存在を物理的に手放した達成感。(79字)

攻略ポイント

高度な記述力が必要である。設問の殆どが記述問題であるため、本文の内容をしっかり把握することはいうまでもないが、そのうえで自分の考えを的確にまとめ上げる文章力が必要である。字数指定がないため、適度な解答のボリューム感が必要であり、短かすぎず長すぎない解答を心掛けなければならない。そのためにも、日頃から自分の考えを「文章化」する習慣をつけておくことが必要となる。わずかな時間を利用して、その日のことを50~70字程度でまとめる練習を行うと、確実に文章を書くスキルを高めることが可能になる。また、漢字の書き取り読み取り問題も必ず出題されるため、ことわざなどの知識問題は得点源として確実にしておきたい。さらに、600字の作文(小論文)も出題されているので、小論文を書く練習をしておくこと。書き上げた小論文は、誰かに添削してもらうのが良いであろう。

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