中央大学附属横浜中学校 入試対策
2022年度「中央大学附属横浜中学校の国語」
攻略のための学習方法
問題構成
大問は２つ。それぞれに論説文の読解と小説の読解が割り当てられている。また、それぞれに漢字の読み書きが５問ずつ・計10問含まれている。総解答数は30～45問ほどで年度により差がある。
設問は選択肢と書き抜きが中心である。記述問題は30～50字ほどの文量で１～２問出題され、「文中の表現を用いて」まとめる形が多い。
特筆すべきは素材文の文量の多さである。ここ数年は、論説文4500～5000字・小説10000字前後で計15000字もの字数になっている。分速700字程度を目標に速読の訓練を積んでおかれたい。
論説文の読解
人文科学・社会科学分野からの出題が多い。論理的文章ということで、接続詞の問題がよく出されている。記述問題は「文中の表現を用いて」答える形で出題されている。書き抜き問題も多いので、文中の重要点をすぐ探し出せるようにしておくとよい。説明的文章の読解の技術を身に付けよう。
段落の整理――形式段落を意味段落にまとめる。意味段落の内容を小見出しのように書いてしまうとわかりやす
い。
要点と細部――段落の中で最も重要な１文を見つける。傍線などで目立つようにしておこう。説明や言い換えな
どは細部にあることが多い。
要約と要旨――要点をつなげて要約ができる。要約のなかで筆者の最も言いたいことが要旨である。つまるとこ
ろ、要旨を読み取るのが一番の目的である。
小説の読解
小学生を主人公に設定した話や、江戸時代を舞台にした小説などが出題されている。文章は難解なものではなく、小学６年生にも読みやすい。こちらの分野では、読解と合わせて慣用句や文学史の問題が出題されている。
記述問題は文中の言葉を抜き出してまとめただけでは答えにならない問題も多い。はっきり書かれていない心情や理由については、読解で読み取らなければならない。文学的文章の読解の基本を確認しておこう。
人物の整理――人数・名前・それぞれの関係などを確認する。だいたいの性格も見ておこう。性格が違えばその
言動の意味するところも違ってくる。
場面の変化――時間・場所・人物の入出などで場面の変わり目を見つける。場面の変わり目を訊かれる問題もあ
る。
心情の把握――人物の言動・表情や情景などから、気持ちを読み取る。最も問題にされる部分である。多くの文
章を読んで様々な人間の考えに触れておくことがなによりの経験になる。
主題の理解――作者が描きたかったことは何か。人間の成長や葛藤・挫折、戦争の悲惨さなど、よく描かれる
テーマがある。読書を通じて多くのテーマを見ておくことで、テーマをとらえる力もより付くこ
とだろう。
選択肢問題
選択肢問題の文章には注意が必要である。一部分だけが異なるものや似ているがよく読むと文意と合わないものなど、注意を怠ると足をすくわれる恐れがある。選択肢の一語一句を本文とよく比較検討して正確に判断できるように、注意力・集中力を高めておきたい。
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2022年度「中央大学附属横浜中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
総解答数は35問と前年度と同程度だったが、年度により差があるようである。
まずは15000字にもなる本文を読むスピードが欲しい。かなり速いが、分速700字を目標に訓練を積んでおきたい。難しい問題に時間をかけすぎて、できる問題をやり残すことがないように、過去問でペース配分をつかんでおこう。
【大問一】論説文の読解
- 難度：やや難
- 時間配分：28分
文学は善意が報われない世の中の現実を埋め合わせるものだと述べつつ、善意がないことのみが善行につながるというパラドックスを紹介して、人間社会の複雑さを読者に示している。
問１ ア. 報(われ) エ. 大統領 オ. 訓練
問２ １. 特に善行を奨める内容ではない。
問３ 崇高は、「気高く尊い」という意味である。
問４ 石でできた地蔵に売り物の編み笠を載せてしまうのは愚行であるが、そこには「衆生の信心」がある。笠地蔵の話は単なる善行を紹介した話ではなく、信心の大切さを教える寓話だったのである。
問５ 四肢麻痺になり絶望していた男だったが、看護師が無垢の信頼を寄せてくれたことで、たとえ体が動かなくても自分には心理学の医者として生きていく意味があるのだと思えたのである。
問６ 筆者が自分の身に置き換えて考えている部分がヒントになる。自分が男の家族あるいは友人であったら、実際の彼らと同様に「男を弱者としてしか見られず、善意の塊りになっていたに違いない」と想像している。家族や友人が男を不幸と決めつけ励ましても、男は救われなかったのである。
問７ 変に同情などするのではなく、男をプロの心理学医師として無条件に信頼し救いを求めたことが、男に「人から求められる」という自分の存在意義を確認させることになったのである。
問８ Ａ. 善意はない、「だが」衆生の信心につながるものがある。
ＢとＣ. 男は求められたものへと転身を始めた、「つまり」衆生を救う生き仏へと、「まるで」あのお地蔵様のように。
問９ 「それでいて」の前には、「魂は安らかである」の逆の状態が示されているはずであるから、❸の位置に置けば文脈が整う。
問10 看護師の行動を通じて、男は障碍者として人から善意や同情を「受ける」よりも、医師として人に救いを「与える」ことに喜びを覚えた。
問11 善意のかけらもない看護師の身勝手な行動が、結果として男を立ち直らせるという善行になった。変に善意を示していたら起こらなった結果である。「善意がないことのみが、結果として、善行につながる」というパラドックスなのである。
問12 ２. ラジオ番組に対して賞をもらったことは「本来こうあるべきだと思っていた人生」に含まれないので、×。
３. 「自分の不幸と同等」ではなく、「自分以上」だったと感じているので、×。
【大問二】小説の読解
- 難度：標準
- 時間配分：22分
- ★必答問題
親友の薫とバンドのライブを観た帰り道、前から感じていた薫との物事のとらえ方や感じ方の違いを痛切に意識し、それまでのあいまいな受け取りをやめ、自分の意見をはっきり表した。
問１ ア. 体格 ウ. 図(る) オ. 改札
問２ 数日にわたる相撲の試合や舞台・公演などの最終日を千秋楽という。
問３ 大ファンで楽しみにしていたバンドのライブだったのに、ＣＧと本人の見分けがつかなかったことにショックを受けた様子が描かれている。
問４ ＣＧのように機械で合成できるものとは違う、世界に一人しかいない生身の人間である自分を大切にしたいという主人公の意識が表れている。
問５ 渡邊君となっちゃんが二人でおそろいのお守りをつけていることに嫉妬し、自分も持つことで「二人だけ」ではなくそうとした。そうした自分の情けなさを隠そうとする意識が手の動きに表れたのだと考えられる。
問６ 「好きな人のせいで元気がなくなるのだったら、そんな恋はやめてしまえばいい」と主張する薫には、いくら説明しても「伝わらないかもしれない」と、考えを思い切った瞬間だった。
問７ 気持ちの伝え方がわからないと思いあぐねてしまい、「資料室を利用して勉強しよう」という共感が得られそうな誘いで、相手の反応を引き出そうとしているのである。
問８ 薫との考え方の違いをこれまではなんとなくやり過ごし意見することに遠慮があったが、「違うと思う」とはっきり口に出して言うことで、それまでの迷いがなくなった。
問９ 薫の価値観に異を唱えて、自分の大事にするものをはっきりと相手に伝えている→選択肢３が合う。
問10 ２. 薫が優秀であるとも、主人公が劣等感を抱いているとも表現されていない。
３. バンドのメンバーがライブで発した言葉である。
４. 主人公は薫との関係に葛藤を抱えているが、薫は葛藤を抱えていない。
攻略のポイント
問題自体は特別に高難度というわけではないので、時間が足りずに問題に手が付けられないという事態になったらもったいない。過去問で文章量の多さによく慣れておき、とにかくひととおりは目を通せるように、長文を読むスピードはぜひともつけておきたい。
解説文の穴埋め選択肢という形式にも十分に慣れておくこと。選択肢問題が大半であることも意識して類似問題をこなしておくこと。
漢字やことばの知識も難問ではないので、地道に覚えておいて得点を稼ごう。
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