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開成中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2019年度「開成中学校の社会」
攻略のための学習方法

スライド式学習

何度も述べているが、平易な問題だけに取りこぼしが許されない。従って、「地理」「歴史」「公民」と「時事問題」の「基礎的知識」を確実に定着させておく必要がある。ただ、人は忘れるものだ。時が経てば経つ程忘れる。ここに実は落とし穴がある。

基本的に「暗記」が最重要となる「社会」では、各単元をいつ学習し、定着させたのかの時期が問題となる。塾では通常、本格的な受験勉強が始まる5年生になってから、「地理」⇒「歴史」⇒「公民」と単元消化していき、6年生の夏休み前には終える。
その後は「復習」となるが、そのメインは圧倒的に定着すべき事項の多い「歴史」にならざるを得ない。
そのまま、秋から冬となり「過去問演習」と続いていく。6年生で学習した「公民」はまだしも、「地理」はどうだろうか? 実質的に1年以上の空白が生じてしまう。それはまずい。開成では「地理」単元に含まれる全ての事項が多数出題されるのだ。

そこで、独自の「復習」が必要となる。塾での学習とはずらして(スライドさせて)、まだ時間的に若干の余裕がある5年生の冬休みやその後の春休みを利用して、徹底的に「地理」の「復習」をしておくことが勝利につながる。「重要事項チェック問題集」のようなものを活用して、ライバルに差をつけておきたい。

いもづる式学習

「暗記事項」はそれぞれ単独に(単なる「一問一答方式」)定着させておいてもあまり意味がない。バラバラに覚えているだけでは、自分が覚えた通りに問われなければ結びつかないし、関連問題にも答えられないからだ。

そこで重要となるのが「いもづる式学習法」だ。「点」で覚えているものを「線」で結び、さらには「面」をも理解するには不可欠の学習だ。
1つの「暗記事項」を確認する際、それに関連すると思われる「事項」を次から次へと思いつく限り引き出していく。単元も無視する。もし「言葉」としては覚えていても内容があやふやになっているものがあれば、すぐに確認しておく(ついでにここでも「復習」できる)。
また、それらは「線」で結びついているはずなので、どのように結びつくのかを確認していく。その上で、それらが結びつく背景(=「面」)も理解するようにする。

このようにして改めて定着させた「事項」はどのような問われ方をしても「線」で結びつけて答えられることになる。さらに、単元もまたいでいるので、「単元融合問題」にも対応できるようになる。

手づくり式学習

特に「歴史」単元の「復習」で必要となる。塾での「歴史」の学習は普通、「政治史」を軸とした「通史」として「時代別」「時代順」になっている。だが、開成に限らず入試問題ではそうした単純なものは少ない。特定の切り口での「分野史」が多いし、必ずしも「時代別」「時代順」ではなく様々な時間軸で出題される。

それらに対応するために必要なのが「手づくり年表」だ。「政治史」「社会経済史」「外交史」「文化史」「人物史」等の「分野史」別の「年表」を作成しながら復習する。その際、「原始」~「現代」という長い時間軸にする。当然、「重要事項」だけしか記入できないが、それでいい。「関連事項」を頭に思い浮かべるようにすれば、「いもづる式学習」にもなる。

さらに、その「年表」には「世紀」と「日本の時代名」「中国の王朝名」を対応させて記入しておきたい。「世紀」と「時代」がすぐに結びつかないと答えられない問題が多いからだ。「年表づくり」を楽しみながらやってみよう。

細部へのこだわり式学習

必ず出題される「統計資料読み取り問題」。
考えるに当たって最も重要なことは、「統計資料」をいかに正確に読み取るかということ。資料に示されていることだけに基づいて「考えるヒント」を見つけ出す。とにかく「細部」にこだわって読み取ることが必要となる。

そのためにはトレーニングが欠かせない。過去問等を用いて、資料の細かな「数字」や「項目」を全て材料として、そこから何が導き出せるのかを確認する訓練をするのだ。導き出せることについては、「解説」等に示されているので活用すること。

こうした「細部へのこだわり学習」をつづけることで、次第に資料に示された「手がかり」が自然と浮かび上がるようになる。後は自分の「知識」と結びつけて考えればいいのだ。

意識継続式学習

「社会」に限らないが、常に何かを「意識」しながら学習することが重要だ。漫然と机に向っていても無駄なだけだ。その時々、何を目的としてどのような学習(たとえば、上記の「○○式学習」)をしているのか、具体的に「意識」し続けていることが大切。

そうして何かを「意識」することが継続できるようになったら、次は同時にいくつものことを「意識」しながら学習したい。40分という制限時間の中で、重要な「設問条件」をクリアして答えていく。「設問」を正しく理解しているか? 「条件」を満たしているか? つまらないミスはないか? といったようなことを、問題を考え、解き、解答欄に答えを書き入れるいくつもの段階で常に「意識」しながら学習する必要がある。

入試本番では、見直しの時間はないと思った方がいい。常にそれらの「意識」を継続しているということは、何度も「見直し」をしていることになるのだ。

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2019年度「開成中学校の社会」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問 1 は「歴史」。
東京の「上野公園」を散歩しながらさまざまな「史跡」をめぐるという設定での「リード文」からの出題。
小問は全25問(解答数30)、「選択肢」(「不適切」「位置特定」などあり)、「事項・人名・地名等記述」(「漢字指定」、「複数完全解答」あり)。

大問 2 は「地理」(「世界地理」「時事的要素」あり)。
「日本にある島のうち、北方領土を含む8つの有人島」に関連するそれぞれの「説明文」からの出題。
小問は全20問(解答数24)、「選択肢」(「不適切」「複数完全解答」、「地形図」「島の形」などあり)、「地名・事項記述」(「空所補充」、「数字指定」「漢字指定指定」等あり)。

大問 3 は「公民」(「時事的要素」あり)。
「最近の基本的人権と司法制度」に関連する「リード文」からの出題。
小問は全8問(解答数15)、「選択肢」(「不適切」「組み合わせ」などあり)、「事項・人名記述」(「空所補充」あり)。

時間配分としては、1問を30秒強で解くというハイペースとなる。

【大問1】「歴史」(「各種選択肢」「事項記述」)

  • 難度:
  • 時間配分:17分
  • ★必答問題

2018年のNHK大河ドラマ「西郷(せご)どん」の主人公だった西郷隆盛の銅像がある「上野公園」を散歩しながら、点在している「史跡」について説明している「リード文」からの出題。5世紀~20世紀に及ぶ幅広い「歴史」の出題があるが、「近世」以降が中心となっている。

基礎的知識を問うものが多いが、中にはやや難易度の高いものもある。それらをメインに、以下、いくつかの「設問」を検討してみよう。

[問1(5)] 「空所補充の語句記述設問」。
「リード文」中の空所部(5)に「入る語句」を答える。

空所部前後は「ここ(=不忍池に面したところにある清水観音堂)から見える不忍池は、比叡山から眺める(5)湖に見立てられています」となっている。

無論、即座に「比叡山」⇒「比叡山延暦寺」=「京都府と滋賀県の県境」⇒「答え」=「琵琶(湖)」と、結び付けられる諸君も多いことだろう。

ただ、もしピンとこなかったとしたら、「リード文」全体から類推するといい。「不忍池」がある「上野」を「比叡山」になぞらえ、「清水観音堂」は京都の「清水寺の観音堂」もしていることが説明されている。こうしたことから、「答え」=「琵琶(湖)」だと特定できるはずだ。

「リード文」は直接問われている部分以外にも多くの「手がかり・ヒント」が隠されていると心得る必要がある。

<時間配分目安:30秒以内>

[問3] 「下線部に関連する人物名記述設問」。

「リード文」中の下線部「長州藩と(1)藩の同盟」に関連して、「長崎に海運や貿易のための結社として海援隊を組織し、この同盟をあっせんしたとされる人物の名」を答える。

「海援隊」? そんなの知らないと、動揺することなかれ。「(1)藩」は[問1]で問われており、「西郷隆盛の出身藩」ということですぐに「薩摩(藩)」だと判明しているはず。
ということは、「長州藩と薩摩藩の同盟」=「薩長同盟」⇒「あっせんした」⇒「答え」=「坂本竜(龍)馬」で決まりだ。

尚、土佐藩出身の坂本竜馬が長崎に設立した「亀山社中(後の海援隊)」の名前は覚えておきたい。各小問どうしは密接に関連していることがあるので、それも「手がかり・ヒント」になるということだ。

<時間配分目安:30秒>

[問7] 「下線部についての人物名記述設問」。

「リード文」中の下線部「江戸無血開城」について、「江戸の高輪で西郷隆盛と会見し、江戸無血開城に努力した旧幕府側の人物の名」を答える。

「江戸無血開城」といえば「西郷隆盛」、それは誰でもいっているはずだが、「旧幕府側の人物」となると、どうだろうか? 「答え」は「勝海舟」

「戊辰戦争」で敗れた「旧幕府側の人物」は意外と抜け落ちているかもしれないので注意したい。最後の戦いとなった「箱館戦争」(五稜郭の戦い)で降伏した旧幕府軍の「榎本武揚」(後に明治政府でさまざまな大臣を歴任した)の名前も覚えておくこと。

ちなみに、「勝海舟」は1860年に幕府の軍艦「咸臨(かんかりん)丸」で初めて太平洋横断をしてアメリカに渡ってもいる(日米修好通商条約の批准書交換のための幕府使節団が乗船した米軍艦に同行)。

<時間配分目安:30秒強>

[問8] 「下線部についての事項記述設問」。
「リード文」中の下線部「水戸」について、「江戸時代末期に水戸に設立された藩校の名」を答える。

【大問1】の中で本問は難問の部類だ。江戸時代の「藩校」となると「大学入試レベル」だ。
「答え」は「弘道館」。「徳川斉昭」(15代将軍慶喜の実父)が設立した日本最大の「藩校」だ。知らなかった諸君は押さえておこう。

尚、その他では、「日新館」(会津藩)、「閑谷(しずたに)学校」(岡山藩。日本初の藩校)、「明倫館」(長州藩)、「時習館」(熊本藩)、「造士館」(薩摩藩)などが有名だ。

尚、この問題は「捨て問」でも構わないので、即座に判断して、引きずらずに次の設問に向かうことが肝要だ。

<時間配分目安:30秒>

[問12] 「下線部についての選択肢設問」(4択)。

「リード文」中の下線部「8代将軍徳川吉宗」について、「徳川吉宗が行った政策について正しいもの」を答える。

各選択肢を確認し正誤判別していく。

(ア)「大名たちに米を納めさせ、かわりに参勤交代を廃止した」⇒「徳川吉宗」といえば「享保の改革」、そのとき定められた「上米の制」⇒「参勤交代」のかわりに幕府に各藩から米を納めさせた=「適切」だと早とちりしてはいけない。
確かに「上米の制」は「徳川吉宗」が行った政策だが、それは「石高1万石につき100石の米を納めさせるかわりに、参勤交代での江戸滞在を1年から半年に縮める」というもので、決して「参勤交代を廃止した」わけではない⇒「不適切」

(イ)「目安箱をつくって、民衆の意見をきいた」⇒これは無論「享保の改革」のひとつ=「適切」

(ウ)「生類憐みの令を出して、……」⇒ここだけで当然「不適切」、「生類憐みの令」は「5代将軍徳川綱吉」が定めた。

(エ)「日米和親条約を結んで、……」⇒これまた、この時点で「不適切」が判明⇒「日米和親条約」は「13代将軍徳川家定」の時だ。

よって、「答え」は「イ」
ここでは正答以外の判別が容易だったのでひっかからないとは思うが、各選択肢の説明は細部まで的確に確認することが重要だ。

<時間配分目安:1分>

[問13] 「下線部についての選択肢設問」(4択)。
「リード文」中の下線部「豊臣家」について、「豊臣秀吉が行ったことについて正しいもの」を答える。

各選択肢を確認し正誤判別していきたい。

(ア)「刀狩令を出して、刀や鉄砲などの武器を農民から取り上げた」⇒「豊臣秀吉」といえば「太閤検地」と「刀狩令」、ともに「兵農分離」の一環だというのは常識=「適切」

(イ)「小田原の上杉氏を倒し、天下統一を完成させた」⇒1590年、「豊臣秀吉」が「天下統一」は正しいが、破ったのは「上杉氏」ではなく「北条氏」だ=「不適切」
当時の当主は「北条氏直」(父は「氏政」)だということも確認しておきたい。

(ウ)「朝鮮に出兵したが、李舜臣ひきいる水軍や、清の援軍に苦戦した」⇒「豊臣秀吉」の「朝鮮出兵」、間違いない=「適切」? ではない。「清の援軍」とあるが、当時は「明」だ(「清」の成立は江戸時代に入ってから)=「不適切」

(エ)「本能寺の変の後、明智光秀を桶狭間の戦いでやぶった」⇒勿論、「桶狭間の戦い」ではなく「山崎の戦い」だ=「不適切」
ちなみに、「桶狭間の戦い」は「今川義元」が「織田信長」に敗れた戦いだ。

したがって、「答え」は「ア」。決して難問ではないが、焦っていると敗れてしまうので注意すること。
<時間配分目安:1分以内>

[問19] 「下線部に関連する不適切選択肢設問」(4択)。
「リード文」中の下線部⑱「歌川広重」に関連して、「『東海道五十三次』に描かれている宿場」として「誤っているもの」を答える。

各選択肢は、(ア)「庄野」・(イ)「藤沢」・(ウ)「板橋」・(エ)「桑名」。これは紛らわしいか? 
「藤沢」と「桑名」は「東海道」だと判断できるが、他はどうか? 
「板橋」は人によっては東京の地名だと見当がつくだろうが、「庄野」ってどこ? それが普通だろう。とんでもない難問だ。

「庄野」は三重県鈴鹿市にある「東海道」45番目の宿場町。よって、「答え」は(ウ)の「板橋」。現在は東京都板橋区で、「中山道」の宿場町だった。無論、「捨て問」で構わない。

<時間配分目安:30秒以内>

【大問2】「地理」(「時事的要素」、「世界地理」あり)

  • 難度:
  • 時間配分:14分

「日本に300~400程度ある人が住む島のうち、面積が上位100位までに入る8つの有人島(北方領土を含む)」に関連する「A」~「H」までの「説明文」からの出題。

「気候」「地形」「都道府県」「産業」などに関連しての、「統計資料」「図版」「地形図」等からの出題。「地理」(「世界地理」含む)単元だが、「時事的要素」を含む問題もある。

本大問は【大問1】【大問3】と比して際立って難問が多い。
したがって、「捨て問」の判別がより重要となる。以下、いくつかの「設問」を検証する。

※尚、[問9]と[問18]は「地形図」からの出題となっている。本校に限らず「地理単元」では必出だ。「地図記号」「等高線」「方位」等の「地形図」に関連する基礎的事項を完全に定着させた上で、設問に即して的確かつ正確に読み取っていくことが肝要だ。

[問1(あ)] 「空所補充の語句記述設問」。
「説明文A」中の空所部(あ)に「入る語句」を答える。空所部前後は「九州北部からは(あ)灘と東水道をはさんで約130キロメートル、朝鮮半島南部からは西水道をはさんで約50キロメートル」となっている。
これは無論、「A」という「島」についての説明だ。
「九州北部」からより「朝鮮半島南部」からの方が近い「有人島」となれば、この「島」が「対馬」(長崎県)だという特定はできなくてはいけない。
だが、「?灘」となると……、そもそも「灘」って何だ? ということになる。
ここで多くの諸君が思考停止状態になってしまうだろう。この小問、いきなり難問だ。

「灘」とは「潮流の流れが速くて、風浪が激しく航海が困難な海域」のことだ。となると、要は「九州北部」と「対馬」との間の「海域」は何と呼ばれているかということで、「答え」は「玄海(灘)」になる。定着していなくても不思議はないが、せっかくなのでこの機会に他の「○○灘」も調べておくといい。無論、「捨て問」でも構わない。
尚、本校では、この問題のようにディープな「自然地名」が頻出なので、自分なりに調べておきたい。

<時間配分目安:30秒強>

[問2] 「下線部に関連しての統計資料読み取り選択肢設問」(全2問/5択)。

「説明文」中の下線部①「日本と中国や朝鮮半島との経済交流」に関連して、示されている「表」の中の「ア」~「オ」は「中国」「韓国」「アメリカ」「オーストラリア」「ベトナム」のいずれかの「日本への主な輸出品目及びその割合」を表しているが、「中国」と「韓国」に「あたるもの」をそれぞれ答える。

「統計資料読み取り」としては典型的な「貿易」に関するものだ。
何のことはない? とはいかない。なぜなら、日ごろ見慣れた「日本から」ではなく、「日本へ」の資料だからだ。なかなか厄介な問題だ。

先ず着目したいのは、「△」で示されている「対日貿易収支」が「赤字」(日本からすれば「貿易黒字」)になっている「ア」「イ」だ。日本が「貿易黒字」になっている国を上記の5ヵ国から判別すれば、「韓国」と「アメリカ」だと特定できなくてはいけない。

で、「貿易総額」から考えれば、圧倒的に「赤字額」の大きい「イ」が「アメリカ」で、「答え」の「韓国」=「ア」だと分かるはずだ。
そして、残りの「ウ」「エ」「オ」では、「輸出品目」が「石炭」「液化天然ガス」「鉄鉱石」になっている「ウ」が「オーストラリア」で、「対日貿易収支額」が桁違いに大きい「エ」は「中国」になるはずで、もうひとつの「答え」だと判別できる。

「貿易」に関する「統計資料」は必出なので、多角的に捉えておくことが必須だ。

<時間配分目安:全問で1分半>

[問3] 「島名記述設問」(「漢字」指定)。

「説明文」の「島名」を「漢字」で答える。
「説明文」の中の「手がかり」から「島」を絞り込んでいきたい。先ずは「北方領土の島のひとつ」⇒「歯舞群島」「色丹島」「国後島」「択捉島」のどれかだとすぐに分かる。
次に「天気がよければ知床半島……、根室半島などから望める」⇒「北海道」との距離を考えれば「歯舞群島」か「国後島」だ。
そして「沖縄島より面積が大きい」⇒これで「国後島」=「答え」だと特定できるはず。
尚、「北方領土」の出題は本校に限らず定番だ。四島の「位置」「形」「大きさ」、そして「漢字表記」などは確実に定着させておくことが求められる。

<時間配分目安:1分>

[問7] 「下線部についての選択肢設問」(5択)。

「時事的要素」あり。「説明文」中の下線部「真砂土」について、「真砂土とは、どの岩石が風化してできた土壌か」を答える。

各選択肢は、(ア)「石灰岩」・(イ)「花こう岩」・(ウ)「玄武岩」・(エ)「凝灰岩」・(オ)「斑れい岩」。「理科」の「地学」の知識が豊富であれば即判別可能かもしれないが、そうでなければ相当難しい。

「説明文」に「手がかり・ヒント」を求めたい。
下線部の直前直後から、「集中豪雨による山地崩壊で、田畑が真砂土に覆われ大きな被害を受けた」ことが分かる。
そして、「C」の「島」は「瀬戸内海で2番目に大きい」とあるので「小豆島」であることも判明する。「集中豪雨による被害を」「中国四国地方」……、ここで何かピンとこないか? 
そう、2018年7月の「西日本豪雨」により広島県などで数多く発生した土砂崩れ。その原因として当時、「真砂土」がニュースなどで盛んにとりあげられていたではないか。無論、「真砂土」とはどういうものかということも。

ということで、「答え」は(イ)の「花こう岩」だと思い出したい。本校での「時事問題」は直接的な出題ばかりではなく、こうした間接的なものもある。しっかりと理解習得しておくことが肝要だ。

<時間配分目安:1分>

[問14] 「下線部についての選択肢設問」(5択)。

「説明文」中の下線部「北端のスコトン岬」について、「スコトン岬の緯度に最も近いもの」を答える。
は? 「スコトン岬」? どこそれ? 誰も知る由もない。
「説明文」を確認する。直後に「宗谷岬とほぼ同程度の緯度」とある。「宗谷岬」は誰もが知っていなくてはいけない。「北海道本島」の最北端で、「日本最北端の地」という碑がある(無論、日本本土における最北端)。
そして、「宗谷岬」の緯度が「北緯45度」だということも覚えているはずだ。
したがって、「答え」は(エ)の「北緯45度」

尚、「スコトン岬」のある「G」の「島」は「北海道本島と北方領土を除くと、日本最北に位置する有人島」と説明されている。そこから即座に「礼文島」だと分からなかった諸君は、「自然地名」日程の復習が必須だと心得よ。

ちなみに、日本の実効支配が及んでいる範囲での「最北端」は、「宗谷岬」の西北西約1kmに位置している無人島の「弁天島」だ。

<時間配分目安:1分弱>

[問17] 「島の形状判別の選択肢設問」(全2問/8択)。

示されている「図c・d」は、「説明文A~H」のいずれかの「島の形」を表しているが、「図c」「図d」の「島」はそれぞれ「A」~「H」の「どれにあたるか」を答える。

この紙上でそれぞれの「図」を示すことはできないが、一目で「図c」=「小豆島」、「図d」=「国後島」だと特定できる(できなくてはいけない)。
よって、「答え」は、「図c」=「C」、「図d」=「B」となる。

尚、本校に限らず、「都道府県」や「島」の「形状」に関する出題は頻出だ。確実に定着させておくことが重要。

<時間配分目安:全問で1分>

※尚、[問6](日本における「大豆・小麦・塩・食用油」の現状についての正誤判別問題)、[問11](4つの「都道府県」の「観光客数」の推移を、平成26~28年の各年度を4期に分けて示した「折れ線グラフ」を判別する統計資料読み取り問題)、[問20](4つの「島」の「夏至および冬至における日の入り時刻」を示した「表」を判別する統計資料読み取り問題)は、いずれも難易度が高すぎるので「捨て問」で構わない。

【大問3】「公民」(「時事的要素」あり)

  • 難度:標準
  • 時間配分:9分

2019年に「裁判員制度」の導入から10年を迎えるという「時事ネタ」に関連して、近年の「基本的人権をめぐる司法制度のあり方や新たな人権侵害の問題点」についての「リード文」からの出題。

「公民」単元だが、「時事的要素」を含む問題もある。
本大問は平易な問題がほとんどなので、手際よく一気呵成に正答していきたい。
以下、いくつかの「設問」を確認したい。

※尚、[問7]は「統計資料読み取り問題」だが、「知識」ではなく、いかに正確に「資料」を読み取ることができるかという能力が問われている。こうした問題では、先入観を持たずに純粋に「資料」そのものから判断できることのみで答えを導くことが重要だ。

[問1] 「空所補充の語句記述設問」(全2問)。

「時事的要素」あり。「リード文」中の空所部(A)・(B)に「あてはまる語句」を答える。
空所部前後はそれぞれ、「個人の行動を継続的に把握するこの(=GPS発信機取り付けによる)捜査方法は、個人の(A)の権利を侵害する可能性がある」、「EUではこれ(=自分にとって不都合な過去を記した記事などの削除を求めること)を『(B)権利』として法的に認めている」となっている。

先ずは(A)だが、「個人の行動を継続的に把握する」ということは常に「監視」されているわけで、他人に知られたくないことまで知られてしまう。であれば、「答え」は「プライバシー(の権利)」だと分かる。

次に(B)、これはインターネットやSNSの普及で個人情報が拡散する恐れが強まったことで、近年主張されるようになった権利だ。「答え」は「忘れられる(権利)」。2012年に「EUデータ保護規則案」で明文化された。したがって、少し前ではあるが「時事問題」でもある。

尚、この権利は「消去権」「削除権」「忘却権」とも呼ばれているので押さえておきたい。

「時事問題」は直近の事項だけでなく数年間のものはしっかりと確認しておくことが肝要。

<時間配分目安:全問で1分半>

[問2] 「下線部についての空所補充の語句記述設問」(全2問)。

「リード文」中の下線部「日本国憲法」について、示されている「日本国憲法第97条」の空所部(1)・(2)に「あてはまる語句」を答える。

空所部前後は、第97条「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる(1)獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない(2)の権利として信託されたものである」となっている。

本校志望者であれば当然ながら、「日本国憲法」のいくつもの条文を暗記しているはずだ。
が、「第97条」はどうか? お馴染みの「最高法規」を規定した「第98条」と同じ「第十章 最高法規」に含まれ、「基本的人権の由来特質」と題されている。「基本的人権」であれば、「第三章 国民の権利及び義務」(第10条~第40条)をしっかりと理解・定着させているはずだが、「第十章」は抜け落ちている可能性があるので、なかなか厄介だ。

「答え」は、(1)=「自由」・(2)=「永久」だ。「基本的人権」の「永久不可侵」を定めた「第11条」とともに改めて確認しておきたい。

<時間配分目安:全問で1分>

[問4] 「下線部についての選択肢設問」(全3問/各5択の組み合わせ選択肢設問2問・記号記述設問1問)。

「リード文」中の下線部「裁判所」について、示されている「裁判所の種類」(上下4列になっており、
1列目に  (A)最高裁判所   ・2列目は  (B)高等裁判所   ・3列目には並んで  (C)地方裁判所   と  (D)家庭裁判所   、4列目に  (E)簡易裁判所   が図示されている)についての3つの小問がある。

(1)(A)~(E)の裁判所のうち、「違憲審査権をもつ裁判所はどれか、その組み合わせの正しいもの」を答える。
周知の「違憲立法審査権」のことだ。「憲法の番人」=「最高裁判所」⇒「違憲立法審査権」は「最高裁判所」にある。確かにそうだ。だが、その他の裁判所はどうなのか? 
「日本国憲法第81条」には「最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である」と規定されている。
「終審裁判所」=「権限の最終的な行使者」ということなので、その他の裁判所にも「違憲立法審査権」はあるわけだ。
したがって、「答え」は「A~Eすべて」となっている(カ)になる。一瞬悩むかも知れないが、的確に判断していきたい。

(2)(A)~(E)の裁判所のうち、「裁判員裁判が行われる裁判所はどれか」を答える。「裁判員裁判」は「重大な刑事事件の第一審」で採用されていることは知っていなくてはいけない。であれば、「地方裁判所」になる。
よって、「答え」は「Cのみ」となっている(ウ)だ。「裁判員制度」は2019年に導入から10年を迎える。改めてその問題点などが注目されているので、来年度に向けて要注意だ。

(3)「刑事裁判において、第一審が簡易裁判所だった場合、控訴審はどの裁判所か」を、(A)~(E)の中でひとつ答える。
「控訴審」=「第二審」ということは知っているはず、序列が図示されていて「簡易裁判所」の上は「地方裁判所」と「家庭裁判所」で、さすがに「家庭裁判所」ではないだろうから、「答え」は(C)、とはならない。「刑事裁判」では、「第一審」がどこであれ、「第二審」は「高等裁判所」、「第三審」(上告審)が「最高裁判所」で行なわれる。
したがって、「答え」は「B」。尚、「民事裁判」は、「簡易裁判所」→「地方裁判所」→「高等裁判所」となる。
本校では、こうした「ディープな知識」が求められるわけだ。無論、これは「捨て問」でも構わない。

<時間配分目安:全問で2分半>

[問5] 「下線部についての選択肢設問」(4択)。

「リード文」中の下線部「裁判」について、「公正で誤りのない裁判を行うためのしくみ」を答える。各選択肢を確認し正誤判別していきたい。

(ア)「地方裁判所は各都府県に1か所、北海道に4か所設置されている」⇒そう、「北海道」では「札幌」「函館」「旭川」「釧路」に設置されている=「適切」

(イ)「同じ争いや事件について、3回まで裁判を受けることができる」⇒無論、「三審制」のこと=「適切」

(ウ)「最高裁判所裁判官は、任命後、その後は10年ごとに国民審査を受ける」⇒「日本国憲法第79条」に「最高裁判所の裁判官の任命は、その任命後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際国民の審査に付し、その後十年を経過した後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際更に審査に付し、その後も同様とする」と規定されている=「適切」

(エ)「刑事裁判では、被害者ではなく検察官が裁判所に訴える」⇒「刑事裁判」で「起訴」(裁判所に訴えること)するのは当然、「検察官」の役割=「適切」

あれっ? 全て「適切」ではないか? 「答え」は?などと、慌てはいけない。

問題文には「公正で誤りのない裁判を行うためのしくみ」とある。であれば、「答え」は「イ」だと判別できるはずだ。
「正しいもの」を判別する「選択肢設問」では、「何に関してか」ということも考慮する必要がある。至極当然のことなのだが、慌てていると混乱してしまう場合もある。注意したい。

<時間配分目安:1分強>

攻略のポイント

●「御三家」の本校では難問が多いというイメージがあるだろうが、実はほとんどが基礎的問題で平易だ(無論、「超難問」も紛れてはいるが、それらは「捨て問」で構わない)。
したがって、合格ラインは高い。過去11年間の合格者平均得点率は77.2%(70点満点。本年度はやや低く74.4%)。
当然ながら本校受験生の多くが、確実に定着させている「基礎的知識」で高得点を出してくる。つまり、小さなミスが致命的になる。
3単元全てについて徹底的に「基礎的事項」を習得して、「統計資料読み取り」や「御当地問題」等、本校特有の問題は過去問で練習を積むことが重要だ。

●配点は「選択肢設問」「事項記述設問」「説明記述設問」全てが各1~2点ほどと推測される。40分という制限時間があるので、先ずは解きやすい設問から攻め、「考える必要のある設問」に時間を傾斜配分するといった「戦術」も求められる。「捨て問」の判別も必須だ。当然、「漢字指定」などの「設問条件」には十分注意すること。

●「時事問題」についても2つ以上のテキストで、直近年だけではなく過去数年分について細部まで敏感に確認しておくこと。尚、「統計資料」は必ず最新版を使いたい。テキストとしては「日本のすがた」(矢野恒太記念会編集)が分かりやすくてオススメだ。

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