｢四国地方｣および｢中国地方｣以外の｢図１｣～｢図４｣の地図中の｢11の半島｣に関するさまざまなことがらについての出題。｢地理｣単元の多様な事項について、｢地図｣｢地形図｣や｢統計資料｣などからの小問が並ぶ大問だ。標準的難易度のものが多いが、中には手強いものもある。いくつかを確認してみる。前提として、各｢地図｣内の｢半島名｣を確認しておく。｢図１｣(北海道)の①＝｢知床半島｣、｢図２｣(東北地方)の②＝｢津軽半島｣･③＝｢牡鹿半島｣･④＝｢男鹿半島｣、｢図３｣(関東･中部･近畿地方)の⑤＝｢房総半島｣･⑥＝｢能登半島｣･⑦＝｢伊豆半島｣･⑧＝｢渥美半島｣･⑨＝｢志摩半島｣、｢図４｣(九州地方)の⑩＝｢島原半島｣･⑪＝｢薩摩半島｣｡

[２]　｢半島特定選択肢設問｣(全５問｡11択)。示されている(Ａ)～(Ｅ)の文が説明している｢半島｣を①～⑪の中から答える。各説明の｢要点｣｢キーワード｣で特定していく。(Ａ)｢リアス海岸｣｢英虞湾の真珠養殖｣で即決＝⑨、(Ｂ)｢輪島塗｣｢2024年１月の大地震｣で分かる＝⑥、(Ｃ)｢1991年の普賢岳での火砕流発生｣で決めたい＝⑩、(Ｄ)｢亀が岡遺跡｣はともかく｢1988年海底トンネル｣特定できるはず＝②、(Ｅ)｢世界自然遺産｣｢流氷｣で決定＝①。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜時間配分目安：全問で３分強＞

[３]　｢日の出･日の入り判別選択肢設問｣(全２問｡11択)。示されている｢表１｣は、｢東京都新宿区｣･①･⑤･⑪の半島における、｢６月20日｣･｢９月20日｣･｢12月20日｣の｢日の出･日の入りの時刻｣を表しているが、｢表１｣の(Ａ)と(Ｂ)の地点がある｢半島｣を①～⑪の中から答える。｢９月20日｣(秋分の日のころ)の｢日の出の時刻｣を早いものから並べると、(Ａ)→(Ｃ)→｢東京都新宿区｣→(Ｂ)だ。｢東から順に夜が明ける｣ので、(Ａ)＝①(知床半島)、(Ｂ)＝⑪(薩摩半島)が｢答え｣になる。設問などの｢与えられている情報｣を的確に用いて考察することが肝要だ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜時間配分目安：全問で２分強＞

[５]　｢漁港水揚げ量判別選択肢設問｣(全３問｡11択)。示されている｢表２｣は、③･⑤･⑥･⑪の半島にある漁港の｢水揚げ量｣および｢上位５品目｣を表しているが、｢表２｣の(Ａ)～(Ｃ)の漁港がある｢半島｣を①～⑪の中からそれぞれ答える。それぞれの｢答え｣をチェックしていく。(Ａ)⇒｢ぶり類｣や｢するめいか｣が上位⇒日本海側⇒｢答え｣は⑥(能登半島)。(Ｂ)⇒水揚げ量が最も多く、南洋漁場で獲れる｢かつお｣や東シナ海で獲れる｢さば｣や｢あじ｣が上位⇒鹿児島県の｢枕崎港｣⇒｢答え｣は⑪(薩摩半島)。(Ｃ)⇒｢かつお｣や｢まぐろ類｣が上位⇒千葉県の｢勝浦港｣は国内有数の｢かつお｣の水揚げ港として知られる⇒｢答え｣は⑤(房総半島)。さまざまな農林水産物の｢ランキング｣は｢地理｣単元の定番なので、最新のデータで定着させておく必要がある。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜時間配分目安：全問で２分強＞

※尚、[７(１)(２)]は｢千葉県南房総市｣の｢地形図｣および｢断面図｣からの出題。｢地形図読み取り｣は本校に限らず｢地理単元｣での定番なので、｢地図記号｣｢等高線｣｢方位｣｢縮尺｣等の｢地形図｣に関連する基礎的事項を完全に定着させておき、細部に注意して正しく読み取っていくことがポイントだ。

｢落とし物｣にまつわるさまざまなことがらについての出題。｢写真｣や｢図版｣等を踏まえての設問が並ぶ。｢飛鳥時代｣～｢現代｣までの、｢歴史｣単元の基本的事項が問われているのだが、意表を突く設問が多く、とても解きづらい大問となっている。いくつかの設問を検証してみよう。

[２]　｢新聞記事の判別選択肢設問｣(４択)。｢落とし物が一時的に大きく減少した年｣の｢新聞記事｣を答える。なんのこっちゃ？！ という問題だろうが、とにもかくにも各選択肢の｢新聞｣を確認してみる。(ア)｢新インフル『流行期』｣、(イ)｢全国小中高の休校 要請｣、(ウ)東日本大震災｣、(エ)｢新元号 令和 決定｣。どうだろうか？ ｢落とし物が大きく減少｣⇒｢人の流れ｣が減少⇒｢答え｣は(イ)の｢全国小中高の休校 要請｣⇒｢新型コロナウィルス感染症｣によるものだ。｢自分が知らない｣⇒｢誰も知らない｣⇒｢知らなくても解ける｣と考えよ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜時間配分目安：全問で１分弱＞

[５]　｢下線部についての時期整序選択肢設問｣(４択)。｢説明文｣中の下線部③の｢中世｣について、示されている｢戦い｣の｢絵図｣４枚(ア)～(エ)を｢古い順に並べて｣答える。それぞれの｢絵図｣を確認し｢時期｣を特定していく。(ア)｢承久の乱｣⇒鎌倉時代前期(1221年)。(イ)｢応仁の乱｣⇒室町時代後期(1467年)。(ウ)｢壇ノ浦の戦い｣⇒平安時代末期(1185年)。(エ)｢長篠の戦い｣⇒戦国時代(1575年)。よって、｢答え｣は｢(ウ)→(ア)→(イ)→(エ)｣になる。 尚、｢年代整序｣は｢うろ覚えの年代｣で整序するのではなく、｢流れ｣や｢キーワード｣を確認し、特定していくことが重要だ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜時間配分目安：１分弱＞

[７]　｢下線部についての正誤判別選択肢設問｣(４択)。｢説明文｣中の下線部⑤の｢分国法｣を制定しなかった｢大名｣を答える。それぞれを確認する。(ア)｢今川氏｣⇒｢今川仮名目録｣は誰もが知っているはず。(イ)｢大内氏｣⇒｢大内氏掟書(おきてがき)｣を知っていてほしい。(ウ)｢武田氏｣⇒｢甲州法度之次第(こうしゅうはっとのしだい)｣があったと知っているはず。(エ)｢織田氏｣⇒｢分国法(家法)｣はつくっていないと考えられている。ゆえに｢答え｣は(エ)だ。本問は｢大学入試レベル｣の難問だった。本校では、こうした出題もあり得ると心得よ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜時間配分目安：１分弱＞

[９]　｢下線部に関連しての組織名記述設問｣(｢漢字３字｣指定)。｢説明文｣中の下線部⑦｢江戸時代｣に関連して、2019年に東海道の宿場町｢草津宿本陣｣で｢キセル入れ｣の落し物が見つかったが、その｢キセル入れ｣について｢　　　　　　土方歳三様｣と記入されていた。この空所に入る｢組織の名称｣を｢漢字３字｣で答える。無論、｢土方歳三｣といえば、新選組局長｢近藤勇｣の右腕として組織を支え、｢戊辰戦争｣では旧幕軍側指揮官｣の一人として各地を転戦し、｢箱館五稜郭の戦い｣で戦死したことは知っていなくてはいけない。よって、｢答え｣は｢新選組｣になる。本校では、このレベルの｢深知り知識｣は求められていると心得よ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜時間配分目安：１分弱＞

[11]　｢下線部についての年代特定および法令判別設問｣(全２問｡８択)。｢説明文｣中の下線部⑨の｢ある年の『朝日新聞』朝刊｣が｢発行された年｣およびその年に｢制定された法令｣を答える。｢記事｣中にある｢時局柄｣ないし｢物資愛護｣という記載から｢戦争中｣(日中戦争開戦の1937年～太平洋戦争終結の1945年)だと推測できなくてはいけない。各選択肢は、(ア)｢1928年｣･(イ)｢1938年｣･(ウ)｢1948年｣･(エ)｢1958年｣･(カ)｢治安維持法｣･(キ)｢治安警察法｣･(ク)｢国家総動員法｣･(ケ)｢破壊活動防止法｣。ということで｢答え｣は(イ)･(ク)になる。ちなみに、｢治安警察法｣＝明治時代の｢1900年｣に公布･施行されたもので｢集会や結社の自由｣を制限し、特に労働運動や政治活動を取り締まることを目的としていた⇒｢自由民権運動｣の集会なども監視、取り締まり。また、｢破壊活動防止法｣＝｢1952年｣に制定で、団体の活動として暴力行為を伴う破壊活動を行った団体に対して、刑事処分と行政処分を行うもの。この際、覚えておこう。

知識｣は求められていると心得よ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜時間配分目安：全問で１分半＞

｢2024年、世界各地でリーダーや議会の構成を決める選挙実施｣という｢時事ネタ｣を切り口として、｢日本や世界各国の選挙制度や多様性｣についての｢リード文｣からの出題。｢総合問題｣の大問として｢公民｣｢時事｣各単元からの出題と、｢考察問題｣が出題されている。難易ないまぜの小問構成で、｢考察論述｣は厄介だ。いくつかを検討する。

[２]　｢空所部についての事項記述設問｣(｢カタカナ８字｣指定)。｢時事｣単元。｢リード文｣中にある空所部    い    について、この国に代表される｢アジアやアフリカなどの新興国や途上国｣を総称して、近年｢何と呼んでいるか｣を｢カタカナ８字｣で答える。典型的な｢時事ネタ｣だ。    い    については直後で｢有権者が９億人を超える世界最大の選挙｣と説明されている。つまり、｢インド｣のことだ。当然ながら、｢答え｣は｢グローバルサウス｣だと分からなくてはいけない。北半球の先進国(グローバルノース)と対比して、南半球に位置するアジア･アフリカ･中南米などの新興国や途上国を総称する言葉だ。｢インド｣や｢インドネシア｣｢タイ｣｢トルコ｣｢南アフリカ｣などの国々だ。日本との関係としては、相互依存と共生を目指す戦略的な連携が不可欠だと理解しておきたい。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜時間配分目安：１分弱＞

[４]　｢下線部についての事項記述設問｣(｢カタカナ｣指定)。｢時事｣単元。｢リード文｣中の下線部①｢(台湾の)立法院選挙｣について、この選挙では｢比例代表における女性の当選者数は50%を下回ってはならない｣とされたが、このように｢性別などを基準に、一定の比率で人数を割り当てる制度を何というか｣を｢～制｣に続くように｢カタカナ｣で答える。これも、誰もが｢クォータ(制)｣だと答えられるに違いない。現在、国会議員選挙において政党による自発的クオータ制を導入している国は52か国であり，このうち36か国は政党による自発的クオータ制のみを導入している。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜時間配分目安：１分弱＞

[５]　｢下線部についての正誤判別不適切選択肢設問｣(４択)。｢公民｣単元。｢リード文｣中の下線部②の｢アメリカ大統領選挙｣の｢しくみ｣として｢正しくないもの｣を答える。各説明の｢要点｣｢ポイント｣で正誤判別していく。(ア)｢合衆国すべての州の得票数を合計｣｢総得票数の多い候補が勝者｣⇒｢州単位で選挙人を選ぶ｣→｢選挙人が大統領を選ぶ｣という｢間接選挙｣だ＝不適切。(イ)｢直接選挙ではない｣｢大統領選挙人の投票によって選ばれる｣⇒(ア)のとおり＝適切。(ウ)｢投票日は祝日と重ならないように『11月の第一月曜の翌日』｣＝適切⇒アメリカ経済がまだ農業中心だった1800年代、秋の収穫後、冬が始まる前の11月に投票日を定め、日曜日はキリスト教の安息日にあたり、交通機関が発達していなかった時代、投票日が月曜日では投票所にたどり着くために日曜日に出発しなくてはならない人もいたため、火曜日になったとされている。(エ)｢正･副大統領のペアで立候補する｣⇒｢上院議長｣もつとめ、米国の行政府で大統領に次ぐナンバー２の役職であり、大統領が死亡したり辞任したりした場合、昇格して残りの任期を務める重要な役割の｢副大統領｣も民意によって選ばれるようにしている＝適切。よって、｢答え｣は(ア)だ。尚、｢アメリカ大統領選挙のしくみ｣は選挙が行われる４年ごとに必ず出題される。とても複雑な仕組みだが、的確に理解して定着しておきたい。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜時間配分目安：１分弱＞

[13]　｢下線部についての考察論述設問｣(｢字数指定｣なし、｢70字ほど｣の解答欄)。｢考察問題｣。｢リード文｣中の下線部⑩｢現在の東京の『多様性』に、在日外国人や様々な背景･ルーツを持った人々は含まれていると言えるのかどうか｣について、フォトジャーナリストの安田菜津紀さんは｢この社会はすでに、『多様』です。性的少数者の人、障がいとともに生きる人、そしてさまざまな肌の色や髪色の人、色々なルーツや国籍の人たちがともにしらしています。けれども多様な人たちがそこに『いる』というだけでは、多様性が『守られている』とはいえません｣と指摘しているが、｢多様性が守られている社会とはどのような社会か｣を考えて論述する。｢あなたが考える｣のだから、どのような内容でも自由に論じていけばいい。だが、｢自由｣｢自由｣……と言われても何をどう論じればいいのか？ 悩んでしまう諸君もいよう。そこで、何かに｢手がかり･ヒント｣を求めるわけだが、本問の場合は無論、｢リード文｣になる。｢多様性が守られている社会｣という視点で｢リード文｣を読み取っていくと、｢さまざまな価値観や背景を相互に認め合い、人種･民族･性別･年齢･宗教･障がいの有無などにかかわらず、一人ひとりが違った個性や能力を持つ個人として尊重され、だれもが自分らしく生きていける社会｣という姿が浮かび上がるはずだ。そうした内容を踏まえて、｢あなた自身｣で｢考察｣し、具体的に論述していきたい。尚、｢考察論述｣では、｢問題文｣｢設問文｣、｢条件｣などで｢与えられた情報｣を的確に読み解いて｢考察｣し、｢論述｣することが肝要だ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜時間配分目安：５分ほど＞

※尚、[10]は｢統計資料読み取り選択肢設問｣になっている。３つの｢統計資料｣の組み合わせだが、先入観を持たずに｢自らの知識｣にも左右されずに、純粋に｢資料｣の｢特徴｣｢数字｣などを正確に読み取ることが肝要だ。