芝浦工業大学柏中学校 入試対策
2025年度「芝浦工業大学柏中学校の国語」
攻略のための学習方法
問題構成
大問3つに、漢字の知識・小説の読解・論説文の読解がそれぞれ割り当てられている。
小説6000字前後・論説文2500字前後の計8000~9000字ほどの文量で、総解答数は30問ほど。
設問は選択肢・文の並べかえ・内容補充・記述など。特に記述は、自分なりの例を挙げて主題や要旨のポイントを考えさせる問題が出されており、やや難しい。
漢字の知識
漢字の書き取りと、読みと部首の組み合わせで漢字を考えさせる問題が、ここ数年よく出されている。過去問でこのパターンによく慣れておこう。
小説の読解
ここ数年は宮沢賢治の作品がよく用いられている。
内容理解の選択肢問題と、文章の一部を並べ替える文脈の問題、記述問題が出されている。ことばの知識の問題も数問含まれている。
記述問題は自分の言葉で答える問題や、その答えを選んだ根拠を示す問題などが見られ、論説記述に近い内容になっている。ともあれ、本文の読解が十分にできていることが前提であるので、まずは文学的文章の読解の実力をつけよう。
・人物の整理
人数・名前・それぞれの関係などを確認する。だいたいの性格も見ておこう。性格が違えばその言動の意味するところも違ってくる。
・場面の変化
時間・場所・人物の入出などで場面の変わり目を見つける。場面の変わり目を訊かれる問題もある。
・心情の把握
人物の言動・表情や情景などから、気持ちを読み取る。最も問題にされる部分である。多くの文章を読んで様々な人間の考えに触れておくことがなによりの経験になる。
・主題の理解
作者が描きたかったことは何か。人間の成長や葛藤・挫折、戦争の悲惨さなど、よく描かれるテーマがある。読書を通じて多くのテーマを見ておくことで、テーマをとらえる力もより付くことだろう。
論説文の読解
例年、文量は2500字ほどと少なめで段落番号も振ってあるので読みやすくなっている。社会科学・人文科学の文章が多い。
論理的文章なので、接続詞の問題・抜き出した文を適切な箇所に戻す問題が毎年出されている。
記述問題は、自分なりの例を一つ出させて、それをもとに要旨を説明させるという問題がよく出されている。文章の要点・要旨をしっかり読み取ることが重要なので、読解のポイントをつかんでおこう。
・段落の整理
形式段落→意味段落へのまとめ。意味段落の内容を短くタイトルにしてつけてしまえば、段落のつながりや論理の流れがわかりやすくなる。
・要点
各段落の最初と最後に特に注意しながら、要点をチェック。自分のやりやすい方法で良いので、傍線を引くなどしてすぐ探せるようにしておくことはやはり有効である。別の言葉で言い換えた部分と線で結んでおくなどするのも良い。
・要旨
要点をまとめれば全体の要約ができる。その中で筆者の最も言いたいことが要旨である。特に記述問題は要点・要旨から字数に合わせて抽出し、まとめて答えとなる場合が多い。説明的文章の読解は結局は要旨の把握が求められている。
試験の特徴
本校の試験の特徴的な部分によく慣れておくことが重要である。漢字の部首を絡めた問題や、先に述べた記述問題なども本校の個性ともいえるパターンとなっている。
また、論説文の読解では、文中の漢字の誤用を見つけさせる問題が例年出されている。後で気づくとまた読み直すはめになるので、まずこの問題があるかどうかを確認し、一回目の読みで探しながら進めるのがよい。
今後もこのパターンが変わらないとすれば過去問で慣れておくことが肝要となるので、できるだけ多くの過去問を入手して十分に練習しておかれたい。
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2025年度「芝浦工業大学柏中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
総解答数は39問。選択肢の問題は標準的だが、漢字や記述問題には特有の形がありやや時間を取られる部分かもしれない。素材文は計7000字ほどだが、余白が多いので実際にはもっと少ない。ともあれ速読を鍛えて記述に時間を残せるようにしたい。設問を先に確認するべき問題があるので注意。
【大問一】漢字・部首
- 難度:標準
- 時間配分:4分
- ★必答問題
問一 ① 聖火 ② 交わし(た) ③ (公明)正大 ④ 紀行
問二 ① 古 ② (事)故 ③ 個(体) ④ 個
〔ワンポイント!――本校の特徴である部首に着目した漢字の問題。地道な努力で得点できる分野なので、得意になっておこう。〕
【大問二】論説文の読解
- 難度:標準
- 時間配分:19分
- ★必答問題
他者とのつながりの中でしか人は生きられない。共鳴することにより、依存・支配の関係に陥ることなく、自立しながら他者とつながることができる。人の価値は生きていることにあり、存在するだけで他者と影響し合うのである。
問一 「則」→「束」 (収則×・収束〇)
問二
A. 生きる喜びも幸福も人とのつながりの中でしか経験できない「だからこそ」人とのつながりのなかに入っていく必要がある。
B. 知らぬ間に引き込まれている、「あるいは」引き込まれそうになっている……。
C. つながりを断つ覚悟が必要である。「しかし」、他方、つながるべき人とはつながりたい。
D. 作家を直接知っているわけではない。「その上」、作家が故人であることもある。
問三 「コロナ禍で、本当に会いたい人と会わなくてもいい人とを見極めることができた」とある。コロナ以前はそうではなかったのである→選択肢エ。
問四 【Ⅱ】の前に「子どもと大人」について、【Ⅲ】の前に「作家と読者」について書かれているので、【Ⅲ】の位置に戻せばよい。
問五 「共鳴」とは「何もしなくても、自分の存在が他者に影響を与えること」と定義できる→選択肢ウ。選択肢アのようにただ他者のマネをすることは「共鳴」とは言えない。
問六 「何もしていなくても」「存在するだけで」いいのだから、「生きている」だけでいいということである。
問七
(1)
A. 必要なときには他者に助けを求めてもよい。ただし、できるところまでは自分でしなければならない。その上で、できないことについては援助を受けていいし、受けなければならない、と筆者は述べている。
B. 「はじめから何もかもしてもらおうと思う」のは依存である、と明言されている。
(2) a. イ b. ア
問八 Bさん――依存・支配関係は断つべきだという筆者の考えと合う。
〔ワンポイント!――論説文の読解の方が難しい問題が多い印象である。論理的文章の読解をよく練習し、大きく失点しない実力をつけよう。〕
【大問三】小説の読解
- 難度:標準
- 時間配分:22分
- ★必答問題
殺す―殺される・食べる―食べられるという生物社会の逃れられない関係の残酷さを、豚を主人公として描いている。
問一 ウ
問二
1. 「ペタリと」印を押した。
2. 「つくづくと」証文を読んでみると……。
3. 豚に泣き声で「今日にも殺されるのですか」と聞かれて、校長は「ぎくっと」したが……。
4. 何度もおびえて手足を「ぶるっと」動かした。
問三 どうだい。今日は気分がいいかい→いいのかい。大へん結構だ。食べ物は美味しいかい→そうかい。それはいいね。ところで今日はお前と相談に~→実は、生きものは皆、死ななければいけないんだよ→動物もみんないつかきっと死ぬのにきまっているのさ……と、遠回しに死亡同意書に判を押させようとしている。
問四 ア
問五 豚は人間に「白金と同じくらい価値がある」と言われて、自分が大切に育てられていると勘違いして幸福を感じたが、人間は少しでも豚を太らせて肉を高く売りたいと考えているだけなのである。
問六 豚に人間のような人格を持たせ、本来は人権に配慮し本人の意思を尊重するはずの同意書を書かせるという描写によって、生き物を殺すことの残酷さをいっそう際立たせているのである→Bさん。
問七 エの作品だけ、他者を助けるための自己犠牲がテーマになっている。
問八 (例) 自分が生きるために他者を殺す(十四字) 生きるために他のものの命を奪う(十五字)……など。
問九 作者は「生きるために殺す」ことを生きるものの残酷な性(さが)と捉えていると考えられるので、選択肢アのような結末が予想される。
〔ワンポイント!――本校のもう一つの特徴ともいえる宮沢賢治作品の素材文。本校を第一志望とする受験生ならば、宮沢作品を可能な限り読破すべきだろう。作家の考え方に慣れておくことは大きなアドバンテージになる。〕
攻略のポイント
ここ数年は試験の形式がほぼ一定である。漢字の部首を絡めた問題や、記述問題の一定のパターンが今後も続くと考えれば、過去問で徹底的に研究し、慣れておくことがなによりの攻略法となる。過去にさかのぼって何年かごとの傾向の変化を見ておくことも大事なこととなる。
形式だけでなく問題の難易度自体もやや難しい場合があるので、読解の実力を十分につけておくことも当然のことながら大事である。地力をつけると同時に、他校とは異なるパターンの問題に十分慣れること。本校の試験対策で意識しておいてほしいところである。
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