淑徳与野中学校 入試対策
2025年度「淑徳与野中学校の国語」
攻略のための学習方法
〇[問題構成]
大問4つに小説の読解・論説文の読解・漢字の書き取り・記述問題が割り当てられるのが定型となっている。素材文は計7000~9000字程度で総解答数は20~25問ほど。記号選択・書き抜きと計6問ほどの記述問題が出される。記述問題は「説明しなさい」という自分で考えて書くタイプで、特に最後に出される記述問題は示された材料からわかることを読み取り、それに対する自分の意見や解決策を答えるという小論文形式になっている。記述問題に対する対策を怠りなくしておきたい。
〇[小説の読解]
4000~5000字ほどの文量で、大人が主人公の設定が多い。その分、内容も一般社会を舞台にした話が多く、生徒・学生があまり知らない分野・職業が出てくる。難しい小説でなくてよいので、一般向けの小説も読み慣れておいた方がよさそうである。
選択肢の問題は紛らわしい文章ではなく、選びやすい。記述問題も、傍線部の周辺を読めば書くことが見つかるようになっている。ただ「説明しなさい」という指示なのでそのまま書き抜いてはいけない。自分なりにかみ砕いて、表現を変えるなり短くまとめるなりのちょっとした工夫が求められる。過去問で慣れておこう。
場面分け・登場人物の整理・心情把握といった読解の基本の技を磨き、類似問題で記述問題も多くこなしておこう。
〇[論説文の読解]
3000~4000字くらいで、ここ数年は自然科学的な内容の文章が多く使われている。理科の好きな人は楽しく読めそうな内容である。こちらの選択肢の問題も無理に迷わせるような意地悪なものではない。記述問題は、論理的文章なので文中の適切な部分をまとめれば答えになる場合が多い。要点・要旨を見つけて目立つようにしておけば、スムーズに解答できる。
形式段落と意味段落の整理・要点と細部の区別・要旨と要約のまとめといった読解の基本を身に着け、大事な部分を短くまとめるなどして記述問題の練習もしておこう。
〇[小論文的記述問題]
試験の最後に置かれている記述問題の対策が必要である。
2023年度では素材文と同じような具体例を自分で考え、条件に従って説明するという内容だった。過去には新聞の投書を題材とした問題なども出されている。①与えられた材料を分析し、さらに②自分の考えを述べるという2点を訊かれる小論文のような記述問題になっている。普段から自分でも同様の文章を書き慣れていないとうまくまとめられないだろう。
小説であれば、主人公の心情を書き出してみる。それに対して自分だったらどう感じるだろうかと想像し、文にしてみる。論説文であれば、要旨をまとめてみる。それに対する自分なりの意見や対処法を考え、文にしてみる。大事なのは頭で考えるだけでなく、実際に書いてみることである。求められる字数は50~80字程度でそれほど長くない。同じような字数で、読んだものに対して自分の意見を書いてみるのである。読解の練習にも、記述の練習にもなるので実行してみてほしい。
〇2024年度以降の変更点
時間が50分と短くなり、例年出されていた小論文的記述問題が出されなかった。特に時間の変更は大きな傾向の変化と言えるので、入試説明会などで得られる情報を確認しておこう。
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2025年度「淑徳与野中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
計11000字ほどの素材文で総解答数は37問。記述問題は長めものが計2問、例年出されていた独立した小論文記述は2024年度・2025年度では出されなかった。
その他の選択肢問題や書き抜き問題はさほど時間はかからない。読解問題と漢字を早めに済ませ、記述問題に10分くらいは残したい。なお、2024度から時間が50分と短くなっている。
【大問一】小説の読解
- 難度:標準
- 時間配分:20分
- ★必答問題
事故で心に傷を負った茜の別人格である「私」。事故で寝たきりである咲子を訪ねた「私」は、「サキ」と名付けてもらい、互いのために夜の散歩で「サキ」としてさまざまな経験をすることを決意する。
問一
A. 話したいが呼吸器のせいで話せず「じれったい」。
B. 人に話しかけられることも初めてで、「てれくさい」。
問二 直感で「私」が茜であり茜でない存在であると気づいた咲子に対して、本当のことを話していいものかどうかを一瞬考えてしまった。
問三 この話し方は「私」という人格のもともとの話し方で、怒ったり機嫌が悪かったりしているわけではない。そもそも自分から咲子と話したいと思って来ているので、選択肢アは合わない。
問四 次の段落で、自分は「トラウマに耐えるために生まれた人格」であり、そういうものだと納得はしているものの、「都合のいい存在」かと「虚しさ」も感じている。そうした存在としての「憂鬱」なのであろう。
問五 それまで咲子の人間関係は気を遣いながら介護に従事する人たちばかり(主に母親・看護師など)が相手だったと考えられる。そんな咲子にとって、自分と同じような不自由さを持つ「私」が対等の立場で会話してくれることが嬉しかったのだろうと考えられる。
問六 咲子は「私」に動けない自分の代わりにさまざまなことを体験してほしいと考えている。「私」をひとつの人格として尊重し、自分の代わりではあるが自分とは違う存在として「サキ」と名付けたのであろう。
問七 この時まで「私」は茜が寝ている間に覚醒し、動こうと思えば動ける(健康)が動かない、それゆえ「体験」が無い存在だった。そのことを傍線⑥のように表現したのである。
問八 この人に「また」会いたいのであるから、この時の咲子との会話で「私」は何かを感じたことがわかる。それまで「私」は茜が寝ている間だけの名もなく誰にも知られない孤独な存在であったが、咲子は名前を付けてくれて自分の代わりに夜の散歩でさまざまなことを体験してほしいと頼んだ。「私」をひとつの人格として尊重してくれたのである。自分の存在を虚しいとも感じていた「私」にとって初めての他人との交流で、「人生」を歩み始めた瞬間でもあり、嬉しかったのだろう。
〔注目!――字数が多いのでいきなり書き始めるとまとまらない。要点を3つ~4つ挙げてつなげるようにするとうまく書ける。この問題で言えば、「私」のこれまでの気持ち・咲子は「私」とどう接したか・それによって「私」の心情にどのような変化があったかなどをまず短くまとめていくのである。〕
問九
ア. 「私」と咲子が、茜や母から自由になりたいと思っている様子は描かれていない。
ウ.とエ. 咲子が「私」に自分の代わりに行動してほしいと言い、「私」がそれを受け入れたのは、互いが互いのために望んだことであって、どちらか一方のためにしたことではない。
<時間配分目安:20分>
【大問二】論説文の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:20分
- ★必答問題
数字ばかりが重要視される社会の危険性を説いている。
問一
A. 遍在――広くあちこちに存在すること。「偏在」と混同しないように。
B. 一喜一憂
問二 「客観的なデータでなかったとしても意味がある事象はあるはずだ」、客観性だけに価値をおくと「一人ひとりの経験が顧みられなくなるのではないか」などの言葉から、選択肢ウのような危惧を持っていると読み取れる。
問三 学生たちのコメントは社会の代表的な意見でもあり筆者もかつてそう考えていた、社会の中にそのような厳しい視線が偏在してるからだ、と書かれている。働いていない人は社会で役に立っていないので価値が無いという認識であろう。
問四 「意思」があってもさまざまな事情で働けない人もいるという事実を無視した偏った考えであることを強調している。
問五 後半で、利益を挙げる=経済的に役立つという意味で、「生産性」という言葉に置き換えている。
問六 職場で管理され機械の一部(歯車)のように働かされるという、労働者がひとりの人間として扱われていないさまが描かれた映画である。
問七 イ・ウ・エ 「多数派と少数派の幸福は同じであるとは限らない」「それぞれの幸福を目指すべき」「人によって感じられ方が違う」など、言っていることは間違っていないのだが、幸福の多様性は本稿では論じられていないので、当てはまらない。
問八 経済の原理が優先される社会は「顔が見えなくなる社会」であり、人々は社会全体(学校・国家)といった「顔を持たないもの」によって品定めされているのである。
問九
(1) ここで言う「パーツ」とは機械の「部品」といった意味である。映画の説明の部分で人が機械の部品=「歯車」にされてしまうという比喩が使われている。
(2) 労働という生産性を問われる場面のほかに、健康診断の数値の例が示されている。一見、人々の健康を気遣ってくれているようにも思えるが、国家としては人々が健康でいてくれる方が医療費を抑制できるし、より労働に従事してくれるという実利があるわけである。国民はそうした「国家の意志」を気づかず実践させられているのである。
問十 両者には共通点がある。数字(=客観性)によって支配された社会では人間が序列化されるということである。そこでは生産性(経済的に役に立つかどうか)が高い人だけが認められ、働くことのできない弱者は価値が無いものとして切り捨てられてしまうのである。
〔注目!――まず傍線部の直後に「両者には共通の根っこがある」と書かれている。その共通点がなぜ「弱者に厳しくあたる傾向」を生むのかを、続く部分から後半までの要点を中心に抜き出し、何点かをつなげればうまく収まるだろう。〕
<時間配分目安:20分>
【大問三】漢字の書き取り・熟語の構成
- 難度:標準
- 時間配分:10分
- ★必答問題
問一 ① 縦横(無尽) ② 取捨(選択) ③ 波及 ④ 発揮 ⑤ 礼儀 ⑥ 敬(う)
問二 ① ちんたい ② いまし(める) ③ つ(いた) ④ ふきゅう
問三
① ウ. 「栄枯」だけ反意語の組み合わせ。他は同意語の組み合わせ。
② イ. 「骨折」だけ「骨が―折れる」という主語―述語の関係。他は「○○を××する」という「動作+目的語」。
③ オ. 「固定」だけ同意語の組み合わせ。他は「○○な××」という形で上の字が下の字を修飾している。
〔注目!――漢字や言語事項をまとめてくれているのは親切である。大問3をまず片づけてから、読解問題に取り組む。〕
<時間配分目安:10分>
攻略のポイント
選択肢問題でしっかり得点できるよう、記述問題でうまくまとめられるよう、過去問を中心にしっかり場数を踏んで十分に練習しておこう。
今年度は最後の小論文的記述文が出されなかったが、50~80字程度で物語の主題や自分の意見を簡潔にまとめてみるという練習はしておこう。あるいは同様の記述問題が出される学校の過去問で練習してみるなど、こちらも経験値を上げておきたい。面倒くさがらずに実際に書いてみることが重要である。また、内容も大事だが、文章としておかしくないか・誤字脱字はないかも見られているので、丁寧に書くことも意識していただきたい。
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