筑波大学附属駒場中学校 入試対策
2025年度「筑波大学附属駒場中学校の理科」
攻略のための学習方法
計算力の向上には時間がかかるので、本格的な対策は6年生の前半から開始するのが理想的。2学期以降ではかなり時間的に厳しくなってしまう。以下に示す【計算問題】の重要項目に重点を置いて徹底的に練習してほしい。練習の折には、ただ正解かどうかではなく、内容の理解や考察を丁寧に行うことが必要。
計算問題練習がある程度進んだところで、筑波大駒場中理科過去問数年分に挑戦してほしい。要求されるレベルと出題の傾向を体感することで、「攻略のための学習法」の意味は深く理解できるようになる。
計算問題以外では「考える」「判断する」「予想する」などを要求する問題が中心。
筑波大駒場中理科過去問5年分を解き、更に上位校の「計算力」「思考力」を問う問題を重点的に練習すべき。実験、対話形式、長文の問題は最適。
以下、本校入試において頻出単元ごとの学習法を述べる。
【計算問題】
物理分野は大問2問で、「てんびん」と「電流」の出題が繰り返されている。化学分野大問1~2問で、水溶液の溶解度関連に注意が必要。
(てんびん) 滑車や輪軸ではなく、「てんびん」が出題される。特に支点が2か所ある場合のモーメント。てんびんがいくつも重なる場合の重心の合成などに注意。てんびん関連のあらゆるパターンで練習して行くことが必要。
(電流) 電磁石や電熱線ではなく、スイッチのある回路の接続を様々に変化させることで電流がどの様に変化するかのシミュレーションするものが中心。ブラックボックス的な類推もよく出題される。似たような傾向の問題を徹底的に練習する。複雑な問題形式も多いので、考察の結果をどのようなに整理するか、自分流を作り上げて効率よく解き進められるような訓練が必要。
(水溶液) 考察、推量する問題のみの年と計算問題のある年がある。計算では溶質・溶媒・水溶液に分け、それぞれの重量の変化を細かく追跡して行くスタイルが多い。
【判断力と考察】
知識に関しては、特定の学校の様な植物の非常に細かい知識や洗剤の成分などと言った特殊な知識は必要とされていない。丸暗記はあまり意味がない。とは言え、常識的な知識は完全にマスターしていることは大前提。
筑波大駒場中理科の中心的な出題傾向は、実験や対話文や長文で示された内容について深く理解し、類推する力が求められている。計算問題以外の問題練習では考察・類推に重点を置いた問題を中心に練習してほしい。
【生物分野】
毎年大問1~2問出題される。おしべの数などの様な博物学的な知識ではなく、様々な仕組みや生態についての知識や考察が重視されている。
過去に出題された問題は、季節ごとの植物や動物の特徴的な行動。「わたり」「初見・初鳴・開花・落葉」など。植物では発芽、光合成、蒸散。動物では特徴的な生態や異常繁殖などの環境被害。つまり知識を求めているのではなく、考察、類推である。
【地学分野】
毎年大問1問出題される。地学内の単元は「気象」「地層・火山・地震」「天体」に分かれるが、一つの単元の深掘りよりも、上記三つの単元すべてが出される場合が多い。比較的目につくのは「月の満ち欠け」「台風」「地震」。
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2025年度「筑波大学附属駒場中学校の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問が6問、長文は大問5のみ。大問1・3の緻密な計算、大問2の類推力と整理能力を問う問題。ここまでで25~30分。後半は大問5の長文とグラフ、大問6の作図など10分で終えるのはかなり高いハードル。制限時間40分はほとんど余裕がなかったのではないか。
【大問1】物理(てんびん)
- 難度:標準
- 時間配分:7分
- ★必答問題
(1)棒自体の重さを「見えない重り」とする。2支点の場合の「傾く」の意味を考える。
(2)左側が下がった状態から水平になるのは左側の支点で考える。
(3)(2)に引き続き右側が下がる場合はどの様な場合か。
設問は操作2から始まる。では、操作1は何のためにあるか。棒の重さを求めるためである。てんびんでは棒の重さを考慮するかどうかは重要なポイントである。このことを熟知していれば自然に反応できるはず。
「支点が2か所あるてんびんは傾く側の支点で考える」ことを理解していれば、全問正解は難しくない。
<時間配分目安:9分>
【大問2】物理(電流と回路)
- 難度:やや難
- 時間配分:8分
(1) 「スイッチと導線」ではなく、「2本の導線」と考える。
(2) (1)の答えに絞られるが、高い整理能力が試される問題。
(2)は、(1)で選択した図で考えるため選択範囲は減るが、「どの様に接続しても」という条件が加わることで、かなり厳しい内容となった。接続部分は3か所残されており、それぞれ6通り調べなければならない。自分なりの整理法を作り出しておかなければならない。ただ、それでも時間がかかりすぎる場合は回避する判断もある。
<時間配分目安:8分>
【大問3】化学(溶解度)
- 難度:やや難
- 時間配分:10分
- ★必答問題
(1)「底に溶け残る」=飽和状態。
(2) 常識的な知識。
(3) 飽和させるために加えた溶質の量がほぼ同じなので類推できる。
(4) 水溶液Aの全体量は27gで飽和状態。
(5) 29.8gは水溶液Aと加えた食塩2g。この問題は回避してもいい。
水溶液の計算問題には様々な定番の解法があるが、(3)にはそれらは通用しない。割合の考え方をもとに様々な方向から類推しなければならない。(4)は、(3)を具体的な数字で検証することが求められた。これら二つの設問は「直感」と「数字による証明」と言う理科を勉強する上で必要とされる能力が問われた。
<時間配分目安:10分>
【大問4】生物(わたりをする動物)
- 難度:易
- 時間配分:2分
- ★必答問題
(1) 問題文を読み、理解すれば簡単に答えられる。
(2) 「わたり」に関する常識的な知識で十分。
(3) 昆虫に関する基礎知識。
(1)は知識として知らなければならないということはない。問題文中のいくつかの言葉から判断する力が求められている。ただし、全体として基礎的なレベルの問題なので、全問正解を目指したい。
<時間配分目安:2分>
【大問5】生物(シカの繁殖と自然環境破壊)
- 難度:標準
- 時間配分:7分
- ★必答問題
(1) バランスの取れた自然な答えが出せるのであれば心配なし。
(2) 常識的な判断力があれば十分。
(3) 年度の指定と「同じくらい」「何十倍」の表現に対して慎重に成ればよい。
(4) 記述は例え15文字程度であっても日ごろからの練習が必要。
文は長いが内容は比較的理解しやすい。選択肢も常識的。(3)はグラフの読み取りと比較ではあるが、さほど難しくはない。この大問も全問正解を目指したい。
<時時間配分目安:7分>
【大問6】地学(混合問題)
- 難度:標準
- 時間配分:4分
- ★必答問題
(1) 台風の「予想進路図」に関する語句を整理して正確に記憶していれば問題なし。
(2) 線と線の幅は何を表すかなど、図の細かな点に注目して読み取ることが必要。
(3) 地震と地層のずれの関係から自然に答えられる。
(4) 星の運行を頭に描くことができれば簡単に理解できる。
(5) 内容を示された図で十分に理解できる。
予想進路図の細かな語句の意味を正確に覚えていなくても文を慎重に読み進めて行けば、ほぼ正解できる。ただし、(5)のみ、かなり難しい。図を見て、「1辺が2つの鏡からなる正三角形型」がどの様な意味か理解し、「1辺が3つの鏡からなる正六角形型」はどうなるか想像する。手を使い、試行錯誤を繰り返し、答えに近づいて行かなければならない。ただし、この問題も回避して、他の設問を見直すという判断もあり得る。
<時間配分目安:4分>
攻略のポイント
筑波大駒場中理科は計算問題を攻略できれば70%終了と言っていい。全6~7問中3問が計算問題であり、テスト時間45分の内30分までしか時間を割くことができないことを考慮すれば相当厳しい。「素早く正確に」を徹底しなければならい。
計算以外は化学の半分、生物、地学でこれらすべてを15分以内で攻略しなければならない。ただし、この分野は文が長かったり、実験や対話形式であったりもするが、計算問題ほどの重圧はない。
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