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筑波大学附属駒場中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2023年度「筑波大学附属駒場中学校の国語」
攻略のための学習方法

第1(出題形式について・・・前述と同様)

 出題形式は、ほぼ一貫している。年度による難易度の変化も(難易度が高いという意味で)、目立って異なることはないようにみられる。もっとも、算数で易化した年があることから、思い込みは厳禁である。各設問の難易度も(これもまた難易度が高いレベルで)平均しているので、各設問について50%程度の得点を(採点基準にまんべんなく触れ、0点の設問がないように)得ることを目標に学習し、いずれかの設問で加点をねらうべきである。

 詩・短歌・俳句がほぼ例年出題されるので、この分野の学習も怠りなくする必要がある。

 漢字については、ここでの失点は避けなければならない。日々の(毎週行われる小テスト)漢字学習を怠りなく消化するように心がけるべきである。

第2(記述式問題について)

 記述式問題については、その採点基準、すなわち出題趣旨を把握することが重要になり、これさえできれば合格点以上の点数を得ることが可能になる。

もっとも、筑駒については、この設問の入り口の部分のハードルが(極めて)高いという特徴がある。すなわち、設問が(不親切なくらい)シンプルなため、過去問を通じて筑駒の問題検討を入念に行わない場合、出題趣旨および出題意図が捉えられず、「何について」「どの程度」「どうやって書けばよいのか」が全く分からずに、あさっての答案を書いてしまう事態になってしまう可能性が高い。

これは、受験生のレベルが(極めて)高いため、他の中学校の記述問題にみられるような丁寧な誘導をしてしまうと、ほとんどの受験生が容易に解答をしてしまう可能性が高く、その結果、出題趣旨・意図の把握も、問題の中に織り込んで出題しているからだと思われる。

 さらに筑駒の国語の問題の難しさは、字数制限の厳しさにもある。すなわち、解答欄が小さい、すなわち書くことが許されている字数が少ないということである。麻布中学や武蔵中学のように大きな解答欄を与えてくれれば、出題趣旨・意図が正確にとらえきれない場合、採点基準に関係ありそうな事項を網羅的に数多く(言い方は悪いが、数を撃てば当たる式の考え方)書けば、その中のどれかが採点基準に引っかかることを期待できる。

しかし字数が制限されると、その方法は使えない。なぜなら、採点基準に含まれない事項を書けば、必然的に採点基準に該当する内容が書けなくなるからである。

したがって、筑駒を目指すのであれば、短い字数で解答できるように、具体的には、文章中の言葉の継ぎはぎではなく、文章中の内容を、自分の言葉でわかりやすく説明するトレーニングをすることが必要になる。

 以上をまとめると、極めて当たり前のことになるが、過去問を教材に、シンプルな設問からその出題趣旨・意図を的確に把握し、その内容を文章中の語句の継ぎはぎではなく、自分の言葉でわかりやすく説明する学習をできるだけ早い段階からすべきといういことになる。

第3(詩・俳句・短歌の出題)

冒頭にも述べたように、筑駒は、詩・俳句・短歌からの出題がなされる。この点、多くの受験生はこのジャンルの出題を苦手とする傾向があるが、その大きな理由は、学習分量の少なさにあると考えられる。

実際、このジャンルの問題は(筑駒といえども)一定程度限定された設問にならざるを得ない。その意味では知識問題に近いともいえるので、より多くの問題を研究して、いわゆる解答の枠を身に着けてもらいたい。

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2023年度「筑波大学附属駒場中学校の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問は「説明文」、出典は石黒広昭「学ぶことと遊ぶこと」(文字数約2700字)。小問は全4問(解答数4)。「選択肢」(1問。「空所補充」)、「説明記述」(3問。全て「字数指定なし」)。問題文は3分ほどで読み、設問を13~14分で解きたい。大問は「随筆」、出典は日本文藝家協会編「ベスト・エッセイ 2022」所収の岸田奈美「ガラスのこころ」(文字数約1800字)。小問は全4問(解答数5)。全て「説明記述」(全部「字数指定なし」)。問題文は2分強で読み、設問を14~15分で解きたい。大問は「文の漢字変換」のみ。1分程度で丁寧に記したい。大問は「詩」、出典は木坂涼「花時計」(文字数約120字)。小問は全2問(解答数2)。「説明記述」(全て「字数指定なし」)のみ。6分程度で解きたい。

【大問一】「説明文の読解」(「選択肢設問」あり)

  • 難度:標準
  • 時間配分:16分

「学び」と「遊び」とはもともとひとつのものであり、かつ、それは人間にとっては「本能」と呼んでもよいほど本質的な営みだ――失敗を許さない社会、変更をよしとしない社会では「遊ぶこと」も「学ぶこと」もできなくなると指摘している。本文では、知識を詰めこむことが「学び」で、楽しいが無意味なものが「遊び」という認識は誤りであり、本来、「学び=遊び」であることを説明している。「発達心理学」に関する説明だが、文章は分かりやすく内容はすぐに理解できるはず。本校としては珍しい「選択肢設問」がある。以下、2問を確認する。

[問一] 「理由説明記述」(「字数指定」なし、「60字ほど」の解答欄)。傍線部「私たちはどこにいても、どんな時でも、『学んでしまう』存在なのです」について、「なぜこのように言えるのか」を説明する。「同一意味段落」に「手がかり」を求めたい(「論説文」「説明文」では「同一意味段落」に「根拠・手がかり」がある)。傍線部の4行前に「そのように考えると、学びの機会がない場所というのは、世界中のどこにもありません」とある。「そのように考える」⇒「指示語」を読み取っていくと、直前で「私たちは生まれた瞬間から、必ず何かに接触して生きており、その『何か』と自分との間に「意味=つながり」を構成していくことが学びだ」と説明されている。まさに、「どんな時でも、『学んでしまう』」ことの「理由」だ。あとは、「過不足なく」まとめていくことになる。たとえば、「私たちは生まれた瞬間から必ず何かに接触して生きており、その何かと自分の間に『意味=つながり』を構成することが学びだから。」(60字)といった「答え」だ。尚、「説明記述」では、「最重要要素」(「理由説明」では「直接的理由」)を必ず「文末」にすること。

<時間配分目安:2分半>

[問四] 「空所補充の内容選択肢」(5択)。本文中の空所    ④    には「どのような内容が入ると推測されるか」を答える。空所前後は「その勉強やその本に『どんな意味があるのか』を知っているのは、    ④    だけだからです」となっている。ということは、空所には「勉強や本に『どんな意味があるのか』を知っている唯一の誰か」が入るわけだ。「同一意味段落」を読み解いていく。同じ段落で、「学びはひとりひとりが世界に意味を見いだす、作り上げていくことである以上、『それを勉強することにどんな意味があるのか』という質問には答えられない」と述べられている。各選択肢は、(ア)「それを学ばされている子どもの自分」、(イ)「それを学んで先生になった自分」、(ウ)「それを学ぼうと決めた過去の自分」、(エ)「それを学ばなければならない今の自分」、(オ)「それを学び終えた未来の自分」。「学ぶこと」によって「ひとりひとりが世界に意味を見いだし、作り上げていく」のだから、「学びの意味」は「学んだ自分」が「学んだ後」に知ることになる。よって、「答え」は(オ)だ。本校では「選択肢設問」はほとんど出題されなかったが、こうして出された以上、新たな準備が必要になったと心得よ。

<時間配分目安:1分半>

【大問二】「随筆の読解」(「説明記述」のみ5問)

  • 難度:標準
  • 時間配分:17分
  • ★必答問題

日々の雑感、考察、失敗談から、亡くなられたあの方への追悼文まで――さまざまな書き手たちが、「エッセイ」という枠(わく)組みのなかで書き記した2021年の記録の中の一篇。本文では、ダウン症という障がいのある心根の優しい「弟」が、一度目は悪意のせいで、二度目は誤解のせいでつらい目にあった出来事を、姉である「わたし」(筆者)が回想している。内容は難なく理解できる。だが、本校の真骨頂発揮といった難易度だ。「少ない情報」を丁寧に読み取り、設問と結びつけて「記述」する必要がある。いくつかを検討したい。

[問三] 「心情説明記述」(全2問。ともに「字数指定」なし。各「50字ほど」の解答欄)。傍線部「二人でわんわんと泣いた」について、「『弟』と『わたし』はそれぞれどのような気持ちだったと思われるか」を説明する。「傍線部一文一部の法則」で「手がかり」を確認したい(「傍線部が一文の一部分だった場合、傍線部以外が重要」という読解の基本となる解法)。

直前から、「弟」に関して「(ガラスを割ったことのぬれぎぬを着せられて)彼がぷるぷるとふるえている」のが分かり、「怒りだろうか、悔しさだろうか。どちらもだ」とある。また、次文で「感情も思いやりも、彼の中には立派に育っているのに、それを伝える言葉を持ちあわせていない。どれだけの無念だろうか」と語られている。「弟」については、こうした「心情」を「過不足なく」まとめていく。たとえば、「ガラスを割ったことのぬれぎぬを着せられたことへの怒りと、感情をうまく言葉で伝えられない悔しさと無念。」(50字)といった「答え」になる。次に「わたし」の方だ。「状況」を「同一場面」から読み取りたい(「小説」「随筆」では「同一場面」に「手がかり・ヒント」がある)。「障がいにつけこみ、ぬれぎぬを着せるという悪意」に言い返すことができずに「絶望しているに違いない弟」に対して、なぐさめる言葉が見つからないことがもどかしく、悲しんでいる」という「状況」が読み取れるはずだ。こうした「心情」を整理してまとめていきたい。たとえば、「障がいにつけこむ悪意に言い返せずに絶望している弟に対して、なぐさめる言葉も見つからない深い悲しみ。」(49字)といった「答え」だ。

「小説」では、「同一場面」から的確に「状況」を読み取ることが重要だ。

<時間配分目安:全問で6分弱>

[問四] 「比喩換言説明記述」(「字数指定」なし、「60字ほど」の解答欄)。傍線部の「とがって散らばった破片は、声にならない声のようだった」とは「どういうことか」を説明する。典型的な「比喩換言」だ。「状況」を「同一場面」から読み取る。直前から「弟が腹いせに強く閉めた扉のガラスが砕け散った」ことが分かる。そして、直後からは、「とがって散らばった破片」は「黙って胸に留めてはいられない弟の激しい悲しみや怒り」という、「胸の痛み」の「悲鳴」だと読み解けるはずだ。では、何の「腹いせ」だったのか? 同じ段落の前半から「弟が祖母の勘違いから誤解され激しく責められたことに弁明しても通じなかったこと」への「腹いせ」だと判断できる。以上のような内容を、「比喩換言」ということを意識して的確にまとめていけばいい。たとえば、「誤解され責められても弁明できず、胸に留めておけない弟の激しい悲しみや怒りといった痛々しい心の悲鳴のようだったということ。」(60字)といった「答え」になる。「とがって」「破片」⇒「痛々しい」、「声にならない声」⇒「心の悲鳴」というように、しっかりと「比喩換言」することが肝要だ。

<時間配分目安:3分>

【大問三】「文の漢字変換」(要は「漢字の書き取り」)

  • 難度:標準
  • 時間配分:1分

「文の漢字変換」。要は「漢字の書き取り」だ。確認したい。

[問] 示されている文を「カタカナは漢字に直し、ていねいに大きく一行で書く」。「サキんずればヒトをセイす」⇒「ヒトを」と「セイす」はそれぞれ、「人を」・「制す」だとすぐに分からなくてはいけない。「サキんずれば」は少し厄介かも。「答え」=「先んずれば人を制す」。「人よりも先にものごとを行えば、有利な立場に立つことができる」という「故事成語」だ。本校では「幅広い高度な語彙力」が求められているので、しっかりと習得することが必須。特に「ことわざ」「故事成語」は頻出だ。

 

【大問四】「詩の読解」(「説明記述」のみ2問)

  • 難度:標準
  • 時間配分:6分

「花時計」として時計の「長針・短針」をほどこされた「花一同」が、自分たちの時間と人間の時間の差に悩み、「長針・短針」を返したがっている様子が描かれている「詩」だ。本校必出の「韻文」では、一語一語に込めた作者のこだわりを「表記」(カタカナ・ひらがな・漢字……)を含めて捉(とら)え、さらに、「韻文」特有の「リズム感」をも感得しなくてはいけない。難解だった昨年度に比べると、本年度は解きやすいはずだ。1問だけを考えてみる。

[問一] 「理由説明記述」(「字数指定」なし、「60字ほど」の解答欄)。本詩の「4行目」に「悔やんでおります。」とあるが、「それはなぜか」を説明する。先ずは、何を「悔やんで」いるのかを確認する。「1・2行目」から「長針と短針をちょうだいしたこと」だと分かる。次に「理由」を読み解きたい。「5行目」以降が「先祖代々/種子のころより/太陽の位置/気温/星の傾き加減にて/わたしたちの時間は測られてまいりました。」となっている。つまり、「花にとっての時間の単位」は「季節(自然のサイクル)」だと分かる。それに対して、人間が定めた「花時計」での「長針・短針」の「時間の単位」は「1日=24時間」で「1時間=60分」だ。だからこそ、「11行目」からの「目の前に直接せまりくる/刻一刻を/お返ししとう存じます……」と続いているわけだ。こうした内容を「過不足なく」まとめていくことになる。たとえば、「昔から太陽の位置や気温といった自然のサイクルで時間を測っている花にとって、長針と短針という人間の時間単位は合わないから。」(60字)といった「答え」だ。「韻文」では、ひとつひとつの「言葉」の細部にまでこだわることが求められると心得よ。

<時間配分目安:3分>

攻略のポイント

●「字数指定」がなく、「必要要素」の絞り込みが難しい本校の「説明記述」を如何(いか)に攻略するか? それは、実直に「記述」の「練習」を続けることに尽きる。先ずは、正否の分かれ目となる「最重要要素」を「文末」として他の「必要要素」を積み上げていく手法を完璧にマスターすること。「内容」から優先順位を特定し積み上げていく。それぞれの「要素」を「20~30字程度」でまとめられるように徹底的に練習することが肝要。本校では「50~100字ほどの解答欄」が多いので、2~5つ程度の「要素」でまとめることに慣れておきたい。「合格ライン」は7割弱(過去15年間の「合格者最低得点率」は67.5%、本年度はやや下がって65.8%)。1問あたりの配点が高い「説明記述」では(本年度は10点が多い)、「減点」はともかく「失点」は大きな打撃になると心得よ。

必出の「韻文」、攻略のためには十分な準備が不可欠だ。過去問演習などを通じて、「一語」「一音」に徹底的にこだわり、作品の世界観を読み取る練習を繰り返したい。また、「韻文」特有の「リズム感」を感得することにも慣れておきたい。尚、「短歌」「俳句」では、テキストに掲載されているような有名なものは解説も含めてしっかりと読み込んでおくこと。「韻文」は、練習次第によって「差」がつきやすい。確実に「得点源」とすることが肝要だ。

「漢字の書きとり」では「故事成語」「ことわざ」が定番だ(本年度は「故事成語」だった)。数多くのものを定着させておく必要がある。無論、「四字熟語」「慣用句」などの習得も忘れてはいけない。いずれにしても、本校では「高度な語彙力」が求められていると覚悟せよ。

●本校ではほとんど出題されなかった「選択肢設問」が本年度は出された。来年度以降も可能性があるので、新たな対策が求められる。

●試験時間は他校より短い40分。時間配分には細心の注意を要する。問題文の文章量は全体で4000~5000字(本年度は約4600字)と決して長くはないが、速く正確に読み取れる方が当然、有利だ。分速750字以上を目標に「読む練習」をしておきたい

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