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白百合学園中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2025年度「白百合学園中学校の理科」
攻略のための学習方法

白百合学園中の満点は75点、今年度の合格者平均点は46.1点で、ここ何年かの中では最も難度の高い入試であった。基本~標準レベルの知識問題が中心だが、かなり細かく正確な知識を問う問題や、ややレベルの高い考察問題も見られる。試験時間の30分に対して問題数が極めて多いことが本校理科出題の最大の特徴いかにスピーディーにミスなく答えられるかが、攻略のキーポイントとなる。攻略のための学習方法としては、基本を早期に固め、過去問等を使った「時間を意識した問題演習」に時間をかけたい。できる問題から回答欄を埋めていくといったテストテクニックも必要になるだろう。知識だけで答えられる問題は迷わずに解答できることが大きなポイントになるので、まずは何といっても基本をしっかり身につけることが最大の攻略法になる。分野毎の攻略法は次の通り。

<分野毎の学習法>

生物分野 

本年度は植物のつくりと働きに関しての出題で、葉のつくりに関してかなり細かく正確な知識を問う問題が含まれていた。過去の出題でも植物のつくりと働きに関しての出題があり、それ以外では、人のからだの働き、昆虫、食物連鎖、動物の分類、プランクトンと顕微鏡の使い方などに関する出題などが見られる。この分野の学習法としては、植物の分類・つくり・はたらき、昆虫や動物の分類、人のからだの働きなど基本知識を正確に覚えることが第一である。また、光合成を確認するための実験方法、顕微鏡の使い方など実験・観察の進め方についても、覚えて頂きたい

地学分野 

本年度は湿度に関する出題で、計算問題も含まれていた。近年では、星の動き、火山とハザードマップ、月から見た地球、月の満ち欠けと月食、南半球で観測する月、南極と北極について、気象、地層と黄砂、火山と地震、飽和水蒸気量と湿度などの出題が見られ、天体に関する出題がやや多い傾向にある。また、ハザードマップについての出題のように時事的な内容を含む出題が見られる年度もあるので、注意が必要である。台風・大雨・フェーン現象などの出題も想定しておきたい。

物理分野 

本年は電磁石についての出題であった。近年の出題を見ると、電気と力のつり合いに関する出題が多く、光、磁石、熱、音等についての出題も見られる。今後も電気(豆電球の明るさ・電流と磁界・電熱線の発熱など)と力のつり合い(ばね・てこ・滑車など力学に関する計算問題)を中心とした出題が想定される。基本知識を身につけた上で、計算問題の練習もしっかり行って頂きたい。

化学分野 

今年度は中和についての出題であった。ここ何年かを見ても、中和について出題されており、それ以外では、ものの溶け方、アルコールと塩素系漂白剤、水溶液の濃度、気体の発生、水溶液の性質などの出題が見られる。今年度同様に水溶液に関する出題が多い。今後も、水溶液を中心に化学変化・溶解度・燃焼などに関する出題が予想される。この分野に関しても、基本的な知識事項を覚えることはもちろんのこと、計算を含む問題演習を数多く行うことが大切である。

模試や過去問はまだ仕上がって単元や苦手な単元をあぶりだす絶好のチャンスである。失点の多かった単元については、知識の抜けが原因なのか、計算ミスが原因かなどしっかり分析を行い、同じ間違いを繰り返さないようにしっかり対処する必要がある。そのあたりの分析や対策については、プロの家庭教師を是非活用してもらいたい。白百合学園の理科は基本をしっかり固めることができれば対応可能であるので、あせることなくしっかり対策を行って欲しい

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2025年度「白百合学園中学校の理科」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問数は4、小問数は30で75点満点。試験時間は30分で例年通りであった。適語補充問題、記号選択問題、計算問題が中心だが、記述問題やグラフ・図を描く問題も含まれている。30分という試験時間に対して問題数が非常に多いので、かなり素早い処理と、どの問題から手を付けるかといった判断力が求められる。過去問等での時間配分を意識した演習が不可欠である。極端な難問はないが、正確な知識や基本的な解法を確実に身につけておくことが必要である。

【大問1】地学分野 湿度

  • 難度:標準
  • 時間配分:7分
  • ★必答問題

問1 部屋の体積は、4.0×5.0×2.5より50㎥。温度が23℃なので飽和水蒸気量は20.6g/㎥。湿度が80%なので、20.6×0.8×50より、824g。

問2 室温5℃で湿度が40%のときの室内の水蒸気量は、6.8×0.4×50より136g。室温20℃で湿度が60%のときの水蒸気量は、17.3×0.6×50より519g従って、519-136より、383g増えた。

問3 記述問題。扇風機の風により、蒸発した水蒸気が吹き飛ばされることを記述すればよい。

問4
(1)記述問題。コップの周囲だけ温度が下がり、飽和水蒸気量も少なくなる。
(2)冬は室温とコップ周囲の温度差が小さい。また、一般的に冬の方が湿度が低い。

問5
(1)冬は窓の内側、夏は窓の外側、つまり温度の高い側に水滴がつく。
(2)窓の外側がくもったので、車内は冷房。

問6 集中豪雨の原因となる積乱雲の列を「線状降水帯」という。

問7 30℃で湿度が60%のときに1㎥の空気に含まれる水蒸気は、30.4×0.6より、18.24g。21℃における飽和水蒸気量が18.4gなので、900m上昇し、気温が約9℃下がると、雲ができ始めることになる。

問8 問題文の中に「水蒸気は空気中にただようちりなどに付着して水の粒になります」と書かれている。南極の空気がきれいで、ちりなどがただよっていないことが理由である。

湿度に関する出題。飽和水蒸気量を用いた湿度の計算問題は中学入試では頻出であり、今回の出題内容は、問8を除き標準レベルのものが中心。問6の「線状降水帯」という用語を書かせる問題も近年の入試でよく見かける。日頃から天気予報や気象に関するニュースに興味を持つことが大切である。

                                     【時間配分目安:7分】

【大問2】化学分野 中和

  • 難度:標準
  • 時間配分:10分
  • ★必答問題

問1 結晶の重さの変化から、で完全に中和したと考えられる。BTB液の色の変化は、はアルカリ性で青、は中性で緑、は酸性で黄色。

問2問3  塩酸と水酸化ナトリウム水溶液の中和でできる結晶は「食塩」で、立方体に近い形状をしている。

問4 水溶液の重さが100g、溶けている食塩の重さが11.7gなので、11.7÷100×100より、11.7%。

問5 問4における水溶液の重さ100gなので、水の重さは100-11.7より88.3g。20℃100gの水に37.8g溶けることから、88.3gの水には、37.8×88.3÷100より、33.3774gの食塩が溶ける。従って、33.3774-11.7より、あと21.6774gの食塩を溶かすことができる。

問6 記述問題。塩酸に溶けている塩化水素は気体。水酸化ナトリウム水溶液に溶け

ている水酸化ナトリウムは固体。

問7 実験結果の表の数値を使ってグラフを完成させる問題。

問8 記述問題。アンモニア水に溶けているアンモニアは気体。

中和を中心とした出題で、濃さの計算や溶解度に関する出題も含まれている。中和を理解する上では、本問題でも取り上げられている「残った固体の体積」のグラフが重要なポイントになる。「なぜこのようなグラフになるのか?」をしっかり理解して欲しい。

                                    【時間配分目安:10分】

【大問3】物理分野 電磁石

  • 難度:標準
  • 時間配分:7分
  • ★必答問題

問1 右手を使って確認すること。右手の親指以外の4本の指を電流の流れる向きとすると、親指の向いた側がN極になる。

問2 電流の流れる向きを逆にすると、電磁石の極はNとSが入れ替わる。

問3 鉄の棒を入れると、磁力が強くなる。

問4 電池を直列につなぐと、コイルに流れる電流が増え、磁力が強くなる。電池を並列につないでも、コイルに流れる電流は変わらない。

問5 記述問題。コイルの巻き数を増やすと、磁力が強くなる。

問6 壁の電磁石の極が変化している。例えば磁石は、【図2】ではS極だが、【図3】ではN極になっている。

問7 電磁石1がS極であれば車両の電磁石と引き合い、電磁石2がN極であれば、車両の電磁石と反発しあう。結果として車両を引き上げる力が働く。

問8 記述問題。線路と接触して走る電車と比べて、騒音が少ない。

電磁石に関する出題。極の確認方法、磁力を強くする方法は知識として確実に身につけておきたい。記述問題が2題含まれているが、いずれも難問ではないので、空欄は避けたい。

                                     【時間配分目安:7分】

【大問4】生物分野 植物のつくりと働き

  • 難度:標準
  • 時間配分:6分
  • ★必答問題

問1 「表皮」にある「気孔」から水蒸気を出す働きを「蒸散」という。葉の中の細胞が規則正しく並んでいる部分を「さく状組織」、細胞がまばらになっている部 分を「海綿状組織」という。これらの細胞の中の「葉緑体」で光合成が行われている。葉脈の中の水の通り道を「道管」、葉で作られた養分の通り道を「師管」という。

問2 さく状組織では光が直進しやすい。一方、海綿状組織では光が屈折しやすく、光を吸収するチャンスが多くなる。葉の表側は強い光が当たるので、光の吸収効率を高くする必要がない。葉の裏側が海綿状組織になっていることで、光合成ができない細胞を減らすことができる。

問3 光合成を盛んに行うのはさく状組織なので、日当たりのよいところの葉で発達している。

問4 植物の絵を見て、葉のつき方を表すグラフを選択する問題。

問5 葉を上から見た時の、葉のつき方を絵で描く問題。1段目の葉と2段目の葉が重ならないように描くことがポイント。

問6 記述問題。葉が重ならないことで、日光を効率よく受けることができる。

植物のつくりと働きに関する出題。問1では、葉のつくりに関する正確な知識が問われている。ここでしっかり得点したい。植物の学習においては、テキストや資料集・図鑑などを使って、カラーの写真を見ながら進めて欲しい。

                                     【時間配分目安:6分】

攻略のポイント

例年の大問数は5題か6題であることが多いが、本年は4題であった。各大問の中の小問数が多かったため、小問の合計数は32で、例年と同程度であった。30分という時間に対して設問数が非常に多いことが、本校理科の最大の特徴。かなりの解答スピードが要求される。もう一つの特徴として、細かく正確な知識を要求する問題が多い。ここ何年かを見ると、環境問題、ハザードマップなど私たちの生活に関連した内容の出題も多いので、注意が必要である。解答の形式としては、選択問題が中心だが、記述問題や簡単な計算問題も含まれる。ここ何年かは同じ傾向が続いており、今後も同レベル・同程度の出題が予想される。本校の攻略のポイントとしては、苦手分野を作ることなく、早い段階で正確な知識を身につけること時事的な内容について問われることもあるので、その対策も必要。直前期には過去問等を用いて時間を意識した問題演習をしっかり行うことが必要となる。

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