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2025年度「立教新座高等学校の数学」
攻略のための学習方法

全体的に見てみると標準問題が圧倒的に多い。

2次関数、平面図形、立体図形は要注意であり、徹底した演習が必要である。
2次関数に関しては、直線(1次関数)との関連の問題は必須である。同じ概念でも使われているジャンルによって意味合いと扱い方が異なってくる、ということに気を付ける。

例えば、「変化の割合(=グラフの傾き)」は直線と放物線とでは概念的内容については、当然ながら同じであっても、実際の問題になると設問へのあてはめ方及び処理の仕方が異なってくる。

1次関数においては直線のグラフとなり、当然ながら、変化の割合(グラフの傾き)は一定である。これに反して、2次関数の放物線においては、放物線上のどの2点を選択したかで変化の割合(グラフの傾き)はプラス(右上がり)になったり、マイナス(右下がり)になったりする。

特に、放物線上の異なる2点を結んでできる変化の割合は、その2点の間隔を限りなく「ゼロ(0)」に近づけてゆくと、高校数学で学習する「微分」の世界へと入ってゆく。放物線に関しては必ず出題されると考えた方が良いし、高校数学への導入としての役割も担うと認識したうえで、しっかりと概念的な理解を深めてゆきたい

確率の問題も近年、上位高を中心に頻出傾向にある。しかも、出題傾向は年々難易度を上げているようである。標準的問題集にあるような、場合分けのパターンが単純なもの(複雑といってもせいぜい「~の場合が2回以上ある場合」)ではなく、他の数学の分野との融合問題である場合が予想される。

例えば、確率と図形の融合問題である。
サイコロを振って偶数の目が出たらⅹの方向に目の数だけ進み、奇数が出たらyの方向に目の数だけ進むという条件で進んだ場合に、座標面上にあるグラフ(直線の場合もあれば放物線の場合もある)との関係で設問の条件を満足する場合の確率を求めよといった問題である。

このような場合に、ひたすら「場合と確率」だけを演習すればよいというわけでは決してない(勿論、しっかりした「場合と確率」の知識と演習量が求められるのは大前提ではあるが)。座標平面の特性やそこに存在するグラフ(直線又は放物線)の特徴を踏まえて問題を解けるかどうかが合否のポイントであろう。

さらには、そのようなサイコロの出た目の数字の分だけ立体図形の辺の上を移動させるなどの条件設定で作問も可能である。
しかも、サイコロの目の数だけ動く点(動点)はどのような動きをするか、また設問にある一定の条件の下で、指定された点を結んだ場合にどのような平面図形ができるか、そしてその平面で立体図形を切り取った場合における、切り口の形状や面積など、さらには切り取り後における指定された点を含む立体の体積を求める問題にも慣れておいて欲しい

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2025年度「立教新座高等学校の数学」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

【大問1】独立小問問題<13分>。
1次関数(変域)、2次方程式、確率、平面図形(面積)、空間図形(長さと体積)から出題されている。

【大問2】関数(1次関数と2次関数融合)に関する問題<11分>。
直線と放物線に関連する融合問題、及びxy座標平面上における条件に適するx座標、y座標を求める問題である。

【大問3】データの活用(確率)に関する問題<12分>。
1個のさいころを4回投げて、それぞれのさいころの目で4桁の数字を作った場合の問題の条件に合致する場合の数を求める問題である。

【大問4】空間図形(正八面体)に関する問題<8分>。
正八面体における特定の辺と「ねじれの位置」にある辺を求める問題や正八面体の2点間における最短距離を求める問題、また切り口の周の長さを求める問題である。

【大問5】平面図形(正方形、おうぎ形)に関する問題<16分>。
正方形の内部に正方形の1辺を共有する四分円に関する問題である。角度や辺の長さや特定の条件に見合う面積を求める問題である。

【大問1】独立小問問題

  • 時間配分:13分

(1)関数の変域問題<2分>。
1次関数の変化の割合(グラフの傾き)が負であるので、xの変域の左端がyの変域の右端、xの変域の右端がyの変域の左端となる。
変化の割合と変域の関係に関する問題は頻出分野であるので事前の十分な演習準備が必要である。

(2)2次方程式問題<2分>。
2つの2次方程式が共通解をもつという条件に関する問題である。共通解をaとおいて2つの方程式の差を求めるとa2が消去されることにより共通解aが求められる。

(3)確率問題<3分>。
数字のカードを用いた場合の数に基づく確率を求める問題である。条件に中に「中央値」という考え方が用いられている。

(4)平面図形(面積)問題<3分>。
相似関係にある三角形を見つけ出すこと、及び面積比は相似比の2乗に比例することを本問にあてはめる。

(5)空間図形(辺の長さ、体積)問題<3分>。
相似な三角形を見つけること、また△ABCは直角二等辺三角形であることや△ACGが直角三角形であることより三平方の定理をあてはめることが重要である。

※本問と同レベルの類似問題に挑戦しよう。

問1.2次方程式x2+ax+b=0の2つの解が、2次方程式x2−x−6=0の2つの解よりそれぞれ2大きいという。a、bの値を求めよ。   

    (解答) a=−5、b=0

問2.座標平面上に3点A(4,8)、B(1,6)、C(6,2)を頂点とする△ABCと直線ℓ:y=ax+1(aは定数)がある。直線ℓが△ABCと交わるような定数aの範囲を不等式で示せ。                 
 
    (解答)

問3.右のように、1から4までの数字が1つずつ書かれたカードが4枚のカードがある。それをよくきり、2枚のカードを1枚ずつ順にひいて、初めにひいたカードの数字を十の位、次にひいたカードの数字を一の位として、2枚のカードを並べ、2けたの整数を作ることにする。この2けたの整数について、

次の(1)、(2)の問いに答えよ。

(1)十の位の数字が一の位の数字より大きくなる場合は、何通りあるか。

    (解答)6通り

(2)3の倍数となる確率を求めよ。 

    (解答) 1/3

問4.右図のように、AD∥BCである台形ABCDに半径2㎝の円Oが内接している。円OとAB、BC、CD、DAとの接点をそれぞれE、F、G、Hとすると、OB=CF=4㎝となった。      

                            

(1)∠EHFの大きさを求めよ。  

    (解答) 60°

(2)線分CGの長さは、線分GDの長さの何倍か。 

    (解答) 4倍

【大問2】関数(2次関数と1次関数)に関する問題

  • 時間配分:11分
(1)座標を求める問題<2分>。
y=x2上にA、BがあることよりA、Bそれぞれのx座標を代入しy座標を求める。これにより直線ABの傾きを求めることができ、y軸切片であるCのy座標を求めることができる。
 
(2)座標を求める問題<3分>。
△OBCの面積が△OACの面積の2倍になるとき、△OBCの高さは△OACの高さの2倍になる。Bのx座標=3であることより、△OBCの高さが求められ、結果、△OACの高さを求めることできる。
 
(3)座標を求める問題<3分>。
Aのx座標=a、Bのx座標=3であり、ともにy=x2上にあることより、ABの式はy軸切片=dとすると、y=(a+3)x+dとおける。ここに、Bのx座標、y座標を代入する。
 
(4)座標を求める問題<3分>。
△OAB=△OAC+△OBCであり、OCはそれぞれの△の共通底辺となっている。(3)よりCのy座標=−3aであるので、aに関する2次方程式を考える。
 
【出題意図】
本問は以下の3項目の力を図る意図がある。
 
1. 座標と代数の結びつけ (基礎力)
出題意図
グラフ上の図形や点に関する幾何学的な条件(例:線分の長さ、面積、平行など)を、代数的な式(座標)に正確に変換できるかという基礎力を確認する問題である。
 
●求められる力:
 〇座標の表現: グラフ上の任意の点(特に交点や動点)を、文字(mやnなど、または x 座標)を使って正確に表現する力。
 〇線分の長さ: 座標間の差(絶対値)を用いて、線分の長さ(例:y 座標の差)を式で表す力。
 〇直線の傾き: 2点間の x の増加量と y の増加量の比(傾き)が等しいという条件を使いこなす力。
 
2. 図形の性質と関数の統合 (応用力)
出題意図
単なる交点計算ではなく、三角形の面積公式や等積変形といった図形的な性質を、関数と組み合わせて応用できるかを測っている。
 
●求められる力:
 〇面積の立式: 座標を利用して三角形の面積を立式する力(例:底辺を x 軸に平行な線分にとり、高さを y 座標の差で表す)。
 〇条件処理: 「三角形の面積が S となる」という条件を、座標や定数を含む方程式として正確に立てる力。
 
3. 未知数を含む方程式の処理能力 (処理能力)
出題意図
問題の核心である「定数 a の値を求めよ」という要求は、最終的に導いた複雑な方程式を、確実に解ききれるかという処理能力と計算精度を試している。
 
●求められる力:
 〇連立方程式: 1次関数と2次関数の交点を求める連立方程式を解く力。
 〇2次方程式: 面積条件などから得られた x や a に関する2次方程式を、因数分解や解の公式を使って正確に解く力。
 〇解の吟味: 得られた解が問題の条件(例:定数 a は正、座標は正など)に適しているかを判断する力。
 
《まとめ》
本問のような問題は、立教新座に限らず、難関校の入試で頻出のパターン。出題傾向としては、「座標→線分の長さ→面積(または他の図形条件)→方程式→解」という、複数の数学的ステップをミスなく繋げられる総合的な応用力を重視している問題である。
 
※上記出題意図に基づき、以下の類似問題に挑戦しよう。
 
《類似問題》
 右図で、A、Bは放物線y=ax2上の点、C、Dは放物線y=−ax2上の点で、四角形ABCDは平行四辺形である。また、Pは放物線y=ax2上の原点と点Bの間にある点である。
点A、B、Cのx座標がそれぞれ−2、4、2で、直線ABの傾きは1である。
 
(1) aの値を求めよ。  
   (解答)
(2)平行四辺形ABCDの面積を求めよ。 
   (解答) 48
(3)△APCの面積が平行四辺形ABCD面積の  となるとき、点Pのx座標を求めよ。  
   (解答)−1+√7
 
 

 

【大問3】データの活用(確率《さいころ》)に関する問題

  • 時間配分:12分
(1)確率を求める問題<3分>。
1個のさいころを4回投げるときの目の出方は、64通りとなる。条件から5の倍数となるのは、4回目に5の目が出るときである。その場合に、1回~3回目は1、2、3、4、5、6の目が出る場合である。
 
(2)確率を求める問題<3分>。
4の倍数は下2桁の数字が00か4の倍数となる場合であるが、本問ではさいころの目を考えるので下2桁の数字が00となることはない。したがって、下2桁が4の倍数となる場合を考える。
 
(3)確率を求める問題<3分>。
条件に合致する数字の組み合わせは5+4+3+2+1=15通りである。例えば、1と2を2回ずつ使ってできる4桁の数字は1122、1212、1221、2112、2121、2211の6通りであり、15通りの各々に6通りである。
 
(4)確率を求める問題<3分>。
4桁の数字の各位の数字の和で10以上となるのは10~24の数字について個別に考えなければなないが、これでは手間がかかりすぎる。本問は各位の数字の和が9以下となる場合の確率を1から引く解法を使う。この考え方を「余事象」という。余事象は与えられた場合の数を場合分けして、それらを加算していく方法では手間がかかりすぎる場合に極めて有効である。
 
※以下の類似問題に挑戦しよう。
 
《類似問題》
 大・中・小のさいころを同時に投げるとき、次のおのおのの確率を求めよ。
 
 出た目の数の和が5になる確率 
   (解答)
 
 出た目の数の積が6になる確率 
   (解答)
 
 少なくとも2個同じ数の目が出る確率  
   (解答)
 

【大問4】空間図形(正八面体)に関する問題

  • 時間配分:8分
(1)辺の数を求める問題<2分>。
特定の辺と「ねじれの位置」にある辺に関する問題である。ねじれの位置にある辺とは、「同一平面にない辺の位置関係」のことである。
 
(2)辺に関する問題<2分>。
2つの直線が平行になる条件とはなにか、を考える。同じ平面上にあるということが最低条件である。
 
(3)頂点に関する問題<2分>。
展開図の中の点の中で、与えられたA、D、F、H、Jの相互の関係性を考え、残りの点の位置関係を把握すること。展開図を組み立てるイメージを柔軟にして取り組むこと。
 
(4)立体の体積を求める問題<2分>。
2点をひもでつないだ場合、その長さが最短となるのは2点を直線で結んだときである。したがって、正八面体の展開図を考えて該当する2点を直線で結んだ場合に、三平方の定理などをあてはめる。
 
※以下の類似問題に挑戦しよう。
 
《類似問題》
 図1のように、1辺が4㎝の立方体ABCD-EFGHがあり、その辺AE、EF、FG、GC、CD、DAの中点を結んだ図形は正六角形になる。   
 
 図2は、図1の立方体の展開図である。
 
(1)立方体の頂点A、D、Eが図2の展開図に示した位置にくるとき、展開図に示した位置にくるとき展開図のPの点は、立方体のA~Hのどの頂点にあたるか。 
 
    (解答)
 
(2)図1の正六角形のすべての辺を、右の展開図の中に実線で書き入れなさい。 
 
    (解答)   
 
 
 
 
(3)図1の正六角形の面積を求めなさい。ただし、答えが無理数になるときは、根号を含んだ数で答えなさい。  
 
    (解答) 12√3 ㎠
 
(4) この正六角形を底面とし、点Bを頂点とする正六角錐の体積を求めなさい。
    
    (解答) 24㎤

【大問5】平面図形(正方形・おうぎ形)に関する問題

  • 時間配分:16分

(1)角度を求める問題<3分>。
△DECの内角と外角の関係性を理解する。

(2)辺の長さを求める問題<3分>。
△DECは直角三角形であるので三平方の定理を使う。

(3)面積を求める問題<4分>。
△PER∽△DECであり、その相似比は1:3である。△AQRの面積は、×AQ×ARである。

(4)面積を求める問題<6分>。
求める面積は、ABCD−(△DEC+QBCP)となる。また、△DECは三辺比が1:2:√3 の直角三角形であり、△PQC≡△DECを利用する。

攻略のポイント

全体的には標準レベルの問題である。
事前の準備としては標準的な問題を徹底して繰り返し演習することである。特に、2次関数に関しては様々な出題パターンを想定して準備をして欲しい。

放物線(2次関数)に関する問題は、高校入試の数学においてメインテーマの一つである。
直線がからんでくると交点の座標は2次方程式の解を求める考え方が必要であるし、その際に中学校では絶対に学習しない(塾等では当然のように学習する)『解と係数の関係』の考え方を応用すると迅速かつ確実に正解へたどり着ける

また、図形編では空間図形は必須と考えて欲しい。空間図形に平面図形で使われる各種の定理(中点連結定理、三平方の定理、特定三角形(三角定規)における三辺の比など)をしっかり当てはめられるかどうかが、合否の分かれ目といっても過言ではないであろう。

また、確率の問題にもしっかり対応できるようにしておくこと。確率で大事なのは『発想の豊かさ』である。さらに、将来的には今以上にその重要性が増すと思われる「資料の整理=統計」も用語の定義を含めてしっかり学習しておいてほしい。

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