渋谷教育学園幕張高校 入試対策
2025年度「渋谷教育学園幕張高校の国語」
攻略のための学習方法
論理的な思考力を付けて、本問のような論説文の入試問題で高得点を取るにはどうしたらよいか。いくつかのポイントをあげておこう。第一に『文章を書く』ということである。何も考えなしに闇雲に文章を書いてみても、入試問題における論説文対策にはあまり効果が期待できないだろう。おすすめは「論説文の要旨をまとめる」ということである。受験生にとって一冊の論説文〈岩波新書など〉を読んで要旨をまとめると言っても、その様なことを行う時間的余裕はないはずである。そこで提案したいのは、論説問題の文章をまとめてみよう、ということである。それも、文章でまとめるのではなく、『箇条書き』で『単語』としてまとめていくということである。そうすれば、文章を書くという時間的な負荷も軽減され、なおかつコンパクトに論説文の内容、論旨の流れなどが手に取るように理解できるはずである。第二に『論点を明確にする』ということである。『論点』を『筆者の主張』と置き換えてもよい。つまり、筆者は何がいいたいのかということを明確に把握するということである。具体的には、本文中で筆者が繰り返している部分や、「つまり」や「したがって」という接続詞でつないでいるような箇所は要注意である。
また、筆者の考えを丁寧に辿ることである。「丁寧」といっても時間をかければよい、というわけではない。いうまでもなく試験時間は限られており、その時間的制限の中で的確に筆者の考えや論理展開を把握しなければならない。そのためにも、文章を読むスピード、内容を把握する力、把握した内容をまとめる要約力など、求められる「力」は相当なレベルである。これをしっかり満足のいく程度にブラッシュアップさせるためには、日頃から自分の言葉でしっかり考え、文章を書くということである。
次に、小説に関する設問についてのアプローチを考えてみよう。まずは、心情の読み取りである。直截的に「私は……と思う」とは描写されない。人物の心の中は、情景描写であったり、その人物の一挙手一投足に現われる。そのような表現をしている部分を選び出し、人物と人物の間の精神的葛藤や同調する部分をしっかり理解しよう。そのような作業を行うことなく、小説に描かれている『人物』の内面の本質的な部分を理解するのには時間がかかるであろう。さらに、注目すべきは『会話』である。会話のやり取りを読み進めるうちに、人物同士が相手に対してどのように感じているか、心理的駆け引きは行われているのか、といった事柄も見えてくる。全体的な内容をしっかり理解するには、そのような面の理解と分析が不可欠である。いずれにしても、学校で扱う小説や過去問で挑戦する小説の問題に対して、人物の心情を中心に読み進める癖をつけるように心掛けること。これをうまくマスターすれば合格点は取れる筈である。
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2025年度「渋谷教育学園幕張高校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
【大問一】言語的分野(言語)の論説文に関する読解総合問題<22分>。漢字の読み書き問題、記述問題(字数指定はなし)と選択肢問題である。
【大問二】小説の読解問題<22分>。漢字の書き取り、心情把握(選択肢問題・記述式問題)、内容理解問題である。
【大問三】古文読解総合問題<16分>。基本的な文法事項や古語知識は不可欠である。
【大問一】言語的分野(言語)に関する論説文の読解問題
- 時間配分:
出典:『「ことば」という幻影近代日本の言語イデオロギー』(イ・ヨンスク著)
(問一)漢字の書取り・読取り問題である<2分>。
漢字の書き取りは「卓越」、読み取りは「流暢=りゅうちょう」である。
(問二)語句問題である<2分>。
「めったにない」という意味は、「稀有」である。
(問三)内容把握問題である<2分>。
「『自然に』ことばを話す」とは「ことばというもの自体を意識しない」ということである。
(問四)内容把握問題である<3分>。
「ことばは、人間にとって歩行と同様に自然」なのであるが、「呼吸や歩行が生物学的に遺伝子した能力であるのとちがって、わたしたちは特定の社会や文化の枠組みのなかで特定のことばを身につける」のである。
(問五)内容把握問題である<2分>。
本文には「道具は延長した身体という側面をもつ」とある。
(問六)文章内容把握問題である<1分>。
本文には「ことばのはたらきを意識のなかに完全に内面化することはできない」とある。
(問七)内容把握記述問題である<10分>。
「わたしたちに自由をあたえてくれることば」とは「(身体の延長としての)道具としてのことば」であり、「わたしたちを拘束することば」とは「装置としてのことば」である。また、「『装置』とはわたしたちがけっして身体化できない外部の力」なのである。「道具はわたしたちを解放」するが、「装置はわたしたちを拘束」するのである。
※以下の類似問題に挑戦しよう。
問 次の文章を読み、後の設問に答えなさい。
近年、脳科学や心理学の分野では、「共感」という人間の基本的な能力についての研究が深化している。共感とは、他者の感情や意図を、あたかも自分自身の体験のように理解する能力である。しかし、この共感には、二つの異なる側面があることが指摘されている。
一つは、「情動的共感 (Emotional Empathy)」と呼ばれるもので、他者が感じている喜びや悲しみといった感情を、自分も[ 1 ]。これは、脳内のミラーニューロンの活動など、比較的無意識的で即座に反応するメカニズムによって支えられていると考えられている。例えば、誰かが顔を歪めて痛がっているのを見たとき、自分まで体が強張るような感覚がこれに当たる。この情動的共感は、集団内での[ 2 ]に役立つ一方で、自分自身の感情を制御できなくなると、他者の苦しみに圧倒され、「共感疲労」に陥る危険性も伴う。
もう一つは、「認知的共感 (Cognitive Empathy)」であり、これは「心の理論 (Theoryof Mind)」とも密接に関わっている。これは、他者の感情をそのまま感じ取るのではなく、その人の立場や状況、信念などを推論し、「あの人は今、何を考えているのだろうか」と[ 3 ]。この能力は、対人関係において、[ 4 ]。情動的共感のような即時性はないものの、より冷静で持続的な協調行動を可能にする。
筆者は、現代社会において、この二つの共感のバランスが極めて重要だと考える。情動的
共感は、[ 5 ]。しかし、他者との真の連帯を築き、社会的な問題を解決していくためには、[ 6 ]。
問1 文中の「ミラーニューロン」の役割として、最も適切に説明しているものを、次のア〜エから一つ選びなさい。
ア. 他者との意見の相違点を論理的に分析し、結論を導く機能を持つニューロン。
イ. 他者の行動を見たときに、あたかも自分自身がその行動を行っているかのように活動するニューロン。
ウ. 特定の感情を抑制し、冷静な判断を可能にする脳内物質を分泌するニューロン。
エ. 他者の過去の経験や記憶を再現し、未来の行動を予測するために働くニューロン。
《解 答》 イ
問2 空所 [ 1 ]から[ 4 ] に入る最も適切な語句を、次のア〜エからそれぞれ選びなさい。
[ 1 ] ア 再現してしまう
イ 意識的に模倣する
ウ 客観的に評価する
エ 分離して理解する
[ 2 ] ア 精神的な安定
イ 協調的な行動
ウ 競争原理
エ 対立の解消
[ 3 ] ア 論理的に分析する
イ 無関心でいる
ウ 感情的になる
エ 冷静に把握する
[ 4 ] ア 相手を傷つけずに意見を伝えるために不可欠である
イ 筆者の考えを理解するために役立つものである
ウ 自己中心的な考えを抑制するために利用される
エ 普遍的な人間の特性を理解するために重要である
《解 答》 [ 1 ] ア [ 2 ] イ [ 3 ] エ [ 4 ] ア
問3 空所 [ 5 ] の内容を本文に即して説明した記述として、最も適切なものを一つ選びな
さい。
ア. 自己の感情を他者の状況から切り離し、客観的に世界を捉える役割。
イ. 感情を共有することで、集団の連帯感を高め、即座に助け合う関係を築く役割。
ウ. 他者の意図を深く推論することで、複雑な社会問題を解決に導く役割。
エ. 個人の感情の波及を防ぎ、社会的な混乱を防ぐための抑制の役割。
《解 答》 イ
問4 筆者は、社会的な問題を解決するために、[ 6 ] の後に続く「認知的共感」をどのように活用すべきだと述べているか。本文全体の論旨を踏まえ、80字以内で具体的に説明しなさい。
解答例 他者の状況や信念を論理的に推論し、一時的な感情に流されず、冷静かつ持続的な協調行動を通じて具体的な解決策を見出すこと。
【大問二】小説の読解総合問題
- 時間配分:22分
出典:『真鶴』(志賀直哉著)
(問一)漢字の書き取り・読み取り問題である<2分>。
書き取りは「ニブイ」という漢字であるので「鈍(い)」となる。読み取りは「提灯=ちょうちん」である。
(問二)語句問題である<2分>。
一つのことに集中することにより「他のことは考えられない様子」のことであるので「有頂天」である。
(問三)内容把握問題である<7分>。
「この水平帽」は「彼」にとって将来の夢である。つまり、「彼」にとっては「特別なもの」であったのである。
(問四)内容把握問題である<2分>。
「最後の力を振り絞って歩き続けたら、女に会えるのではないか」という「淡い期待を抱いている」のである。また、そのために連れ回した弟が「疲れ切っている」様子に「兄として責任を感じている」のである。
(問五)心情把握選択問題である<3分>。
弟は兄に連れ回されたために「疲れと不満が溜まって」いたのである。文句も言わずに我慢しようとしたが、母に会えたことで一気に気持ちの「たが」が緩んだのである。
(問六)内容把握問題である<3分>。
「大人の世界=女への実らぬ恋」を経験することで、特別な存在であった「水兵帽」への強い思い・憧れが薄らいできたのである。
(問七)内容把握問題である<3分>。
本文では「映像的な描写の工夫」がなされており、「波間にただよう行き場のない舟」を「恋」にたとえている。
※以下の類似問題に挑戦しよう。
問 次の文章を読み、後の設問に答えなさい。
その夜の雪は、音もなく、ひたすら降り積もっていた。私と妹は、小さな囲炉裏を囲んで
座っていた。故郷のこの山村では、冬の祭りの夜だけは、すべての家が静かに火を灯し、その灯りが雪に反射して、村全体を[ 1 ]。
祭りの主役は「白狐」だ。全身を白い布で覆い、顔には狐の面をつけた一人の青年が、
村中を舞いながら、人々の厄災を払い清める。その青年の正体を知る者は、祭りに関わる老人たち以外にはいない。ただ、誰もが知っている暗黙の了解があった。それは、「白狐は、その年に村から出る運命にある最も聡明で、そして最も寂しい若者である」ということだ。
妹は囲炉裏の火を見つめながら、「今年の白狐は、誰だろうね」とつぶやいた。妹は今年、
村を出て遠い町の学校へ行くことが決まっていた。妹の瞳に、その寂しさがわずかながら影を落としているのを、私は知っていた。私自身は、妹の旅立ちを [ 2 ]。しかし、心の奥底では、①雪のように冷たい不安が静かに広がっていた。
突然、戸を叩く音がした。こんな吹雪の夜に訪ねてくる者などいるはずがない。恐る恐る
私が戸を開けると、そこに立っていたのは、白い雪を纏った [ 3 ]。顔は隠されているが、その立ち姿には、見慣れないが妙に懐かしい、ある種の力強さと憂いが混ざり合っていた。白狐は何も言わず、ただ妹の顔をじっと見つめ、そして、持っていた一本の[ 4 ]を妹の手にそっと置いた。
白狐が去った後、妹は、その枝を大事そうに握りしめたまま、静かに涙を流した。私は、
この一連の出来事と妹の涙から、妹が抱えていた感情の [ 5 ]。その白狐の去り際の仕草は、妹への慰めであると同時に、私自身の寂しさをも深く抉るものだった。
問1 空所 [ 1 ]~ [ 3 ] に入る最も適切な語句を、次のア〜エからそれぞれ選びなさい。
[ 1 ] ア 荘厳な劇場に変える
イ 眩い宮殿のように輝かせた
ウ 漆黒の闇に飲み込ませた
エ 幻想的な光の舞台に変えていた
[ 2 ] ア 心待ちにしていた
イ 喜びとともに見送ろうとした
ウ 自分の無力さを感じていた
エ 現実から目を逸らそうとしていた
[ 3 ] ア 見知らぬ旅人だった
イ 白狐の面をつけた青年だった
ウ 祭りに関わる老人だった
エ 妹の学校の先生だった
《解 答》 [ 1 ] イ [ 2 ] イ [ 3 ] イ
問2 下線部「力強さと憂い」と同じ心情を最も強く表しているものを、次のア〜エから選び、記号で答えなさい。
ア. 彼女の心は、遠い町での新生活への期待に満ち溢れていた。
イ. 彼は、自分の決意が正しいと信じながらも、去りがたき故郷を振り返った。
ウ. その老人は、過去の栄光を語る際に、誇らしげに胸を張っていた。
エ. 子供たちは、これから始まる遊びに無邪気に歓声をあげた。
《解 答》 イ
問3 空所 [ 4 ] に入る「一本の[4]」は、どのようなものの比喩として、最も適切に機能し
ているか。次のア〜エから一つ選びなさい。
ア. 故郷での生活に縛られず、都会で成功するための鍵。
イ. 厳しく寒い冬を耐え忍び、春の訪れを予感させる生命の象徴。
ウ. 白狐が身につけている神聖な衣装の切れ端。
エ. 妹が遠い町で手紙を送るための筆記用具。
《解 答》 イ
問4 空所 [ 5 ] の「妹が抱えていた感情」の全貌とは何か。本文の描写(特に妹の境遇と
白狐の持つ意味)を踏まえ、60字以内で具体的に説明しなさい。
解答例 遠い町への旅立ちに対する期待と、村を離れる寂しさや不安、そして白狐にその運命を代弁されたことによる心の解放。(59字)
問5 下線部①「雪のように冷たい不安」は、なぜ「私」の「心の奥底」に静かに広がって
いたのか。最も適切な理由を、次のア〜エから一つ選びなさい。
ア. 妹の旅立ちによって、自分が村に残され、白狐になる役目を負わされることを無意識に恐れていたから。
イ. 妹が遠い町で新しい生活に順応できず、苦労するのではないかと、兄として深く心配していたから。
ウ. 妹の旅立ちを心から祝福したい気持ちと、共に過ごした日々が終わることへの寂しさが矛盾していたから。
エ. 囲炉裏の火が弱まり、雪の降る音だけが響く静寂が、自身の孤独を際立たせていたから。
《解 答》 ウ
【大問三】古文読解総合問題
- 時間配分:16分
出典は『春雨物語』「捨石丸」。
(問一)内容理解問題である<3分>。
本文より、家の者たちは「捨石丸が長者を殺した」と考えていたが、小伝次たちは「捨石丸を守るために偽って急死と伝えた」と判断していたのである。
(問二)現代語訳問題である<1分>。
「たわやか」とは「優雅である」という意味である。つまり「華奢で非力」なのである。
(問三)内容把握問題である<2分>。
小伝次は家を守るために捨石丸を討とうとするが、「事業に取り組む捨石丸の姿に感動」し捨石丸を討つのをやめたのである。
(問四)内容理解記述問題である<5分>。
捨石丸は、小伝次は力も弱いので自分のことを討つことはできないと考えていたのであるが、自分の目の前で重い石を転がしている姿に驚いたのである。そして、捨石丸は力を誇っていた自分には限界があると認識して、小伝次から学ぶ姿勢に変わったのである。
(問五)内容把握問題である<3分>。
「こがね花さく」がポイントである。「日高見神社を黄金で再建」するという意味であり、「捨石丸と小伝次が後世のために大事業を成し遂げた」ことを意味する。
(問六)文学史問題である<2分>。
『雨月物語』の作者は上田秋成である。また、複数の玉が集められていくという物語は『南総里見八犬伝』である。
※以下の類題に挑戦しよう。
問 次の文章は、江戸時代の文学作品、およびその後の近代小説に関する説明である。(A)と(B)の空所に当てはまる語句を後の選択肢より選び、さらにその作家の組み合わせとして最も適切なものを、下の選択肢から選びなさい。
江戸時代後期の文学は、庶民の娯楽として大きく発展した。その中でも、当時の社会風俗や世相を写実的に描き、滑稽味と人情味にあふれる作品群は(A)と呼ばれ、文化・文政期に全盛を極めた。代表的な作家としては(B)が挙げられる。
また、この時期には、合巻(ごうかん)と呼ばれる形式の草双紙も流行した。これは、絵と文章を組み合わせたもので、特に「お洒落」という概念を深く追求し、当時のファッションや生活美学を詳細に描いた[ 1 ]の作品は、現代の作品にも影響を与えているとされる。
問1 空所 (A) に当てはまる文学ジャンルとして最も適切なものを、次のア〜エから一つ選びなさい。
ア. 読本
イ. 俳諧
ウ. 洒落本
エ. 滑稽本
問2 空所 (B) に当てはまる作家として最も適切なものを、次のア〜エから一つ選びなさい。
ア. 井原西鶴
イ. 曲亭馬琴
ウ. 式亭三馬
エ. 上田秋成
問3 説明文中の作品 [ 1 ] の作者と、その作者が活躍した時代を代表する別の作品との組み合わせとして最も適切なものを、次のア〜オから一つ選びなさい。
ア. 十返舎一九 『東海道中膝栗毛』
イ. 柳亭種彦 『偐紫田舎源氏』
ウ. 恋川春町 『金々先生栄花夢』
エ. 滝沢馬琴 『南総里見八犬伝』
オ. 為永春水 『春色梅児誉美』
《解答・解説》
問1 エ (滑稽本)
解説(A)の説明文は、「社会風俗を写実的に描き、滑稽味と人情味にあふれる」という特徴を述べており、これは滑稽本の定義そのものである。
・読本(ア)は、中国の白話小説の影響を受け、因果応報の思想や伝奇的な内容を追求したものである(例:『雨月物語』、『南総里見八犬伝』)。
・洒落本(ウ)は、主に遊里(吉原など)を舞台に、通(つう)の美学や粋な会話を描いたものである。
問2 ウ (式亭三馬)
解説 滑稽本の代表的な作家は、式亭三馬(『浮世風呂』『浮世床』)と、十返舎一九(『東海道中膝栗毛』)です。選択肢の中で該当するのは式亭三馬である。
・井原西鶴(ア)は浮世草子の創始者(元禄時代)。
・曲亭馬琴(イ)・上田秋成(エ)は読本の代表的作家である。
問3 イ (柳亭種彦『偐紫田舎源氏』)
解説 説明文にある作品 [ 1 ] の特徴「お洒落を深く追求し、ファッションや生活美学を描いた合巻」は、柳亭種彦の代表作『偐紫田舎源氏(にせむらさきいなかげんじ)』であり、これは源氏物語を当時の風俗に置き換えて大ヒットした。
◇選択肢の検討:
ア. 十返舎一九は滑稽本の作家で、合巻ではありません。
イ. 柳亭種彦は合巻の作者であり、『偐紫田舎源氏』も合巻の代表作です。
ウ. 恋川春町は黄表紙(草双紙の初期)の作者。
エ. 滝沢馬琴は読本の作者。
オ. 為永春水は人情本(恋愛・家庭の機微を描いたもの)の作家。
【ポイント】
渋幕の文学史問題は、単なる作者名と作品名の暗記ではなく、「作品の内容的な特徴(滑稽、伝奇、お洒落など)」と「文学ジャンル(滑稽本、読本、合巻など)」、そして「その後の作品への影響」といった、深い理解が問われている。江戸時代の文学は、「黄表紙」→「洒落本・滑稽本・人情本」→「読本・合巻」という流れを掴んでおくことが重要である。
攻略ポイント
全体的に、現代文(論説文・小説)の読解、古文読解が中心である。この出題傾向は例年変わらない。設問内容としては内容把握・心情把握が問われている。また、漢字、文学史、語句、古典文法などの知識問題は確実に得点できるように事前準備を怠らないように。さらに、字数指定はない(説明しなさいという設問形式)の記述問題も全得点に占める比重が高いので、短時間で自分の考えを本文に沿って文章に纏め上げるスキルも身に付けなければならない。対策としては、とにかく記述式問題で徹底的に文章を書くことである。この対策を怠ると、本番で徒に時間だけが過ぎてしまい、満足のゆく答案に仕上げることができないであろう。