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中央大学附属高等学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2025年度「中央大学附属高等学校の国語」
攻略のための学習方法

解法

特有の「説明文問題」だけではなく、「選択肢」「抜き出し」「空所補充」、その他の問題も含め、「中附の国語」で勝利を手中に収めるための基本は、何度も指摘している通り、いかに「解法」をうまく使うかということだ。「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。「論説文」(説明文)と「小説」「随筆」、それぞれに応じた独自の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。

そこで肝要なのは、「復習」の仕方だ。「答え合わせ」をして「解説」を読み納得した。問題はその後だ。「考え方のプロセス」を「トレース」することが必須。万一、「トレース」できないとすれば、そのこと自体が問題になる。「解法」が定まっていない証だからだ。

そして、「間違った問題」こそ宝の山だと認識すること。「解き方のプロセス」のどこで誤ってしまったのか? その「分岐点」をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことこそが、同じ間違いを繰り返さない秘訣になる。さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方のプロセス」を身につけたい。

それが「解法」となる。そうして理解、習得したものを書き留めた自分自身の「解法ノート」を作成しておきたい。解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。

速読

大学入試にも匹敵、否、それ以上の問題文を読まなくてはならない。全体で15000字程度。解答時間は60分。当然、「速読」が求められる。しかし、設問を解くために読むのだから一般的な「速読術」を使うわけにはいかない。やはり、文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。
「論説文」(説明文)であれば「Nの法則」。意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているので確実に読み、「本論」は「段落相互関係」に着目しながら「各形式段落」の「最初」と「最後」を中心に読み進める。
「小説」「随筆」は、「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックし、「心情表現」を拾って素早く読んでいく。その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。中附に限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。練習あるのみ。そして、最終的には分速750字以上(できれば800字近く)で「速読」できるようにしたい。

知識

「高度な語彙力」だけではなく、「文法」なども含めた多種多様な「総合的知識」が必要となる「中附の国語」(直接出題だけではなく、「説明文問題」等でも不可欠)。いかなる「攻略法」があるのか? 「国語的知識」は幼少期からの蓄積、故に「15の春」を前にした今ではもはや手遅れ、かも知れない。が、そこで諦めてしまっては「ジ・エンド」。今からでもできることは、ある。

先ずは、「己が実力」を悟ることだ(「己が」=「おのが」が読めなければ既にヤバイと自覚せよ)。過去問を解いてみて(少なくとも5年分以上)、「5割未満の正答率」だったら「中学入試レベル」からの再スタートだ(分かっていると思うが、「中学入試」を馬鹿にしてはいけない。上位校では「高校入試」どころか「大学入試」のレベルに達する)。「5割超の正答率」でも無論、不断の努力は欠かせない。要は、地道な努力、日々の積み重ねあるのみだ。

さらに、「口語文法」も侮ってはいけない。直接出題されることがあるし、「問題文理解」にも不可欠だ。特に、「文節の相互関係」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の「意味・用法」は確実に定着させておくことが重要だ。

なお、「知識」強化用のテキストとしては、「高校入試 でる順ターゲット 中学漢字・語句・文法1500 四訂版」(旺文社)などが推薦できる。また、残念ながら「中学入試レベル」から再スタートの場合は、「四谷大塚」の「四科のまとめ『国語』」(HPから購入可能)等がオススメ。

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2025年度「中央大学附属高等学校の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

2025年度は素材文で約10000字・設問の説明文で約5000字の計15000字。問題数は36問と少なくなる傾向である。本文と設問とでかなりの文量を読まなければならないので、読むのが遅いと不利である。設問形式は選択肢問題が大半を占めるので、ここを素早く的確に選べるように、類似の問題で「選ぶ」スピードも意識した練習を。とにかく最後まで一通り問題に手を付けられるスピードを身につけよう

【大問一】論説文の読解

  • 時間配分:28分

長く見過ごされてきた民藝品の美を改めて評価し、民衆から生まれ民衆に役立つ雑具こそ工藝の正道であり王道なのだと説いている。

問1 a. 平易  b. 侮蔑  c. ぜんじ  d. 頑丈  e. 精緻

問2 民藝品は上等でないことから、粗末なもの、「a.下等な」ものと連想されてきた。しかし「b.美的」にも粗末だというのは許しがたい不注意である。「c.富貴」な工藝のみをありがたがるのは間違った態度であり、工藝における「d.真理」を追究するためには民藝に目を向けるべきだと柳は主張している。

問3 「工藝が実用を生命とする限り、民藝をこそまさに工藝であると呼ばねばならない」→選択肢イ。

問4 A. ふだん使いするもの……そういうものを民藝品と呼ぶ。「したがって」珍しいものではなく…。「したがって」富豪貴族の生活には縁が薄く…。
      B. 実用品の代表的なものは民藝品です。「例えば」御殿は……、民家は……。「例えば」金地襖は……、大津絵の如きは……。

問5 世間の人々はすでに評価されている「権威」的なものばかりありがたがり、「庶民」のいとなみを見下す傾向がある。そうして見落とされてきた民藝の芸術的価値を「発見」することで工藝に対する従来の価値観を「転倒」させる点に、この文章のインパクトがある。

問6 C. 民藝品は民間から生まれ民間で使われる、したがって作者は「無名」の職人である。
         D. 自然姿も「単純」になる。
         E. 貴族的なものは上等品であり貴重品で、作る者の多くは「名工」である。
         F. 姿は絢爛で丹念で、「複雑」である。

問7 心の側から見ると、民藝は「伝統的」であり、「自我が従」となり前面には出てこない→選択肢ウ。

問8 エ

問9 「通有の欠陥は技巧に腐心(事を進めようと心を悩ます)することから生じる」のである→選択肢オ。

問10 a. 常軌を逸した個性的な天才などというものは、「近代社会が私たちに容認している一種のはけ口」(=近代の産物)であり、ほとんど空想に過ぎない。
         b・c. 工藝の美に要るのは膨大に繰り返される労働、それへの「限りない熟達」、それを支える「つつましい暮らし」、それを支える信仰である。

問11 (1) 工藝には、上等品のような名工の技巧や自我の表出は不必要である。
          (2) 工藝とは民藝であり、民間から生まれ民間で使われるものである。
          (3) 上等な工藝品の美ばかりが貴族や専門家から評価されてきた歴史を覆し、民衆に使われる民藝品こそ美しいのだと人々に再評価させたい。
          (4) 雑具の美しさに気づける、生活に根付いた思考が求められている。
 
〔ワンポイント!――素材文と設問の説明文とでかなりの文量を読む必要がある。読むスピードをつけなければならない。さいわい、選択肢は惑わせるような意地悪なものではないので、読解がしっかりできていれば正解を選べるだろう。

【大問二】小説の読解

  • 時間配分:32分

休むための自分の家(居場所)を探し歩くが見つからず、やがて繭になってしまうが中に入る自分がもういないという皮肉で不条理な男の物語。

問1 a. もうすぐ夜になるのに休むための自分の家が見つからないという「焦り」。
         b. 自分の家がどこかにあるはずだという「可能性」を信じて街をさまよう男。

問2 a. 道  b. 家  c. 図  d. 地

問3 「何故おれの家がないのか納得のゆく理由がつかめない」「理由が飲み込めないので、首もつれない」とあり、男は家が見つからないと楽になれないのだとわかる→選択肢

問4 a. ア  b. イ  c. ア  d. ア  e. ア

問5 目の前の一軒が自分の家である証拠はない。同時に自分の家であることを否定する
証拠もない。ならば自分の家である可能性に賭けてドアを叩こう……という男の意識
の流れが描かれている→選択肢

問6 一寸うかがいたいのですが、ここは私の家ではなかったでしょうか?→「あら、どなたでしょう?」→ともかく、私の家ではないというなら、それを証明していただきたいのです→「まあ……」→証拠がないなら、私の家だと考えてもいいわけですね→「でも、ここは私の家ですわ」→それが何だっていうんです?あなたの家だからって、私の家でないとは限らないでしょう……というやり取りになっている。

問7 E. 誰かのもの  F. おれのもの  G. 誰のものでもないもの

問8 男は自分の「居場所」を探しているのであり、いっそ「家」でなく「ベンチ」でもよかったのである。

問9 男が「みんなのもの」であるベンチを「自分の家(居場所)」としたときに棍棒を持って追い払いに来る「彼」であるから、特定の人ではなく、「みんな=社会」を代表して権限を持つ者と考えられる→選択肢

問10  ウ   ア   オ

問11 自分の肉体を糸にほどいて編んだ繭という家ができたが、中に入る男は消滅してもういないという皮肉な結末である。

問12 aとb. 繭は夕日に照らされて赤く光っているが、「内側から」も赤く照らされて光っており、それは男が持っていたもともとの性質だったと考えられる→選択肢エ・選択肢
          c. 男がもともと持っている赤く光るという性質は、男が夕方・夕暮れ時・日暮れ時など空が赤く染まる時間に居ることの象徴ととらえられる→選択肢ク。
          d. 「みんなのもの」であるはずのベンチで休むと棍棒を持った彼に追い払われてしまう→選択肢ウ。
 
〔ワンポイント!――安倍公房の難解な短編小説で、設問の説明文がなければ読解の手がかりすらない状態だったかもしれない。逆に言えば、本校の試験では設問の説明文が大きな手助けになるということである。過去問でよく慣れておこう。

攻略ポイント

本文と設問を合わせて、読まなければならない文量が多い点は要注意である。まずは読むスピードを鍛えて、すべての問題に一通り目を通せるようにしよう。ただし、通常は記述問題にされそうなテーマや要旨についての答えが選択肢としてすでに示され、そこから選ぶだけでよいという形式はある意味では易しいとも言える。ともあれ、読解力がなければ正解も選べないわけで、文学的文章・論理的文章ともに多くの文章に触れて、苦手を作らないようにしよう。

 

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