漢字書取りは、「湖畔」「凝固」「指紋」「偏」「耕」である。
漢字読取りは、「薫陶＝くんとう」「所作＝しょさ」「装丁＝そうてい」「賄＝まかな」「弄＝もてあそ」である。

出典は、『日本哲学入門』(藤田正勝著)。

問一は、接続語問題＜1分＞。
Ⅰ　前後関係は「逆説」である。
Ⅱ　前の内容を受けて「そのうえ、さらに」という文脈になる。
Ⅲ　「言い換え」の文脈である。
Ⅳ　「ＡというよりはむしろＢである」となる。
Ⅴ　後には「具体例」が述べられている。

問二は、文章内容把握問題＜1分＞。「漠然とした印象」とは「あいまいなままにとどまり、…つかむことができない」ということである。

問三は、内容理解問題＜3分＞。
本文では「一輪の赤いバラ」の例が述べられている。そのバラの美しさや色合いを言葉で表現したとしても、そのバラのもつオリジナルな特徴は言葉では表現できないのである。

問四は、適語選択問題＜1分＞。
　Ａ　言葉は、個々の事象に共通した性質を「ひとまとめ」に言い表すのである。
　Ｂ　言葉は、「私たちが具体的に経験しているもの」を断片的に表現するのである。

問五は、内容理解問題＜2分＞。
「言葉と経験を区別して考える必要」に対して私たちは疑問を抱いているからである。

問六は、文章内容把握問題＜2分＞。言葉による認識や判断が行われる以前の状態、つまり「ことばがまったく関与しない純粋な経験の状態」である。

問七は、内容把握問題＜4分＞。「出来事や物事を理解し解釈するための枠組み」が「言葉」であり、物事を言葉として理解しているのではないかというこである。

問八は、文章内容把握問題＜1分＞。我々は物事を認識する際に「言葉」を媒介として、認識しているのであり理解するのである。

問九は、要旨問題＜2分＞。筆者は「言葉」と「経験」は密接不可分なものであり、両者を厳密に区別することはできない、と筆者は主張している。

出典は『緑陰のマナ　Ｍanna in the Ｇreen Ｓhadow』（原田マハ著）。

問一は、表現問題＜1分＞。
Ⅰ　エミネさんは「何事もないかのように」話したのである。
Ⅱ　「ぽかんと口を開いて」となる。
Ⅲ　「日常についての短編」は心温まるような内容であった。
Ⅳ　「すとんと腑に落ちる」という表現もある。
Ⅴ　「じっ」と見つめていたのである。
Ⅵ　頭を下げあった様子を表すことばである。

問二は、語句問題＜1分＞。「泡沫」とは、水に浮かぶ泡のことであるので、「いつ消えるかわからないような」ものである。

問三は、内容理解問題＜1分＞。「道ならぬ恋をしていた」ことの真偽は定かではないが、とても興味深いものととらえているのである。

問四は、文章内容把握問題＜2分＞。「手足を清められて、ひとりになれて、メッカの方角に向かって祈りに没頭できる場所」のことである。

問五は、慣用句問題＜1分＞。「実現が極めて困難である」ことを「至難の業」という。

問六は、文章内容把握問題＜2分＞。エミネさんにとって、「私」と出会いトルコへ来たことは「神様のお導き」と考えているのである。

問七は、文章内容把握問題＜1分＞。「日本語的な言葉」とは「日本の文化を含んだ言葉」であり、日本独特な意味を含む奥の深い言葉である。

問八は、文章内容把握問題＜2分＞。「エミネさんと日本のあいだ」と「私とトルコのあいだ」には「縁」としか言いようのない「結びつき」があると感じている。

問九は、内容理解問題＜1分＞。「おだやか」「やさしい」とは、相手の気持ちを「受け入れる」「受け止める」という「受容」を表している。

問十は、要旨理解問題＜2分＞。本文のキーワードは「縁」である。縁としか言いようのない結びつきの中で、言葉や文化を超越しお互いがゆったりと「分かり合う」状況を穏やかな口調で語っているのである。

問一は、古典文法問題＜2分＞。
　Ａ　「を」は対象を表す助詞の一種である。
　Ｂ　「は」は主題を表す。
　Ｃ　「と」は引用を表す助詞である。

問二は、内容理解問題＜2分＞。「あんまり茶碗が気に入ったから、ちょっと袂へ盗んで出た」からである。

問三は、歴史的仮名遣い問題＜1分＞。「言はう」は「言おう」となる。

Ⅰ
問一は、書き下し文問題＜2分＞。
書き下し文の規則に従って考える。レ点、一点、二点、上、下の書き下し文における順番を正確にあてはめること。
問二は、内容把握問題＜1分＞。
「曲がった形の影は曲がっているのであり、まっすぐにはならない」という内容でるので、「正直」が適切である。

Ⅱ
問一は、返り点問題＜1分＞。
書き下し文を参考に、返り点(レ点、一点、二点)を適正に使う。

問一は、語句問題＜1分＞。「生産」と「喪失」は対義語関係ではない。

問二は、文学史問題＜1分＞。ノーベル賞受賞者は川端康成と大江健三郎である。

問三は、文法(品詞)問題＜1分＞。「自宅を出る」の「を」は動作の起点を表すので、「親元を離れて」が適切である。

問四は、語句問題＜1分＞。「粗品」の「粗」は謙譲の意味であるので「弊社」が同じ働きである。

※以下の類題に挑戦しよう。
問１．次の文章を読んで後の問いに答えよ。
　私たちの日々の経験のなかで「言葉」はどのような役割を果たしているであろうか。本講ではまず経験と言葉との関わりについて述べ、それを踏まえて、そもそも「言葉とは何か」ということについても考えてみたい。
　私たちは自分が見たり聞いたりしたもの、あるいは感じたりしたものを言葉で表現しようと試みる。しかし、Ａ「言葉は、自分の感情のすべてを正確に包み込むには、あまりにも柔軟性に乏しい容器」である。
　たとえば、「喜び」という言葉一つをとっても、それは卒業式での達成感から来る喜びかもしれないし、久々に会う友人との食事の楽しさかもしれないし、あるいは単に天気の良さから来る軽い幸福感かもしれません。これらはすべて「喜び」という一語に（　Ⅰ　）されますが、その本質やニュアンスは大きく異なります。本当は、それぞれの感情に固有の言葉が必要なのかもしれませんが、現実には共通のパッケージで処理せざるを得ません。
　この「パッケージ化」がもたらすのは、表現の簡略化という利便性だけではありません。言葉は、他者との間で感情を共有し、共感を生み出すための不可欠なツールです。Ｂ「しかし、この共感を求める行為は、自分の感情に対するある種の「暴力」」ともなり得ます。なぜなら、言葉にすることで、感情が持つ複雑さや特異な部分は削ぎ落とされ、共通の理解可能な形へと（　Ⅱ　）されるからです。
　つまり、言葉は感情を伝達するメディアであると同時に、感情をＣ「規格化し、矮小化する力」を持っています。他者との「共感」を求めるあまり、私たちは無意識のうちに、自分の内面にある真に新しい感情や、言葉にしにくい繊細な感覚を無視し、既存の「パッケージ」へと無理やり押し込めてしまうのです。この自己検閲とパッケージ化のプロセスを経て、私たちは（　Ⅲ　）、コミュニケーションの「効率」と引き換えに、自己の複雑な内面を犠牲にしてしまうのです。

問一 下線部Ａ「言葉は、自分の感情のすべてを正確に包み込むには、あまりにも柔軟性に乏しい容器」とありますが、筆者は言葉のどのような性質を述べていますか。最も適切なものを次の中から選び、記号で答えなさい。
　ア. 言葉が時代や文化によって意味が変化し、固定的な定義を持たないこと。
　イ. 言葉は感情を表現する際に、その複雑さやニュアンスを完全に伝えきれないこと。
　ウ. 言葉が感情よりも理性や論理を優先するため、常に感情を抑制してしまうこと。
　エ. 言葉は書くことで固定化されるため、話す言葉としての瞬発力を失ってしまうこと。
解答：イ

問二 空所（　Ⅰ　）（　Ⅱ　）（　Ⅲ　）に入る語句の組み合わせとして最も適切なものを、以下の選択肢の中から一つ選び、記号で答えなさい。
　ア　（Ⅰ）抑制　　（Ⅱ）抽出　　（Ⅲ）他者の感情を理解できなくなる
　イ　（Ⅰ）分類　　（Ⅱ）修正　　（Ⅲ）自分の複雑な内面を犠牲にしてしまう
　ウ　（Ⅰ）伝達　　（Ⅱ）増幅　　（Ⅲ）表現の多様性を追求しなくなる
　エ　（Ⅰ）抽象　　（Ⅱ）再生　　（Ⅲ）倫理的な問題を回避できなくなる
解答：イ

問三 下線部Ｂ「しかし、この共感を求める行為は、自分の感情に対するある種の「暴力」」となり得るとは、どういうことですか。本文の内容を踏まえ、45字以上55字以内で説明しなさい。
解答：感情を他者に伝えるために言葉にすることで、感情が持つ複雑さや特異な部分が削ぎ落とされ、一般的な形に押し込められてしまうということ。

問四 下線部Ｃ「規格化し、矮小化する力」について、筆者はこの力がもたらす問題をどのように捉えていますか。本文全体の内容を踏まえ、60字以上70字以内で説明しなさい。
解答：他者との共感を求めるあまり、自分の内面にある新しい感情や繊細な感覚を無視し、コミュニケーションの効率を優先して自己の複雑な内面を犠牲にしてしまう問題として捉えている。

問２．次の文章を読んで後の問いに答えよ。
　朝、目覚めた時の肌寒さで、ようやく七月が終わり、八月に入ったことを知った。窓の外は灰色の空で、昨夜から降り続く雨が、アスファルトを黒く濡らしている。
　高校二年生になった俺は、この夏をどう過ごすか、特に予定を立てていなかった。幼馴染のユウナは、部活の遠征で一週間ほど家を空けている。彼女がいないと、俺の日常は拍子抜けするほど静かだった。
　リビングに降りると、母が淹れたばかりのコーヒーの匂いがした。
「大地、ユウナちゃんからメールが来てたわよ。明日の夕方には帰るって」
「ああ、そう」
俺は素っ気なく返事をしながら、窓際の席に座った。その席は、いつもユウナが座る場所だった。
小学四年生の時、ユウナが初めてうちに来た日のことを思い出す。彼女は突然の雨に降られ、うちに駆け込んできた。その時の彼女は、濡れた髪を気にしながら、差し出されたタオルで顔を拭っていた。その仕草が、まるでＡ「雨に濡れた小さな鳥」のように見えて、俺はなぜかドキドキした。
　その日以来、ユウナはその窓際の席が定位置になった。ゲームをする時も、宿題をする時も、いつもそこに座り、雨の日には二人で窓ガラスを流れる水滴を眺めた。
　去年の夏、その窓際で、俺はユウナに一つの決心を打ち明けようとして、結局、言い出せなかった。部活を辞めて、本気で絵の道に進みたいという、俺にとって最も（　Ⅰ　）な決断だった。ユウナならきっと背中を押してくれると思ったのに。結局、その一言は喉の奥に引っかかったまま、秋になり、冬になり、そして今日に至る。
　テーブルの上には、ユウナが遠征前に置いていった、古いノートが一冊あった。パラパラとめくると、俺がユウナのために描いた、お世辞にも上手いとは言えないＢ「あの時の雨の日の鳥の絵」が挟んであった。日付は、去年の夏。
　「バカだな、俺は」
　俺は思わず呟いた。何にバカだと感じたのか、自分でもよく分からなかった。ただ、あの時、自分の気持ちを言葉にしてユウナに伝えられなかった、Ｃ「その時の小さな後悔」が、夏の雨のように静かに心を濡らし続けている。

問一 下線部Ａ「雨に濡れた小さな鳥」は、幼馴染のユウナを表現しているが、どのような心情を読み取ることができますか。最も適切なものを次の中から選び、記号で答えなさい。
　ア. 突然の訪問に対する警戒心と、早く家に帰りたいという焦燥感。
　イ. 困難な状況に立ち向かう強さと、他人を頼ろうとしない自立心。
　ウ. 無邪気でかわいらしい様子と、初めて会うことへの好奇心。
　エ. 濡れて弱々しく見える姿と、それを見守る「俺」の特別な感情。
解答：エ

問二 空所（　Ⅰ　）に入る語句として最も適切なものを、以下の選択肢の中から一つ選び、記号で答えなさい。
　ア. 理性的な 　イ. 衝動的な 　ウ. 肝心な 　エ. 抽象的な
解答：ウ

問三 下線部B「あの時の雨の日の鳥の絵」を「俺」がノートから見つけ出したとき、「俺」はどのような感情を抱いたと考えられるか。本文中の表現を踏まえ、30字以上40字以内で説明しなさい。
解答：自分の最も肝心な決断を、結局ユウナに言い出せなかったことへの自責の念。

問四 下線部Ｃ「その時の小さな後悔」とは、具体的にどのようなことですか。本文全体の内容を踏まえ、50字以上60字以内で説明しなさい。
解答：去年、窓際で本気で絵の道に進みたいという自分の最も肝心な決断を、ユウナに背中を押してもらえる機会があったにもかかわらず、言葉にして伝えられなかったこと。