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中央大学高等学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2017年度「中央大学高等学校の国語」
攻略のための学習方法

[記述]

「中大高校の記述対策」は「問題解説」及び「攻略ポイント」のとおりだが、その前提としてなすべきことがある。それは「文を記す」「記述する」ことに慣れることだ。最初は時間がかかってもいい。厭わずに、とにかく「書く」。そして、書いた「文」は必ず誰かに読んでもらう。「文法」など正しい日本語の「文」になっているのか、言いたいことは正確に伝わっているのかを確認する必要があるからだ。

では、何を「書く」か? 「練習問題」や「過去問」にある「記述設問」は勿論だが、その問題文の「段落」ごとの「要点をまとめる練習」をするのがとてもいい方法だ。20~30字程度で書いてみる(中大高校の典型的な「記述」の練習にもなる)。無論、内容は先生などに確認してもらう。

次の段階としては「字数の感覚」を身につけることだ。書きたい内容は何文字くらいになるのか? 解答欄を埋め始めてから「過不足」を後悔しても遅い。下書きしている時間もない。だからこそ、「字数の感覚」が重要。徹底して「20~30字程度」の「字数感覚」が身につくようにトレーニングを重ねたい。

[解法]

「記述」「選択肢」「抜き出し」「空所補充」、その他の問題も含め「中大高校の国語」で勝利するための基本は、「解法」をいかにうまく使うかということだ。「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。「論説文」(説明文)と「小説」「随筆」、それぞれに応じた独自の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。

そこで肝要なのは、「復習」の仕方だ。「答え合わせ」をして「解説」を読み納得した。問題はその後だ。「考え方のプロセス」を「トレース」することが必須。万一、「トレース」できないとすれば、そのこと自体が問題になる。「解法」が定まっていない証だからだ。そして、「間違った問題」こそ宝の山だと認識すること。「解き方のプロセス」のどこで誤ってしまったのか? その「分岐点」をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことこそが、同じ間違いを繰り返さない秘訣になる。

さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方のプロセス」を身につけたい。それが「解法」となる。そうして理解、習得したものを書き留めた自分自身の「解法ノート」を作成しておきたい。解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。

[速読]

大学入試にも匹敵、あるいはそれ以上の問題文を読まなくてはならない。「現代文」全体で6500字程度。解答時間は50分。当然、「速読」が求められる。しかし、設問を解くために読むのだから一般的な「速読術」を使うわけにはいかない。やはり、文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。

「論説文」(説明文)であれば「Nの法則」。意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているので確実に読み、「本論」は「段落相互関係」に着目しながら「各形式段落」の「最初」と「最後」を中心に読み進める。

「小説」「随筆」は、「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックし、「心情表現」を拾って素早く読んでいく。その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。中大高校に限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。練習あるのみ。そして、最終的には分速700字以上(できれば750字近く)で「速読」できるようにしたい。

[知識]

「直接出題」は勿論、「本文読解」等でも必然的に問われることになる「総合的知識」。いかなる「攻略法」があるのか? 「国語的知識」は幼少期からの蓄積、故に「15の春」を前にした今ではもはや手遅れ。確かに、そうした側面はある。だが、そこで思考停止してしまっては「ジ・エンド」。今からでもできることは、ある。

先ずは、「己が実力」を悟ること(「己が」=「おのが」が読めなければ既にヤバイと自覚せよ)。過去問を解いてみて(少なくとも5年分以上)、「5割未満の正答率」だったら「中学入試レベル」からの再スタートだ(分かっていると思うが、「中学入試」を馬鹿にしてはいけない。上位校では「高校入試」どころか「大学入試」のレベルに達する)。「5割超の正答率」でも無論、不断の努力は欠かせない。要は、地道な努力、日々の積み重ねあるのみだ。

さらに、「口語文法」も侮ってはいけない。直接出題されるし、「記述」にも不可欠だ。日本語として「文法」的に「正しい文」でなければ「減点」されるし、そもそも内容が正確に伝わらない。特に、「品詞分類」「文節の相互関係」といった「基礎的事項」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の「意味・用法」は確実に定着させておくことが重要だ。

なお、「知識」強化用のテキストとしては、「高校入試 でる順ターゲット 中学漢字・文法630」(「文法」含む)や「高校入試 でる順ターゲット 中学漢字」(共に旺文社)などが推薦できる。また、残念ながら「中学入試レベル」から再スタートの場合は、「四谷大塚」の「四科のまとめ『国語』」(HPから購入可能)等がオススメ。

[古典]

「公立中学」の「国語」でも「古典」は扱う。「古文」「漢文」は必須のカリキュラムだ。しかし、「指導要領」上はほんの導入部分だけで、本格的な学習はしない。「文語文法」等を体系的に学ぶことはない。

が、私立の「高校入試」ではそれらも含めて出題されることになる。明らかに「ハンディ」だが、仕方がない。塾での学習ないし「独習」するしかない。最重要な「古文単語」(200語程度)を定着させ、基礎的な「文語文法」は理解しておかなくてはならない。

そして、できるだけ多くの「古典作品」に触れて慣れておくことが重要だ。「漢文」についても、「攻略ポイント」で触れたとおり押さえておかなくてはいけない。

なお、「古文」強化用のテキストとしては、「古文完全攻略63選——入試頻出問題厳選」(東京学参)や、「古文単語」定着用として「マドンナ古文単語230」(学研)などが推薦できる。

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2017年度「中央大学高等学校の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問は「漢字問題」、「読み」「書き」各5問。
2分以内で丁寧に終えたい。

大問は「説明文」、出典は中屋敷均「ウイルスは生きている」(文字数約3700字)。
小問は全9問(解答数13)。「選択肢」(「空所補充」あり)、「抜き出し」(「空所補充」あり)、「説明記述」(「50字以内指定」1問)、「総合的知識問題」(「慣用句」「語句の意味」)。問題文は5分強で読み切り、設問を13~14分で解きたい。

大問は「小説」、出典は朝井リョウ「少女は卒業しない」所収の「ふたりの背景」(文字数約4600字)。
小問は全8問(解答数10)。「選択肢」(「空所補充」「本文合致」あり)、「説明記述」(「35字以内指定」1問)、「総合的知識問題」(表現技法)。問題文は6分半ほどで読み切り、設問を10数分で解きたい。

大問は「古文」、出典は十返舎一九「落咄 臍くりかね」(文字数約280字)、小問は全4問(解答数6)。
「選択肢」(「空所補充」あり)、「漢数字記述」、「仮名遣い」、「説明記述」(「字数指定なし」1問)。7~8分で解きたい。

大問は「漢文」、出典は「Ⅰ」が作者不詳「文子」(文字数10字)、「Ⅱ」が老子「老子」(文字数10字)。
小問は全2問(解答数3)。「記述」(書き下し文)、「返り点記入」、「総合的知識問題」。3分ほどで解きたい。

大問は「総合的知識問題」、小問は全4問(解答数10)。
「ことわざ」(2問)、「文学史」(2問)、「四字熟語」(2問)、「口語文法」(4問)。4分ほどで解きたい。

【大問一】

  • 時間配分:

「漢字の読み書き」(全10問)。例年並みの難易度。如何に失点を最小限に食い止めるかが勝負だ。「文脈」も確認しながら熟語を特定していくこと。

(1)ホゲイ船の基地」=「捕鯨」(「船」がヒント)
(2)「懸命な説得により、ようやく
ホンイさせる」=「翻意」(「文脈」を的確に把握せよ)
(3)「多くの時間を練習に
いて」=「割(いて)」(「同訓異字」を確認)
(4)
ナワシロには一面水が張られて」=「苗代」(馴染みがないか?)
(5)
シンサンを嘗めた」=「辛酸」(「辛酸を嘗める」で覚えておくこと)
(6)
揚水機」=「ようすい」(これは問題ないはず)
(7)「死を
む」=「いた(む)」(これは頻出)
(8)「任地に
いた」=「おもむ(いた)」(これまた定番)
(9)「斬新な
意匠の作品」=「いしょう」(「趣向」と同意と覚えよ)
(10)
蛮勇を奮う」=「ばんゆう」(知っていて当然)
本校が求める「ハイレベルな語彙力」は「でる順」だけでは対応できないと心得よ。

【大問二】

  • 時間配分:

人類を脅かす感染症を伝播する存在として、忌み嫌われる「ウイルス」だが、宿主のために献身的に尽くすものも多く、私たちのDNAの中には「ウイルス」のような遺伝子配列が多数存在し、生物進化に重大な貢献をしてきたことなどについて説明している。

本文では、「ウイルスの発見者」であるベイエリンクについて、「ウイルスは生命を持った感染性の液体」だという彼の大胆な結論は、「何が常識かということを考えない」という研究姿勢から導かれたものだと指摘している。

専門用語が多いが、「*注」を活用して何とか内容を理解したい。「総合的知識問題」も含め、本校らしい実に多種多様な設問が並んでいる。迅速に解き進めていきたい。以下、いくつか検討してみたい。

[問二] 「語句の空所補充選択肢」(4問/4択)。

本文中の空所[    ]~[    ]にあてはまる「適切な語」を答える。選択肢は「接続詞」と「副詞」、「接続詞」では「逆接」以外には十分に注意すること。「逆接」以外だと、どれもあてはまってしまう可能性があるのだ。単純に前後を読みつなぐだけではなく、それぞれの「接続詞」の「意味・用法」を的確に押さえた上で、「文脈」を確認する必要がある。

また、段落冒頭の「接続詞」は前段落全ての内容を受けているので注意すること。各空所の「答え」を確認していきたい。[    ]には「逆接」の「接続詞」である選択肢(ア)「しかし」、[    ]には「並立」の「接続詞」である(ウ)「また」、[    ]には「換言」の「接続詞」である(イ)「つまり」、[    ]に「言うまでもなく」という意味の「副詞」である(エ)「もちろん」がそれぞれあてはまる。

「接続詞」「副詞」などの「空所補充」は本校に限らず定番中の定番、くれぐれも失点することのないようにすること。

<時間配分目安:1分半>

[問三] 「内容説明記述」(「50字以内」指定)。

傍線部(1)「驚くべきことに『ウイルスの発見』は彼にとって、サイドワークに過ぎなかった」について、「何が驚くべきことなのか」を「五十字以内」で説明する。

「傍線部(空所部)一文一部の法則」(「傍線部(空所部)が一文の一部分だった場合、傍線部(空所部)以外が重要」という「重要解法」)で「手がかり」を探す。直前は「彼の本業は発酵菌や農業上の有用菌など、主に酵母や細菌の研究であり」となっている。ということは、「彼」が「主に酵母や細菌の研究」といった「本業」ではない「サイドワーク」で、「ウイルスの発見」をしたことが、「驚くべきこと」だと読み取れるはずだ。

では、「彼」とは誰か? 「同一意味段落」から捉えていきたい(「論説文」「説明文」では「同一意味段落」に「根拠・手がかり」がある)。「ウイルスの発見者」である「ベイエリンク」だと分かる。これで、説明すべき「要素」は揃った。あとは、「過不足なく」まとめていく。たとえば、「酵母や細菌の研究が本業のベイエリンクがサイドワークに過ぎない分野で『ウイルスの発見者』になったこと。」といった「答え」になる。

「解法」を的確に用いて論理的に考えていくこと。

<時間配分目安:3分>

[問四] 「換言説明選択肢」(5択)。

傍線部(2)「枠を突き抜けた純度の高さ」について、「どういうことか」を答える。

「選択肢設問」は「消去法」が原則。先ずは「原意消去」をしたい(「原意絶対優位の原則」=「設問」「傍線部」等の「原意」、要は「本来の意味」を最優先に考えること)。ここでは「換言説明」なので、傍線部の「純度の高さ」の「原意」での「消去」となる。各選択肢の「文末」を確認する(「選択肢」の説明で最も重要な要素は「文末」に記されている)。

(ア)「生徒に対する要求水準の高さが飛び抜けていること」、(イ)「最も研究に相応しい時や場所を選べること」、(ウ)「研究以外のものには関心を持たずにいたこと」、(エ)「偉大な研究を成し遂げたこと」、(オ)「研究に繋げたこと」。無論「純度の高さ」は一種の「比喩表現」で、「純粋さの度合いが高い」⇒「ひとつのことだけに集中している」ということなので、(ウ)以外は「消去」できなくてはいけない。他の部分の説明も特に誤ってはいない。

よって、「答え」は(ウ)だ。「一発消去」ということだ。畏るべし「原意消去」。活用せねばもったいない。

<時間配分目安:1分半>

[問七] 「語句の意味の選択肢」(4択)。

「総合的知識問題」だ。傍線部(4)「真骨頂」の「意味」を答える。

各選択肢は、(ア)「本来もっている姿」、(イ)「思い入れの強さ」、(ウ)「真実に近づく理由」、(エ)「他者より秀でた能力」。そもそも「知識」として「そのものが本来もっている姿」という「意味」を知ってさえいれば、問題なく「答え」は(ア)と特定できるが、「文脈」からの類推も可能なはずだ。

文中の言葉」である以上、知らなくても判別できると考え、すぐには諦めないことが肝要。いずれにしても、本校では「高い語彙力」が求められていると心得よ。

<時間配分目安:1分以内>

[問九] 「換言説明選択肢」(5択)。

傍線部(6)「常識の枠を越えることを目的とはしていない」について、「どういう意味か」を答える。

「誰が」なのを、「傍線部(空所部)一文一部の法則」で確認すると、直前から「彼(=ベイエリンク)」だと分かる。次に、傍線部は「目的とはしていない」という「打ち消し表現」で、「彼」は「どうするのか?」という内容が不明なので、「同一意味段落」に「手がかり」を求める。直後に「ただ」という「限定」の「接続詞」があり、「何が常識かというようなことが、彼には無関係であっただけ」とある。これで、「消去」の基準は揃った。

各選択肢を確認する。(ア)「理解できる範囲の実験で、『ウイルス』を発見した」、(イ)「常識とは異なる結果も、疑わず結論とした」、(ウ)「過去の研究者の実験を元に、独自の論を展開しようとした」、(エ)「常識の範囲内の実験で、自身の発見が大きな意味を持つと考えた」、(オ)「他とは異なる視点で、画期的な結論を提示できると確信していた」。「彼」にとっては「常識は無関係」だったのだから当然、(イ)以外は「消去」可能なはず。

したがって、「答え」は(イ)。「選択肢消去」の基準は、様々な要素を組み合わせることも重要だ。

<時間配分目安:2分>

【大問三】

  • 時間配分:

少女たちが迎える7つの別れと旅立ちの物語。「恋愛」「友情」「将来の夢」「後悔」「成長」「希望」―――青春の全てを詰め込んだ珠玉の連作短編集の1篇。

本文は、帰国子女の「私(あすか)」は転入した高校で美術部に入り、そこで特別支援学級の「正道くん」と出会い、交流を深めて高校生活を送るが、やがて、卒業という別れのときを迎えることになるというストーリー。

「設問」では(Ⅰ)「転入以降の出来事の回想」と(Ⅱ)「卒業式当日」という2つの場面で構成されている。「青春小説」で内容は理解しやすいはずだが、「心情」などの読み取りで厄介なものがある。以下、いくつか確認する。

[問四] 「表現技法の選択肢」(複数解答/5択)。

「総合的知識問題」。「表現技法」だ。傍線部(3)「彼は、里香をどのように捉えるのだろう。正しくないものを受け付けないような、純粋のしずくのような瞳で。」の部分に用いられている「表現技法」を「二つ」答える。

当然、「知識」として押さえているべきものばかりだ。「しずくのような瞳」⇒「ようだ」という「比喩」の「助動詞」がある=「直喩」、そして、もうひとつは「文末」に着目だ。「瞳。」という「断定」の「助動詞」の「連用形」になっている。通常、「連用形」は「文末」とはならない。

ということは、普通は「……瞳で、彼は、里香をどのように捉えるのだろう。」となるはず=「倒置法」。よって、「答え」は(ア)(エ)だ。尚、他の選択肢の、「暗喩」「体言止め」「擬人法」も無論、定着しているべき「表現技法」だ。

<時間配分目安:1分>

[問六] 「心情表現選択肢」(5択)。

傍線部(5)の「正道くんがみんなに見せたキャンバスには、私が描かれていた」から読み取れる「『私』の心情」を答える。

先ずは「原意消去」をしたいが、さすがにこれだけでは無理だ。傍線部は「一文全部」なので、「傍線部(空所部)一文一部の法則」も使えない。そこで、「直前直後」に着目したい(「小説」では「同一場面の直前直後に手がかり・ヒントあり」が「解法」の大原則)。

直後に「私の横顔がそこにあった。とても、とても似ていた」、さらにその後には「正道くんが鉛筆一本で描いた『私』を見て、けっこう黒髪も似合うかもしれない、そう思った」とある。

各選択肢は、(ア)「腹立ち」、(イ)「後悔」、(ウ)「落胆」、(エ)「喜び」、(オ)「不安」。もちろん、「答え」は(エ)の「喜び」だ。尚、「小説」では「他の場面」に「手がかり・ヒント」を求めると失敗するので、要注意。

<時間配分目安:1分半>

[問七] 「心情説明選択肢」(4択)。

傍線部(6)「もっと知ろうとすればよかった。私が歩み寄れば、少しは何かが変わっていたのかもしれない」について、ここでの「『私』の心情」を答える。

無論、最初に「原意消去」を試みたい。ここでは「もっと知ろうとすればよかった」がポイントだ。この「原意」につながる「心情」と、各選択肢「文末」の「心情」とが結びつかないものを「消去」する。

確認する。(ア)「残念に思っている」、(イ)「恨む気持ちが薄れている」、(ウ)「悔やんでいる」、(エ)「責めている」。どうか? 「私」自身が「もっと知ろうとすればよかった」と思っているのだから当然、「悔やんでいる」以外は「消去」できなくてはいけない。他の部分の説明も特に誤ってはいないので、「答え」は(ウ)になる。

「心情説明」でも、やはり「原意」にこだわっての「消去」が肝要だと心得よ。

<時間配分目安:1分>

[問八] 「文章説明合致の選択肢」(4択)。

「この文章についての説明」を答える。

一見「本文内容合致設問」と見紛うが、「文章についての説明」なので「表現合致設問」と同種と捉え、「事実関係」で「消去」していきたい。

各選択肢を概括する。(ア)「『正道くん』の目を通して描いている」⇒全編、「私」の「一人称」=「不適切」、(イ)「『私』自身の視点から表現されている」⇒「私」の「一人称」=「適切」、(ウ)「美術部のエピソードと対比的に描かれている」⇒決して「対比的」ではない=「不適切」、(エ)「情景描写によって表現している」⇒「情景描写」はあまりない=「不適切」。(イ)は他の部分の説明にも特に誤りはない。したがって、「答え」だ。

ちなみに、本来の「本文内容合致設問」について。「論説文」では、「本文内容合致」=「論旨合致」と捉え、「論旨」が端的にまとめられている「序論部分」と「結論部分」だけとを「照合」すれば判別可能。だが、「小説」では「本文全体」との「照合」が不可欠となってしまうので、「戦術」としては「後回し」にするか、「捨て問」とするのが得策だ。

<時間配分目安:2分半>

【大問四】

  • 時間配分:

江戸時代後期の戯作者として知られる作者が「東海道中膝栗毛」と同年に刊行した「噺本」で、多くが「落語」の原話となっている21編を収録している。本文は、その中の「茶代」というお話。3年続けての江戸時代の「笑話」だ(近年の本校は「お笑いネタ」がお好み?)。

設問はほとんどが「古文の基礎的知識」を問うものだが、中には「文脈」からの「内容解釈」が必要なものもある。以下、2問だけ検討する。

[問二] 「内容解釈の数字記述」(「漢数字」指定)。

傍線部(1)「コレ、十助、コリャ又、十助。茶代を置きやれ」について、「何文払わせようと思ったのか」を「漢数字」で答える。

「旦那」から「権助」への言葉だ。本文の最初で、「旦那」が「『十助。茶代を』といったら十文、『五助』といったら五文でよいぞ」と言い付けていることが分かる。そして、傍線部直前に「十助を二度いふがよいと思ひつき」とある。「十助」を「二度」、つまり、「答え」は「二十(文)」ということになる。「内容解釈」では「文脈」を正確にたどるということは無論、「現代文」と同じだ。

<時間配分目安:1分半>

[問四] 「仮名遣いの変換記述」。

傍線部(3)「いたしたふ」を「現代仮名遣い」に改める。

誰もが知っていなくてはいけない「歴史的仮名遣い」の基本。「語頭」以外の「は・ひ・ふ・へ・ほ」⇒「わ・い・う・え・お」と、「母音」と「母音」が直接つながった場合の変換だ。「い・た・し・た・」⇒「い・た・し・た・」=「i・ta・si・tau」⇒「au」→「ou」=「tou」=「i・ta・si・tou」⇒「いたしとう」が「答え」となる。

他に「母音」と「母音」では、「iu」→「yu」、「eu」→「yo」となる。「仮名遣い」は本校に限らず頻出なので確実に定着させておくこと。

<時間配分目安:30秒>

【大問五】

  • 時間配分:

「Ⅰ」「Ⅱ」ともに、「道家」の大家である「老子」と「荘子」の「老荘思想」についての思想書。「返り点」「書き下し文」といった本校定番の「漢文の基本問題」。一気呵成に得点したい。

以下、2問だけ確認する。

[問一] 「返り点記入」。

「Ⅰ」の傍線部「不 若 帰 而 織 網」に、「書き下し文」の「帰りて網を織るに若かず」を参考にして「返り点」を記入する(「読み仮名」「送り仮名」は不要)。

尚、「而」=「置き字」(読まない字)と「*注」にある。「帰(リテ)」→「網(ヲ)」→「織(ルニ)」→「若(しカ)」→「不(ず)」の順だ。よって、「答え」は「不二 帰 而 織一レ 網」(*「」「一レ」「」が「返り点」)となる。「返り点」は十分に練習しておくこと。

<時間配分目安:1分>

[問二] 「書き下し文記述」。

「Ⅱ」の傍線部「以て(もっテ) 不(ざるヲ)白(ラ) 為(なサ)一レ 大(ト)」(*「」「」「一レ」は「返り点」)を「書き下し文」にする。

「返り点」の付されていない文字から読み、「レ点」は下→上、「一二点」は「一」→「二」の順に読み、「送り仮名」をつける。したがって、「自ら大と為さざるを以て」が「答え」となる。「返り点」「書き下し文」は「基本のキ」なので、しっかりと習得しておくことが肝要。尚、「書き下し文」では「付属語(助動詞・助詞)」を「平仮名」とすること。

<時間配分目安:1分>

【大問六】

  • 時間配分:

「総合的知識問題」。「ことわざ」「文学史」「四字熟語」「口語文法」、いつものように本校らしい多種多様な「知識問題」。平易なものが多いので、短時間にこなしていきたい。一部を検証する。

[問一] 「ことわざの意味の選択肢」(全2問/6択)。

示されている2つの「ことわざ」、(1)「立て板に水」、(2)「骨折り損のくたびれもうけ」の「意味に最も近い熟語」を答える。

誰もが知っているべき「ことわざ」だ。(1)=「よどみなく、すらすらと話すこと」、(2)=「努力のかいもなく効果が上がらず、疲れだけが残ること」。なので、瞬時に答えられるはず。

だが、各選択肢は、(ア)「徒労」、(イ)「泡沫」、(ウ)「努力」、(エ)「怠惰」、(オ)「寡黙」、(カ)「流暢」、あれれ、こっちの「熟語」に分からないものがあるかも。しっかりと「知識」を習得してきた諸君であれば、「答え」は、(1)が(カ)(「流暢」=「言葉が滑らかに出てよどみないこと」)、(2)は(ア)(「徒労」=「無益な苦労」)だと判別できるはずだ。

他の「熟語」についてもあいまいなキミは、確実に「語彙力」を高めておく必要があると心得よ。

<時間配分目安:1分>

[問三] 「四字熟語の空所補充選択肢」(全2問/各5択/各完全解答)。

示されている(1)(2)の「四字熟語」(各5つ)それぞれの空所に、「同じ漢字」があてはまるもの」を「一組」ずつ答える。

(1)は、(ア)「一専心」、(イ)「口同音」、(ウ)「風堂々」、(エ)「気軒昂」、(オ)「無自然」、それぞれ順に、「一意専心」、「異口同音」、「威風堂々」、「意気軒昂」、「無為自然」⇒「答え」は(ア)と(エ)。

(2)は、(ア)「一刻金」、(イ)「里霧中」、(ウ)「千変化」、(エ)「三寒温」、(オ)「一日秋」、それぞれ順に、「一刻千金」、「五里霧中」、「千変万化」、「三寒四温」、「一日千秋」⇒「答え」は(ア)と(オ)。

ここに出てくる「四字熟語」でひとつでも知らないものがあったのならばヤバイということ。徹底的に復習せよ。

<時間配分目安:1分半>

[問四] 「文法的説明の選択肢」(全4問/10択)。

示されている(1)~(5)の文中傍線部の「文法的説明」を答える。

「口語文法」の基礎だ。「品詞」および「活用形」が問われている。確認する。

(1)「もっと詳しく」=形容詞「詳しい」の「連用形」⇒「答え」は(キ)、(2)「もっと遊びたい」=「希望」の「助動詞」である「たい」の「連体形」⇒「答え」は(エ)、(3)「目標はおおよそ達成」=「連用修飾」になっている「副詞」⇒「答え」は(イ)、(4)「あの大きな樫の木」=「連体修飾」だけになる「連体詞」(「形容詞」の「大きい」と区別せよ!)⇒「答え」は(ウ)。

本校では、「付属語(助動詞・助詞)」も含め、「口語文法」の徹底した「理解・習得・定着」が必須。

<時間配分目安:1分半>

攻略ポイント

●「ハイパーな時間勝負」となる。どう「攻略」するか? 「解答順」が最重要。「得点できる問題」を「時間切れ」で逃すのは最悪だ。
「現代文」「古文」「漢文」「漢字」「総合的知識問題」、どの大問から解くか? 「漢字」「知識」を最初にこなすのは当然だが、他は自分自身の特性に応じて事前に決めておくこと。要は「取れる問題を確実に押さえる」ことだ。
逆にいえば「捨て問」という覚悟も求められる。「国語」の「合格者平均」(4年間平均で67.8%)は3科合計の「合格者最低」(4年間平均で56.1%)を大幅に上回る。
したがって、「国語」での「失点」は致命的になると肝銘せよ。

●「説明記述」の対策は? 実直に「記述」の「練習」を続ける他はない。
正否の分かれ目となる「最重要要素」を「文末」として他の「必要要素」を積み上げていくという手法を完璧にマスターすること。「内容」から優先度を特定し、高いものから積み上げていく。徹底的に練習することが必要だ。

●「多様な設問内容」にはどう対処するか? いかに「解法」を的確に用いるかがポイントだ。
「設問内容」に応じた「解法」に則して段階的に解いていくことが肝要。そのためにも、基本的「解法」を完全に習得して、適切に応用できるようにしておく。

●配点比率が高い「総合的知識問題」も無論、侮れない。
「高度な語彙力」は勿論、「文法」「文学史」等まで網羅した「あらゆる知識」が必要なので、独自に習得していくことが重要だ。

●「古文」の「攻略法」は? 重要な「古文単語」の定着はもちろんだが、「内容理解」も求められるので「基礎的文語文法」は押さえておきたい。
また、「漢文」でも「訓点」「書き下し文」などの基礎は必ず定着させておくこと。

●試験時間は50分。問題文は「現代文」だけでも6500字程度(本年度は何と8300字。
無論、速く正確に読み取ることが求められる。分速700字以上を目標に「読む練習」を常にすることが重要だ。

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