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中央大学高等学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2018年度「中央大学高等学校の国語」
攻略のための学習方法

記述

「中大高校の記述対策」は「問題解説」及び「攻略ポイント」のとおりだが、その前提としてなすべきことがある。それは「文を記す」「記述する」ことに慣れることだ。最初は時間がかかってもいい。厭わずに、とにかく「書く」。そして、書いた「文」は必ず誰かに読んでもらう。「文法」など正しい日本語の「文」になっているのか、言いたいことは正確に伝わっているのかを確認する必要があるからだ。

では、何を「書く」か? 「練習問題」や「過去問」にある「記述設問」は勿論だが、その問題文の「段落」ごとの「要点をまとめる練習」をするのがとてもいい方法だ。20~30字程度で書いてみる(中大高校の典型的な「記述」の練習にもなる)。無論、内容は先生などに確認してもらう。

次の段階としては「字数の感覚」を身につけることだ。書きたい内容は何文字くらいになるのか? 解答欄を埋め始めてから「過不足」を後悔しても遅い。下書きしている時間もない。だからこそ、「字数の感覚」が重要。徹底して「20~30字程度」の「字数感覚」が身につくようにトレーニングを重ねたい。

解法

「記述」「選択肢」「抜き出し」「空所補充」、その他の問題も含め「中大高校の国語」で勝利するための基本は、「解法」をいかにうまく使うかということだ。「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。「論説文」(説明文)と「小説」「随筆」、それぞれに応じた独自の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。

そこで肝要なのは、「復習」の仕方だ。「答え合わせ」をして「解説」を読み納得した。問題はその後だ。「考え方のプロセス」を「トレース」することが必須。万一、「トレース」できないとすれば、そのこと自体が問題になる。「解法」が定まっていない証だからだ。そして、「間違った問題」こそ宝の山だと認識すること。「解き方のプロセス」のどこで誤ってしまったのか? その「分岐点」をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことこそが、同じ間違いを繰り返さない秘訣になる。

さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方のプロセス」を身につけたい。それが「解法」となる。そうして理解、習得したものを書き留めた自分自身の「解法ノート」を作成しておきたい。解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。

速読

大学入試にも匹敵、あるいはそれ以上の問題文を読まなくてはならない。「現代文」全体で6500字程度。解答時間は50分。当然、「速読」が求められる。しかし、設問を解くために読むのだから一般的な「速読術」を使うわけにはいかない。やはり、文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。

「論説文」(説明文)であれば「Nの法則」。意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているので確実に読み、「本論」は「段落相互関係」に着目しながら「各形式段落」の「最初」と「最後」を中心に読み進める。

「小説」「随筆」は、「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックし、「心情表現」を拾って素早く読んでいく。その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。中大高校に限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。練習あるのみ。そして、最終的には分速700字以上(できれば750字近く)で「速読」できるようにしたい。

知識

「直接出題」は勿論、「本文読解」等でも必然的に問われることになる「総合的知識」。いかなる「攻略法」があるのか? 「国語的知識」は幼少期からの蓄積、故に「15の春」を前にした今ではもはや手遅れ。確かに、そうした側面はある。だが、そこで思考停止してしまっては「ジ・エンド」。今からでもできることは、ある。

先ずは、「己が実力」を悟ること(「己が」=「おのが」が読めなければ既にヤバイと自覚せよ)。過去問を解いてみて(少なくとも5年分以上)、「5割未満の正答率」だったら「中学入試レベル」からの再スタートだ(分かっていると思うが、「中学入試」を馬鹿にしてはいけない。上位校では「高校入試」どころか「大学入試」のレベルに達する)。「5割超の正答率」でも無論、不断の努力は欠かせない。要は、地道な努力、日々の積み重ねあるのみだ。

さらに、「口語文法」も侮ってはいけない。直接出題されるし、「記述」にも不可欠だ。日本語として「文法」的に「正しい文」でなければ「減点」されるし、そもそも内容が正確に伝わらない。特に、「品詞分類」「文節の相互関係」といった「基礎的事項」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の「意味・用法」は確実に定着させておくことが重要だ。

なお、「知識」強化用のテキストとしては、「高校入試 でる順ターゲット 中学漢字・文法630」(「文法」含む)や「高校入試 でる順ターゲット 中学漢字」(共に旺文社)などが推薦できる。また、残念ながら「中学入試レベル」から再スタートの場合は、「四谷大塚」の「四科のまとめ『国語』」(HPから購入可能)等がオススメ。

古典

「公立中学」の「国語」でも「古典」は扱う。「古文」「漢文」は必須のカリキュラムだ。しかし、「指導要領」上はほんの導入部分だけで、本格的な学習はしない。「文語文法」等を体系的に学ぶことはない。

が、私立の「高校入試」ではそれらも含めて出題されることになる。明らかに「ハンディ」だが、仕方がない。塾での学習ないし「独習」するしかない。最重要な「古文単語」(200語程度)を定着させ、基礎的な「文語文法」は理解しておかなくてはならない。

そして、できるだけ多くの「古典作品」に触れて慣れておくことが重要だ。「漢文」についても、「攻略ポイント」で触れたとおり押さえておかなくてはいけない。

なお、「古文」強化用のテキストとしては、「古文完全攻略63選——入試頻出問題厳選」(東京学参)や、「古文単語」定着用として「マドンナ古文単語230」(学研)などが推薦できる。

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2018年度「中央大学高等学校の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問は「漢字問題」、「読み」「書き」各5問。2分以内で丁寧に終えたい。

大問は「論説文」、出典は千野帽子「人はなぜ物語を求めるのか」(文字数約4000字)。
小問は全9問(解答数14)。「選択肢」(「空所補充」「内容合致」あり)、「抜き出し」(「空所補充」あり)、「説明記述」(「40字以内指定」1問)、「総合的知識問題」(「四字熟語」「文学史」)。問題文は5分強で読み切り、設問を13~14分で解きたい。

大問は「小説」、出典は橋本治「初夏の色」所収の「団欒」(文字数約5300字)。小問は全9問(解答数10)。「選択肢」(「空所補充」あり)、「語句記述」、「説明記述」(「40字以内指定」1問)、「総合的知識問題」(「語句の意味」「表現技法」)。問題文は7分ほどで読み切り、設問を10数分で解きたい。

大問は「古文」、出典は作者不詳「当世手打笑」(文字数約140字)、小問は全4問(解答数6)。「選択肢」(「空所補充」あり)、「事項記述」、「仮名遣い」、「説明記述」(「字数指定なし」1問)。6~7分で解きたい。

大問は「漢文」、出典は「Ⅰ」が蘇軾「上神宗皇帝書」(文字数10字)、「Ⅱ」が太宗撰「帝範」(文字数7字)。小問は全3問(解答数3)。「記述」(書き下し文)、「返り点記入」、「総合的知識問題」(四字熟語)。3分ほどで解きたい。

大問は「総合的知識問題」、小問なし(解答数4)。全「口語文法」。2分ほどで解きたい。

【大問一】漢字問題

  • 時間配分:2分以内

「漢字の読み書き」(全10問)。例年よりやや難易度が上がっている。失点を最小限に抑えられるかが勝負だ。「文脈」も確認しながら熟語を特定していくこと。

(1)「改築をウけ負う」=「請(け」」⇒これはできて当然、
(2)「イチドウに会して」=「一堂」⇒「会して」から特定せよ、
(3)「利益をセッパンする」=「折半」⇒知っている熟語のはず、
(4)「主任にヒッテキする働き」=「匹敵」⇒「能力や価値などが同程度」ということ、
(5)「イカンなく実力を発揮し」=「遺憾」⇒「文脈」から判断したいが、馴染みが薄いか? 
(6)「仲が疎くなった」=「うと(く)」⇒これは頻出だ、
(7)「この界隈」=「かいわい」⇒これは難解、
(8)「審議会に諮問する」=「しもん」⇒これは定番、
(9)「解毒作用」=「げどく」⇒何の問題もないはず、
(10)「背中に悪寒が走り」=「おかん」⇒「難読熟語」として習得すべきもの。

本校が求める「ハイレベルな語彙力」に対応するためには相当な努力が必要だと心得よ。

 

【大問二】論説文

  • 時間配分:

人の思考の枠組みのひとつである「物語」とは何であろうか? 私たちは「物語」によって救われたり、苦しめられたりする。その仕組みを知れば、人生を苦しまずに生きられるかもしれないという問題意識で、「事実の羅列」に因果関係を見い出そうとする人間の思考癖について論じている。

本文では、「物語」の出発点は「望ましからぬ、不本意な事態」であり、それを変えようとする「問題-解決(の試み)」でストーリーが動き、やがて、どのように「平衡状態」に着地するのかとシミュレーションするが、それは意識しないところで勝手に起こるプロセスだと指摘している。

「文学論」ではあるが、馴染みのある「具体例」も多く、内容は理解できるはずだ。「総合的知識問題」も含め、いかにも本校といった、実に多彩な小問が並ぶ。迅速に解き進めていきたい。以下、いくつか検討してみたい。

[問二] 「語句の空所補充選択肢」(4問/4択)。
本文中の空所[ Ⅰ ]~[ Ⅳ ]にあてはまる「適切な語」を答える。選択肢は全て「接続詞」、本校に限らず定番の問題だ。
「逆接」以外には十分に注意しなくてはいけない。「逆接」以外だと、どれもあてはまってしまう可能性があるのだ。
単純に前後を読みつなぐだけではなく、それぞれの「接続詞」の「意味・用法」を的確に押さえた上で、「文脈」を確認する必要がある。
また、段落冒頭の「接続詞」は前段落全ての内容を受けているので注意すること。

各空所の「答え」を確認していきたい。
[ Ⅰ ]には「例示」の選択肢(ウ)「たとえば」、
[ Ⅱ ]には「順接」の(エ)「ですから」、
[ Ⅲ ]には「逆接」の (イ)「しかし」、
[ Ⅳ ]には「選択」の(ア)「あるいは」がそれぞれあてはまる。

「接続詞」「副詞」などの「空所補充」は必出だ。失点は致命傷になると心得よ。

<時間配分目安:1分半>

[問三] 「語句の空所補充選択肢」(全2問/4択/順不同)。
「総合的知識問題」。本文中にある空所    A        B    にあてはまる「四字熟語」を答える。

「傍線部(空所部)一文一部の法則」(「傍線部(空所部)が一文の一部分だった場合、傍線部(空所部)以外が重要」という「重要解法」)で空所前後を確認する。

   A    とか、      B    とかいった、ストーリーの道徳的なパターン」となっている。つまり、各空所は、「物語」の「ストーリーの道徳的なパターン」を表す内容の「四字熟語」だということだ。

各選択肢は、(ア)「一喜一憂」、(イ)「因果応報」、(ウ)「勧善懲悪」、(エ)「四面楚歌」、(オ)「波乱万丈」。どれも基本的なものばかりなので、「答え」は(イ)(ウ)だと即断即決できるはずだ。本問は平易だったが、本校合格に向けては、難易度の高い「四字熟語」も必ず習得しておくことが肝要だ。

<時間配分目安:1分以内>

[問五] 「理由説明の空所補充抜き出し」(「10字以内」指定)。
傍線部(3)「しようと思わなくても、してしまうのです」について、示されている「『なぜそうなるのか』を説明した文」の空所にあてはまる「語句」を「十字以内」で抜き出して答える。

説明文を確認してみる。「人間には、           が備わっているから」となっている。何はともあれ、何を「してしまう」のかが分からなくては始まらない。直前から、「その後のストーリー展開の弾道を計算してしまう」ことだと判断できる。

「指示語」があるので開くと(「指示語」が出たら即開くことが肝要)、「その後のストーリー展開」=「ストーリーの世界で特筆すべき要素のない平衡状態に着地すること」だと分かる。

さあ、ここからだ。「抜き出し」では、「抜き出すべき内容」を特定した上で「抜き出し範囲」を絞っていくことが鉄則。当然、「抜き出すべき内容」は、「なぜ、そうしたことを『計算してしまう』のか」という「理由」だ。

「同一意味段落」から、その「理由」を読み解いていきたい(「論説文」では「同一意味段落」に「根拠・手がかり」がある)。傍線部の直前から、「人間」は「平衡状態に着地すること」を「感情的に期待」してしまうということが分かり、その「感情」について、5段落前に説明されている。

曰(いわ)く、「ストーリー的な解釈によって非常時を切り抜け、失われた平常を取り戻したいという感情を、感情のホメオスタシスと名づけました」。つまり、この「感情」があるから、「特筆すべき要素のない平衡状態に着地すること」を「計算してしまう」わけだ。したがって、「答え」は「感情のホメオスタシス」となる。「抜き出し」では「内容」と「範囲」の絞り込みがポイントだ。

<時間配分目安:2分半>

[問六] 「理由説明記述」(「40字以内」指定)。傍線部(4)「ストーリーが完結したことを感情的に納得することができます」について、「それはなぜか」を「四十字以内」で説明する。どうなると「納得」するのか? 

「傍線部(空所部)一文一部の法則」で確認すると、直前に「『人類はこうして滅亡しました。おしまい』で終わっても」とある。「滅亡しました」で終わっても、「ストーリーが完結」したと「納得」する? なぜか? 

さらに確認すると、4行前に「特筆すべき要素のない平衡状態は、ハッピーエンドである必要はありません」と説明されている。では、「特筆すべき要素のない平衡状態」とはどのように結びついているのか? 

「同一意味段落」から読み解いていく。前段落冒頭に、「人間は、……ストーリーの世界でそれ以上特筆すべき要素のない平衡状態に着地することを感情的に期待してしまいます」とある。結びついた。

あとは、的確に「過不足なく」まとめていきたい。たとえば、「人間は、結末はどうあれストーリーが平衡状態に着地することを感情的に期待するから。」といった「答え」になる。「解法」を的確に用いて、段階的かつ論理的に考えていくことが肝要だ。

<時間配分目安:3分>

【大問三】小説

  • 時間配分:

日常の細部と感情のディテールをリアルに描きだし、それぞれの胸に宿る小さな光、生きる意志を掬いとる――東日本大震災を経て生きる日本人をつぶさに見つめようとする短篇集の一篇。

「団欒」と題された本文は、家族が食卓に揃って晩飯を食べている様子が淡々と描かれているだけだが、大震災後バラバラになっていた4人が5年ぶりに囲むひとつの食卓が明るいのは、「あたりまえの風景」こそが尊いと思うようになった私たちの心情が投影されている。

記憶に新しい大きな出来事が物語の背景にあり、登場人物たちの心情の機微を読み取ることはできるはずだ。この大問でも多種多様な小問が控えている。以下、いくつか確認する。

[問1] 「心情説明選択肢」(4択)。傍線部(1)「父親はそれに答えなかった」について、このときの「『父親』の心情」を答える。

「指示語」があるので、先ずは開く。「それ」=「息子」が「僕も頑張るよ」と言ったことだと分かる。「選択肢設問」は「消去法」が原則。先ずは「原意消去」をしたい(「原意絶対優位の原則」=「設問」「傍線部」等の「原意」、要は「本来の意味」を最優先に考えること)。だが、さすがに傍線部だけでは無理だ。

そこで、「直前直後」に着目したい(「小説」では「同一場面の直前直後に手がかり・ヒントあり」が「解法」の大原則)。直後の段落から、「五年前の揺れで牛舎は傾き、牛も買い直さねばならず、牛乳の安全が完全に保証されていない中で酪農を再開して『大丈夫』とは言えない」といったような状況が読み取れる。そして、続いて「息子が『頑張るよ』と言って、素直に喜べるのか?」という「父親」の思いが述べられている。

ここで、各選択肢の「文末」(「選択肢」の説明で最も重要な要素は「文末」に記されている)と照合して、「『父親』の心情」と結びつかないものを「消去」したい。

(ア)「(息子)の希望を打ち砕くようなことは口にしたくない」、
(イ)「けなげな息子の言葉に胸がいっぱいになり言葉が出ない」、
(ウ)「自分がふがいなく情けない」、
(エ)「息子のことを巻き込んでしまったことに対して、完全には吹っ切れていない」。

「素直に喜べるのか?」と「?」なのだから当然、(エ)以外は「消去」できるはずだ。他の部分の説明も特に誤ってはいない。よって、「答え」は(エ)だ。ここでは無理だったが、「選択肢設問」では先ずは「原意消去」を試みることが肝要。

<時間配分目安:1分半>

[問三(1)] 「語句の意味の選択肢」(5択)。「総合的知識問題」。傍線部(2)の「食い下がる」について、「本文中の意味」を答える。

「原意」から「答え」を確認する。

「食い下がる」=「①食いついたり,しがみついたりして離れない②ねばり強く相手と争ったり追及したりする」。知っていて当然の「語彙」だ。

各選択肢は、
(ア)「反発する」、
(イ)「不審がる」、
(ウ)「しつこく聞く」、
(エ)「呆気にとられる」、
(オ)「調子に乗る」。

無論、ここでは②の「意味」で、「答え」は(ウ)になる。

尚、「本文中の意味」とあるが、「本文内容」だけに引きずられてしまうと見誤ってしまうので、先ずは「原意」で「消去」することが肝要だ。

<時間配分目安:1分以内>

[問四] 「内容説明選択肢」(4択)。傍線部(3)「千春は『悪いけど、あんたがいやがるのよく分かるよ』と言った」について、その「説明」を答える。

無論、最初に「原意消去」を試みたい。ここでは「よく分かるよ」がポイントだ。この「原意」と、各選択肢「文末」の「内容」とが結びつかないものを「消去」する。確認する。

(ア)「共感を示している」、
(イ)「怒りを抑えきれずに裕次にぶつけている」、
(ウ)「(千春は)甘んじて受け入れようとしている」、
(エ)「裕次にアピールしている」。

どうか? 「よく分かるよ」と言っているのだから当然、「共感を示している」以外は「消去」できなくてはいけない。他の部分の説明も特に誤ってはいないので、「答え」は(ア)になる。余裕の「一発消去」だ。「内容説明」、「心情説明」に関わらず、やはり「原意」にこだわっての「消去」が肝要だと心得よ。

<時間配分目安:30秒>

[問六] 「語句の空所補充記述」(「3字以内」指定)。「総合的知識問題」。「慣用句」だ。傍線部(5)の「水泡に【   】」の空所にあてはまる「言葉」を「三字以内」で答える。「傍線部(空所部)一文一部の法則」で確認すると、直前に「それから四年、一切が」とある。

さあ、すぐに思いつくだろうか? やや難解か? 「水泡に帰す」という「慣用句」だ。「水の泡がはかなく消えるように、努力したことが全く無駄に終わる」ことを表す。知らなかった諸君は覚えておきたい。よって、空所には「帰す」があてはまるわけだが、ここでは「文脈」から「活用」させる必要があるので注意したい。

「答え」は「(水泡に)帰した」になる。「ことわざ」「慣用句」「故事成語」なども本校では頻出なので、確実に定着させておくこと。

<時間配分目安:30秒>

[問七] 「表現技法の選択肢」(5択)。「総合的知識問題」。
傍線部(3)「記憶は、個々人の胸の中に、個々人の記憶として細い根のように伸びているだけだ」について、このような「表現技法を何というか」を答える。「細い根のように伸びている」⇒「比喩」の助動詞「ようだ」が用いられている。

ということは、「答え」は無論、選択肢(エ)の「直喩法」だ。即断即決できなくてはいけない問題だ。尚、本校では、「表現技法」が定番なので、他の選択肢の「倒置法」「中止法」「並立法」「隠喩法」も当然、定着していなくてはいけない。

<時間配分目安:1分以内>

【大問四】古文

  • 時間配分:

江戸時代前期成立の「咄本(はなしぼん)」(=「笑い話」を集めた書物)のひとつ。本文では、「物いまひ(=※縁起かつぎ)する住職」の注意も空しく、「元日」に「小僧」がとんでもない「粗相(=※縁起の悪いこと)」をしてしまうというお話。

昨年に引き続き江戸時代の「咄本」だ(本年度で4年連続となる。本校は「お笑いネタ」がお好みのようだ)。設問は「古文の基礎的知識」を問うものが多いが、中には「文脈」からの「内容解釈」が必要なものもある。以下、2問だけ検討する。

[問三] 「仮名遣いの変換記述」。傍線部(2)「付けませう」を「現代仮名遣い」に改める。誰もが知っていなくてはいけない「歴史的仮名遣い」の基本。「母音」と「母音」が直接つながった場合の変換だ。

「つ・け・ま・せ・う」=「tu・ke・ma・se・u」⇒「e・u」=「yo(∧)」⇒「syo」=「tu・ke・ma・syo」⇒「付けましょう」が「答え」となる。他に「母音」と「母音」では、「i・u」→「yu(∧)」、「a・u」→「ou」がある。また、「語頭」以外の「は・ひ・ふ・へ・ほ」⇒「わ・い・う・え・お」も常識。「仮名遣い」は本校に限らず頻出なので確実に定着させておくこと。

<時間配分目安:30秒>

[問四] 「内容解釈の条件付き説明記述」(「字数指定」なし、「30字ほど」の解答欄)。
傍線部(3)「ぎやうさん気にかけられた」は「たいそう心配した」という意味だが、「どうことを心配したのか」を説明する。「条件」は「具体的に説明する」こと。

「傍線部(空所部)一文一部の法則」で確認すると、「小僧」が「住持(=※住職)」に対して「お住持様の灰にならしやる」という俳句を詠んだことで、「住持」が「ぎやうさん気にかけられた」ことが分かるはずだ。「灰にならしやる」=「灰になりなさる」。「灰になる」、つまり、「死んで灰になる」ということだ。

したがって、たとえば、「『灰にならしやる』は、死んで灰になってしまうことだということ」といった「答え」になる。「内容解釈」では「文脈」を正確にたどることが肝要。それは「現代文」と同じだ。

<時間配分目安:1分半>

【大問五】漢文

  • 時間配分:

「Ⅰ」は「北宋」の文学者・政治家による思想書、「Ⅱ」は「唐」の時代に成立した「帝王学」の教科書。「返り点」「書き下し文」といった本校お馴染みの「漢文の基本問題」。一気呵成に得点すべき大問。以下、2問だけ確認する。

[問一] 「書き下し文記述」(「平仮名」指定)。

「Ⅰ」の全文、「不(ず)三以て(もつテ)レ 無(キヲ) レ姦(かん)、而養(ハ)二不(ざル) レ 吠(エ)之(の)犬(ヲ)一」(*「レ」「一」「二」「三」は「返り点」。

「平仮名」は「読み」、「カタカナ」は「送り仮名」)を、「全て平仮名」で「書き下し文」にする。「全て平仮名」というのが曲者だ(「吠(エ)」は読めるか?)。

また、「而」は「置き字」なので注意すること。例年以上の難問だ。「返り点」の付されていない文字から読み、「レ点」は下→上、「一二三点」は「一」→「二」→「三」の順に読み、「送り仮名」をつける。

したがって、「かんなきをもつてほえざるのいぬをやしなはず」が「答え」となる。

「返り点」「書き下し文」は「基本のキ」なので、しっかりと習得しておくことが肝要。尚、「書き下し文」では「付属語(助動詞・助詞)」を「平仮名」とし、当然、「歴史的仮名遣い」で表記すること。

<時間配分目安:1分半>

[問一] 「返り点記入」。

「Ⅱ」の全文、「不 以 一 悪 忘 衆 善」に、「書き下し文」の「一悪を以て衆善を忘れず」を参考にして、「返り点」を記入する(「読み仮名」「送り仮名」は不要)。

「一悪(ヲ)」→「以(テ)」→「衆善(ヲ)」→「忘(レ)」→「不(ず)」の順だ。よって、「答え」は「不下 以二 一悪一 忘中 衆善上」(*「一」「二」「上」「中」「下」が「返り点」)となる。「返り点」は十分に練習しておくこと。

<時間配分目安:1分>

【大問六】総合的知識問題

  • 時間配分:

「総合的知識問題」。「口語文法」だ。例年多種多様な「知識問題」が出題されるのだが、本年度は1問のみだ。平易なものが多いので、短時間にこなしていきたい。検証する。

[問一] 「文法的説明の選択肢」(全4問/18択)。示されている文中の傍線部(1)~(4)の「文法的説明」を答える。「品詞」および「活用形」(「動詞」の場合は「活用の種類」も判別する)が問われている。「口語文法」の基礎だ。確認する。

(1)「丈(た)け高い熊笹」=形容詞「高い」の連体形(「熊笹」という「体言」を修飾している)⇒「答え」は選択肢(シ)
(2)「生い茂った」=5段活用動詞「茂る」の連用形(「促音便」になっている)⇒「答え」は(イ)
(3)「あらゆる艱難(かんなん)」=体言のみを修飾する「連体詞」⇒「答え」は(チ)
(4)「ついに今日のような……」=「副詞」(文末の「至りました」という文節に係る連用修飾語)⇒「答え」は(タ)

本校では、「付属語(助動詞・助詞)」も含め、「口語文法」の徹底した「理解・習得・定着」が必須。

<時間配分目安:1分半>

攻略ポイント

●「ハイパーな時間勝負」となる。どう「攻略」するか? 「解答順」が最重要。「得点できる問題」を「時間切れ」で逃すのは最悪だ。「現代文」「古文」「漢文」「漢字」「総合的知識問題」、どの大問から解くか?
「漢字」「知識」を最初にこなすのは当然だが、他は自分自身の特性に応じて事前に決めておくこと。要は「取れる問題を確実に押さえる」ことだ。逆にいえば「捨て問」という覚悟も求められる。
「国語」の「合格者平均得点率」(5年間平均で67.9%)は3科合計の「合格者最低得点率」(4年間平均で55.9%)を大幅に上回る。したがって、「国語」での「失点」は致命的になると肝銘せよ。

●「説明記述」の対策は? 実直に「記述」の「練習」を続ける他はない。正否の分かれ目となる「最重要要素」を「文末」として他の「必要要素」を積み上げていくという手法を完璧にマスターすること。「内容」から優先度を特定し、高いものから積み上げていく。徹底的に練習することが必要だ。

●「多様な設問内容」にはどう対処するか? いかに「解法」を的確に用いるかがポイントだ。「設問内容」に応じた「解法」に則して段階的に解いていくことが肝要。そのためにも、基本的「解法」を完全に習得して、適切に応用できるようにしておく。

●配点比率が高い「総合的知識問題」も無論、侮れない。「高度な語彙力」は勿論、「文法」「文学史」等まで網羅した「あらゆる知識」が必要なので、独自に習得していくことが重要だ。

●「古文」の「攻略法」は? 重要な「古文単語」の定着はもちろんだが、「内容理解」も求められるので「基礎的文語文法」は押さえておきたい。また、「漢文」でも「返り点」「書き下し文」などの基礎は必ず定着させておくこと。

●試験時間は50分。問題文は「現代文」だけでも7000字程度(本年度は一気に増えて何と9300字。無論、速く正確に読み取ることが求められる。分速750字以上を目標に「読む練習」を常にすることが重要だ。

 

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