開成高等学校 入試対策
2025年度「開成高等学校の英語」
攻略のための学習方法
合格を絶対に勝ち取るための攻略的学習法について以下に項目別に述べることとする。
①単語力は大事である
具体的には最低でも3500単語は欲しいところ。最難関校用の単語帳(英検レベルでは準2級相当)をしっかり学習し単語力を定着させること。特に、一つの単語で多様な意味を有する単語は要注意。例えば、figureという名詞には「人形、人物、数字、(数字の)桁、図柄、形」などの意味がある(同様な単語は他にもたくさん存在)ことなどをしっかり把握しておくこと。そうしないと、英文を正しく読むことができなくなる。
文法というものは、単にその知識を習得するだけではないことは言うまでもない。そのような知識習得は当然のこととして、開成高校合格を目指す受験は是非次のことを念頭に焼き付けて欲しい。
『文法事項とは情報伝達の基本ルールであり、話し手・書き手は聞き手・読み手に何を本当は伝えたいのかを認識・理解するための基準である』
それでは、具体的に最低限必要な文法事項について以下に概観しよう。
②関係代名詞についての理解を深める
英文が長くなる主たる原因の一つである。目的格(whom/which)の省略に慣れることや、先行詞を修飾する関係代名詞に導かれた形容詞節が何処までかを( )でくくり前にある先行詞にかけて(修飾させて)訳を考えること(いわゆる『返り読み』)は行わないように。これは、最後まで読んで前に戻るという手法で時間のロスが大きい。その場合には、関係詞に関係なく左から英文に合わせて先行詞まで一気に読み、関係代名詞以下を「そして~である」と読めるように日頃から練習を積むべきである。いわゆる『返り読み』をしないとこが大切である。
③分詞構文には十分慣れておくこと
文頭に~ingがあり、それが動名詞として主語の働きをしていない場合には、分詞構文と捉えること。分詞構文の代表的用法としては、ⅰ)時(~のとき)、ⅱ)譲歩(~だけれども)、ⅲ)理由(~なので)、ⅳ)様態(~のように)、条件・場合(~の場合は)などがある。しかも、次に述べる接続詞(as)との関係で、ⅰ)~ⅳ)をしっかり覚えること。なぜならば、asにはⅰ)~ⅳ)の全ての用法があり、さらに付帯又は時の経過(~するにつれ)という用法もあるからである。また、-ed(過去分詞)で始まる動詞で始まる分詞構文もあるので注意すること。その場合には、従属節(条件節)な受動態の場合であることも必須知識である。
④前置詞・接続詞に注意するように
どのような場合にどの前置詞を使用するかの識別をしっかり押さえておくこと。toがあると無条件で原形動詞があとに続くと考えてはいけない。イディオムによっては、toが前置詞(その後には名詞が置かれる)である場合には、前置詞のルールに従い原形動詞ではなく名詞の役割を持つ動名詞(~ing)が続くということも必須知識として押さえたいところ。
⑤仮定法は願望である
少々乱暴な言い方に聞こえるかもしれない。どういうことか。一文を例示しよう。仮定法過去(現在の事実を否定しこうだったらいいのになぁという願望)の典型的な英文を一緒に考えてみよう。
If I were a bird, I could fly the sky.
一度は目にした英文だろう。例文の動詞(助動詞)の時制は見た通り『過去』であるが、文頭にifがあるために、この英文は仮定法過去の文章となり現在の事実を否定して、現実とは逆のことを想定しているのである。つまり、現実には「私」は現実には「鳥」ではないが、もし「鳥」ならば空を「飛ぶ」ことができる(空を飛びたい)のに、という「私」の願望が込められているのである。
⑥比較は時系列の中での比較を習得しよう
比較には2種類あることを理解して貰いたい。第1には『同時に異なる2事象以上を比較する』ということである。したがって、この場合には『比較の元』になる事象が必要なのでthan以下の表現を伴うのである。つまり、AとBを同時に比較し『Aの方がBより背が高い(A>B)』という表現になる。第2には『時の経過の中で変化してゆく様を表す(比較する)』ということである。つまり『Aは10年たって背が伸びた(10年前に比較するとAは背が伸びてA´になった)』ということである。この様な比較の用法があることもしっかり押さえておいて欲しい。
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2025年度「開成高等学校の英語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問1は、長文総合読解問題(物語)<8分>。2人の羊飼いに関する物語。
大問2は、長文総合読解問題(説明文)<12分>。創造性とは何か、創造的な人間とは、さらに創造的とはどのようなことかに関する説明文である。
大問3は、同音異義語問題<3分>。出題形式としては頻出である。各英文の意味を捉えて的確に解答すること。
大問4は、正誤問題<3分>。構文や文法事項、また単語の持つ意味などを多角的に考え抜くことが重要である。
大問5は、適語補充の書き換え問題<3分>。英文の内容に一致する単語を考える。
大問6は、整序問題<6分>。イディオムや文法的知識を的確に各設問に当てはめること。
大問7は、リスニング問題<15分>。
【大問1】長文読解総合(小説)の問題
- 時間配分:8分
2人の羊飼いに関する小説である。難解な単語や表現は見られないが、本文中に出てくる会話表現や情景描写を正確に読み取る必要がある。特に、会話表現は文脈を正確に捉えることが必要である。
以下に設問ごとのポイントと最後に本文で扱われている文法重要事項についてみていきたい。
(問1)下線部訳問題<1分>
thoughの処理の仕方、および仮定法に関する知識に基づく訳出が必要である。仮定法は、受験英語のみならず高校英語にとっても極めて重要な文法事項である。本問解説の最後に仮定法に関する重要事項を解説したい。
(問2)空所補充文選択問題<2分>
(2)は直前にbutがあることから前に述べている内容とは反する内容が述べられていることが予想できる。
(4)直後の内容を正確に把握すること。
(6)直後の文はtending to them in the way she always tended to thingsとある。この英文の内容を正確に読み取ること。また、本文にあるthemはthe sheep(単数・複数同形)である。
(問3)整序問題<1分>
本文の設問個所の3行下にBut something was strangeとあり、このButで導かれた文が続くような内容の英文が整序対象となる英文である。つまり、nothing seemed wrongという英文としたい。
(問4)英文解釈問題<1分>
on its journey across the dome of skyとは、「太陽が順調にのぼってきている」ということを表現している。wellとは「十分な」という意味である。
(問5)語句解釈問題<1分>
本文設問個所の2行下にmoving between the rocks ―he saw it-the back half of a wolfとある。
(問6)適語選択問題<2分>
(1)は、And Mop, too, though he sometimes complained about the length of the journey to marketの箇所に合致する。
(2)は、It would be a lamb having got lost, he was sureと合致する。
《本問での重要文法事項》
※仮定法:仮定法過去、仮定法過去完了の文の形をしっかり理解し習得すること
①仮定法過去は、現在における事実と反することを表現する際に使われる。
「If S +過去形, S would(could)+動詞原形 ~」
この形を確実に覚えること。
If I were a bird, I could fly the sky.という英文においては、現実は鳥ではないので空を飛ぶことはできないが、もし鳥ならば空を飛ぶことができるのになぁ、鳥ならいいのになぁ(願望)という内容である。つまり、仮定法過去(仮定法過去完了にも当てはまる)とは「願望」を含めた内容を表現するということを念頭に置いておこう。
②仮定法過去完了は、過去における事実と反することを表現する際に使われる。
「If S had +過去分詞, S would(could) have+動詞過去分詞 ~」
この基本形を覚え長文の中で的確に訳出できるようにしておくこと。
If I had not so been busy, I could have enjoyed reading a book.という仮定法過去完了の文において、とても忙しかったので読書を楽しむこともできなかったが、もし忙しくなかったならば読書を楽しむことができたのになぁ、読書を楽しみたかったなぁ(願望)という内容になる。
③仮定法の注意するべき構文
・without ~、but for ~はともに「~がなければ/なかったならば」となる。これは、意味が「現在」でも「過去」でも使える。
・Ifが省略されると「倒置」が起きる。次の英文を参考にして欲しい。
If I were in your place, I might give up trying.
⇒ Were I in your place, I might give up trying.( 部分が倒置)
【大問2】長文総合(説明文)の問題
- 時間配分:12分
創造性とは何か。歴史上の著名な人物(Mozart, da Vinci, Einstein)を例に示しながら、われわれの誰もがそのような歴史に名を残した人物にはなれなくとも、“small c creativity” “personal everyday creativity”と呼ばれている「創造性」がいかなる能力にdepend onしているのかを読み解く。なお、本問本文中で使われているas、および形式主語について最後に解説する。
(問1)整序問題<1分>
選択語群中にwhatが2つある。結論から言えば、1つは関係代名詞、1つは間接疑問詞である。
(問2) 言い換え問題<2分>
on top of ~は「~に加えて」というイディオムである。選択肢オのIn addition to ~が類似したイディオムである。
(問3)適語補充問題<2分>
いずれもイディオムに関連した適語補充問題である。
(3a)set ~ apart from…は「~を…から離れさせる(分離する)」である。
(3b)come up with~は「~を思いつく」である。
give、take、makeなどの基本動詞を用いたイディオムはしっかり確実に覚えておくこと。
(問4)適切英文選択問題<3分>
前後の英文を参考に文脈に適した英文を選択する。
(4a)直後の文に、…teachers are often able to give examples of creative activity in arts subjectsとある。
(4b)直後の文に、For instance, engineering …とあるように本問空所の具体例が示されている。
(4c)選択肢エの文頭にあるItが何を指しているかを考える。
(4d)直前の文に、…creative thinking must be a key priority in educational environment.とある。この内容と関連して適正な選択肢を選ぶ。
(問5)下線部訳問題<2分>
~ rather than …「…よりむしろ~」の処理の仕方がポイントである。
(問6)内容真偽問題<2分>
ウの“Small c creativity”について言及している個所は、These examples are known as “small c creativity” or “personal everyday creativity”である。
カのThinking creatively …は、…people tend to see thinking creatively as independence of thought …の箇所と一致する。
《本問での重要文法事項》
※1.as(接続詞・前置詞)の用法
①接続詞のas
ⅰ)時を表す(~しているとき、~しながら)
As I got to my home, it began to rain.
ⅱ)比例を表す(~するにつれて)
As he grew older, he became more sociable.
⇒As 以下にgrow、increaseなどの変化を表す動詞や比較級が使われている。
ⅲ)原因・理由を表す(~なので、~だから)
As I overslept, I missed the first train.
ⅳ)様態を表す(~のように)
Do as you are told to do.
ⅴ)譲歩を表す(~だけれども)
Poor as he was, he was happy.
⇒この場合はasで導かれた部分(従属節または条件節)が「名詞(形容詞・副詞)+as+S+V」の形となることに注意する。
②前置詞のas
ⅰ)「~として」という意味
He works hard as a leader.
ⅱ)「~と、~だと」という意味
You regard me as a fool.
ⅲ)「たとえば~のような(に)」
I like watching ball games, such as baseball.
※2.It(形式主語)の用法
①itが不定詞を受ける場合
It is natural for me to read a book.
②itが名詞節を受ける場合
It is a pity that he missed the first train.
③itが形式目的語となる場合
You find it difficult to teach him English.
I thought it impossible that you would win the game.
【大問3】同音異義語問題
- 時間配分:2分
(1)上はmail「郵便」、下はmale「男性の」を表す。
(2)上はplane「飛行機」、下はplain「味をつけていない」を表す。
(3)上はbored「退屈な」、下はboard「板」を表す。
(4)上はson「息子」、 下はsun「太陽」を表す。
※上記以外にも以下の同音異義語も覚えておこう。
oneとwon、
red とread(read(現在形)の過去形)
noseとknows
waitと weight
flower と flour
【大問4】文法正誤問題
- 時間配分:3分
ア 2つの事柄のうち、1つはone、残りの1つはthe otherである。3つ以上の場合は、1つはone、残りの2つ以上はthe othersとなる。
オ 時制の問題である。高校生になった(過去)ときより以前に歴史の教師を知っていたのであるから、「歴史の教師を知っていた」は過去完了となる。
※時制の一致は入試問題でも頻出問題である。また、条件を表す副詞節はたとえ「未来」のことでも現在形で書くことに注意しよう。
I am going to go shopping if it is sunny tomorrow.(if 以下が未来形ではなく現在形となる)
【大問5】適語補充問題
- 時間配分:3分
(1)「私のオフィスは駅から徒歩圏内(within walking distance)にある」という文である。
(2)「生徒の中には授業中に注意を払う(pay attention)ことが難しいものもいる」という文である。
(3)「正方形(square)は4つの直角を形成する4つの直線である等辺をもつ図形である」という文である。
(4)「工場からでる煙などの大気汚染(pollution)は主要な環境問題であり社会問題である」という文である。
【大問6】整序問題
- 時間配分:6分
イディオムや文法事項に基づき語群を並び変える。
(1)受動態の文を作る。look up to ~は「~を尊敬する」というイディオムである。
(2)「彼が言ったこと」はwhat he said、「ずば抜けてよい」は語群の中からby far the bestと組み立てる。
(3)「~ようだ」はIt seems (that) S+V~の形を使う。「させる」は使役であるので語群の中からletを用いる。
攻略のポイント
例年通り、求められている英語力は高校初級レベルを超えている。実態的には英検で考えると準2級以上のレベルは最低でも必要である。一つ一つの設問内容は、比較的標準レベルであるが、自分の知識の引き出しの中に蓄積させている「知識の山」から、迅速かつ正確に最適な知識(道具)を取り出せるか否かがポイントとなる。
また、日頃から解答時間を自分で計り、感覚的に時間の尺を自分の体に叩き込む必要がある。具体的には、1分間で100wsを読めるスピードが必要であろう。単語力は、最低でも3500単語は欲しい。
文法知識は、関係代名詞、分詞構文、前置詞、仮定法、比較、準動詞の知識とそれらの事項に関連した例文はしっかり理解しておくこと。書き換え問題では話法も頻出であるのでしっかり事前準備をしておきたい。
難関校対策として様々なジャンルの英語長文読解総合問題(700ws)を2日に1題を目標に取り組んで欲しい。