東京農業大学第一高等学校 入試対策
2014年度「東京農業大学第一高等学校の国語」
攻略のための学習方法
[解法]
一筋縄ではいかない「多種多様な設問」が出題される「農大一高の現代文」で勝利するための基本は、「解法」をいかにうまく使うかということだ。「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。「論説文」(説明文)独自の「解法」と全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。
そこで肝要なのは、「復習」の仕方だ。「答え合わせ」をして「解説」を読み納得した。問題はその後だ。「考え方のプロセス」を「トレース」することが必須。万一、「トレース」できないとすれば、そのこと自体が問題になる。「解法」が定まっていない証だからだ。そして、「間違った問題」こそ宝の山だと認識すること。「解き方のプロセス」のどこで誤ってしまったのか？ その「分岐点」をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことこそが、同じ間違いを繰り返さない秘訣になる。さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方のプロセス」を身につけたい。それが「解法」となる。そうして理解、習得したものを書き留めた自分自身の「解法ノート」を作成しておきたい。解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。
[知識]
「出題比率」が高く、「本文読解」等でも必然的に問われることになる農大一高の「総合的知識問題」。
いかなる「学習法」があるのか？ 「国語的知識」は幼少期からの蓄積、故に「15の春」を前にした今ではもはや手遅れ。確かに、そうした側面はある。だが、そこで思考停止してしまっては「ジ・エンド」。今からでもできることは、ある。先ずは、「己が実力」を悟ること(「己が」＝「おのが」が読めなければ既にヤバイと自覚せよ)。過去問を解いてみて(少なくとも５年分以上)、「５割未満の正答率」だったら「中学入試レベル」からの再スタートだ(分かっていると思うが、「中学入試」を馬鹿にしてはいけない。上位校では「高校入試」どころか「大学入試」のレベルに達する)。「５割超の正答率」でも無論、不断の努力は欠かせない。要は、地道な努力、日々の積み重ねあるのみだ。
さらに、「口語文法」も侮ってはいけない。直接出題されているし、「記述」にも不可欠だ。日本語として「文法」的に「正しい文」でなければ「減点」されるし、そもそも内容が正確に伝わらない。特に、「文節の相互関係」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の「意味・用法」は確実に定着させておくことが重要だ。
なお、「知識」強化用のテキストとしては、「高校入試 でる順ターゲット 中学漢字・文法630」(「文法」含む)や「高校入試 でる順ターゲット 中学漢字」(共に旺文社)などが推薦できる。また、残念ながら「中学入試レベル」から再スタートの場合は、「四谷大塚」の「四科のまとめ『国語』」(ＨＰから購入可能)等がオススメ。
[記述]
「農大一高の記述対策」は「問題解説」及び「攻略ポイント」のとおりだが、その前提としてなすべきことがある。それは「文を記す」「記述する」ことに慣れることだ。最初は時間がかかってもいい。厭わずに、とにかく「書く」。そして、書いた「文」は必ず誰かに読んでもらう。「文法」など正しい日本語の「文」になっているのか、言いたいことは正確に伝わっているのかを確認する必要があるからだ。
では、何を「書く」か？ 「練習問題」や「過去問」にある「記述設問」は勿論だが、その問題文の「要約」をするのがとてもいい方法だ。40～50字程度で書いてみる(農大一高の典型的な「指定字数」の練習にもなる)。無論、内容は先生などに確認してもらう。「要約力」は文章の「理解力」にもつながるので一挙両得。次の段階としては「字数の感覚」を身につけることだ。
書きたい内容は何文字くらいになるのか？ 解答欄を埋め始めてから「過不足」を後悔しても遅い。下書きしている時間もない。だからこそ、「字数の感覚」が重要。その際、20～30字程度をひとつのブロックとして考えるといい。「記述設問」で得点を左右する「重要な要素」「必要な要素」は、それぞれその程度が目安だ。マス目のある原稿用紙を使って、自分が書こうとしている「要素」がその範囲に収まるようになるまで何度も練習すること。ある程度「感覚」がつかめたら、「最重要な要素」を「文末」にして、他の「必要な要素」を下から積み上げていくように記述する練習をしていく。
[速読]
大学入試にも匹敵するボリュームの問題文を読まなくてはならない。全体で7000字程度。解答時間は50分。当然、「速読」が求められる。しかし、設問を解くために読むのだから一般的な「速読術」を使うわけにはいかない。やはり、文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。
農大一高の出題は原則的に「論説文」(説明文)なので、「Ｎの法則」を活用する。意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているので確実に読み、「本論」は「段落相互関係」に着目しながら「各形式段落」の「最初」と「最後」を中心に読み進める。その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。農大一高に限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。練習あるのみ。そして、最終的には分速700字以上(できれば750字近く)で「速読」できるようにしたい。
[古典]
「公立中学」の「国語」でも「古典」は扱う。「古文」「漢文」は必修カリキュラムだ。しかし、「指導要領」上はほんの導入部分だけで、本格的な学習はしない。「文語文法」等を体系的に学ぶこともない。が、農大一高などの「中高一貫校」ではそれらを中学時点で学び始めている。従って、「高校入試」で出題されることになる。明らかに「ハンディ」だが、仕方がない。前述のとおり塾での学習でも不十分なので、「独習」をする他ない。「古文単語」では「大学入試基礎レベル」(300語程度)を定着させ、「文語文法」は「動詞」「形容詞・形容動詞」は当然として、「助動詞」「助詞」の「意味・用法・接続」、さらに「敬語」までも理解しておく必要がある。そして、できるだけ多くの「古典作品」に触れて慣れておくことが重要だ。
なお、「古文」強化用のテキストとしては、「高校用」の「ステップアップノート30——古典文法基礎ドリル」(河合出版)や、「古文単語」定着用として「重要古文単語315」(桐原書店)などが推薦できる。
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2014年度「東京農業大学第一高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問一は「論説文」、出典は鷲田清一「〈ひと〉の現象学」(文字数約3500字)。筆者は、大阪大学教授、同総長などを歴任し、現在は大谷大学教授。専門は「哲学」「倫理学」。「モードの迷宮」で「サントリー学芸賞」、「『ぐずくず』の理由」で「読売文学賞」を受賞している。「高校入試」「大学入試」での出典も数多い。小問は全10問(解答数は19)で、出題形式は「選択肢」「抜き出し」「空所補充」(１問)、「漢字書きとり」(５問)「総合的知識問題」(４問)。問題文は５分程度で読み切り、設問を15分程度で解きたい。
大問二も「論説文」、出典は茂木健一郎「新しい日本の愛し方」(文字数約2900字)。筆者は、脳科学者。株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所上級研究員。「クオリア」をキーワードとして、脳と心の関係を探求し続けている。「脳と仮想」「今、ここからすべての場所へ」「ひらめき脳」など著書多数。小問は全４問(解答数も４)で、出題形式は「選択肢」、「記述」(２問。45字以内と30字以内の「字数指定」)、「総合的知識問題」(１問)。問題文は４分強で読み切り、設問を15分弱で解きたい。
大問三は「古文」、出典は作者不明(源順説が有力)「宇津保物語(巻之一)」(文字数約970字)。平安時代中期に成立した日本文学史上最古の長編物語(全二十巻)、「源氏物語」などその後の「物語文学」に大きな影響を与えた。小問は全６問(解答数は７)で、出題形式は「選択肢」(「不適切説明」あり)「抜き出し」、「総合的知識問題」(１問。「文学史」)。10分強で解きたい。
【大問一】論説文
- 時間配分：20分
本書は、この世に生まれ落ち、やがて死にゆく「わたしたち」、「ひと」として生き、交わり、すれ違うその諸相を哲学的思考で論じている。
本文では、社会のシステムを補強し不備を調整する最小単位であるのは「家族」だが、いまは、その「内密性」の密度を下げばらばらになってきていると述べている。
「漢字の書きとり」、「語句の空所補充」「換言説明」「抜き出し」などに農大一高らしさが出ている。以下、いくつか考えてみたい。
【問一】漢字の書きとり
全５問。基本的には平易だが、中には「文脈」からの判別で一瞬迷うものもあるかも知れない。
(ｃ)「(機関に)イタク(する)」＝「委託(する)」、(ｄ)「(好き)ホウダイ」＝「放題」、(ｅ)⑤「ソマツ(にしない)」＝「粗末」には要注意。
農大一高では「漢字」の完璧な「準備」が求められる。
【問二】接続詞の空所補充選択肢
文中の空所①②③に当てはまる「接続詞」を答える(「５択」)。
どこの学校でも定番の問題。難問ではないが、空所３箇所に対して選択肢は５つ。それらの判別がやや複雑。「逆接」はともかく「順接」には注意が必要。どれでも当てはまってしまう可能性があるので、全ての候補を確実に「代入確認」しなくてはいけない。特に、(１)「そして」と(４)「だから」は前後の「文脈」との関連を的確に確認すること。なお、ここではなかったが、「段落冒頭」の「接続詞」は、「前段落」の「全ての内容」を受けているということも忘れてはいけない。「答え」は順に、(３)「つまり」・(４)「だから」・(１)「そして」となる。
【問三】語句空所補充の選択肢
本文中の空所[Ａ][Ｂ][Ｃ]に当てはまる「語句」を答える(「各５択」)。
難解な「語彙」や「慣用表現」もあり、相当に厄介だ。空所前後から「内容」を確認し特定いていく。「〈家族〉という集住の形態」は「人類の歴史の中ではきわめて[Ａ]な事象である」となっているので、[Ａ]は「どこにでもある一般的な」といった「内容」だと分かるはず。なので、「答え」は(４)の「普遍的」。[Ｂ]は直前から「調停の手段」だと分かり、直後は、それによって「わたしたちの社会」が「成り立つ」となっているので、「答え」は(１)の「契約」になる。そして、「[Ｃ]という仕方で、たっぷりと世話を受けた」とあるので、[Ｃ]の「答え」は(５)の「手塩にかける」だ。
農大一高の「総合的知識問題」、やはり、徹底した「語彙力養成」が求められる。
【問四】換言説明の選択肢
傍線部(ア)「その最小単位じたいが、いま密度を下げている」とは「どういうことか」を答える(「５択」)。
「選択肢設問」は「消去法」が原則。先ずは「原意」を考えて(「原意絶対優位の原則」＝「設問」「傍線部」等の「原意」、要は「本来の意味」を最優先に考えること)、「消去」したい。特に「換言選択肢」は「言い換え」「同じことの説明」なのだから、「理由説明」などよりも徹頭徹尾「原意消去」で解いていくことになる。ここでは、「密度を下げている」という「比喩表現」の「原意」で判別するのだが、「主語」に「その」＝「指示語」があるので開く(「指示語」が出たらすぐに開くこと)。前段落から、「社会システムの最小単位である家族」だと分かる。「密度を下げている」≒「機能しづらくなっている」。選択肢の最後の部分を確認する。(１)(３)(４)(５)は即「消去」できるはずだ。つまり、(２)の「社会の根本単位としての役割を果たせなくなっている」が「答え」になる。結局、一発で「答え」が出たということ。
農大一高の「選択肢」では、「原意消去」を完全に習得することが重要。
【問九】換言説明の抜き出し
傍線部(カ)の「他人との話し方、つきあい方、そこでの身ぶり、身ごなしなどの基本」について、同じことを「言い換えた言葉」を抜き出す(８字指定)。
「抜き出し」では、先ず「抜き出すべき内容」をつかみ、次に「抜き出し範囲」を確定することになる。「内容」を「傍線部一文一部の法則」(「傍線部が一文の一部の場合、傍線部以外が重要」という重要な「解法」)でつかむ。直前に「生きものとして生きることの基本を身につけるだけではなく」とある。つまり、「生きもの」としてではなく「ひと」として身につける「他者との接し方」ということだ。
次に、「抜き出し範囲」の確定。「段落相互関係」の出番だ(「論説文」の「本論部分」における「最重要解法」)。傍線部の段落と次段落が同じ「意味段落」なので、２つの段落が「範囲」になる。確認する。すると、次段落の最後に「こうした共存の習慣の基礎となるものをしつけられる」とある。「内容」も「字数」も合致する。よって、「共存の習慣の基礎」が「答え」になる。
農大一高の「抜き出し」では当てもなく彷徨っている余裕はない。「解法」を用いて、的確に「範囲」を絞り込むことが肝要だ。
【問十】指示語換言の選択肢
傍線部(キ)の「このように」とは「どのようなことか」を答える(「５択」)。
どこの学校でも定番の「指示語」問題。「指示語」なんて「その前」を指し示しているに決まっているのだからチョロイ、となめてはいけない。足をすくわれることになる。
ここで、「指示語」の「基本的解法」をおさらいしておく。①「指示語」の「内容」は「直前」から探す②ただし「段落」はまたがない③「段落冒頭」の「指示語」は「前段落」全ての「内容」を指し示す④「二重・三重…」の「指示語」は全て開く⑤「候補」は必ず「代入確認」すること。
さて、本問の「この」は「段落冒頭」なので、「直前の一文」だけではなく「前段落」全てを受けている。「前段落」の「冒頭」には、再び「そうした」という「指示語」がある(「二重指示語」だ)。従って、その前の段落をも指し示していることになる。要は、前の２段落全ての「内容」だということ。そのことをしっかりと踏まえてさえいれば、「答え」は選択肢の(１)だと分かるはずだ。
「指示語」といえども、農大一高では「高度な解法」が求められていると心得よ。
【大問二】論説文
- 時間配分：19分
本書は、日本が復活するためには、先ずは危機の本質を見極め、この国を前に進めるための意識改革が必要だと提起し、時代が変わればルールも変るので、固有の長所を活かしつつ、世界基準から外れた古い制度や思い込みから脱却すべきだと論じている。
本文は、「『発信者』をつくるための教育改革」と題された章で、「グローバル化の風」が吹く中で、日本人の「学び」は「受信」から「発信」へ変わっていくべきだと述べている。
「語句の意味」や「論旨説明記述」で「いかにも農大一高」といった要注意問題がある。２問だけ検討してみる。
【問一】語句空所補充の組み合わせ選択肢
本文中の空所[Ⅰ]～[Ⅳ]に当てはまる「語句の組み合わせ」を答える(「６択」)。
空所４箇所で選択肢は６、めんどうだ。何とかならないか？ 空所[Ⅰ]～[Ⅳ]の６つの選択肢それぞれを横に眺めてみると、実は「３択」になっていると気づかないか。たとえば、空所[Ⅰ]の選択肢は「現実的」「発展的」「実際的」の「３択」だ。空所のどれかを特定すれば、一瞬にして「６択」⇒「２択」になるわけだ。最も特定しやすいの空所[Ⅰ]、直前に「ビジネス・レターの書き方」「会議でのプレゼンテーション法」とあるので、「実際的」が当てはまると分かるはずだ。これで、(５)か(６)の「２択」になった。あとは、空所[Ⅱ][Ⅲ][Ⅳ]の中で確定しやすいもので決めればいい。もう分かって当然、「答え」は(５)の、[Ⅰ]＝「実際的」・[Ⅱ]＝「文化的」・[Ⅲ]＝「国家的」・[Ⅳ]＝「伝統的」になる。
各選択肢の「横並び」に着目するといった「機転」、「発想の転換」が農大一高では必要になるということ。
【問四】内容説明記述
筆者は「英語の習得」は「どうあることが望ましいと述べているか」を説明する(30字以内の字数指定)。「傍線部設問」ではない。「論説文」で特定の部分からの「設問」ではないということは、通常は「論旨」を問われていると考えていい。
本文は、「序論部」で「日本の教育」「日本人の『学び』」について問題提起しており、中でも「英語教育」について「緊急度の高い課題」と指摘している。なので、本問の趣旨とも合致しているので、やはり「論旨」を説明すればいい。本文は「尾括型」なので(「論説文」の「最重要解法」である「Ｎの法則」で判断できる)、「結論部」で「問題提起」に対する「こたえ(筆者の考え)」が述べられている。「結論部」は最後の２段落。要は、そこの「内容」を「英語の習得はどうあるべきか」という視点でまとめることになる。「第二言語(＝「英語」)の言語政策は、実際の必要に応じて柔軟に形成してよい」ということが「最重要要素」となるので「文末」とする(「記述」は必ず「最重要要素」を「文末」にすること)。そして、「もちろん、母語(＝「日本語」)の充実は必要である」とあるので、「限定条件」として加えていくことになる。たとえば、「答え」としては「日本語を充実させつつ英語は実際の必要に応じて柔軟に行うこと。」などとなる。
「解法」に則して「内容」を確定し、「記述のルール」に合わせて適切にまとめることが、農大一高の「記述」では必要だ。
【大問三】古文
- 時間配分：10分
本作品は、「竹取物語」にみられた伝奇的性格を受け継いでおり、当時の貴族にとって、その演奏が教養でもあった楽器のひとつ「琴」の音楽を巡って物語が展開していく。
本文は、「俊蔭」と題された第１巻の44段。食べ物を巡っての親子の情愛を描いた場面。「問六」の「文学史」以外は「知識問題」ではなく、全て「内容理解」が問われている。その点ではハードだが、「文法」も含めた「古文の基本的事項」が定着していればおおまかな「内容」をつかむことは可能だ。あとは、「現代文」として捉え、解いていけばいい。農大一高の「古文」では、「基礎」を押さえた上で「現代文」として「読解」していくという発想が必要だ。ただ、「現代文の常識」にこだわると判断を誤る場合もある。１問だけ検証してみよう。
【問一】指示語換言の選択肢
傍線部(ア)(イ)の「これ」の「指示する内容」を答える(「５択」)。(イ)の「答え」は選択肢(５)＝「魚」だとは誰でもすぐ分かる。が、(ア)はどうか？ 通常、「現代文」では「これ」は「もの」を指し示すので、悩んだりしないか？ そこに執着していると判断できない恐れがある。「古文」では「これ」＝「ひと」でもあるのだ。従って、「答え」は(２)＝「母」となる。「古典の常識」に慣れ親しんでおくことが必要だ。
攻略ポイント
●「選択肢」「抜き出し」「空所補充」「脱文挿入」といった一筋縄ではいかない「多種多様な設問」が課される「農大一高の国語」、果たして「攻略」できるのか？ 高度な「読解力」が求められているが、とにもかくにも、「設問内容」や「条件」を的確に捉え、それぞれに応じた「解法」を適切に用いることが最優先となる。そのためには、基本的「解法」を完全に習得して、自分自身の「ツール」としておくことが重要だ。それによって、「失点」を防ぎ、「得点力」を安定させなくてはならない。「農大一高の国語」の「合格ライン」は60%前後(５年間平均の「受験者平均」54.6%、14年度は54.7%。学校発表)。「読解問題」での「失点」は合否を分けると心得よ。
●農大一高では「総合的知識問題」も侮れない。「文法」「文学史」も含めてあらゆるものが直接出題されるだけではなく、問題文の内容理解でも「高度な語彙力」等が問われる。農大一高を志望したその瞬間から、独自に「幅広い知識」を常に習得していくことが重要だ。学校や塾での学習だけでは全く不十分なので、「独習」は欠かせない。出題数の多い「知識」(14年度は全解答数の37%)での「失点」は致命的になると肝に銘じること。
●「農大一高の記述」。出題数は少ないが、「配点」は意外と大きい(14年度は２問で14点)。決してないがしろにはできない。どう「攻略」するか？ 「裏ワザ」など存在しない。結局は、愚直に「記述」の「練習」を続ける他ないのだ。先ずは、正否の分かれ目となる「最重要な要素」を「文末」として他の「必要な要素」を積み上げていく(積上げ方式)という手法を完璧にマスターすること。そして、「内容」から必要度の優先順位を特定し、優先度の高いものから積み上げていく。それぞれの「要素」を「20～30字程度」でまとめられるように徹底的に練習することが必要。農大一高では「30～50字程度」の「字数指定」が多いので、２つ程度の「要素」でまとめることに慣れること。
●「古文」の「攻略法」は？ 勿論、「中学レベル」の学習ではとても追いつかない。一般的な「私立高校」向けの対応をする塾などの「範囲」をも超越する必要がある。要は、中堅クラスの「大学入試」に対応できなくてはならないのだ。「語彙」や「文法」、「古典常識」まで幅広い「知識」が求められる。
●試験時間は50分。時間配分にも細心の注意をすること。問題文のボリュームは7000字程度。他の上位校と比較してもやや多い。当然、速く正確に読み取ることが求められる。分速700字以上を目標に「読む練習」を常にすることが重要だ。